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9.森エルフの受難
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エルフの少女は、困り顔になって水面を眺めていたが、すぐに小生の足音を聞き取ったようだ。
「誰!?」
彼女は、少し間をあけてから小生の姿を瞳に映した。
「って……ウマ?」
「そう。お喋りなウマだよ」
そう伝えると、彼女はじっと凝視してきた。
「ユニコーンだとほんの少しだけ嬉しいけど、実際のところはどうなの?」
「もし、オオカミとかクマに見えるのなら、一度は眼科に行った方がいいよ」
茶化してみると、彼女は少し不機嫌になったようだ。
「私は、アンタがバイコーンじゃないかと疑っているの。正直に答えなさい!」
「面倒そうな女の人だな……やっぱり置いていこう」
層言いながら立ち去ろうとしたら、尻尾を引っ張られた。
「なんで、自分はユニコーンだと答えないの?」
「証明のしようがないから」
そう伝えて論破しようとしたら、彼女は甘く見ないでと言いたそうに睨んできた。
「こう見えても、私だって森の民よ! 相手がウソをついているかどうかくらいはわかる!」
その言葉を聞いて、小生は少しだけエルフの少女に興味を持った。
さすがにエルフという種族は、精霊の血を引いていると言われているだけのことはあり、普通の人間では持てないような特殊能力を持っているようだ。
「ふーん……ならば話は早そうだね」
そう言いながら近寄ると、エルフの少女は少しむくれながら水面を眺めていた。
「その……来てくれなんて頼んでないし……側にいられるから嬉しいとか……考えてないからね?」
「傷とかを癒やして欲しいとか思ってないし、頼もうとかも考えてないと?」
先手を打って言葉を先取りすると、エルフの少女は気に入らなそうに睨んできた。
「何だか腹が立つウマね! アンタ絶対に友達とか少ないでしょ!!」
何だかつかみどころのない性格の女の子なので、ここは先手を再び打ってみることにした。
「安心してください。そんな友人のいない小生には今……ボッチ救済ボランティアさんが友達になってくれることになっています!」
そう伝えると、少女は「ふーん」と言いながら、疑わしそうな顔をしていた。
「その素敵な人と言うのは誰?」
「それは、そこのエルフさん……貴方です!」
「私かい! 勝手に決めるんじゃないの!!」
「しかも今なら、なんと……手続きの簡便化キャンペーンも大好評実施中!」
「意味不明なキャンペーンを勝手に作るんじゃないの!」
小生としてはもう少し冗談を言い合ってスキンシップを取りたいところだったが、オオカミたちの鳴き声を聞いてそうも言っていられないかと考えを改めた。
もし彼らオオカミたちが世間知らずだったとしたら、真夜中で不毛なバトルをしなければならなくなる。
「……血のにおいがするけど、足を怪我したのかい?」
「山菜を取っていたら足を滑らせてね……さすがに骨にまでは異常はないと思うけど、やはり歩くことは難しそう」
「ちょっと診せて」
自分自身の雰囲気を、ただの悪ふざけウマから威厳あるユニコーンへと変えると、少し天邪鬼な反応をしていたエルフの少女も、黙って言うことを聞くようになった。
「……これくらいなら、自力で治した方がいいね」
「…………」
エルフの少女は、それはそうだよねと言いたそうな顔をしていたが、小生は更に提案した。
「ふもとの村までで良かったら案内してもいいよ。さすがに無料ではないけどね」
「……幾ら欲しいの?」
彼女は観念した様子で聞いてきたので、小生はすぐに答えた。
「豆類をバケツに1山。それから塩を……200グラムくらい」
その言葉を聞いたエルフの少女は、ポカンとした表情をしていた。
「そんなものでいいの……?」
小生は当然と思いながら頷いた。
「お金でも要求するとでも思ったかい? 残念ながら小生はお金を持っていても持て余すだけだからね」
その言葉を聞いたエルフの少女は、申し訳なさそうに頷いた。
「それくらい……家に帰ればすぐに用意できるよ。それだけじゃ私の気が済まないから……少し贈り物もさせてもらうわね」
小生はその提案に乗ることにした。
最近は塩分も不足気味だし、エルフの贈り物と言うことは、かなり珍しいアイテムが貰える可能性もある。
「誰!?」
彼女は、少し間をあけてから小生の姿を瞳に映した。
「って……ウマ?」
「そう。お喋りなウマだよ」
そう伝えると、彼女はじっと凝視してきた。
「ユニコーンだとほんの少しだけ嬉しいけど、実際のところはどうなの?」
「もし、オオカミとかクマに見えるのなら、一度は眼科に行った方がいいよ」
茶化してみると、彼女は少し不機嫌になったようだ。
「私は、アンタがバイコーンじゃないかと疑っているの。正直に答えなさい!」
「面倒そうな女の人だな……やっぱり置いていこう」
層言いながら立ち去ろうとしたら、尻尾を引っ張られた。
「なんで、自分はユニコーンだと答えないの?」
「証明のしようがないから」
そう伝えて論破しようとしたら、彼女は甘く見ないでと言いたそうに睨んできた。
「こう見えても、私だって森の民よ! 相手がウソをついているかどうかくらいはわかる!」
その言葉を聞いて、小生は少しだけエルフの少女に興味を持った。
さすがにエルフという種族は、精霊の血を引いていると言われているだけのことはあり、普通の人間では持てないような特殊能力を持っているようだ。
「ふーん……ならば話は早そうだね」
そう言いながら近寄ると、エルフの少女は少しむくれながら水面を眺めていた。
「その……来てくれなんて頼んでないし……側にいられるから嬉しいとか……考えてないからね?」
「傷とかを癒やして欲しいとか思ってないし、頼もうとかも考えてないと?」
先手を打って言葉を先取りすると、エルフの少女は気に入らなそうに睨んできた。
「何だか腹が立つウマね! アンタ絶対に友達とか少ないでしょ!!」
何だかつかみどころのない性格の女の子なので、ここは先手を再び打ってみることにした。
「安心してください。そんな友人のいない小生には今……ボッチ救済ボランティアさんが友達になってくれることになっています!」
そう伝えると、少女は「ふーん」と言いながら、疑わしそうな顔をしていた。
「その素敵な人と言うのは誰?」
「それは、そこのエルフさん……貴方です!」
「私かい! 勝手に決めるんじゃないの!!」
「しかも今なら、なんと……手続きの簡便化キャンペーンも大好評実施中!」
「意味不明なキャンペーンを勝手に作るんじゃないの!」
小生としてはもう少し冗談を言い合ってスキンシップを取りたいところだったが、オオカミたちの鳴き声を聞いてそうも言っていられないかと考えを改めた。
もし彼らオオカミたちが世間知らずだったとしたら、真夜中で不毛なバトルをしなければならなくなる。
「……血のにおいがするけど、足を怪我したのかい?」
「山菜を取っていたら足を滑らせてね……さすがに骨にまでは異常はないと思うけど、やはり歩くことは難しそう」
「ちょっと診せて」
自分自身の雰囲気を、ただの悪ふざけウマから威厳あるユニコーンへと変えると、少し天邪鬼な反応をしていたエルフの少女も、黙って言うことを聞くようになった。
「……これくらいなら、自力で治した方がいいね」
「…………」
エルフの少女は、それはそうだよねと言いたそうな顔をしていたが、小生は更に提案した。
「ふもとの村までで良かったら案内してもいいよ。さすがに無料ではないけどね」
「……幾ら欲しいの?」
彼女は観念した様子で聞いてきたので、小生はすぐに答えた。
「豆類をバケツに1山。それから塩を……200グラムくらい」
その言葉を聞いたエルフの少女は、ポカンとした表情をしていた。
「そんなものでいいの……?」
小生は当然と思いながら頷いた。
「お金でも要求するとでも思ったかい? 残念ながら小生はお金を持っていても持て余すだけだからね」
その言葉を聞いたエルフの少女は、申し訳なさそうに頷いた。
「それくらい……家に帰ればすぐに用意できるよ。それだけじゃ私の気が済まないから……少し贈り物もさせてもらうわね」
小生はその提案に乗ることにした。
最近は塩分も不足気味だし、エルフの贈り物と言うことは、かなり珍しいアイテムが貰える可能性もある。
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