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3.海賊とか言うカモを発見
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ミホノシュヴァルツ号の情報収集能力は凄まじく、ほんの20分ほどで海賊の居場所を突き止めてしまった。
彼の背に乗って更に40分ほど進むと、標的となる海賊一行と海賊船が見えるところへとやってきた。人数はおおよそ30~40人。
そのうちの15人ほどが浜辺に出て、バーベキューパーティーを楽しんでいるようだ。
『連中だな。船の大きさもちょうどいいし、他に護衛船のような存在もない』
「けっこういるね……2人で襲うには、少々数が多いぞ」
『確かにそうだが、どんな肉食獣にも最大の隙というのはできるものだ』
その話を聞いただけで、なんとなく彼が考えていることがわかった。
恐らくシュヴァルツ号は、こいつらが狩り……つまり村を襲うときをチャンスと考えているのだろう。確かに船の動かし方さえわかれば、強奪は出来そうな気がする。
「なるほど、その隙ができた時を見計らって……船乗りたちを集めておくのか?」
『いいや、船乗りは海賊に怯えていることが多い。いざとなったときに尻込みする可能性がある者は頼れん』
「じゃ、じゃあ……どうする?」
シュヴァルツ号は僕を見た。
『その宝剣のコンパスを見てみろ』
言われた通りに宝剣を出してコンパスを確認してみると、明らかに北ではなく海賊船を指し示していた。それに針の色も緑色に変わっている感じがするけど、これはどういうことだろう?
『やはり大きな変化があったな』
「これ、どういうことなんだろう?」
『あの船にニンフがいることを示しているのだろう』
ニンフという言葉を聞いて、僕は生唾を呑んだ。
またの名をハイエルフとも呼ばれる、より精霊に近い強い力を持ったエルフのことだ。もし冒険者パーティーに勧誘すれば、たとえCランクチームでもAランクまで格上げされたという話もある。
「まさか、そんな人まで捕まっていると……?」
『いいや。そんな積み荷を乗せているのなら、こんなところでバーベキューなどやっていないだろう。恐らく、木材か財宝の中に忍び込んでいると思われる』
シュヴァルツ号は、目を細めた。
『少し、彼女と交渉してみる』
「あ、ああ……」
彼が角を黄色に光らせたので、僕は辺りを睨みながら周囲を警戒した。
物陰に隠れているので海賊からは見えないだろうが、見張りがうろついていたり、他の野生生物が襲ってくる危険性もある。
おおよそ3分ほどだろうか。彼はゆっくりと目を開くと、角を消して黒毛ウマに戻った。
『話がまとまったぞ』
「どうだった?」
『クルー増員のことは考えなくていい。吾らは船から海賊を追い出し、奴隷を解放することだけを考える』
その話を聞いて僕は頷いた。
さて、そのあとシュヴァルツ号は、鳥と会話をしながら海賊と海賊船を遠くから監視するだけだった。
一向に動く気配がないけれど、果たしていつ頃に決行するのだろう。
彼と出会って3日目になったとき、町で買ってきた豆を振る舞うとシュヴァルツ号は美味しそうに食べていた。
「美味しそうな音を立てながら食べるな」
『実際に美味なのだから当然だろう』
すっかり桶の中が空になると、彼は唇を舐めながらこちらを見た。
『あと、決行の日が決まったぞ』
「……それはいつだ?」
『明日だ。どうやら連中は朝もやに紛れて、漁村を襲うつもりのようだ』
その言葉を聞いて、僕は武者震いを感じた。
海賊は漁村などを襲いながら金品や食糧だけでなく、女子供までさらったうえに、村人を虐殺していくことも多い。そんなクソな連中の財産を強奪して一泡吹かせるなんて……考えただけでもゾクゾクするものだ。
「わかった……楽しみにしている」
そう伝えると、シュヴァルツ号は思い出したように言った。
『あと、忘れるところだった。実は1人仲間が増えたんだった』
「仲間?」
そう聞き返すと「やっと、マーチルの出番ね」という声が聞こえてきた。
誰なのかと思いながら周囲を見渡すと、木の上から少女が飛び降りてきたのである。
『この者の名前はマーチル。ご覧の通り猫族の戦士で並外れた跳躍力を持っている』
シュヴァルツ号の紹介通り、マーチルという少女はネコミミと猫の尻尾を生やしていた。
しかし女獣人族らしく、顔立ちはかなり僕たち人間に近いし、人間の耳もしっかりとついている。
「よろしくね、お兄さん!」
『ああ、よろしく……』
【猫族の戦士マーチル】
シュヴァルツ号の紹介の通り、猫族の戦士。
戦士と言ってもナイフを2本持って、スピードアタックをかけるタイプの戦士である。
アビリティを使わなくても垂直跳びで125センチほどを飛ぶことができ、100メートルも9秒台で走ることができるため、人間の身体能力ではまず敵わない。
ちなみにマーチルというのは苗字で、下の名前は24番目に生まれた者。
そのため普段は自分のことを私かマーチルと呼ぶが、家族の中では「24はね~」というような話し方になる。
彼の背に乗って更に40分ほど進むと、標的となる海賊一行と海賊船が見えるところへとやってきた。人数はおおよそ30~40人。
そのうちの15人ほどが浜辺に出て、バーベキューパーティーを楽しんでいるようだ。
『連中だな。船の大きさもちょうどいいし、他に護衛船のような存在もない』
「けっこういるね……2人で襲うには、少々数が多いぞ」
『確かにそうだが、どんな肉食獣にも最大の隙というのはできるものだ』
その話を聞いただけで、なんとなく彼が考えていることがわかった。
恐らくシュヴァルツ号は、こいつらが狩り……つまり村を襲うときをチャンスと考えているのだろう。確かに船の動かし方さえわかれば、強奪は出来そうな気がする。
「なるほど、その隙ができた時を見計らって……船乗りたちを集めておくのか?」
『いいや、船乗りは海賊に怯えていることが多い。いざとなったときに尻込みする可能性がある者は頼れん』
「じゃ、じゃあ……どうする?」
シュヴァルツ号は僕を見た。
『その宝剣のコンパスを見てみろ』
言われた通りに宝剣を出してコンパスを確認してみると、明らかに北ではなく海賊船を指し示していた。それに針の色も緑色に変わっている感じがするけど、これはどういうことだろう?
『やはり大きな変化があったな』
「これ、どういうことなんだろう?」
『あの船にニンフがいることを示しているのだろう』
ニンフという言葉を聞いて、僕は生唾を呑んだ。
またの名をハイエルフとも呼ばれる、より精霊に近い強い力を持ったエルフのことだ。もし冒険者パーティーに勧誘すれば、たとえCランクチームでもAランクまで格上げされたという話もある。
「まさか、そんな人まで捕まっていると……?」
『いいや。そんな積み荷を乗せているのなら、こんなところでバーベキューなどやっていないだろう。恐らく、木材か財宝の中に忍び込んでいると思われる』
シュヴァルツ号は、目を細めた。
『少し、彼女と交渉してみる』
「あ、ああ……」
彼が角を黄色に光らせたので、僕は辺りを睨みながら周囲を警戒した。
物陰に隠れているので海賊からは見えないだろうが、見張りがうろついていたり、他の野生生物が襲ってくる危険性もある。
おおよそ3分ほどだろうか。彼はゆっくりと目を開くと、角を消して黒毛ウマに戻った。
『話がまとまったぞ』
「どうだった?」
『クルー増員のことは考えなくていい。吾らは船から海賊を追い出し、奴隷を解放することだけを考える』
その話を聞いて僕は頷いた。
さて、そのあとシュヴァルツ号は、鳥と会話をしながら海賊と海賊船を遠くから監視するだけだった。
一向に動く気配がないけれど、果たしていつ頃に決行するのだろう。
彼と出会って3日目になったとき、町で買ってきた豆を振る舞うとシュヴァルツ号は美味しそうに食べていた。
「美味しそうな音を立てながら食べるな」
『実際に美味なのだから当然だろう』
すっかり桶の中が空になると、彼は唇を舐めながらこちらを見た。
『あと、決行の日が決まったぞ』
「……それはいつだ?」
『明日だ。どうやら連中は朝もやに紛れて、漁村を襲うつもりのようだ』
その言葉を聞いて、僕は武者震いを感じた。
海賊は漁村などを襲いながら金品や食糧だけでなく、女子供までさらったうえに、村人を虐殺していくことも多い。そんなクソな連中の財産を強奪して一泡吹かせるなんて……考えただけでもゾクゾクするものだ。
「わかった……楽しみにしている」
そう伝えると、シュヴァルツ号は思い出したように言った。
『あと、忘れるところだった。実は1人仲間が増えたんだった』
「仲間?」
そう聞き返すと「やっと、マーチルの出番ね」という声が聞こえてきた。
誰なのかと思いながら周囲を見渡すと、木の上から少女が飛び降りてきたのである。
『この者の名前はマーチル。ご覧の通り猫族の戦士で並外れた跳躍力を持っている』
シュヴァルツ号の紹介通り、マーチルという少女はネコミミと猫の尻尾を生やしていた。
しかし女獣人族らしく、顔立ちはかなり僕たち人間に近いし、人間の耳もしっかりとついている。
「よろしくね、お兄さん!」
『ああ、よろしく……』
【猫族の戦士マーチル】
シュヴァルツ号の紹介の通り、猫族の戦士。
戦士と言ってもナイフを2本持って、スピードアタックをかけるタイプの戦士である。
アビリティを使わなくても垂直跳びで125センチほどを飛ぶことができ、100メートルも9秒台で走ることができるため、人間の身体能力ではまず敵わない。
ちなみにマーチルというのは苗字で、下の名前は24番目に生まれた者。
そのため普段は自分のことを私かマーチルと呼ぶが、家族の中では「24はね~」というような話し方になる。
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