3 / 21
ちょっとだけ…悲しみ…後悔
しおりを挟む色々なゲームのスキルを習得していた私は、何でも出来る気でいた。
それが…今世での一番の後悔になるとは思わなかった。
ある日、妃教育や学校の勉強から一時期解放された私は、久しぶりに公爵家のお庭である(管理地)腐海の森に来ていた。
腐海の森には、太古からの魔獣が住んでいて、普通の魔獣よりも大きい。それでいて…強い。
前世の私は、ゲームしかやることがなかったから、カンストしたスキルを持っていて、この腐海の森に入っても、怪我一つしない。
お付きは、保護者として、魔法の師匠…私が育てた執事とメイドだけだ。
暇ができると二人を連れて、レベル上げをしていた。師匠はオマケだ。
勿論、狩った素材は…二人に特別ボーナスとして分配して、売れないものは、魔道具や薬品調合に使って師匠と研究していた。
無駄のない時間を過ごす。
「あら?」
そんな物騒な森の中で、私は拾い物をした。
「お嬢様…魔族ですね」
「助けるのですか?」
「お嬢様どうされますか?」
私が拾ったのは、可愛らしい少年…でも…見た目の半分は魔獣の姿をしていた。
「…殺して…」
少年は、死にそうな顔で、私に懇願した。
死を覚悟したその顔が…私の前世と被って見えた。
「魔力の暴走を起こしてます」
「半分魔獣化が進んで…ポーションは効きませんね」
「トドメをしてさしあげるのが一番かと…」
「浄化…かな?」
私はゲームの知識で、浄化した方が良いと判断したが…それがいけなかった。
「ああああああああっっっ!」
浄化は、思ったよりも作用が強くて…
少年の身体は魔獣化したところから消えていく。
そう…消えていく。
「あり…がと……」
消えていく半身を支えられず、息を引き取った少年。
訳がわからん!
何故死ぬ?
私の前で、寿命以外の不幸な死は許さない!
そう…思った途端に…私は究極の復活魔法を少年に施した!
「凄い」
「さすが…お嬢様」
「まったく…非常識な…」
少年は、息を吹き返したのだが…
「ふ…ふははははははっっっ!」
「⁇」
「我が名はファウスト!!魔王になるべく生まれた!」
「魔王!?」
「お嬢様!お逃げください」
「お前の目的はなんだ!」
「我を復活させた乙女よ!我が妻として娶ってやろう!」
「冗談でしょう?私には富みも名誉もある隣の帝国の皇太子殿下という婚約者がいるのよ?無理を言わないで?」
「…ならば、後10年…いや、8年待て!魔王の名にかけて!富と名誉と世界を捧げよう」
私は、ココで「だか!断る!」と名台詞を言い損ねてしまった。
だって…彼の魔力がとても優しいものだったから…
「世界はいらない。富と名誉なんて同じもので張り合わないで、魔王なら…魔王らしく、私を力づくで手に入れたら?」
「はーははは!面白い!ならば、勝負だ!」
こうして、自称魔王との勝負は始まったが…
「甘いわね!私が何本ゲームの魔王を倒して来たと思っているの?」
「くっ!まだだ!!出直して!また…」
「懲りませんね…魔王さん」
「お嬢様が最強ですのに…」
「可愛いではないですか?まだ、幼いですし…」
「お姉さまが遠回しにフったことに気がつかないのさ」
「気がついていても、さすがに魔王を名乗っているだけに…引けないのでしょう」
うちの庭で…弟妹を交えて楽しくお茶会をしている。
「さあ、魔王さん?今日も私に負けたのだから、お庭の手入れはよろしくおねがいしますね?」
「うっぐっ…仕方あるまい…いつか…必ず手に入れる」
「シツコイ男は嫌いだけど…あなたの成長を見るのは好きよ?本当に魔王なのね!」
「そう…言っている…助けたこと後悔しても遅いぞ!」
「後悔は貴方の方がしているのではないの?間に合うかしら?8年だったわよね?」
「…」
後悔はあるわ…
ほんの少しだけ…
熱烈に口説いてくる魔王に…
心動かされる時がある。
ほぼ…庭師としてコキ使っているけれど…
魔王さんが吹き飛ばした花壇…次は何を植えてくれるのかしら?
また、珍しい魔草だと嬉しいけれど…
嬉しい誤算かしら?
ーーーーーーーーーーーーーーーー
皇太子視点
私の婚約者は、隣の国の王弟である公爵家の令嬢である。
彼女は、大国である帝国の皇太子…アレクサンドロス・クライシスの名に負けない令嬢だった。
初めて会ったのは、王族のお茶会。
父も母も私すら、王妃に欲しいと思って一目で婚約の申し出をした。
会う前からその名は、ちょくちょく出てきていた。
聖女の如き偉業。
経済的な改革。
革命的な思想。
英雄の如き力。
知らない者などいない。
大国となって、なおも発展する我が国の道標、国母にふさわしい令嬢であることは、言うまでもなく…私は、魅力のみを高めることが多くなる。
私の価値は、彼女を手に入れることにある!
…男として?…ブライト⁇そんなもの…生まれてから持っていない。
私は、自己の魅力で絶対手に入れなくてはならないのだ!帝国の全てを使って磨き上げた魅力をココで使わずに何処で使うのだ!
母の美貌と知能
父の血筋のフォースクラス魔力と武力
帝国の富と名声
貴族の教育と品性・感性
全てを捧げる。
我が愛する婚約者クローリア・デスレント公爵令嬢!
たとえ、魔王がライバルになろうとも…
幼馴染達が、阻んでも。
神の運命が違えても…
なんとしても手に入れる!
「浮気はダメだよ。リア?」
抱きしめても逃げられないのは、私の魅力が通じているから。
私の腕力では、本気を出したあなたには敵わないのだから。
「あ…アレク…」
あー!可愛らしい。
顔を赤く染めて…
「魔王?嫉妬してしまうな!」
チュ❤️チュ❤️チュ❤️
「ファアア!?エッチィ!…ダメ!まだ、私たち10にもなってない!」
おでこ…頬…鼻先だよ?
可愛らしい。
食べちゃいたいなぁって思う。
「色気!!いらないから!まだ!いらない!」
可愛らしい!
早く大きくなってね?
食べごろは逃さないから!
それに…こんな顔…誰にも見せないでね?
見せたら…
「怖い!怖いから!…ヤンデレダメ!」
ヤンデレ?
「私の婚約者さまは、嫉妬深いんだから!ダメだよ!めっ!」
可愛らしい…
殺す気ですか?
私の愛おしい婚約者
愛してます。
「早く帝国にお嫁に来てください!」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
後悔は、後からやって来た!
魔王さんを拾ってきたら、婚約者が嫉妬でエロ化した!?
10歳前の皇太子さま!ヤバイ!ヤバすぎて!鼻血出ちゃう!
可愛らしい天使が!いきなり…魅惑の堕天使になっちゃうなんて!
黒いの?いや…紫⁇
魅力的なオーラだだ漏れ!?
ダメだー!
誰か!
うちの皇太子さま、婚約者さまを止めて!
ヒロイン!カンバーック!!
お嬢様は、色事に免疫がないことが、婚約者にバレたらしい。
魔王にバレないことを祈ります。
クローリアの弱点…
魅惑耐性なし…
魅了経験値0…
魅力攻撃回避マイナス補正…
「アレクに勝てる気がしなーい!?」
クローリアの叫びは、神の笑顔を作ったらしい。
「幸せそうでなによりです」
神の笑いは、クローリアをさらに後悔させたとか…
これって…男運あるの?ないの⁇どっち⁇
10
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
世話焼き幼馴染と離れるのが辛いので自分から離れることにしました
小村辰馬
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢、エリス・カーマインに転生した。
幼馴染であるアーロンの傍にに居続けると、追放エンドを迎えてしまうのに、原作では俺様だった彼の世話焼きな一面を開花させてしまい、居心地の良い彼のそばを離れるのが辛くなってしまう。
ならば彼の代わりに男友達を作ろうと画策するがーー
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる