蛇好き令嬢、魔界に嫁ぐ

n-n

文字の大きさ
6 / 22

現る!悪役令嬢

しおりを挟む
ミーシャの呪いの症状が落ち着き、ナギリスは、仕事に戻ることにした。

「できるだけはやく仕事を片付けて、結婚式をナーガ族の国で盛大に上げよう。準備も必要だ。後日、婚約指輪を買おう。結婚指輪は、その後だ。それと、花嫁衣装だが…」

「祖国より持参金を頂きました。母の残した遺産もあります。ナギリス様の結婚指輪は私が選びますね。…愛していますわ。ナギリス様」

愛?!

なんて…シックリくる言葉なんだろう。

「私も、愛しているよ。ミーシャ」

使ってみると、心がばくばくし始める。
愛しているのだ。
なんと無く自分の心を理解できた。
でも、その言葉でも足りない。

抱きしめて、キスをする。
足りない。

「ナギリス様?行ってらっしゃいませ」

笑顔のミーシャに送り出され、しぶしぶ仕事に向かう。



ナギリスがいなくなると、待っていたかの様に屋敷に来客がやってきた。

「ミーシャ様…お会いしたいという令嬢がお見えですが…どうされますか?」

執事が困った顔で、ミーシャに尋ねた。

「どこのご令嬢かしら?」

「魔王様の妹のルロン様の子、第一姫君フローレン・ギガ・オーガ様です」

「王族ですか?会わないわけにはいきませんね。客室に通してください。美味しいお菓子とお茶をお出しして、よろしくね」

「かしこまりました」

ミーシャは…覚悟を決めて、客間に行く。
ナギリス様を思う女性は不特定多数いるだろう。
呪ではなく、正面対峙することの方が潔いだろう。
好感の持てる人物だ。

「お待たせいたしました。私は、ジモデンズ伯爵令嬢ミーシャ、ナギリス様の婚約者ですわ」

「私は、魔王の姪っ子のフローレン・ギガ・オーガです。フローレンとお呼びください。ミーシャさん」

「かしこまりましたフローレン様…ところで本日は、どの様なご用事で?あいにくナギリス様は仕事に出たばかりなのです。入れ違いになったのであれば、お手数ですが王城の方へお願いします」

「いいえ、ナギリス様に用がある訳ではないのです。本日は、ミーシャさんにお話がしたくて、訪れました。少しの間ですがお付き合いできますか?」

「外には出れませんが、お話ならば…こちらでお伺いしても?」

「仕方ございませんね。では、このままお話しましょう」

執事が持ってきたお菓子がちょうど良いタイミングで来る。
お茶を淹れてもらい、自分も口に運ぶ。

「フウ、良いお茶ね。美味しい」

「東方のお茶を取り寄せております。ナギリス様のご趣味です」

執事がお茶の説明をして、お菓子の説明して、本題に戻る。

「フローレン様?お話をお聞きしてもよろしいですか?」

「はい、ミーシャさん。一つだけ…知っていて貰いたいのです」

フローレン様の話は一つだけではなかったのでまとめる。
1  元々、幼い頃にフローレン様はナギリス様と結婚の約束をした。
2  ナギリス様をフローレン様は待ち続けている。
3  愛情の証として、毎年誕生日にはプレゼントを貰っている。
4  ミーシャが蛇狂いで無ければ、急遽ナーガのナギリスが結婚相手に選ばれなかった。
5  元々の結婚相手は、オーク族の王子で、私に選ばれなかったことを悲しんでいる。

「身を引いてくださいませんか?オーク族の王子は…あなたを待っています。ナギリス様も、愛する私と結婚出来るのです。正しい番と軌道修正をお願いします」

「…?良くは理解できませんが、今夜、ナギリス様に確認してみますね?フローレン様のことをナギリス様が愛していると言ったら、私も身を引きますわ」

「…本当にありがとう。また、明日、伺いますわね」

フローレン様は…自信満々だ。
堂々と帰って行った。

「明日が怖いわ。護衛を付けて貰うか、ナギリス様の仕事について行こうかしら?」

「…はい、神獣様がいるので、心配はないとは思いますが…旦那様に確認しておきます」

神獣?!
居るんだ…屋敷の中に??

「…神獣様には、旦那様しか会えません。でも、何処よりも屋敷の中は平和です。神獣様の加護は、旦那様の特権ですので…」

ナギリス様…凄い。


その夜、ナギリス様に相談をする。
執事が大方説明しておいてくれたみたいで、話も楽だ。

「…そうか、フローレン様が来たか。不安だっただろう。かわいそうに…私が愛しているのはミーシャだよ。安心しておくれ」

「ナギリス様の御心を疑いはしません。でも、明日の朝が怖いのです。ナギリス様…お仕事について行ってもよろしいですか?」

「明日の朝は、出発を遅らせる。フローレン様が来たら、私が対応しよう」

「この屋敷は安全だと聞きました。どれくらい安全なのですか?」

「…ミーシャは、神獣に会ってなかったな。紹介しよう」

ナギリスが指差したところに…大蛇が現れる。

「ミーシャさんこんばんわ。私は神獣をしてます」

大きな蛇が、言葉を話している。

「ナギリス様…凄い。蛇の神獣と共に暮らしているのですか?…凄い。あっと!挨拶が遅れました。神獣様には、これから守っていただく様です。よろしくお願いします」

究極の理想のナギリス様に出会ってしまった今では、大蛇の神獣様には興味が湧かない。
また、ナギリス様を見つめる。
やっぱり神はナギリス様だ!神々しいです!

「俺が…凄いか?ミーシャの視点は予想外で嬉しいものばかりだな」

「ミーシャさんはナギリスに夢中だな。任せておきなさい。この屋敷の中は安全ですよ」





こうして、翌朝が訪れた。

ナギリス様は、家を出たふりをする。

すると、見ていたかのように、フローレン様が現れた。

「先日の答えを聞きに来ました。昨日のお茶のお礼もしたいので、私の家に来てくださらない?」

「すみません。私はこの屋敷より出れません。お誘いには…申し訳御座いません」

「あら、少しで良いのよ」

「あの、本当に出れないのです。物理的に…無理がありまして、ナギリス様に聞いていただいても構いません」

「ナギリス様のお仕事の邪魔はしたくないわ。話の内容はここで聞きます。録音機を回しなさい?良いわね?」

フローレン様に渡されていた録音機を渡す。

「貴女馬鹿ですの?録音に失敗しているじゃないの。使えないわね」

「本人から聞いた方が良いと思いまして、ナギリス様、フローレン様をどう思っていますか?」

「なんとも思っていないよ。私の愛する女性はミーシャだけだけらね。子供の頃の婚約?覚えがないね。毎年のプレゼントは、王族になら、誰にも渡しているものだ。特別な物ではないよ?それに、オーク族の王子の婚約者は、フローレン様ですよね?政略結婚を望んだのはフローレン様ですよね?何が不満なのですか?」

「ナギリス様!誤解です!私は…幼い頃からずっと、お慕い申し上げていました。母に相談したら、結婚を許して頂いたのです!聞いている筈ですが!だから…プレゼントは、恒例の物だとは思えませんでした。ずっと、ナギリス様をお待ちしていたのに…オーク族の王子に嵌められて…政略結婚を同意させられたのです!」

「…魔王様の妹君様が?話などした事なかったが……何かの間違えでは?オーク族の王子に嵌められて??可笑しくないか?…オーク族の王子には、元々、愛するエルフの姫君が居たのだよ?その姫君を押しのけて政略結婚を推し進めていると聞いたぞ?まあ…調べれば済む事だ!追って沙汰を出す。フローレン様は我が家に立ち入りを禁ずる!」

「ナギリス様は、私に逆らうおつもりか?」

「…フローレン様、私の結婚には、魔王様の直々のお触れが出ているのです。邪魔する者は、魔王様の直々の怒りをかいますね。それでも?」

ナギリス様の言葉が続く前に、フローレンの顔色が変わる。

「くっ?!…私は諦めません。叔父様を説得して、ナギリス様を手に入れます」

フローレンは、ミーシャを睨みつけて家を出て行った。

「…ナギリス様…凄い。かっこいいです!」

「…ありがとう。王族という事で、魔王様の名前を使う事になったが…これで、フローレン様も大人しくなるだろう」

ナギリス様の腕に包まれて、優しく抱きしめられる。


魔界に来て本当に良かった。

私は幸せです!
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

惚れた男は根暗で陰気な同僚でした【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
イベント企画会社に勤める水木 茉穂は今日も彼氏欲しさに合コンに勤しむ、結婚願望が強い女だった。 ある日の週末、合コンのメンツが茉穂に合わず、抜け出そうと考えていたのを、茉穂狙いの男から言い寄られ、困っていた所に助けに入ったのは、まさかの男。 同僚で根暗の印象の男、【暗雨】こと村雨 彬良。その彬良が会社での印象とは全く真逆の風貌で茉穂の前に現れ、茉穂を助けたのである………。 ※♡話はHシーンです ※【Mにされた女はドS上司に翻弄される】のキャラを出してます。 ※ これはシリーズ化してますが、他を読んでなくても分かる様には書いてあると思います。 ※終了したら【プラトニックの恋が突然実ったら】を公開します。

処理中です...