暴君は野良猫を激しく愛す

藤良 螢

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うつろい

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「やぁ……っ」

 怖い。自分が変えられていく。変わってしまう。変わりたくないのに。
 潤んだ視界に彰久が入る。
 じっと見つめていた。交わった視線は不思議と凪いでいた。
 だからだろうか。それに気を取られた一瞬、ふうっと全身の緊張が緩んだ。

「あ、……は、ん……」

 素肌を這う手にびくびくと体が跳ねる。どこを触られても帯びる熱は増して、ちりちりと頭の奥が熱くなる。
 くにゅりと指の腹が最奥への入り口を撫でた。
 大きく腰が跳ねて、ぱちんと何かが弾けた。

「気をやったか」

 問いかけではない。一気に激しくなった鼓動と呼吸が如実に表している。
 うっすらと心地好い疲労感に包まれた幸菜だったが、彰久はその手を止めなかった。
 肉芽を掠めるように淡く刺激し、入り口を確かめるように往復する。焦れったい刺激に思わず身を捩ると、つぷりと指先が中へ入り込んだ。

「あ、あぁ……ふあっ!」

 指の腹で押し広げるように柔く揉まれ、敏感な所を刺激される。ほとんど力を入れていないだろうに襲い来る衝撃は絶大で、頭の中で何度も白が弾けた。
 止めようとしても止まらず、せめて声を殺そうとしても顰めることすらできなかった。
 大きな手がふくらはぎに触れる。押し上げるように足を開かされ、滑り込むように熱いものの存在を感じた。
 くちゅり、と粘着質な音が淫らに響く。触れ、わずかに離れ、を繰り返す度にそれは起きた。

「ぁっ……あ、も、とのさまぁ……っ!」

 泣きそうな声だった。実際数滴涙が零れた。
 何度も限界を迎えたはずなのに、まだ足りない。はしたないと頭で思っていても、貪欲に求めてしまう。
 彰久は目元を和らげると、一息で腰を押し進めた。
 目も眩むほどの強い快感が全身を支配した。
 目蓋の裏がちかちか明滅する。全身が大きく跳ね回る。
 指とは比べ物にならない圧迫感は何度経験しても慣れず、苦しい。
 近い感覚を覚えているのか、彰久もその瞬間は眉間にしわを寄せて息を詰めた。

「っ締めすぎだ、力を抜け」
「そん、っあ……むりぃっ」

 灼きつくような熱さから意識を逸らすことは不可能だ。ぴくりと脈打つだけでもぞくぞくと体が震える。身動ぎひとつでもされると、途端に目の前が白に染まった。
 堪えきれず、彰久が腰を動かす。華奢な体を突き上げる度、幸菜は高い声を上げた。
 落ちそうになる感覚が怖くて、必死に彼の首に腕を回す。
 するとなおさら律動は激しさを増して、わけがわからなくなっていった。

「お前は、本当にーー」

 その先は、弾けた熱で聞こえなかった。

「あああっ!! っは、ああぁ……あ……」

 とぷりと体内に注がれた熱が、じんわりと染み込む。馴染ませるように緩く動くのを、どこか遠くのことのように感じていた。
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