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25.ソラ強硬偵察隊
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マーチルと共にコニール村の近くにある森を歩いていると、彼女は不思議そうに僕の背負っているタワーシールドを眺めた。
「ソラ君って……軽戦士だよね? その盾ジャマじゃない? というか穴空いてるし」
「僕だって、盾を持ちたくなることがあるんだよ」
「そ、そういうモノなの??」
「そういうお年頃なんだよ」
そんな話をしながら歩いて行くと、偵察に向かわせていた普通サイズの管狐が戻ってきた。
「ソラ君、クダギツネはなんて?」
「近くにコボルドがいるらしい。数は1体」
管狐の報告によると、そのコボルドも僕たちと同じで強硬偵察をしているようだ。相手はこちらに気づいていないし、ここは攻撃隊を発進させるのもいいかもしれない。
「いけ、ソラ第1攻撃隊」
僕が攻撃を命じたのは、22センチサイズ(普通サイズ)の管狐2匹に、33センチサイズ(大きめサイズ)が1匹だ。
まずは動きの速い普通サイズの管狐2匹が、左右からコボルドに攻撃を仕掛け、コボルドは突然の意味不明な生き物の攻撃に混乱していた。
そこに、後から飛んできた大きめサイズの管狐が低空飛行で襲い掛かり、彼のタックルはコボルドの膝に命中し、更にテールアタックが、コボルドのデリケートゾーンにクリーンヒットした。
「ごぎゃあ!」
コボルドが樹木に背中を打ち付けると同時に、管狐の片方がコボルドの喉へと噛みつき、もう一方の管狐も鼻先に噛みついたのでやられた方はたまらない。あっという間に撃破という運びになった。
すると、倒したコボルドの体は、砂のように真っ白になると、少しずつ崩れて消滅していったのである。
「これ、どういうこと?」
「…………」
僕は、コボルドの残骸である砂を手に取ると、少し考えてみた。
「ねえマーチル。固有特殊能力の中で、クリーチャーのようなモノを出す能力ってあるかい?」
「あるにはあるよ。だけど、ここまで精巧にコボルドを再現する能力は……初めてだよ」
「まあ、撃破したことに変わりはないよね。予定通り行こう」
「え、ええ……そうだね!」
この後も、僕はコボルドの強硬偵察隊を見つけては、管狐攻撃隊を送りこみ続けた。
相手が単独の時は、普通管狐2匹、大き目1匹で倒し、相手が2人いる場合は、普通3匹、大き目1匹に加え、マーチルにも強襲してもらった。
やがて7匹目のコボルドを撃破したとき、なんだか僕の霊力が、いつにも増して強くなっていく。
「あれ、ソラ君……もしかして、霊力がまた強くなったんじゃない?」
「え? どうしてわかるんだい?」
そう聞き返すと、マーチルはニコニコと笑いながら教えてくれた。
「だって、明らかにオーラが強くなっているもん。管狐にも変化があったんじゃない?」
「どれどれ……」
なんだかまだ半信半疑だったが、僕は普通サイズの管狐を出してみることにした。
1匹、2匹、3匹、4匹……5匹! 僕は遂に、待望の5匹目を出せるようになったようだ。
「よし、マーチル……これでもっと沢山のコボルドを倒して経験値にしよう!」
「ちょっとソラ君。目が……ガンギマリだよ」
こうして僕とマーチルが、コボルド強硬偵察隊つぶしを進めていくと、この争いの当事者であるヒューマンの女も違和感を覚えたようだ。
「あれ……? おかしいわね」
ヒューマンの女の膝の上に載っていたジルーは、不思議そうに顔を上げると、女はアゴや首筋をくすぐりながら言った。
「コニール村周辺に向かわせた偵察隊の反応が消えたのよ。それも2つや3つじゃなくて……これで10個目」
「クーン、クーン……」
「さては村の連中が傭兵でも雇ったのでしょうね……まっ、このあたくしの固有特殊能力があれば、いくら戦力なんて揃えても無意味なんだけどね」
ジルーは、トロンとした瞳のまま、ヒューマンの女の足元に、自分の首筋やアゴ下の匂いをこすり付けていた。その行動は、どこからどう見ても飼い犬そのものである。
「さすがに、操りの首輪の効果は凄いわね。昔死んだペットを思い出すわ」
「うう……くううう……」
ヒューマンの女から少し離れたところでは、スライムに拘束されたフォセットが、何とか体内から這い出ようともがいていたが、指一本外に出ることはできないようだ。
「どう? 少しでも動けたかしら?」
「…………」
ヒューマンの女は、フォセットを拘束しているスライムを指で押すと、満足そうに笑った。
「うん、もうこれだけ固くなれば、オス獣人でも脱出は無理ね」
女はフォセットの首輪を外すと、近くにいたコボルドに投げ渡した。
「水洗いして、日当たりのいい場所に干しておいて」
「オウ!」
「オウじゃなくて、ハイでしょ?」
「ハイデショ!」
コボルドが見当外れの答えを返したので、女ヒューマンはなんとも悩ましそうな表情をした。
「ああ、何でもいいからやってきなさい」
コボルドが外に出た後も、フォセットはもがいていたがスライムの拘束には敵わないようだ。女ヒューマンは、再びニヤニヤと笑いながら見下ろしている。
「……くっ、これしきのことで……」
「アンタを縛っていた縄も、全部スライムの栄養になったみたいね。あ、髪の毛だけは食べないように調教してあるから安心しなさい」
「…………」
ヒューマンの女は、何かを思い出した様子で言った。
「汗もかいているみたいだし……お水でも飲む? 美味しい湧水があるのよ」
そう言ってヒューマンの女が席を立つと、フォセットは心配そうにジルーの様子を見た。
ジルーは尻尾を振りながら、ヒューマンの女の後をついていく。もはや僕たちの知るジルーには、戻れないかもしれない。
【スライムに拘束されたフォセット】
「ソラ君って……軽戦士だよね? その盾ジャマじゃない? というか穴空いてるし」
「僕だって、盾を持ちたくなることがあるんだよ」
「そ、そういうモノなの??」
「そういうお年頃なんだよ」
そんな話をしながら歩いて行くと、偵察に向かわせていた普通サイズの管狐が戻ってきた。
「ソラ君、クダギツネはなんて?」
「近くにコボルドがいるらしい。数は1体」
管狐の報告によると、そのコボルドも僕たちと同じで強硬偵察をしているようだ。相手はこちらに気づいていないし、ここは攻撃隊を発進させるのもいいかもしれない。
「いけ、ソラ第1攻撃隊」
僕が攻撃を命じたのは、22センチサイズ(普通サイズ)の管狐2匹に、33センチサイズ(大きめサイズ)が1匹だ。
まずは動きの速い普通サイズの管狐2匹が、左右からコボルドに攻撃を仕掛け、コボルドは突然の意味不明な生き物の攻撃に混乱していた。
そこに、後から飛んできた大きめサイズの管狐が低空飛行で襲い掛かり、彼のタックルはコボルドの膝に命中し、更にテールアタックが、コボルドのデリケートゾーンにクリーンヒットした。
「ごぎゃあ!」
コボルドが樹木に背中を打ち付けると同時に、管狐の片方がコボルドの喉へと噛みつき、もう一方の管狐も鼻先に噛みついたのでやられた方はたまらない。あっという間に撃破という運びになった。
すると、倒したコボルドの体は、砂のように真っ白になると、少しずつ崩れて消滅していったのである。
「これ、どういうこと?」
「…………」
僕は、コボルドの残骸である砂を手に取ると、少し考えてみた。
「ねえマーチル。固有特殊能力の中で、クリーチャーのようなモノを出す能力ってあるかい?」
「あるにはあるよ。だけど、ここまで精巧にコボルドを再現する能力は……初めてだよ」
「まあ、撃破したことに変わりはないよね。予定通り行こう」
「え、ええ……そうだね!」
この後も、僕はコボルドの強硬偵察隊を見つけては、管狐攻撃隊を送りこみ続けた。
相手が単独の時は、普通管狐2匹、大き目1匹で倒し、相手が2人いる場合は、普通3匹、大き目1匹に加え、マーチルにも強襲してもらった。
やがて7匹目のコボルドを撃破したとき、なんだか僕の霊力が、いつにも増して強くなっていく。
「あれ、ソラ君……もしかして、霊力がまた強くなったんじゃない?」
「え? どうしてわかるんだい?」
そう聞き返すと、マーチルはニコニコと笑いながら教えてくれた。
「だって、明らかにオーラが強くなっているもん。管狐にも変化があったんじゃない?」
「どれどれ……」
なんだかまだ半信半疑だったが、僕は普通サイズの管狐を出してみることにした。
1匹、2匹、3匹、4匹……5匹! 僕は遂に、待望の5匹目を出せるようになったようだ。
「よし、マーチル……これでもっと沢山のコボルドを倒して経験値にしよう!」
「ちょっとソラ君。目が……ガンギマリだよ」
こうして僕とマーチルが、コボルド強硬偵察隊つぶしを進めていくと、この争いの当事者であるヒューマンの女も違和感を覚えたようだ。
「あれ……? おかしいわね」
ヒューマンの女の膝の上に載っていたジルーは、不思議そうに顔を上げると、女はアゴや首筋をくすぐりながら言った。
「コニール村周辺に向かわせた偵察隊の反応が消えたのよ。それも2つや3つじゃなくて……これで10個目」
「クーン、クーン……」
「さては村の連中が傭兵でも雇ったのでしょうね……まっ、このあたくしの固有特殊能力があれば、いくら戦力なんて揃えても無意味なんだけどね」
ジルーは、トロンとした瞳のまま、ヒューマンの女の足元に、自分の首筋やアゴ下の匂いをこすり付けていた。その行動は、どこからどう見ても飼い犬そのものである。
「さすがに、操りの首輪の効果は凄いわね。昔死んだペットを思い出すわ」
「うう……くううう……」
ヒューマンの女から少し離れたところでは、スライムに拘束されたフォセットが、何とか体内から這い出ようともがいていたが、指一本外に出ることはできないようだ。
「どう? 少しでも動けたかしら?」
「…………」
ヒューマンの女は、フォセットを拘束しているスライムを指で押すと、満足そうに笑った。
「うん、もうこれだけ固くなれば、オス獣人でも脱出は無理ね」
女はフォセットの首輪を外すと、近くにいたコボルドに投げ渡した。
「水洗いして、日当たりのいい場所に干しておいて」
「オウ!」
「オウじゃなくて、ハイでしょ?」
「ハイデショ!」
コボルドが見当外れの答えを返したので、女ヒューマンはなんとも悩ましそうな表情をした。
「ああ、何でもいいからやってきなさい」
コボルドが外に出た後も、フォセットはもがいていたがスライムの拘束には敵わないようだ。女ヒューマンは、再びニヤニヤと笑いながら見下ろしている。
「……くっ、これしきのことで……」
「アンタを縛っていた縄も、全部スライムの栄養になったみたいね。あ、髪の毛だけは食べないように調教してあるから安心しなさい」
「…………」
ヒューマンの女は、何かを思い出した様子で言った。
「汗もかいているみたいだし……お水でも飲む? 美味しい湧水があるのよ」
そう言ってヒューマンの女が席を立つと、フォセットは心配そうにジルーの様子を見た。
ジルーは尻尾を振りながら、ヒューマンの女の後をついていく。もはや僕たちの知るジルーには、戻れないかもしれない。
【スライムに拘束されたフォセット】
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