暴君は野良猫を激しく愛す

藤良 螢

文字の大きさ
21 / 81

前兆

しおりを挟む
「っは、あ……っ」 

 押し殺しきれない声は幸菜をさらなる羞恥と屈辱に突き落とした。嫌だと思っているのに、体が言うことを聞いてくれない。
 ねっとり絡みついてくる快楽を恐れ逃れようとしても、僅かでも刺激が強くなれば大きく疼いて堪らなくなる。 

「っふ……あ、やぁぁ…っ」

 ついに彰久の指が中へと触れた。幸菜の声の質が変わる。無意識に体に力が入ったが意味はなく、容易に進入を果たされた。
 太く長い指が粘着質な音を立ててゆっくり動く。その度にかちかちと歯が鳴り、体が震えが強まった。

「目を閉ざすな。俺を見ろ」

 掠れた声が耳元で響く。無理だとかぶりを振ると、「見ろ」と重ねて命令された。
 少しだけ、本当にうっすらと目蓋を押し上げる。その時幸菜の目に映った彰久の瞳は、真摯しんしな光を宿しているように見えた。

「お前は俺のものだ。そうだろう?」

 幸菜を苛むはずの言葉は、蕩けそうなほど甘い声だった。どくんと心臓が強く跳ねる。溢れるように熱が体中を巡り渦巻いた。
 それを見計らったかのように、彰久の指が激しく動き出す。煽るように掻き回されて、神経が焼き切れてしまいそうだった。

「も、やぁ……、つら……い…っ」

 助けを求めて泣きながら見つめると、彼は眉を顰めて幸菜を見つめ返した。
 熱のこもった眼差しに、幸菜の最奥が疼く。うねる。腰が勝手に動いて止められない。
 幸菜をさらに煽るように、傍若無人な口づけが襲いかかってきた。口内の柔い所を舌で愛でられ、さらなる快楽を誘うように大きな手が素肌を撫でる。けれど決して達することはない。

「んぁ、ふ……っ、足り、な……んんっ」

 幸菜の我慢はもう限界だった。固く目を瞑り、奪われそうな呼吸を必死で繋ぎ止めた。
 貪り尽くされて、ようやく解放される。彰久はどこか苦しそうな表情を浮かべていた。

「煽ったのは、お前だからな」
「あっ、ぁあっ!」

 きつく抱き竦められたかと思うと片足を肩に担がれた。間に体ごと滑り込まれ、大きく開かれる格好になる。あられもない箇所が彰久の眼前に晒された。
 羞恥に泣き声をあげた幸菜を獰猛な目で見下ろす。逃げようとする体を引き止めて、狙いを定めるように先端を当てた。

「っひ、……は、あぁ……っ」

 熱い質量が最奥を目指して突き進む。愛撫され蕩ける寸前まで解された場所が彰久を拒むことはなく、包み込むように受け入れた。
 これを待ち望んでいたのだと体が歓喜する。
 恐怖を遥かに凌駕する感覚を認めたくなくて、理性が途切れる前に逃れ出ようともがくけれど、鍛えられた体の前には意味をなさなかった。
 ゆっくりと、けれど容赦なく内側を押し広げられる快楽はあまりに強く、幸菜の正気を奪っていく。

「っふ、……うぅ……」

 ようやく全てを受け入れた中はいっぱいいっぱいで息苦しさを感じさせた。大きく胸を上下させると、冷たい空気に喉が鳴った。
 逃げたい心に従って、手が布団の上を這う。だがそれも、彰久に捕らえられ、首の後ろへと回された。
 押し込むように腰を押し付けられる。少し揺らされただけなのに強烈な刺激が全身を駆け抜けた。
 脳を灼くような快感に、幸菜が堪えようと爪を立てる。じわり、目尻に涙が滲んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のない、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...