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9,光の神殿。

朝。

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※注意※
この話には百合要素が含まれます。
それでもよい方のみ読んで頂ければ幸いです。




目が覚めると次の日になっており私達はホテルのベッドで寝ていた。
ココアが運んだのかな?

私は起きると服が違うことに気付く。
いつも着ているパジャマに着替えていた。

あれ?
私のパジャマはアイテムストレージに入れてたから私しか取り出せないはず…
嘘…何で着替えてるの?
どうやって…

「あ、璃乃ちゃんおはよう。」

「おはよ…何で私着替えて…」

「あはは、驚いた?2人ともマジックストレージに入れといたでしょ?アリアさんが出してくれたんだよ。肯定の力?なんだって。」

へぇ…あれ、そんなことも出来たんだ。
でも、どうやったんだろ?
アリアさんにきいてみよ。

「アリアさんは?」

「あー、それなんだけど…アリアさんね、クロード…だっけ?
仮面の男を追って水の神殿に向かったよ。なんでも、もう一人の巫女?とか言うのを狙ったんだって。」

ココアが説明した。
そっか、アリアさん行っちゃったんだ。
お礼とか言いたかったな。
アリアさんは水の神殿か。
私達はどうしよう。
光の神殿には来ないみたいだし雷の神殿の開放に戻るべきかな?
その辺を含めてリーシャと相談してみようかな。

「リーシャは?」

「リーシャちゃんは外に居るみたい。苺ちゃんと杏ちゃんも一緒だよ。2人が倒れてから2人の代わりってリーシャちゃんの護衛してるんだって。
ほら、またいつ狙われるかも分からないから。
因みに私がここに居るのも2人の護衛なんだよ?
寝てる間だけだけど…」

ココアが苦笑いで言った。
それとほぼ同時にドアがノックされた。

「ねーちゃん、いる?」

ハルが呼びかける。

「うん。詩乃ちゃんはまだ寝てるから静かにね。」

ココアが言うとハルが静かに入ってきた。

「ねーちゃん、リーシャが璃乃と詩乃起こしてきてくれって。
今後どうするか決めたいらしい。」

ハルはそう言うと部屋を出た。
リーシャも同じ事考えてたみたい。
とりあえず詩乃を起こして着替えたらリーシャのとこに行ってみようかな。

「詩乃、朝だよ。起きて。」

私が言うとんん…と小さく声を漏らして寝返りを打った。
詩乃寝起き悪いからなぁ…

「はぁ…詩~乃~早く起きるっ!」

私がそう言いながらおでこにデコピンをする。

「ん~後…5分…」

詩乃がそう言ってデコピンが当たらないように俯せで寝た。
絶対あと5分じゃ済まない。

「ほ~ら~、詩乃、早く起きて!リーシャが呼んでるから。」

私がそう言って俯せの詩乃のお尻を叩いた。

「ん…もう少し…」

詩乃がそう言って布団を被る。
完全ガードだ。

「だ~め~、早く起きて!」

私がそう言って布団をはがした。

「ん~!寒い…」

詩乃が膝を抱えて丸くなる。
はぁ…これでも起きないんだからなぁ…

「詩乃~早く起きてよ。」

私がそう言って体を揺する。
しかし、詩乃からは寝息しか聞こえない。
いや、この状況で寝れるのかよ。

「はぁ、あれやるか…」

私が嫌そうに言うとココアが少し心配そうに苦笑いで見ていた。
詩乃が起きないときの最終手段で詩乃が必ず起きる手段。
もうあれしか無い。
私は丸まって寝てる詩乃に抱き着くと詩乃にキスをした。

「ん…」

詩乃が吐息を漏らす。
私は詩乃の口に舌を入れ詩乃の舌と絡める。

「ん…んぅ…」

寝息とは違う、色っぽい声を詩乃が漏らした。

「んんっ…」

舌を絡めているからまともに喋れない。
そんな中で吐息を漏らす。
それでも起きようとしないので私はパジャマのチャックをおろし詩乃の胸に触れる。
双子で殆ど似ているけど唯一違うとこ。
詩乃の方が胸は少し大きい。
と言っても言われないと気づかないほどだけど。
私が胸を触ると詩乃が吐息を漏らした。

「ほら、早く起きて。」

私がそう言ってもう一度キスをする。

「んんっ…」

詩乃がそう言って私をどかして起き上がった。

「はぁ、やっと起きた。」

「はぁ~、はぁ~、キスされて、胸触られて、起きないわけ…ない…はぁ~」

詩乃が息荒めに言った。
まぁ、そうしないと起きないんだし仕方ないよね。

「えと…ふ、2人…とも…」

ココアが顔を真っ赤にして私達を見ていた。
パジャマのフードは脱げ、詩乃に至ってはチャックを下ろされているためほぼ半裸だ。

「えと…その…」

ココアがどう反応すれば良いのかわからず瞳がきょろきょろと動いている。

「ん。詩乃こうしないと起きないから。」

「ふぁ~眠い…」

「ほら、詩乃また寝ようとしない!」

私がそう言って背中をポンと叩いて立ち上がると詩乃の手を引っ張って詩乃を立たせた。

「ほ~ら~詩乃、着替えるよ。」

私がそう言ってチャックを下ろしパジャマを脱ぐ。
そしてアイテムストレージからいつもの服を取り出して着替える。
しかし、その間詩乃は立ったままぼーっとしていた。
私も低血圧で寝起き悪いけどここまででは無い。
詩乃は異様に寝起きが悪いのだ。

「もう…服くらい自分で着替えてよね。」

私がそう言ってパジャマを脱がせるとアイテムストレージから服を出した。
そしてまた立ったままぼーっとする。
いや、そこまでしたなら着ようよ。

「もう…ほら、足上げて。」

私がそう言って詩乃の服を着せてあげた。
何で私は12歳にもなる妹の服を着替えさせてんだか。
まぁ、いつものことで慣れっこだけど。

「ココア、気にしなくて良いよ。ホントに、いつもやってるから。
詩乃を起こすにはこれが1番良いんだよ。
2回に1回はこれで起こしてるし。」

「違う。3回に1回。」

詩乃が言った。
話聞いてたんだ。
ぼーっとしてる癖に話とかはちゃんと聞いてるからなぁ…

「いや、2回に1回でしょ。」

「3回に1回…譲らない。」

詩乃も意外に強情だよなぁ。
いつも私が折れてる気がする。

「今回は私も譲らないよ。2回でしよ?」

「璃乃、嘘はいけない。3回。」

「詩乃こそ12歳なんだし嘘つくのやめようよ。」

私と詩乃がお互い見つめ合いながらそう言った。

「言う事聞かない璃乃なんか、こう。」

そう言って詩乃が私の頬を抓ってひっぱる。
痛いって。

「いひゃい。おかえひ…」

私がそう言って詩乃に同じ事をした。

「璃乃…いひゃい…せーので離す。」

「ん。せーの。」

私がそう言って離したら詩乃も離した。

「女の子の頬を抓るなんて…璃乃、酷い。」

「先にやったのは詩乃でしょ!」

「ん?してないよ?」

「いや、してたじゃん。ね?ココア?」

私が言うとココアがハッとしてこちらを見た。

「えと…してた…かな?」

少し戸惑いつつも答えた。

「お姉ちゃん…酷い…詩乃のこと信じてくれないの?」

詩乃がそう言ってココアを上目遣いの涙目で見つめる

「えとっ!嘘!嘘だよっ!してないっ!詩乃ちゃんはやってないよ!」

ココアがそう言って私を見る。
詩乃の魔術に掛かってるなぁ。
詩乃は昔から…元いた世界に居た時から人に言うことを聞かせる術を分かっている。
その人の弱点を確実に突けるって言うのかな?
人に言うことを聞かせるのが得意なのだ。
今みたいに上目づかいしたりして魅了させるって言うの?
そんな感じ。
その関係で詩乃は『幼気な魅力イノセントチャーム』なんて言われるほどだ。
ホントに、凄いと思う。

「えっ!お姉ちゃん…私のこと信じてくれないの?私はお姉ちゃんのこと信じてたのに…」

私がココアに抱き着いてココアを見上げながら涙目で言った。
何を隠そう、私も詩乃と同じ。
『幼気な魅了』を使える。

するとココアが困った顔で私達2人を交互に見つめた。

「ねぇちゃん!璃乃達起こして来いって言ったじゃん!」

と、そこにハルが怒鳴ってきた。
あ、そう言えばリーシャに呼ばれてるんだった。
忘れてたよ。

「ごめん。詩乃と遊んでた。」

「あ、そうだったのか。だとしたらねぇちゃん止めないとだろ?とにかくっ!リーシャ待ってるし、朝ご飯だから早く来いよな。」

ハルがそう言って部屋を出ていく。
そう言えばお腹空いたかも。

「ココア、ゴメンね。」

「ん。ココア…ふざけすぎた。」

「とりあえずご飯にしよ。」

私と詩乃がそう言って部屋を出るとココアも何が何だか分からないと言った表情で私達の後をついてきた。
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