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解雇
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「…よーにいちゃん。Bランクに上がりたてらしいじゃんか?俺らは、Aランクに近いって、言われちょる。先輩に敬意を持つべきとちゃうか?」
どっかのチンピラの様に団体で囲んで睨めつけてくる。
「盗賊だと…疑いをかけちょるらしいなぁ!ああん!?」
少し威圧をかけると、面白い様に団体で一歩後ろに下がった。
何で、こんなことになっているのか?
思い返して見る。
夕方、三回目の休憩を入れた。
何故か?仕事中の俺の周りは、踊り子でハーレムが築かれている。
「マツリさんは、彼女いないの?」
「「はーい!立候補したいな!」」
「あなたたちずる~い!私も~!」
「はーい、休憩のオヤツはいかがですか?甘いわよ?」
コレが、一番の原因でした。
この踊り子メンバーに、ロゲスさんの彼女がいたらしい。
ロゲスさんは、俺への信頼をなくして、盗賊問題をあちらの護衛のリーダーに相談してしまった。
その後は、嫌がらせや嫌味などをオープンにしてくる様になる。
護衛だけでなく、音楽隊も、関係が拗れてしまった。
嫌味は、主に妬みを込めた音楽隊からのものだ。
「…ビューイさん、踊り子さんたちに、上手く話してくれなかったのですか?」
「…ごめんなさい、要らぬ不安は与えない様にしていたの…」
その割には、ちゃっかり参加してましたよね~?
「…恐らく、踊り子さんの彼氏という方が、俺を不快に思ったことでしょう。ロゲスさんの協力がなくならないと良いのですが…」
「…ごめんなさい。その辺は、もう…取り返しがつかないほどに、拗れていそうです」
この時に、初めて俺は、踊り子さんの彼氏がロゲスさんだと知りました。
「はあ、では次の街で解雇は、難しいですね」
「…どうしましょうか?」
「困りましたね…ビューイさんは、踊り子さんに言って、ロゲスさんとの関係を改善に当たってください。今回は、其処が一番のキーポイントですよ」
「はい。頑張ります」
護衛達や音楽隊の悪い印象が、みんな俺に向けられていることが救いである。
これで、踊り子さんにも被害があっては…護衛の意味がない。
「…護衛の目は、俺が引き受けます。ビューイさんは、関係改善と裏から護衛の解雇を目指して、動いてください」
「…大丈夫でしょうか?」
「ビューイさんがどれだけ関係改善に、速く動くかにかかっていると思いますよ?今度は、踊り子さん全員に協力をしてもらってくださいね?」
「ええ、わかったわ」
そんな会話をした後のビューイさんや踊り子さんの働きは、素晴らしかった。
ロゲスさんは、上機嫌になり、護衛の解雇を了承したらしい。
音楽隊も、それなりに嫌味を言わなくなり、護衛の奴らだけが、悪目立ち始めた。
「彼らの行いのおかげで、理由もつけやすくなりました。次の街では、解雇を言い渡したいと思います」
「無茶は、やめてくださいね?代わりの護衛が見つかってから、動いた方がいいでしょう。その為に、俺に目を向けさせているのですから」
「いい?ロゲス!この後は、不機嫌な感じで、出て行ってよ?」
「わかっているよ。演技だね」
踊り子さんは、何をしたのかな?
言いなりじゃないか?
少し嬉しそうだし...
「それで、これから私達はどう手伝えばいい?」
「…子供らが、悪い奴らに目をつけられない様にしてほしいのですが…」
俺に目を向けさせているのだが…子供らは俺の奴隷だ。
自ずと、心ない言葉を聞いてしまう。
聖霊に頼んで、子供らの耳を守ってもらっているが…
「…教育上、彼らの言葉は子供らには聞かせたくはない。何とかならないだろうか?」
「…うーん、じゃあ、こうする?」
踊り子の1人が、よい提案をしてくれた。
「子供には目もくれないと思うの」
「…でも、踊り子さん方が…危険ではないですか?」
「手伝いたいの。…ねっ!やらせて!」
押し切られて、踊り子さんの作戦に乗ることにする。
作戦は、以下の通りだ。
1 子供達をお菓子でつりながら、面倒を見るメンバーを作る。
2 踊り子は、護衛達のところへ行き、身を守りながら偵察する。
3 俺のところから逃げる様に護衛達に頼る…感じでメンバーみんなで演じる。正し、嘘の情報は言わない。
4 俺を追い出すフリして、新しい護衛を探す。
5 あくまで、悪役は俺にして、護衛達の目を集める。
6 短期で、終わらせる為に、町に着いたら踊り子は作戦決行する。
7 護衛を解雇後に文句を言われないように…何人かを踊り子が、口説いておく。(実は、好きでした。本当のことを話すのは、特別だから…とか?言う…後から、あなただけを頼って、会いに来るみたいなことを匂わせ、解雇後のことを平和に行くように頼む)
こんな感じだ。
「良いのではないか?どうせ、王都に行ったら、2・3年は帰れない。もっと、長いかもしれない。ここでのことは、昔の過ちで済む。それに、私たち音楽隊も、彼女達の身は守るようにする」
ロゲスが、誰かにアピールするように、シッカリした口調で言った。
誰が彼女なのか?
とにかく、ロゲスの言葉を切っ掛けにして、護衛達解雇作戦を行うことを了承した。
「作戦決行は、町に着いてからです。無理をせずに、行ってください」
俺は、護衛達を挑発して、注目を集めるようにする。
目の属性を工夫すれば、かなり効果はあるはずだ。
この作戦会議を行った為に、少し町に到着することが遅れたが、護衛達にここで何か起きて、俺が、踊り子と音楽隊と決別したのではないかと、思わせることに成功した。
嘘は踊り子さんにつかせたくはない。
後々、踊り子さんに被害が行かない為だ。
自然と勘違いさせる方向に持っていく。
その一段階目が成功したようだ。
夜に町に着いた。
あらかじめ、予約のしてある宿に向かう。
この後は、踊り子さんの作戦に任せる。
俺は、体を休めるフリをして、警戒をしておこう。
昼間と変わらず、気配察知、世界知識、空間把握を発動する。索敵は、フルに使うと、魔力が無くなるので、精霊に頼む。
そこに、観察眼を重ねて、観察を始める。
踊り子さん達が、護衛達を誘ってお酒を飲み始めた。
音楽隊もさりげなくいる。
音楽隊は、作戦に乗っかってくれるようだ。
ロゲスさんは、この町のギルドに出かけたようだ。
護衛解雇契約の段取りをしてもらい、新しい護衛を見つける為だ。
後々に分かることだが、この町に王都に向かう途中のAランク冒険者チームが来ていた。
新しい護衛問題は、すぐに決まり…解雇契約となる。
そのまま、夜のうちにギルドの職員が来て、話をつけたようだ。
思いのほか、踊り子さん効果は高くて、護衛をすんなり降りてくれた。
朝には、新たな護衛達を迎えることになり、紹介もしてくれることだろう。
こうして、護衛1日目が…終わった。
どっかのチンピラの様に団体で囲んで睨めつけてくる。
「盗賊だと…疑いをかけちょるらしいなぁ!ああん!?」
少し威圧をかけると、面白い様に団体で一歩後ろに下がった。
何で、こんなことになっているのか?
思い返して見る。
夕方、三回目の休憩を入れた。
何故か?仕事中の俺の周りは、踊り子でハーレムが築かれている。
「マツリさんは、彼女いないの?」
「「はーい!立候補したいな!」」
「あなたたちずる~い!私も~!」
「はーい、休憩のオヤツはいかがですか?甘いわよ?」
コレが、一番の原因でした。
この踊り子メンバーに、ロゲスさんの彼女がいたらしい。
ロゲスさんは、俺への信頼をなくして、盗賊問題をあちらの護衛のリーダーに相談してしまった。
その後は、嫌がらせや嫌味などをオープンにしてくる様になる。
護衛だけでなく、音楽隊も、関係が拗れてしまった。
嫌味は、主に妬みを込めた音楽隊からのものだ。
「…ビューイさん、踊り子さんたちに、上手く話してくれなかったのですか?」
「…ごめんなさい、要らぬ不安は与えない様にしていたの…」
その割には、ちゃっかり参加してましたよね~?
「…恐らく、踊り子さんの彼氏という方が、俺を不快に思ったことでしょう。ロゲスさんの協力がなくならないと良いのですが…」
「…ごめんなさい。その辺は、もう…取り返しがつかないほどに、拗れていそうです」
この時に、初めて俺は、踊り子さんの彼氏がロゲスさんだと知りました。
「はあ、では次の街で解雇は、難しいですね」
「…どうしましょうか?」
「困りましたね…ビューイさんは、踊り子さんに言って、ロゲスさんとの関係を改善に当たってください。今回は、其処が一番のキーポイントですよ」
「はい。頑張ります」
護衛達や音楽隊の悪い印象が、みんな俺に向けられていることが救いである。
これで、踊り子さんにも被害があっては…護衛の意味がない。
「…護衛の目は、俺が引き受けます。ビューイさんは、関係改善と裏から護衛の解雇を目指して、動いてください」
「…大丈夫でしょうか?」
「ビューイさんがどれだけ関係改善に、速く動くかにかかっていると思いますよ?今度は、踊り子さん全員に協力をしてもらってくださいね?」
「ええ、わかったわ」
そんな会話をした後のビューイさんや踊り子さんの働きは、素晴らしかった。
ロゲスさんは、上機嫌になり、護衛の解雇を了承したらしい。
音楽隊も、それなりに嫌味を言わなくなり、護衛の奴らだけが、悪目立ち始めた。
「彼らの行いのおかげで、理由もつけやすくなりました。次の街では、解雇を言い渡したいと思います」
「無茶は、やめてくださいね?代わりの護衛が見つかってから、動いた方がいいでしょう。その為に、俺に目を向けさせているのですから」
「いい?ロゲス!この後は、不機嫌な感じで、出て行ってよ?」
「わかっているよ。演技だね」
踊り子さんは、何をしたのかな?
言いなりじゃないか?
少し嬉しそうだし...
「それで、これから私達はどう手伝えばいい?」
「…子供らが、悪い奴らに目をつけられない様にしてほしいのですが…」
俺に目を向けさせているのだが…子供らは俺の奴隷だ。
自ずと、心ない言葉を聞いてしまう。
聖霊に頼んで、子供らの耳を守ってもらっているが…
「…教育上、彼らの言葉は子供らには聞かせたくはない。何とかならないだろうか?」
「…うーん、じゃあ、こうする?」
踊り子の1人が、よい提案をしてくれた。
「子供には目もくれないと思うの」
「…でも、踊り子さん方が…危険ではないですか?」
「手伝いたいの。…ねっ!やらせて!」
押し切られて、踊り子さんの作戦に乗ることにする。
作戦は、以下の通りだ。
1 子供達をお菓子でつりながら、面倒を見るメンバーを作る。
2 踊り子は、護衛達のところへ行き、身を守りながら偵察する。
3 俺のところから逃げる様に護衛達に頼る…感じでメンバーみんなで演じる。正し、嘘の情報は言わない。
4 俺を追い出すフリして、新しい護衛を探す。
5 あくまで、悪役は俺にして、護衛達の目を集める。
6 短期で、終わらせる為に、町に着いたら踊り子は作戦決行する。
7 護衛を解雇後に文句を言われないように…何人かを踊り子が、口説いておく。(実は、好きでした。本当のことを話すのは、特別だから…とか?言う…後から、あなただけを頼って、会いに来るみたいなことを匂わせ、解雇後のことを平和に行くように頼む)
こんな感じだ。
「良いのではないか?どうせ、王都に行ったら、2・3年は帰れない。もっと、長いかもしれない。ここでのことは、昔の過ちで済む。それに、私たち音楽隊も、彼女達の身は守るようにする」
ロゲスが、誰かにアピールするように、シッカリした口調で言った。
誰が彼女なのか?
とにかく、ロゲスの言葉を切っ掛けにして、護衛達解雇作戦を行うことを了承した。
「作戦決行は、町に着いてからです。無理をせずに、行ってください」
俺は、護衛達を挑発して、注目を集めるようにする。
目の属性を工夫すれば、かなり効果はあるはずだ。
この作戦会議を行った為に、少し町に到着することが遅れたが、護衛達にここで何か起きて、俺が、踊り子と音楽隊と決別したのではないかと、思わせることに成功した。
嘘は踊り子さんにつかせたくはない。
後々、踊り子さんに被害が行かない為だ。
自然と勘違いさせる方向に持っていく。
その一段階目が成功したようだ。
夜に町に着いた。
あらかじめ、予約のしてある宿に向かう。
この後は、踊り子さんの作戦に任せる。
俺は、体を休めるフリをして、警戒をしておこう。
昼間と変わらず、気配察知、世界知識、空間把握を発動する。索敵は、フルに使うと、魔力が無くなるので、精霊に頼む。
そこに、観察眼を重ねて、観察を始める。
踊り子さん達が、護衛達を誘ってお酒を飲み始めた。
音楽隊もさりげなくいる。
音楽隊は、作戦に乗っかってくれるようだ。
ロゲスさんは、この町のギルドに出かけたようだ。
護衛解雇契約の段取りをしてもらい、新しい護衛を見つける為だ。
後々に分かることだが、この町に王都に向かう途中のAランク冒険者チームが来ていた。
新しい護衛問題は、すぐに決まり…解雇契約となる。
そのまま、夜のうちにギルドの職員が来て、話をつけたようだ。
思いのほか、踊り子さん効果は高くて、護衛をすんなり降りてくれた。
朝には、新たな護衛達を迎えることになり、紹介もしてくれることだろう。
こうして、護衛1日目が…終わった。
応援ありがとうございます!
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