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13.ワープゲートという便利な代物
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この世界に来て7日目。
僕たちリッカシデンパーティーは、いよいよクレバスへと挑戦することになった。
目的はレベルアップと、クレバスの1階層に慣れることだ。
因みに僕たち勇者の攻略目標であるクレバスは、13階層で構成されており、下層に進むごとに構造も複雑化しているようである。
「そして魔王は、ゲートを開くたびに、各階層やエリアにエリアボスやダンジョンボスを配置してくるんだよね?」
フリーダに質問すると、彼女は頷いた。
「その通りです。下層になるに従って魔素も強くなるので、より強力なボスが配置されています」
『過去には、どんな強敵がいたんだい?』
リッカシデン号が質問すると、フリーダは「そうですね……」と視線を上げてから答える。
「3柱で1体で即死系の連携攻撃をかけてくる者……こちら側の性別を反転させる魔法を使ってくる者……不都合な未来を映し出す鏡……という記録もありました」
ちょうど近くに鏡があったので自分の表情が見えたが……僕の顔はひきつっていた。
即死系の技というのは、ゲームなどではお馴染みの代物だが、この世界の場合はヒーラーの確保にすら苦労している。きっと食らったら即ゲームオーバーだろう。
それに、性別の反転も困る。男性と女性では身体の作りがだいぶ違う。それに不都合な未来を映す鏡か……鏡というシロモノが怖いモノなので、聞いただけで恐怖を感じてしまう。
まあそんなこんなで、僕たちは王都の外れにある【魔法陣の塔】へと向かった。
この塔には冒険者街に直通するワープゲートがあり、王国から勇者と認められた戦士とパーティーメンバーは、この施設を使うことができるのである。
「ちなみに、徒歩で冒険者街まで行くと……どれくらいかかるんだい?」
「馬車を乗り継いで……4・5日ほどですね」
短く4日と考えても、往復で8日か。
おや、そう考えると2日目くらいにフロアマスター撃破の知らせを聞いたが、あれはどういうことなのだろう。
そのこともフリーダに聞いてみると、どうやらアビリティの中には、親しい仲間に一方的にメッセージを送るシロモノがあるようだ。
「勇者様。魔法陣の準備が整いました」
「ありがとうございます」
塔の魔法陣の間へと入ると、そこには魔法使いのローブを着た人が6人立ち、床に刻み込まれた魔法陣が青白い光を放っていた。
そして、仕様なのか……この儀式の間には窓はなく、ランプや水晶が光りを放っているだけで薄暗い。
「どうぞ奥へ」
僕たちは魔法陣の中に入っていくと、6人の魔法使いたちは霊力を放った。
――アビリティ発動、テレポート!
全員が僕たちに手をかざすと、身体がふわっと浮かび上がっていき……
――――――――
――――
――
―
次の瞬間には、同じような部屋に立っていた。
構造自体は似ているのだが、6人の魔法使いたちは全員が座っているし、場の空気が全然違う。
そして、ドアに待機していた兵士も別人だった。
「ウマの勇者様……ようこそ冒険者街に!」
「初めまして。リッカシデン隊です。これからお世話になります」
挨拶をしながら塔から出てみると、魔法陣の塔は丘の上に立っており、僕たちの目の前には冒険者街が広がっていた。
街道には多くの人が行き交っていたが、やはり冒険者街だけあって冒険者パーティーの姿が目立つ。街並みを見ても冒険者ギルドと思しき建物が幾つも見えた。
「王都とは、また違った雰囲気や活気がありますね!」
そう伝えると、兵士たちは苦笑いしながら言う。
「ここは荒くれ者が多いので、お気を付けください」
「我々も治安を守るために、日々苦労しています」
間もなく僕たちは兵士たちと別れると、冒険者街の中央街道を進んだ。
中央街道は広々としているだけでなく、周囲には冒険者街でも大手ギルドが軒を連ねているため冒険者街でも特に治安の良い場所である。
ロドルフォも僕に説明をしてくれた。
「勇者様。このまままっすぐ進めばクレバスに到着します」
「わかった」
「この冒険者街は、地域によってだいぶ治安が変わります。特にスラムと言われる地域には問題児も多いので、足を踏み入れない方が良いでしょう」
スラムか。
そういえば、丘の上から冒険者街の街並みを見渡したとき、ボロボロの小屋のようなモノが乱立している場所があった。
成功した冒険者の影には、夢破れたり、現実世界でくすぶり続けている僕のような人間もたくさんいるようだ。
【ツィルフリーダ 有翼人 女性】
肉体年齢17 実年齢26 身長165センチメートル 体重62キログラム(翼の重量8キログラム) 翼開長350センチメートル
固有特殊能力A:バードコマンダー
目が合った鳥1羽を、自分の思う通りに操る。また、その鳥が見聞きした情報を両手の指を通して映し出せる。
固有技:風魔法、炎魔法、
種族能力:飛行、視力6.0、風の精霊の加護
近接戦闘力 C ★★★
魔法戦闘力 C ★★★★
狙撃戦闘力 B ★★★★★
物理防御 C ★★
魔法防御 C ★★★
体力・持続力 C ★★★★
素早さ・回避 B ★★★★★
器用さ・命中 C ★★★★
索敵能力 B ★★★★★★
経験 B ★★★★★
主人公ハヤトのガイド役にして、今作のヒロインでもある女性。
彼女の攻撃手段は、長弓、風・炎魔法と多く、接近戦用にダガーも携帯している。ただ、彼女は運動性を重視しているため防御力に期待してはいけない。
因みに、肉体年齢と実年齢に差が出ているが、有翼人はエルフやドワーフ同様に、人間の2~3倍近い寿命を持っているため。
僕たちリッカシデンパーティーは、いよいよクレバスへと挑戦することになった。
目的はレベルアップと、クレバスの1階層に慣れることだ。
因みに僕たち勇者の攻略目標であるクレバスは、13階層で構成されており、下層に進むごとに構造も複雑化しているようである。
「そして魔王は、ゲートを開くたびに、各階層やエリアにエリアボスやダンジョンボスを配置してくるんだよね?」
フリーダに質問すると、彼女は頷いた。
「その通りです。下層になるに従って魔素も強くなるので、より強力なボスが配置されています」
『過去には、どんな強敵がいたんだい?』
リッカシデン号が質問すると、フリーダは「そうですね……」と視線を上げてから答える。
「3柱で1体で即死系の連携攻撃をかけてくる者……こちら側の性別を反転させる魔法を使ってくる者……不都合な未来を映し出す鏡……という記録もありました」
ちょうど近くに鏡があったので自分の表情が見えたが……僕の顔はひきつっていた。
即死系の技というのは、ゲームなどではお馴染みの代物だが、この世界の場合はヒーラーの確保にすら苦労している。きっと食らったら即ゲームオーバーだろう。
それに、性別の反転も困る。男性と女性では身体の作りがだいぶ違う。それに不都合な未来を映す鏡か……鏡というシロモノが怖いモノなので、聞いただけで恐怖を感じてしまう。
まあそんなこんなで、僕たちは王都の外れにある【魔法陣の塔】へと向かった。
この塔には冒険者街に直通するワープゲートがあり、王国から勇者と認められた戦士とパーティーメンバーは、この施設を使うことができるのである。
「ちなみに、徒歩で冒険者街まで行くと……どれくらいかかるんだい?」
「馬車を乗り継いで……4・5日ほどですね」
短く4日と考えても、往復で8日か。
おや、そう考えると2日目くらいにフロアマスター撃破の知らせを聞いたが、あれはどういうことなのだろう。
そのこともフリーダに聞いてみると、どうやらアビリティの中には、親しい仲間に一方的にメッセージを送るシロモノがあるようだ。
「勇者様。魔法陣の準備が整いました」
「ありがとうございます」
塔の魔法陣の間へと入ると、そこには魔法使いのローブを着た人が6人立ち、床に刻み込まれた魔法陣が青白い光を放っていた。
そして、仕様なのか……この儀式の間には窓はなく、ランプや水晶が光りを放っているだけで薄暗い。
「どうぞ奥へ」
僕たちは魔法陣の中に入っていくと、6人の魔法使いたちは霊力を放った。
――アビリティ発動、テレポート!
全員が僕たちに手をかざすと、身体がふわっと浮かび上がっていき……
――――――――
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次の瞬間には、同じような部屋に立っていた。
構造自体は似ているのだが、6人の魔法使いたちは全員が座っているし、場の空気が全然違う。
そして、ドアに待機していた兵士も別人だった。
「ウマの勇者様……ようこそ冒険者街に!」
「初めまして。リッカシデン隊です。これからお世話になります」
挨拶をしながら塔から出てみると、魔法陣の塔は丘の上に立っており、僕たちの目の前には冒険者街が広がっていた。
街道には多くの人が行き交っていたが、やはり冒険者街だけあって冒険者パーティーの姿が目立つ。街並みを見ても冒険者ギルドと思しき建物が幾つも見えた。
「王都とは、また違った雰囲気や活気がありますね!」
そう伝えると、兵士たちは苦笑いしながら言う。
「ここは荒くれ者が多いので、お気を付けください」
「我々も治安を守るために、日々苦労しています」
間もなく僕たちは兵士たちと別れると、冒険者街の中央街道を進んだ。
中央街道は広々としているだけでなく、周囲には冒険者街でも大手ギルドが軒を連ねているため冒険者街でも特に治安の良い場所である。
ロドルフォも僕に説明をしてくれた。
「勇者様。このまままっすぐ進めばクレバスに到着します」
「わかった」
「この冒険者街は、地域によってだいぶ治安が変わります。特にスラムと言われる地域には問題児も多いので、足を踏み入れない方が良いでしょう」
スラムか。
そういえば、丘の上から冒険者街の街並みを見渡したとき、ボロボロの小屋のようなモノが乱立している場所があった。
成功した冒険者の影には、夢破れたり、現実世界でくすぶり続けている僕のような人間もたくさんいるようだ。
【ツィルフリーダ 有翼人 女性】
肉体年齢17 実年齢26 身長165センチメートル 体重62キログラム(翼の重量8キログラム) 翼開長350センチメートル
固有特殊能力A:バードコマンダー
目が合った鳥1羽を、自分の思う通りに操る。また、その鳥が見聞きした情報を両手の指を通して映し出せる。
固有技:風魔法、炎魔法、
種族能力:飛行、視力6.0、風の精霊の加護
近接戦闘力 C ★★★
魔法戦闘力 C ★★★★
狙撃戦闘力 B ★★★★★
物理防御 C ★★
魔法防御 C ★★★
体力・持続力 C ★★★★
素早さ・回避 B ★★★★★
器用さ・命中 C ★★★★
索敵能力 B ★★★★★★
経験 B ★★★★★
主人公ハヤトのガイド役にして、今作のヒロインでもある女性。
彼女の攻撃手段は、長弓、風・炎魔法と多く、接近戦用にダガーも携帯している。ただ、彼女は運動性を重視しているため防御力に期待してはいけない。
因みに、肉体年齢と実年齢に差が出ているが、有翼人はエルフやドワーフ同様に、人間の2~3倍近い寿命を持っているため。
応援ありがとうございます!
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