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山奥の小さな村にて
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「おや、幸菜ちゃん。今日も精が出るねぇ」
「おじさんこそ! ……先日痛めた腰、もう大丈夫ですか?」
「ああ、もうすっかりだ! そうだ。お礼と言っちゃなんだが、これ、良かったら持って行っとくれ」
「わっ、なんて立派なお大根! ありがとう、伊作のおじさん!」
長く降り続いた雨が嘘のように晴れた空。
浮かぶ雲を目指すように小鳥が飛び交い、囀っている。
その下で、幸菜は今日も仕事に精を出していた。
仕事と言っても、デスクワークだとか、関連する何事かで横文字が登場するようなものではない。
何の因果か、何が拍子か。
気づけば幸菜は、右も左もわからない場所ーー馴染んだ現代から遠く離れた何処かしらにやってきていた。村の外れの無人神社で倒れていたところを、この村の人たちが介抱してくれたのだ。
国境の山奥にあるらしいこの小さな村には滅多に他所者はやって来ない。その中で突然現れた何処の者とも知れない、彼らにとっては異様な身形をした怪しい女に甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。身寄りがないと言えば、此処に住めばいいと言って受け入れてくれた。
その言葉に甘えて、幸菜は以来ずっとこの村で暮らしている。
幸菜の現在の家は、自身が倒れていたという神社だ。かつては村巫女もいたそうだが、それも随分前に亡くなり、村人で細々と管理していたらしい。その村巫女が住んでいた家に手を加えて住居とし、巫女の真似事をして生計を立てているのだ。
とはいえ、仕事はもっぱら神社の管理、もとい掃除と、一畳程の小さな家庭菜園の世話なのだが。
現代にいる頃は着たこともなかった袴も、今では一人で着られるようになった。家事はまだまだ上手くこなせないが、何も知らなかった頃よりは確実に上達している。
外では大名だとかが戦を繰り広げているらしいけれど、こんな山奥にまで火の手が届くことはない。
人の出入りがないこの小さな村で、優しい村人たちに支えられ、幸菜は存外心穏やかに日々を送れていた。
「おじさんこそ! ……先日痛めた腰、もう大丈夫ですか?」
「ああ、もうすっかりだ! そうだ。お礼と言っちゃなんだが、これ、良かったら持って行っとくれ」
「わっ、なんて立派なお大根! ありがとう、伊作のおじさん!」
長く降り続いた雨が嘘のように晴れた空。
浮かぶ雲を目指すように小鳥が飛び交い、囀っている。
その下で、幸菜は今日も仕事に精を出していた。
仕事と言っても、デスクワークだとか、関連する何事かで横文字が登場するようなものではない。
何の因果か、何が拍子か。
気づけば幸菜は、右も左もわからない場所ーー馴染んだ現代から遠く離れた何処かしらにやってきていた。村の外れの無人神社で倒れていたところを、この村の人たちが介抱してくれたのだ。
国境の山奥にあるらしいこの小さな村には滅多に他所者はやって来ない。その中で突然現れた何処の者とも知れない、彼らにとっては異様な身形をした怪しい女に甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。身寄りがないと言えば、此処に住めばいいと言って受け入れてくれた。
その言葉に甘えて、幸菜は以来ずっとこの村で暮らしている。
幸菜の現在の家は、自身が倒れていたという神社だ。かつては村巫女もいたそうだが、それも随分前に亡くなり、村人で細々と管理していたらしい。その村巫女が住んでいた家に手を加えて住居とし、巫女の真似事をして生計を立てているのだ。
とはいえ、仕事はもっぱら神社の管理、もとい掃除と、一畳程の小さな家庭菜園の世話なのだが。
現代にいる頃は着たこともなかった袴も、今では一人で着られるようになった。家事はまだまだ上手くこなせないが、何も知らなかった頃よりは確実に上達している。
外では大名だとかが戦を繰り広げているらしいけれど、こんな山奥にまで火の手が届くことはない。
人の出入りがないこの小さな村で、優しい村人たちに支えられ、幸菜は存外心穏やかに日々を送れていた。
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