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44.ソラを知った冒険者街
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マーチルとサニートリガー号のタッグプレイは、一瞬にして中堅戦の形成を決めてしまった。
マーチルとジルーに挟み撃ちにされたカウマーレ中堅の2人は、慌てた様子で背中合わせに立ち、何とか判定に持ち込もうとするも、こちらにはサニートリガー号がいる。
「行くよ、サニートリガー!」
ジルーが叫ぶと、サニートリガーは頷いて戦いに参加。あくまでジルーの指示に従う、少し賢いウマを演じているようだ。
彼はジルーと協力して、相手選手の1人に攻撃を集中。マーチルが得意の素早さでもう一人の対戦相手をほんろうしているうちに、ジルーたちが目の前の対戦相手をノックアウトし、3対1の状況を作った。
「くっ、仕方ない!」
すると、カウマーレのギルド長はタオルを投げこんだ。負け試合が確定しているのだから、これ以上戦っても悪戯にケガ人を増やすだけという判断だろう。
「そこまで! 中堅戦はカウマーレの棄権で、サファイアランスの勝ち!」
これで僕たちは2勝1敗。副将戦にフォセットが出てくると、カウマーレのサポーターの何人かは帰りはじめた。恐らく噂通り、カウマーレの女性冒険者はあまり強くないということなのだろう。
実際に対戦相手が出てきたので、ステータスを確認してみると、ジルーやマーチルの方が強いくらいだった。彼女たちでもフォセットと1対1では勝てないので勝負は目に見えている。
「はじめ!」
結論から率直に言えば、カウマーレの副将は20秒ほどでフォセットにノックアウトされた。
「よし、3ー1で勝利!」
「さすがは元Bグループのギルドだ! 主力が抜けても質が違うぜ!」
観客たちは盛り上がっていたが、そのうちの数人が僕に関心を向けた。
「それにしても、あのヒューマンは誰だ?」
「そうそう。あんな特殊能力……見たこともねえぞ」
「つーか、使い魔の数がヤバくなかったか?」
「そもそも、カウマーレの先鋒が10秒持たないなんて、あり得ねーから!」
どうやら、観客たちにとってカウマーレが先鋒戦を落としたのは、相当な衝撃だったようだ。僕たちがギルドへと戻り始めても、まだどよめきが止まらない。
サファイアランスに戻ると、フォセットやジルーたちはニコニコと笑いながらこちらを見た。
「あなた。お見事です」
「そうだよ。ソラ君がカウマーレの先鋒を倒してくれたから、あたしたちも戦いやすかったよ!」
「そ、そう……頑張った甲斐があるよ」
少し照れていると、ロランスも満足そうに言う。
「カウマーレの先鋒と大将は、Cグループでもトップクラスだと言われています。彼らに勝てたということは、次回の対戦相手にかなりのプレッシャーを与えることができます」
「な、なるほど……」
とにかくこれで、僕たちは勝ち点と言える勝利得点3をゲット。失点も1に抑えられたのは上々だ。
ちなみに、予定通りにCグループの第1戦は予定通りに進んでいき、5チームが勝利得点3を得て首位を守り、1チームが勝利得点2、2チームが勝利得点1、2チームが勝利得点0となった。
次の試合は来月に行われるため、スケジュールにはかなり余裕があるだろう。
「…………」
そうなると、次の試合までに一度はシシュポス遺跡に潜るというのもいいかもしれない。僕自身、その経験はないし、ギルド員の話によれば低層にも手強いモンスターが出ることもあるそうだ。多少のリスクがあった方が緊張感も出るし、きっと新しい経験も積める。
「これなら、待機期間中にシシュポス遺跡を探索することもできるね」
考えを伝えると、フォセットも頷いた。
「確かにそうですが、ケガだけはしないように気を付けましょう」
「その通りだよね。充分に気を付けて探索をしないと……」
僕が答えると、ジルーやマーチルは、満足そうにうんうんと頷いていたが、ラックドナが視線を上げてから、何かを思い出した様子で僕やフォセットを見た。
「そういえば、ソラさん?」
「ん、なんだい?」
「ソラさんは、捕縛訓練を受けていますか?」
「ほばくくんれん??」
聞き返すと、ジルーとマーチルは少し考えてから、「ああ、確かにまだかも!」と答え、フォセットもうっかりしていたと言いたそうに頷いた。
「捕縛訓練とは、捕まえた犯罪者を縄で拘束する訓練です。上級者になると、拘束された状態から縄抜けをすることもできるようになります」
確かに魔境に入れば、ブラックリストなどを捕らえて拘束するような機会も出てくる。
なるほどと思いながら頷くと、すぐにジルーは捕縛用の麻縄を出した。
「時間も空いてるし勉強してみる?」
「そ、そうだね……まずは、どうすればいい?」
そう聞くと、ジルーは縄をチェックしながら答えた。
「まずは手順を説明しながら、ソラ君を拘束するよ。両手を重ねて」
「こうかい?」
言われた通りにすると、ジルーは縄を半分にしてから僕に見せてくれた。
「まずは、縄をこういうふうに半分にして……」
「ふむふむ」
「はい、フォセット!」
「わ、私が縛るのですか?」
「ソラ君の彼女なんだから当然でしょ♪」
「は、はい……」
間もなくフォセットは、前の手縛りという基本中の基本の捕縛方法を教えてくれた。僕が知らなかっただけで、縄での高速方法だけでも、様々な種類があるようである。
マーチルとジルーに挟み撃ちにされたカウマーレ中堅の2人は、慌てた様子で背中合わせに立ち、何とか判定に持ち込もうとするも、こちらにはサニートリガー号がいる。
「行くよ、サニートリガー!」
ジルーが叫ぶと、サニートリガーは頷いて戦いに参加。あくまでジルーの指示に従う、少し賢いウマを演じているようだ。
彼はジルーと協力して、相手選手の1人に攻撃を集中。マーチルが得意の素早さでもう一人の対戦相手をほんろうしているうちに、ジルーたちが目の前の対戦相手をノックアウトし、3対1の状況を作った。
「くっ、仕方ない!」
すると、カウマーレのギルド長はタオルを投げこんだ。負け試合が確定しているのだから、これ以上戦っても悪戯にケガ人を増やすだけという判断だろう。
「そこまで! 中堅戦はカウマーレの棄権で、サファイアランスの勝ち!」
これで僕たちは2勝1敗。副将戦にフォセットが出てくると、カウマーレのサポーターの何人かは帰りはじめた。恐らく噂通り、カウマーレの女性冒険者はあまり強くないということなのだろう。
実際に対戦相手が出てきたので、ステータスを確認してみると、ジルーやマーチルの方が強いくらいだった。彼女たちでもフォセットと1対1では勝てないので勝負は目に見えている。
「はじめ!」
結論から率直に言えば、カウマーレの副将は20秒ほどでフォセットにノックアウトされた。
「よし、3ー1で勝利!」
「さすがは元Bグループのギルドだ! 主力が抜けても質が違うぜ!」
観客たちは盛り上がっていたが、そのうちの数人が僕に関心を向けた。
「それにしても、あのヒューマンは誰だ?」
「そうそう。あんな特殊能力……見たこともねえぞ」
「つーか、使い魔の数がヤバくなかったか?」
「そもそも、カウマーレの先鋒が10秒持たないなんて、あり得ねーから!」
どうやら、観客たちにとってカウマーレが先鋒戦を落としたのは、相当な衝撃だったようだ。僕たちがギルドへと戻り始めても、まだどよめきが止まらない。
サファイアランスに戻ると、フォセットやジルーたちはニコニコと笑いながらこちらを見た。
「あなた。お見事です」
「そうだよ。ソラ君がカウマーレの先鋒を倒してくれたから、あたしたちも戦いやすかったよ!」
「そ、そう……頑張った甲斐があるよ」
少し照れていると、ロランスも満足そうに言う。
「カウマーレの先鋒と大将は、Cグループでもトップクラスだと言われています。彼らに勝てたということは、次回の対戦相手にかなりのプレッシャーを与えることができます」
「な、なるほど……」
とにかくこれで、僕たちは勝ち点と言える勝利得点3をゲット。失点も1に抑えられたのは上々だ。
ちなみに、予定通りにCグループの第1戦は予定通りに進んでいき、5チームが勝利得点3を得て首位を守り、1チームが勝利得点2、2チームが勝利得点1、2チームが勝利得点0となった。
次の試合は来月に行われるため、スケジュールにはかなり余裕があるだろう。
「…………」
そうなると、次の試合までに一度はシシュポス遺跡に潜るというのもいいかもしれない。僕自身、その経験はないし、ギルド員の話によれば低層にも手強いモンスターが出ることもあるそうだ。多少のリスクがあった方が緊張感も出るし、きっと新しい経験も積める。
「これなら、待機期間中にシシュポス遺跡を探索することもできるね」
考えを伝えると、フォセットも頷いた。
「確かにそうですが、ケガだけはしないように気を付けましょう」
「その通りだよね。充分に気を付けて探索をしないと……」
僕が答えると、ジルーやマーチルは、満足そうにうんうんと頷いていたが、ラックドナが視線を上げてから、何かを思い出した様子で僕やフォセットを見た。
「そういえば、ソラさん?」
「ん、なんだい?」
「ソラさんは、捕縛訓練を受けていますか?」
「ほばくくんれん??」
聞き返すと、ジルーとマーチルは少し考えてから、「ああ、確かにまだかも!」と答え、フォセットもうっかりしていたと言いたそうに頷いた。
「捕縛訓練とは、捕まえた犯罪者を縄で拘束する訓練です。上級者になると、拘束された状態から縄抜けをすることもできるようになります」
確かに魔境に入れば、ブラックリストなどを捕らえて拘束するような機会も出てくる。
なるほどと思いながら頷くと、すぐにジルーは捕縛用の麻縄を出した。
「時間も空いてるし勉強してみる?」
「そ、そうだね……まずは、どうすればいい?」
そう聞くと、ジルーは縄をチェックしながら答えた。
「まずは手順を説明しながら、ソラ君を拘束するよ。両手を重ねて」
「こうかい?」
言われた通りにすると、ジルーは縄を半分にしてから僕に見せてくれた。
「まずは、縄をこういうふうに半分にして……」
「ふむふむ」
「はい、フォセット!」
「わ、私が縛るのですか?」
「ソラ君の彼女なんだから当然でしょ♪」
「は、はい……」
間もなくフォセットは、前の手縛りという基本中の基本の捕縛方法を教えてくれた。僕が知らなかっただけで、縄での高速方法だけでも、様々な種類があるようである。
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