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15話 聖なる女性の噂
しおりを挟むサカエが城を出て行ったのは、夜遅くだった。
王は、きっと探さないだろう。
国のイメージを大事にする王は、サカエの浄化方法を聞いて、無視することを決めたのだから……。
王子が召喚した聖女は他にも3名いた。
王子は、召喚者として、彼女達の能力をある程度把握したらしくて、サカエの能力から、聖女ではないと判断した。
冷たくすれば、責任も取らされずに何処かへ消えてくれると見越していたらしい。
可哀想なのは、サカエだ。
役職が無ければ、スグにでも個人で追いかけたかった。
サカエの体は、はっきり言って上物だ。
結婚なんてするつもりはない。
あの体に夢中にされた。
手放す気はなかったが……
密偵を付けていたので、報告が来る。
「……報告をします。奴隷を買った所までは、確認出来ましたが、尾行を撒かれました。検問所で姿を確認中です」
尾行を撒いた?
「買った奴隷が、実は曲者達でして……1人は、闇ハイエルフのオズワルド、1人は、S級冒険者の白銀の獣人ウナ、もう1人は、名無しの忌み嫌われたハーフの魔人。彼らは、貴族王族に逆らう異分子として、奴隷に落としたもの達です」
「なぜ、そんな存在をサカエに売ったのだ?」
「……オズワルドは癖が強くて、売れません。獣人のウナは、売れても返品で帰って来ました。ハーフの魔人は、生きる気力もないとのことです」
サカエは、遠くへ逃げるつもりなのだろう。
準備も出来ていない旅だろうが、その3人が居れば、出て行くことも可能だろう。
「……惜しいことをした。あの体をもう少し堪能したかったが……」
俺は、部下に聞こえないようにつぶやく。
しばらくして、我が国の聖女達が諸国周りをしながら、王子と共に浄化の旅に出ると、不思議と魔物が、既に浄化していた。
報告では、サカエが奴隷と共に旅をして、通過したところらしい。
しかも、何故かあの淫乱な女の評判が凄くいい。
言うことを聞かずにバラバラに行動する奴隷をうまくまとめていたらしい。
淫乱な噂は出なかった。
どちらかというと、純粋な聖なる女性??
可笑しいだろう。それを聞いて笑わずにはいられない。
しかも、彼女は何もしていない。
祈りもしなければ、涙すら流さずに、通過しただけで浄化したらしいのだ。
そんな能力はなかったはずだ!?
文字化けした、意味不明な能力が開花したのかもしれないが……何故俺では開花しなかったのだ?……酷くプライドを傷つけられた気分だ。
密偵にサカエの足取りを探らせる。
時折、行方が分からなくなるが、どうにかその居所を見つけた。
なんと、辺境の町に身を置いていた。
あそこは冒険者ならばA級以上、住むなら実力のある兵持ちしか住めないところだ。
ただし、鉱石の取れる地下道があり、金持ちが夢見る場所だが…リスクが高い。
近くの森は、先の聖女でも浄化できなかった強い魔物がウヨウヨいるからだ。
そこで、サカエは普通に暮らしているらしい。
可笑しいだろう?辺境の町で普通に暮らしている??
……あり得ない。
色々探りたかったが……奴隷達の妨害にあって、俺の密偵では、対処できなかった。
やはり、手ばなすことは得策ではなかった。
王がどうであれ、王子がどうであれ、俺が囲ってしまえばよかった。
愛人として、側で能力を開花させていれば、俺の力になったのに…。
もしくは、王の末息子のロラン王子に嫁がせてもよかった。
ロラン王子は、サカエに懐いていて、中々に良い成長をしていた。
魔法や剣が、おそろしく冴え渡り、天才とも言われている。
コツをサカエに教えてもらったと言っていたが……。
王よ、逃したデカイ魚をどうするつもりだ?
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