41 / 46
40.劣勢時の戦い方
しおりを挟む
これほどの霊力を持つユニコーンを味方にできれば、僕たちフォセット隊の戦力も大幅強化されるだろう。
だけどもし勧誘に失敗して、まかり間違ってライバルのグループCのどこかに引き抜かれれば、来年の昇格も危うくなる。何せ冒険者ギルドのリーグ戦は、2チームしか昇格できない狭き門だからだ。
「…………」
ならば、別ギルドに行けばいいと思う人もいるかもしれないが、僕はフォセット達と一緒に冒険するのが好きだ。
彼女たちが、このサファイアランスで頑張りたいというのなら、手を貸してあげるのが僕らしいやり方だと思う。
『そろそろはじめるとしようか……』
「そうだね」
僕と一角獣ラピッドトリガーの力量差は、相当なものだ。
戦力差は、管狐の分を含めても3対7……いや、相手の固有特殊能力によっては、2対8になってしまうかもしれない。
僕はすぐに大盾を構えると、オーラの尻尾を一つ握った。
とは言っても、握ったのは一番小さく、中途半端なやつだ。盾の影に隠しながら管狐に変換し、盾を構えたままタックルを見舞うことにした。
『どうした、その程……!?』
アタックと同時に、僕は普通サイズの管狐3匹にターゲット指示をした。狙いはもちろん、一角獣ラピッドトリガーだ。
『ギュイ!』
『ギィーーーー!』
『ガァァァァッ!』
1匹目はトリガー号の耳を狙い、2匹目はトリガーの下腹、3匹目はトリガー号の後ろ脚の太ももに狙いを定めていく。僕もその攻撃に便乗し、少し距離を取ってから再びタワーシールドによるシールドアタックを行った。
すると、ラピッドトリガー号は周囲を見回すと、まず僕を睨んだ。
「これは……さっきの!?」
『このまま退場するといい!』
声の直後、目の見えない何かは、僕の放った3匹の管狐たちを次々と殴り消していった。
これは、先ほどジルーやラックドナに対して行った見えない手……確かマジックハンドという名前だったか。
同じ技で3人もやられたら、さすがに冒険者ギルド【サファイアランス】の名前に傷がつく。何とかしてこの技を攻略しないと。
僕は固有特殊能力【ステータス看破】のターゲットを指定した。
狙いはラピッドトリガー号だ。能力を僕自身が受けている今ならきっと、固有特殊能力が詳しく表示されているはず。
『……! させるかっ!!』
ラピッドトリガー号が目を光らせると、もう1つマジックハンドの気配が現れた。
それはまっすぐに僕のアゴに向かってくる。ダメだ、この体勢では避けられない。思わず歯を食いしばったとき、3匹いた管狐の1匹が僕の前に入り、身代わりとなって攻撃を受けた。
『ギュアイッ!?』
管狐が消えると同時に、僕の能力が発動。
―――――――――――――――――――――――
【ラピッドトリガー ユニコーン 年齢不明 牡】
固有特殊能力A:ユニコーン(レア度A:★★★☆☆):ウマから一角獣にクラスチェンジできる
固有特殊能力B:マジックハンド(レア度B:★★★☆):オーラの手で物を掴んだり持ち上げる
固有特殊能力C:不明
実戦経験 B ★★★★★★
作戦・判断 B ★★★★★★
勇猛さ A ★★★★★★★★
近接戦闘力 A ★★★★★★★★
魔法戦闘力 A ★★★★★★★
投射戦闘力 B ★★★☆☆☆
防御力 A ★★★★★★☆
機動力 A ★★★★★★★
索敵能力 A ★★★★★★★★
―――――――――――――――――――――――
そのステータスを見て、思わず唸っていた。
注目すべき点は【オーラの手】と記されていることだ。
「…………」
手と聞けば普通は、2本あるモノと錯覚してしまうところだが、オーラで作り出すのなら僕の尻尾のように3本目や4本目があったとしても、何ら不思議ではない。
このまま空高く上げられれば、一方的に叩き落されて勝負ありにもなりかねない。一か八か攻めに転じることにした。
僕はオーラの尻尾を振りかざすと、思い切りラピッドトリガー号の頭に叩きつけた。
『ぐう……やるじゃないか』
ラピッドトリガー号は、鼻血を流しながら睨みつけてくる。
『これならどうだ!?』
叫び声と同時に、ラピッドトリガー号はマジックハンドによる攻撃を繰り出してきた。
1発、2発、4発、7発、いや9発!
すべて防ぎきれるはずがない。僕が無意識的に取ったのはノーガード戦法だった。
尻尾にいる、12匹の管狐すべてに攻撃指示を出し、彼らは一斉に様々な角度からラピッドトリガー号へと突き進んでいく。
するとラピッドトリガー号は、攻撃に使っていた全てのマジックハンドを守備に転用し、次々と管狐たちを殴り倒しはじめた。
合わせて9匹の管狐がマジックハンドの一撃を受けて倒されていくが、攻撃をかい潜った3匹がラピッドトリガー号へと向かっていく。
トリガー号は、最初の1匹を蹴り倒し、次の1匹を歯でかみちぎって見せたが、最後の1匹が肩に食いつき、その真っ黒な馬体に傷を負わせた。
『……なるほど、容易く敗れ去ってしまうほど弱くはないようだな』
彼はそういうと、僕を見た。
『とりあえず、結論は保留……ということにしておこう』
その言葉を聞いて、僕はホッとしたような、少し残念なような気分になった。
まだチャンスが残されているのはいいが、ここでラピッドトリガー号を仲間に入れておかないと、誰かに取られてしまうのではないかという不安が残る。
「そうか……それなら僕も、もっと努力しないとな」
『君のような戦士がいるから、吾も修業に身が入るというもの……』
『なんだか、楽しそうなことやってるね』
声と共に、ガサガサと低木が揺れ、その先からは白い毛並みをしたウマが姿を現した。
毛並みこそ違うが、その顔立ちや霊力の放ち方は、ラピッドトリガー号にそっくりだった。現れた白馬は微笑を浮かべながら言う。
『お父さん』
そう言われると、ラピッドトリガー号は困り顔を見せた。
『まさか見られていたとはな……』
若い牡馬は、ゆっくりと僕の前にやってくると爽やかに微笑んだ。
『初めまして強い冒険者。小生の名前はサニートリガーというんだ』
「そ、そうなのか……僕の名前はソラ」
そう答えると、サニートリガー号は左前膝を上げる仕草をしてきた。
これは……握手を求めているのだろうか。
「…………」
僕も左手で握手を交わすと、サニートリガーは満足そうに頷いた。
『小生でよかったら、君のパーティーに入れてくれないかい? 役に立ってみせるよ』
『おい、お父さんが先に見つけたんだぞ?』
ラピッドトリガー号がくぎを刺すように言うと、サニートリガー号は笑いながら答えた。
『お父さん、世の中には早い者勝ちって言葉があってだね……』
その言葉を聞いたラピッドトリガー号は、ため息交じりに『好きにしなさい』とだけ言って立ち去った。
だけどもし勧誘に失敗して、まかり間違ってライバルのグループCのどこかに引き抜かれれば、来年の昇格も危うくなる。何せ冒険者ギルドのリーグ戦は、2チームしか昇格できない狭き門だからだ。
「…………」
ならば、別ギルドに行けばいいと思う人もいるかもしれないが、僕はフォセット達と一緒に冒険するのが好きだ。
彼女たちが、このサファイアランスで頑張りたいというのなら、手を貸してあげるのが僕らしいやり方だと思う。
『そろそろはじめるとしようか……』
「そうだね」
僕と一角獣ラピッドトリガーの力量差は、相当なものだ。
戦力差は、管狐の分を含めても3対7……いや、相手の固有特殊能力によっては、2対8になってしまうかもしれない。
僕はすぐに大盾を構えると、オーラの尻尾を一つ握った。
とは言っても、握ったのは一番小さく、中途半端なやつだ。盾の影に隠しながら管狐に変換し、盾を構えたままタックルを見舞うことにした。
『どうした、その程……!?』
アタックと同時に、僕は普通サイズの管狐3匹にターゲット指示をした。狙いはもちろん、一角獣ラピッドトリガーだ。
『ギュイ!』
『ギィーーーー!』
『ガァァァァッ!』
1匹目はトリガー号の耳を狙い、2匹目はトリガーの下腹、3匹目はトリガー号の後ろ脚の太ももに狙いを定めていく。僕もその攻撃に便乗し、少し距離を取ってから再びタワーシールドによるシールドアタックを行った。
すると、ラピッドトリガー号は周囲を見回すと、まず僕を睨んだ。
「これは……さっきの!?」
『このまま退場するといい!』
声の直後、目の見えない何かは、僕の放った3匹の管狐たちを次々と殴り消していった。
これは、先ほどジルーやラックドナに対して行った見えない手……確かマジックハンドという名前だったか。
同じ技で3人もやられたら、さすがに冒険者ギルド【サファイアランス】の名前に傷がつく。何とかしてこの技を攻略しないと。
僕は固有特殊能力【ステータス看破】のターゲットを指定した。
狙いはラピッドトリガー号だ。能力を僕自身が受けている今ならきっと、固有特殊能力が詳しく表示されているはず。
『……! させるかっ!!』
ラピッドトリガー号が目を光らせると、もう1つマジックハンドの気配が現れた。
それはまっすぐに僕のアゴに向かってくる。ダメだ、この体勢では避けられない。思わず歯を食いしばったとき、3匹いた管狐の1匹が僕の前に入り、身代わりとなって攻撃を受けた。
『ギュアイッ!?』
管狐が消えると同時に、僕の能力が発動。
―――――――――――――――――――――――
【ラピッドトリガー ユニコーン 年齢不明 牡】
固有特殊能力A:ユニコーン(レア度A:★★★☆☆):ウマから一角獣にクラスチェンジできる
固有特殊能力B:マジックハンド(レア度B:★★★☆):オーラの手で物を掴んだり持ち上げる
固有特殊能力C:不明
実戦経験 B ★★★★★★
作戦・判断 B ★★★★★★
勇猛さ A ★★★★★★★★
近接戦闘力 A ★★★★★★★★
魔法戦闘力 A ★★★★★★★
投射戦闘力 B ★★★☆☆☆
防御力 A ★★★★★★☆
機動力 A ★★★★★★★
索敵能力 A ★★★★★★★★
―――――――――――――――――――――――
そのステータスを見て、思わず唸っていた。
注目すべき点は【オーラの手】と記されていることだ。
「…………」
手と聞けば普通は、2本あるモノと錯覚してしまうところだが、オーラで作り出すのなら僕の尻尾のように3本目や4本目があったとしても、何ら不思議ではない。
このまま空高く上げられれば、一方的に叩き落されて勝負ありにもなりかねない。一か八か攻めに転じることにした。
僕はオーラの尻尾を振りかざすと、思い切りラピッドトリガー号の頭に叩きつけた。
『ぐう……やるじゃないか』
ラピッドトリガー号は、鼻血を流しながら睨みつけてくる。
『これならどうだ!?』
叫び声と同時に、ラピッドトリガー号はマジックハンドによる攻撃を繰り出してきた。
1発、2発、4発、7発、いや9発!
すべて防ぎきれるはずがない。僕が無意識的に取ったのはノーガード戦法だった。
尻尾にいる、12匹の管狐すべてに攻撃指示を出し、彼らは一斉に様々な角度からラピッドトリガー号へと突き進んでいく。
するとラピッドトリガー号は、攻撃に使っていた全てのマジックハンドを守備に転用し、次々と管狐たちを殴り倒しはじめた。
合わせて9匹の管狐がマジックハンドの一撃を受けて倒されていくが、攻撃をかい潜った3匹がラピッドトリガー号へと向かっていく。
トリガー号は、最初の1匹を蹴り倒し、次の1匹を歯でかみちぎって見せたが、最後の1匹が肩に食いつき、その真っ黒な馬体に傷を負わせた。
『……なるほど、容易く敗れ去ってしまうほど弱くはないようだな』
彼はそういうと、僕を見た。
『とりあえず、結論は保留……ということにしておこう』
その言葉を聞いて、僕はホッとしたような、少し残念なような気分になった。
まだチャンスが残されているのはいいが、ここでラピッドトリガー号を仲間に入れておかないと、誰かに取られてしまうのではないかという不安が残る。
「そうか……それなら僕も、もっと努力しないとな」
『君のような戦士がいるから、吾も修業に身が入るというもの……』
『なんだか、楽しそうなことやってるね』
声と共に、ガサガサと低木が揺れ、その先からは白い毛並みをしたウマが姿を現した。
毛並みこそ違うが、その顔立ちや霊力の放ち方は、ラピッドトリガー号にそっくりだった。現れた白馬は微笑を浮かべながら言う。
『お父さん』
そう言われると、ラピッドトリガー号は困り顔を見せた。
『まさか見られていたとはな……』
若い牡馬は、ゆっくりと僕の前にやってくると爽やかに微笑んだ。
『初めまして強い冒険者。小生の名前はサニートリガーというんだ』
「そ、そうなのか……僕の名前はソラ」
そう答えると、サニートリガー号は左前膝を上げる仕草をしてきた。
これは……握手を求めているのだろうか。
「…………」
僕も左手で握手を交わすと、サニートリガーは満足そうに頷いた。
『小生でよかったら、君のパーティーに入れてくれないかい? 役に立ってみせるよ』
『おい、お父さんが先に見つけたんだぞ?』
ラピッドトリガー号がくぎを刺すように言うと、サニートリガー号は笑いながら答えた。
『お父さん、世の中には早い者勝ちって言葉があってだね……』
その言葉を聞いたラピッドトリガー号は、ため息交じりに『好きにしなさい』とだけ言って立ち去った。
7
あなたにおすすめの小説
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる