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4.海賊船を強奪せよ!
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決行の日。
僕たちは低木や藪の中に隠れて、漁村の入り口付近に張り込んでいた。
定期的に渡り鳥や水鳥が飛んできては、一角獣ミホノシュヴァルツの側に近づいてくる。
『なるほど……わかった』
「ピュイ!」
シュヴァルツ号は、僕たちを見た。
『海賊船が間もなく到着する。合図をしたら……打ち合わせ通りに!』
僕も猫族の戦士マーチルも頷いた。ミホノシュヴァルツは甲板にいる海賊と、騒ぎを聞きつけて戻ってきた海賊たちを倒し、僕とマーチルは船内に突入する係だ。
単独で突入するよりはマシだが、船内の構造や敵の数がわからないから、やはり不安は残る。
「……わかった」
だけど、やはり悪い奴らの吠え面をぜひ見てみたい。僕は今まで様々な人間にアビリティ無しとバカにされてきた。やる時はやる奴だということを……せめて僕自身の中くらいでは証明したい。
待つこと30分。
穏やかな漁港に1隻の船がゆっくりと近づいてきた。何も知らない漁師たちは、何だこの船……という雰囲気で見つめている。漁師の中には「おーい、どうしたぁ?」と声を上げる者もいた。
その直後だった。
海賊船のマストに、ドクロと骨の描かれた黒い旗……つまり海賊旗が掲げられると、漁港は大騒ぎになった。
「おめーら、やってやれぇ!」
野太い男の声が響くと、海賊たちは次々と長弓を構えて漁師たちを狙い撃ちにしていく。突然の攻撃を受けた漁師たちは次々と矢を受けて海の中へと沈み、漁港では女性や子供たちが逃げ出した。
「金銭、食料、衣服、家畜、女、それに子供……貰えるモノは何でも貰っていくぜ!」
「おおっ!」
海賊たちは、船を岸に乗り付けると、次々と海賊たちがロープを伝いながら降りてくる。その数はおおよそ20人くらいか。
こいつらはシミターなどの武器を手に、次々と女子供を追い回していく。
さて、僕たちの出番はまだか?
そう思いながら視線を返すと、シュヴァルツ号はまだ目を細めて戦況を見守っている。どうやらまだ動くべき時ではないようだ。
海賊たちの笑い声と、女性や子供たちの悲鳴や鳴き声、何かを壊す音が聞こえてくる。
その光景を見ていると、良心が僕に訴えかけてくる。このまま……彼らを見捨ててしまっていいのか。確かにもう僕は冒険者ではない。だけど……戦えるじゃないか。
そう思ったとき、シュヴァルツ号は立ち上がった。
『参る!』
そう言いながら彼は先陣を切ると、近くで老人を襲おうとしていた海賊の横っ腹に膝蹴りを見舞っていた。突然の攻撃を受けた海賊は頭から塀に突っ込んで、頭がめり込んでいる。恐らく即死だろう。
近場にいた海賊たちがシュヴァルツ号を見ると、影が映りこんだ。
すると、木の枝から飛び降りてきたマーチルが海賊の1人の顔面に蹴りを見舞い、身体を丸めたまま回転すると、軽やかに着地し、いっぺんに2人の海賊に足払いを見舞っている。
彼女は素早く走り去ると、シュヴァルツ号が蹄を打ち鳴らしながら転んでいた海賊たちを踏みつけていった。海賊たちは悲鳴を上げていたが、それはすぐに断末魔に変わっていく。
僕もまた周囲を睨みながら、ロープを掴むとよじ登った。
船内から攻撃を受けると一方的に攻撃を受ける状態だが、なにやら甲板が騒がしい。何が起こっているのだろうと思いながら甲板に一番乗りすると、そこでは無数の水鳥たちが、見張りについていた海賊たちの頭上で飛び回っていた。これは好機だ。
すぐに剣を構えると、僕は1人ずつ海賊を倒していく。
表にいる連中のことはわからないが、甲板にいる海賊連中は弱かった。修行不足もあるだろうが、船旅を続けていて栄養が足りていない様子だ。船乗り病というモノは実際にあるのかもしれない。
『エッケハルト。ここは吾に任せろ! 船内を制圧しろ!』
振り返るとシュヴァルツ号は、以前にも見た透明な翼を肩のあたりに出現させて空を飛んでいた。彼はウインドユニコーンだから、空だって飛べる!
僕は頷くと、すぐにドアをこじ開けて船内へと突入した。
中はむわっとした、汗とかカビとかタバコとかビールとか、色々な生活臭が交じり合ったような異臭がした。思わず鼻を覆いたくなるが、課された仕事はきっちりとこなさないといけない。
奥へと足を踏み入れると「なんだテメエは!」という声と共に海賊がシミターを振り下ろしてきた。だけど……動きが遅い!
軽々とその攻撃を避けると、僕は海賊を斬り捨てた。
「ごぎゃあ!」
その直後だ。明らかに酒臭い……不快な臭いが漂ってくる。
「いい腕してるなぁ……兄ちゃん」
現れた海賊はウイスキーをボトルごと持ちながら、まるで水のようにがぶ飲みしている。
ちょっと待てと思った。それはビールじゃないんだぞ。そんなにキツイ酒を水のように呑んだら……普通は……!
「ぷはぁ……んまいねぇ! じゃあ……やろうかぁ?」
その海賊は空になったウイスキーボトルを投げ捨てると、シミターを舐めながら不敵に笑った。
間違いなく……コイツが船長だろう。
僕たちは低木や藪の中に隠れて、漁村の入り口付近に張り込んでいた。
定期的に渡り鳥や水鳥が飛んできては、一角獣ミホノシュヴァルツの側に近づいてくる。
『なるほど……わかった』
「ピュイ!」
シュヴァルツ号は、僕たちを見た。
『海賊船が間もなく到着する。合図をしたら……打ち合わせ通りに!』
僕も猫族の戦士マーチルも頷いた。ミホノシュヴァルツは甲板にいる海賊と、騒ぎを聞きつけて戻ってきた海賊たちを倒し、僕とマーチルは船内に突入する係だ。
単独で突入するよりはマシだが、船内の構造や敵の数がわからないから、やはり不安は残る。
「……わかった」
だけど、やはり悪い奴らの吠え面をぜひ見てみたい。僕は今まで様々な人間にアビリティ無しとバカにされてきた。やる時はやる奴だということを……せめて僕自身の中くらいでは証明したい。
待つこと30分。
穏やかな漁港に1隻の船がゆっくりと近づいてきた。何も知らない漁師たちは、何だこの船……という雰囲気で見つめている。漁師の中には「おーい、どうしたぁ?」と声を上げる者もいた。
その直後だった。
海賊船のマストに、ドクロと骨の描かれた黒い旗……つまり海賊旗が掲げられると、漁港は大騒ぎになった。
「おめーら、やってやれぇ!」
野太い男の声が響くと、海賊たちは次々と長弓を構えて漁師たちを狙い撃ちにしていく。突然の攻撃を受けた漁師たちは次々と矢を受けて海の中へと沈み、漁港では女性や子供たちが逃げ出した。
「金銭、食料、衣服、家畜、女、それに子供……貰えるモノは何でも貰っていくぜ!」
「おおっ!」
海賊たちは、船を岸に乗り付けると、次々と海賊たちがロープを伝いながら降りてくる。その数はおおよそ20人くらいか。
こいつらはシミターなどの武器を手に、次々と女子供を追い回していく。
さて、僕たちの出番はまだか?
そう思いながら視線を返すと、シュヴァルツ号はまだ目を細めて戦況を見守っている。どうやらまだ動くべき時ではないようだ。
海賊たちの笑い声と、女性や子供たちの悲鳴や鳴き声、何かを壊す音が聞こえてくる。
その光景を見ていると、良心が僕に訴えかけてくる。このまま……彼らを見捨ててしまっていいのか。確かにもう僕は冒険者ではない。だけど……戦えるじゃないか。
そう思ったとき、シュヴァルツ号は立ち上がった。
『参る!』
そう言いながら彼は先陣を切ると、近くで老人を襲おうとしていた海賊の横っ腹に膝蹴りを見舞っていた。突然の攻撃を受けた海賊は頭から塀に突っ込んで、頭がめり込んでいる。恐らく即死だろう。
近場にいた海賊たちがシュヴァルツ号を見ると、影が映りこんだ。
すると、木の枝から飛び降りてきたマーチルが海賊の1人の顔面に蹴りを見舞い、身体を丸めたまま回転すると、軽やかに着地し、いっぺんに2人の海賊に足払いを見舞っている。
彼女は素早く走り去ると、シュヴァルツ号が蹄を打ち鳴らしながら転んでいた海賊たちを踏みつけていった。海賊たちは悲鳴を上げていたが、それはすぐに断末魔に変わっていく。
僕もまた周囲を睨みながら、ロープを掴むとよじ登った。
船内から攻撃を受けると一方的に攻撃を受ける状態だが、なにやら甲板が騒がしい。何が起こっているのだろうと思いながら甲板に一番乗りすると、そこでは無数の水鳥たちが、見張りについていた海賊たちの頭上で飛び回っていた。これは好機だ。
すぐに剣を構えると、僕は1人ずつ海賊を倒していく。
表にいる連中のことはわからないが、甲板にいる海賊連中は弱かった。修行不足もあるだろうが、船旅を続けていて栄養が足りていない様子だ。船乗り病というモノは実際にあるのかもしれない。
『エッケハルト。ここは吾に任せろ! 船内を制圧しろ!』
振り返るとシュヴァルツ号は、以前にも見た透明な翼を肩のあたりに出現させて空を飛んでいた。彼はウインドユニコーンだから、空だって飛べる!
僕は頷くと、すぐにドアをこじ開けて船内へと突入した。
中はむわっとした、汗とかカビとかタバコとかビールとか、色々な生活臭が交じり合ったような異臭がした。思わず鼻を覆いたくなるが、課された仕事はきっちりとこなさないといけない。
奥へと足を踏み入れると「なんだテメエは!」という声と共に海賊がシミターを振り下ろしてきた。だけど……動きが遅い!
軽々とその攻撃を避けると、僕は海賊を斬り捨てた。
「ごぎゃあ!」
その直後だ。明らかに酒臭い……不快な臭いが漂ってくる。
「いい腕してるなぁ……兄ちゃん」
現れた海賊はウイスキーをボトルごと持ちながら、まるで水のようにがぶ飲みしている。
ちょっと待てと思った。それはビールじゃないんだぞ。そんなにキツイ酒を水のように呑んだら……普通は……!
「ぷはぁ……んまいねぇ! じゃあ……やろうかぁ?」
その海賊は空になったウイスキーボトルを投げ捨てると、シミターを舐めながら不敵に笑った。
間違いなく……コイツが船長だろう。
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