チート能力【九尾の力】が、異世界でどこまで通用するのか試してみる ~ナインテール・アタッカー~

スィグトーネ

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9.次々と移籍して行くメンバー

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 僕たちはギルドの事務所へと向かうと、戦士ダンをや複数の戦士たちが、身なりの良い男性と話をしていた。
「……そうか、わかった。今までご苦労だったな」
「悪く思わないでくれよ。俺たちにも生活がかかっているんだ」
 ダンは別れの挨拶を済ませると、屈強そうな獣人やヒューマンの戦士や弓使いと共にギルドから立ち去っていった。そのうち3人は代表として先ほどの戦いに出場していたし、残る2人も控えにいた顔触れだ。
「おい……マジかよ」
「まさか、こんなに早くダンさんたちが抜けるなんてな」
「成績不振の時から、ギルドと揉めてたって話……本当だったんだな」
 ギルドメンバーたちが動揺した様子で話をしているなか、僕たちに近づいてくる人がいた。
 紹介されなくても姿を見ただけでわかる。フォセットの姉だ。彼女は「フォセット……少しいいかしら?」と言い、僕たちを別室に連れて行った。

 小さなミーティングルームに入ると、フォセットの姉はドアを閉めてこちらを見た。
「フォセット……それに皆さん、実はインディゴメイルズから移籍のお誘いを頂いています」
「え!? イン……」
 話を聞いていたジルーは、何とか口元に手を当てて声を押し殺したが、尻尾の毛は逆立っていた。どうやら、凄く驚いているようだ。
「ねえ、インディゴメイルズって、どんなギルドなんだい?」
「グループAの2位にランクインしているギルドです。このリーグ戦が始まって以来、1度も降格をしたことがありません」
 確かJリーグでも、そういうチームはあることはあるが……片手の指で収まるほど少なかった気がする。
 そんな常勝軍団が、J2からJ3に降格するチームから選手を引く抜こうとしていると例えると、今回の話がどれだけ凄いことかわかる気がする。
「彼らは、私だけではなくフォセットにも来て欲しいそうなのですが……一緒に行きませんか?」
「ありがたいお話ですが……お断りします」
 その言葉を聞いて、思わずジルーと目が合った。彼女もフォセットの返事が信じられないらしく、2人同時にフォセットに視線が動いたが、フォセットはしっかりと言った。
「この状況のギルドを立て直してこそ、本物の冒険者だと思います」
 その言葉を聞いて、フォセットの姉は厳しい表情をした。
「いいのですか? こんなチャンスは二度とないと思いますが……?」
「チャンスは自分でつかみ取るものでは?」
 フォセットに言い返され、姉は苦笑した。
「わかりました。ではこのお話は……こちらからお断りさせて頂きましょう」
「え? まさか……姉さんまで!?」
 フォセットが驚いた表情をすると、姉はどこか楽しむように笑いながら答えた。
「貴女と私は、同じ血を受け継いでいるんですよ」
 その答えで、今度はフォセットが苦笑いした。恐らく彼女は、自分がギルドに残って姉がインディゴメイルズに旅立つことを見守ろうとしていたように思える。
 話がまとまったところで、僕はずっと思っていた疑問をフォセットにすることにした。
「ところでフォセット?」
「なんでしょう?」
「お姉さんのことは……なんて呼べばいい?」
 そう質問すると、フォセットの姉は、思い出したように僕を見てくる。
「そういえば、ソラさんに自己紹介がまだでしたね。私のことは月桂樹ロランスと呼んでください」
「わかりました」
 ロランスとも握手を交わそうとしたら、彼女はじっと僕のことを眺めてきた。
「……なにか?」
「そういえばソラさん。貴方は、自分のオーラをキツネ状に練り上げることができましたね」
「ええ、普段からできるワケではありませんが……」
「ちょっと、やってみてください」
 自信はなかったが自分の左手を広げ、白いモヤを集めるイメージを膨らませてみると、凄く小さな管狐が出てきて僕の鼻先にヒョロっと顔を近づけてきた。
『キュイ~ン……』
「…………」
「…………」
 なんだか、凄く可愛らしい管狐が出てきたが、ロランスもフォセットも物珍しそうに眺めていた。
「これは、また興味深いですね」
「ええ、私のフクラハギを噛んだモノとは別個体ですか?」
「えーと……」
 僕に聞かれてもわからないと思っていると、管狐は首を横に振ってから、自分の犬歯をフォセットに見せるように開いた。どうやら、喋れないだけで、こちらが何を言っているのかは理解できるようだ。
 フォセットは、更に踏み込んだ質問をしてきた。
「あの~ ソラさん、一度に何体……この不思議な生き物を出せるのですか?」
「ええと……試してみましょう」
 左手にさらにオーラを集めてみると2匹目は現れたが、さすがに3匹目は出てこなかった。
 特に危機が迫っていないときは、一度に2匹を出すのが限界らしい。
「ええと、そろそろいいかい?」
「できれば……この使い魔たちが、どこまでソラさんから離れて行動できるのかを知りたいです」
「あ、ジルーも、ジルーも見たい! ついでに触らせて!」
 その言葉を聞いたロランスは、さすがに慌てた様子で言った。
「ソラさんは、来たばかりで疲れているのですから……今日はこの辺にしておきなさい!」

 何とか、ロランスの鶴の一声で静かになったが、管狐に関してはしばらく粘着されそうだ。
 他のパーティーメンバーから、変な関心を持たれなければいいが……。


【フォセット エルフ17歳(肉体年齢) 女性】

固有特殊能力A:ヒーリング(レア度A:★★☆☆☆):ケガや病気を治療できる
固有特殊能力B:アブソリュート・マナセンス(レア度S:★★☆☆☆☆):絶対マナ感覚
固有特殊能力C:
実戦経験    C ★★★★
作戦・判断   B ★★★★☆
勇猛さ     C ★★★
近接戦闘力   C ★★
魔法戦闘力   B ★★★★☆
投射戦闘力   B ★★★★★★
防御力     C ★★
機動力     C ★★★★
索敵能力    B ★★★☆☆

 ソラの恋人にして、サファイアランスの小隊長。
 ヒーリングを使えるだけでなく、長弓や魔法の扱いにも長けているので、Aグループの常連ギルドさえも一目置く存在である。
 4分の1ほど異世界勇者の血を引いているが、それは公然の秘密となっている。

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