10 / 46
9.次々と移籍して行くメンバー
しおりを挟む
僕たちはギルドの事務所へと向かうと、戦士ダンをや複数の戦士たちが、身なりの良い男性と話をしていた。
「……そうか、わかった。今までご苦労だったな」
「悪く思わないでくれよ。俺たちにも生活がかかっているんだ」
ダンは別れの挨拶を済ませると、屈強そうな獣人やヒューマンの戦士や弓使いと共にギルドから立ち去っていった。そのうち3人は代表として先ほどの戦いに出場していたし、残る2人も控えにいた顔触れだ。
「おい……マジかよ」
「まさか、こんなに早くダンさんたちが抜けるなんてな」
「成績不振の時から、ギルドと揉めてたって話……本当だったんだな」
ギルドメンバーたちが動揺した様子で話をしているなか、僕たちに近づいてくる人がいた。
紹介されなくても姿を見ただけでわかる。フォセットの姉だ。彼女は「フォセット……少しいいかしら?」と言い、僕たちを別室に連れて行った。
小さなミーティングルームに入ると、フォセットの姉はドアを閉めてこちらを見た。
「フォセット……それに皆さん、実はインディゴメイルズから移籍のお誘いを頂いています」
「え!? イン……」
話を聞いていたジルーは、何とか口元に手を当てて声を押し殺したが、尻尾の毛は逆立っていた。どうやら、凄く驚いているようだ。
「ねえ、インディゴメイルズって、どんなギルドなんだい?」
「グループAの2位にランクインしているギルドです。このリーグ戦が始まって以来、1度も降格をしたことがありません」
確かJリーグでも、そういうチームはあることはあるが……片手の指で収まるほど少なかった気がする。
そんな常勝軍団が、J2からJ3に降格するチームから選手を引く抜こうとしていると例えると、今回の話がどれだけ凄いことかわかる気がする。
「彼らは、私だけではなくフォセットにも来て欲しいそうなのですが……一緒に行きませんか?」
「ありがたいお話ですが……お断りします」
その言葉を聞いて、思わずジルーと目が合った。彼女もフォセットの返事が信じられないらしく、2人同時にフォセットに視線が動いたが、フォセットはしっかりと言った。
「この状況のギルドを立て直してこそ、本物の冒険者だと思います」
その言葉を聞いて、フォセットの姉は厳しい表情をした。
「いいのですか? こんなチャンスは二度とないと思いますが……?」
「チャンスは自分でつかみ取るものでは?」
フォセットに言い返され、姉は苦笑した。
「わかりました。ではこのお話は……こちらからお断りさせて頂きましょう」
「え? まさか……姉さんまで!?」
フォセットが驚いた表情をすると、姉はどこか楽しむように笑いながら答えた。
「貴女と私は、同じ血を受け継いでいるんですよ」
その答えで、今度はフォセットが苦笑いした。恐らく彼女は、自分がギルドに残って姉がインディゴメイルズに旅立つことを見守ろうとしていたように思える。
話がまとまったところで、僕はずっと思っていた疑問をフォセットにすることにした。
「ところでフォセット?」
「なんでしょう?」
「お姉さんのことは……なんて呼べばいい?」
そう質問すると、フォセットの姉は、思い出したように僕を見てくる。
「そういえば、ソラさんに自己紹介がまだでしたね。私のことは月桂樹と呼んでください」
「わかりました」
ロランスとも握手を交わそうとしたら、彼女はじっと僕のことを眺めてきた。
「……なにか?」
「そういえばソラさん。貴方は、自分のオーラをキツネ状に練り上げることができましたね」
「ええ、普段からできるワケではありませんが……」
「ちょっと、やってみてください」
自信はなかったが自分の左手を広げ、白いモヤを集めるイメージを膨らませてみると、凄く小さな管狐が出てきて僕の鼻先にヒョロっと顔を近づけてきた。
『キュイ~ン……』
「…………」
「…………」
なんだか、凄く可愛らしい管狐が出てきたが、ロランスもフォセットも物珍しそうに眺めていた。
「これは、また興味深いですね」
「ええ、私のフクラハギを噛んだモノとは別個体ですか?」
「えーと……」
僕に聞かれてもわからないと思っていると、管狐は首を横に振ってから、自分の犬歯をフォセットに見せるように開いた。どうやら、喋れないだけで、こちらが何を言っているのかは理解できるようだ。
フォセットは、更に踏み込んだ質問をしてきた。
「あの~ ソラさん、一度に何体……この不思議な生き物を出せるのですか?」
「ええと……試してみましょう」
左手にさらにオーラを集めてみると2匹目は現れたが、さすがに3匹目は出てこなかった。
特に危機が迫っていないときは、一度に2匹を出すのが限界らしい。
「ええと、そろそろいいかい?」
「できれば……この使い魔たちが、どこまでソラさんから離れて行動できるのかを知りたいです」
「あ、ジルーも、ジルーも見たい! ついでに触らせて!」
その言葉を聞いたロランスは、さすがに慌てた様子で言った。
「ソラさんは、来たばかりで疲れているのですから……今日はこの辺にしておきなさい!」
何とか、ロランスの鶴の一声で静かになったが、管狐に関してはしばらく粘着されそうだ。
他のパーティーメンバーから、変な関心を持たれなければいいが……。
【フォセット エルフ17歳(肉体年齢) 女性】
固有特殊能力A:ヒーリング(レア度A:★★☆☆☆):ケガや病気を治療できる
固有特殊能力B:アブソリュート・マナセンス(レア度S:★★☆☆☆☆):絶対マナ感覚
固有特殊能力C:
実戦経験 C ★★★★
作戦・判断 B ★★★★☆
勇猛さ C ★★★
近接戦闘力 C ★★
魔法戦闘力 B ★★★★☆
投射戦闘力 B ★★★★★★
防御力 C ★★
機動力 C ★★★★
索敵能力 B ★★★☆☆
ソラの恋人にして、サファイアランスの小隊長。
ヒーリングを使えるだけでなく、長弓や魔法の扱いにも長けているので、Aグループの常連ギルドさえも一目置く存在である。
4分の1ほど異世界勇者の血を引いているが、それは公然の秘密となっている。
「……そうか、わかった。今までご苦労だったな」
「悪く思わないでくれよ。俺たちにも生活がかかっているんだ」
ダンは別れの挨拶を済ませると、屈強そうな獣人やヒューマンの戦士や弓使いと共にギルドから立ち去っていった。そのうち3人は代表として先ほどの戦いに出場していたし、残る2人も控えにいた顔触れだ。
「おい……マジかよ」
「まさか、こんなに早くダンさんたちが抜けるなんてな」
「成績不振の時から、ギルドと揉めてたって話……本当だったんだな」
ギルドメンバーたちが動揺した様子で話をしているなか、僕たちに近づいてくる人がいた。
紹介されなくても姿を見ただけでわかる。フォセットの姉だ。彼女は「フォセット……少しいいかしら?」と言い、僕たちを別室に連れて行った。
小さなミーティングルームに入ると、フォセットの姉はドアを閉めてこちらを見た。
「フォセット……それに皆さん、実はインディゴメイルズから移籍のお誘いを頂いています」
「え!? イン……」
話を聞いていたジルーは、何とか口元に手を当てて声を押し殺したが、尻尾の毛は逆立っていた。どうやら、凄く驚いているようだ。
「ねえ、インディゴメイルズって、どんなギルドなんだい?」
「グループAの2位にランクインしているギルドです。このリーグ戦が始まって以来、1度も降格をしたことがありません」
確かJリーグでも、そういうチームはあることはあるが……片手の指で収まるほど少なかった気がする。
そんな常勝軍団が、J2からJ3に降格するチームから選手を引く抜こうとしていると例えると、今回の話がどれだけ凄いことかわかる気がする。
「彼らは、私だけではなくフォセットにも来て欲しいそうなのですが……一緒に行きませんか?」
「ありがたいお話ですが……お断りします」
その言葉を聞いて、思わずジルーと目が合った。彼女もフォセットの返事が信じられないらしく、2人同時にフォセットに視線が動いたが、フォセットはしっかりと言った。
「この状況のギルドを立て直してこそ、本物の冒険者だと思います」
その言葉を聞いて、フォセットの姉は厳しい表情をした。
「いいのですか? こんなチャンスは二度とないと思いますが……?」
「チャンスは自分でつかみ取るものでは?」
フォセットに言い返され、姉は苦笑した。
「わかりました。ではこのお話は……こちらからお断りさせて頂きましょう」
「え? まさか……姉さんまで!?」
フォセットが驚いた表情をすると、姉はどこか楽しむように笑いながら答えた。
「貴女と私は、同じ血を受け継いでいるんですよ」
その答えで、今度はフォセットが苦笑いした。恐らく彼女は、自分がギルドに残って姉がインディゴメイルズに旅立つことを見守ろうとしていたように思える。
話がまとまったところで、僕はずっと思っていた疑問をフォセットにすることにした。
「ところでフォセット?」
「なんでしょう?」
「お姉さんのことは……なんて呼べばいい?」
そう質問すると、フォセットの姉は、思い出したように僕を見てくる。
「そういえば、ソラさんに自己紹介がまだでしたね。私のことは月桂樹と呼んでください」
「わかりました」
ロランスとも握手を交わそうとしたら、彼女はじっと僕のことを眺めてきた。
「……なにか?」
「そういえばソラさん。貴方は、自分のオーラをキツネ状に練り上げることができましたね」
「ええ、普段からできるワケではありませんが……」
「ちょっと、やってみてください」
自信はなかったが自分の左手を広げ、白いモヤを集めるイメージを膨らませてみると、凄く小さな管狐が出てきて僕の鼻先にヒョロっと顔を近づけてきた。
『キュイ~ン……』
「…………」
「…………」
なんだか、凄く可愛らしい管狐が出てきたが、ロランスもフォセットも物珍しそうに眺めていた。
「これは、また興味深いですね」
「ええ、私のフクラハギを噛んだモノとは別個体ですか?」
「えーと……」
僕に聞かれてもわからないと思っていると、管狐は首を横に振ってから、自分の犬歯をフォセットに見せるように開いた。どうやら、喋れないだけで、こちらが何を言っているのかは理解できるようだ。
フォセットは、更に踏み込んだ質問をしてきた。
「あの~ ソラさん、一度に何体……この不思議な生き物を出せるのですか?」
「ええと……試してみましょう」
左手にさらにオーラを集めてみると2匹目は現れたが、さすがに3匹目は出てこなかった。
特に危機が迫っていないときは、一度に2匹を出すのが限界らしい。
「ええと、そろそろいいかい?」
「できれば……この使い魔たちが、どこまでソラさんから離れて行動できるのかを知りたいです」
「あ、ジルーも、ジルーも見たい! ついでに触らせて!」
その言葉を聞いたロランスは、さすがに慌てた様子で言った。
「ソラさんは、来たばかりで疲れているのですから……今日はこの辺にしておきなさい!」
何とか、ロランスの鶴の一声で静かになったが、管狐に関してはしばらく粘着されそうだ。
他のパーティーメンバーから、変な関心を持たれなければいいが……。
【フォセット エルフ17歳(肉体年齢) 女性】
固有特殊能力A:ヒーリング(レア度A:★★☆☆☆):ケガや病気を治療できる
固有特殊能力B:アブソリュート・マナセンス(レア度S:★★☆☆☆☆):絶対マナ感覚
固有特殊能力C:
実戦経験 C ★★★★
作戦・判断 B ★★★★☆
勇猛さ C ★★★
近接戦闘力 C ★★
魔法戦闘力 B ★★★★☆
投射戦闘力 B ★★★★★★
防御力 C ★★
機動力 C ★★★★
索敵能力 B ★★★☆☆
ソラの恋人にして、サファイアランスの小隊長。
ヒーリングを使えるだけでなく、長弓や魔法の扱いにも長けているので、Aグループの常連ギルドさえも一目置く存在である。
4分の1ほど異世界勇者の血を引いているが、それは公然の秘密となっている。
20
あなたにおすすめの小説
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
