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桃栗三年柿八年
そのよん
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次の朝目が覚めると桃太郎はまた成長していた。三歳……いや五歳くらいの子供くらいだろうか。このくらいになれば獣人も人型になれる子供も多い。これで少しは外にだしても怪しまれることは少ない、と二人は考えた。
狩りに漁にと出掛ける二人はどちらが桃太郎を連れて行くかでまた揉めて、隣の犬夫婦が顔出した。
「あんたら、毎日毎日いい加減に……おい、とうとう子供を誘拐してきたのかっ?」
普段おとなしいセントバーナードの聖斗が歯をむき出しにして唸った。心優しいアルファである。
「ちげぇよ、これは……俺達の子供だ! な、桃太郎」
「あいっ! じー」
丈士が確認すると桃太郎は嬉しそうに笑って丈士に抱きついた。
「ほらな?」
「そんなので納得するわけがないでしょう? どういうことですか?」
冷たい目つきでシェパードの洋右が問いただすと丈士は困った顔をして万里を見た。万里は万里でどうしたものかと思案に暮れて、土間に放置していた大きな桃に目を向けた。洋右の手を離れた犬斗がその桃をぺろりと舐めると犬斗はくたりと寝てしまった。
「犬斗????」
駆け寄った洋右が抱きかかけると犬斗は満面のえみを浮かべたていた。まるで酔ったときの聖斗のようだった。洋右もその桃の果汁を確認しようとしたがそれは聖斗に止められた。
「なんだか嫌な予感がする……。おい、丈士、万里。この桃はどうしたんだ?」
「川から流れてきたんだよ、その中に桃太郎が……」
「あ、バカ万里!」
結局、丈士と万里は洗いざらい昨夜の出来事を犬夫婦に話すことになった。
「なるほど……この人間の子は桃から産まれたと……。得体が知れないな。とにかくこの桃は裏山で燃やしてしまおう。万が一オメガが口にしたら犬斗のように酩酊してしまう可能性が高い。洋右も触るなよ」
「オメガとの相性が悪いのか? 俺らはなんもならんかったぞ?」
「むしろ相性がいいのかもしれないな、見てみろ犬斗を」
寝ているはずの犬斗はその小さな体をくねらせながらしっぽを揺らし、鼻を鳴らしていた。その鼻先の方向は桃太郎のほうへと向いていた。
「フェロモンみたいなもんか……。確かに危ないな」
「あとその人間の子供もしばらくは俺たち以外には見せないほうがいいだろう」
「せっかく可愛い子どもが出来て自慢したかったのに……」
幸いにしてこの二軒は集落から少し離れた山の麓にある。田畑に近寄らなければ他の住人と会うことも少ない。二人はすくすくと成長する桃太郎を大事に育てようと決心した。
🍑🍑🍑🍑🍑
それから三年。桃太郎はあっという間に大きくなった。平均的な獣人、といっても獣によって様々ではあるがだいたい思春期の男の子、十五歳くらいの成長で落ち着いた。遠戚から養子を貰ったことにして桃太郎は晴れて二人の子供となった。
「じい! 俺も狩りに行きたいっ!」
「いい加減じいって呼ぶのやめろっていってんだろ、このバカ息子が!」
「えぇ~? 今更変えられないよ」
すっかり成長した桃太郎は最初の可愛い印象とさほど変わらない美少年に成長していた。大きな瞳に長いまつげ、黒い髪はまっすぐ長く、それをひとまとめにして揺らしていた。獣人のような特徴はないが、それでも丈士の狩りにも付いていく体力もあり、むしろ知恵のない丈士よりも上手に狩りをした。罠を仕掛け、獲物を捕らえたり、ついでにきのこを採取したり。
万里の漁に付いていけば銛よりも効率的な網を用いて大量に魚を捕まえた。帰り道では蜜柑や林檎をもいで、籠をいっぱいにして帰った。
桃太郎のおかげで丈士と万里の生活は潤い、喧嘩は減っ……てはいなかった。
桃太郎が目の前に居ても居なくても、二人は相変わらず互いが互いを孕ませることに余念がない。桃太郎にはそれが日常だった。
狩りに漁にと出掛ける二人はどちらが桃太郎を連れて行くかでまた揉めて、隣の犬夫婦が顔出した。
「あんたら、毎日毎日いい加減に……おい、とうとう子供を誘拐してきたのかっ?」
普段おとなしいセントバーナードの聖斗が歯をむき出しにして唸った。心優しいアルファである。
「ちげぇよ、これは……俺達の子供だ! な、桃太郎」
「あいっ! じー」
丈士が確認すると桃太郎は嬉しそうに笑って丈士に抱きついた。
「ほらな?」
「そんなので納得するわけがないでしょう? どういうことですか?」
冷たい目つきでシェパードの洋右が問いただすと丈士は困った顔をして万里を見た。万里は万里でどうしたものかと思案に暮れて、土間に放置していた大きな桃に目を向けた。洋右の手を離れた犬斗がその桃をぺろりと舐めると犬斗はくたりと寝てしまった。
「犬斗????」
駆け寄った洋右が抱きかかけると犬斗は満面のえみを浮かべたていた。まるで酔ったときの聖斗のようだった。洋右もその桃の果汁を確認しようとしたがそれは聖斗に止められた。
「なんだか嫌な予感がする……。おい、丈士、万里。この桃はどうしたんだ?」
「川から流れてきたんだよ、その中に桃太郎が……」
「あ、バカ万里!」
結局、丈士と万里は洗いざらい昨夜の出来事を犬夫婦に話すことになった。
「なるほど……この人間の子は桃から産まれたと……。得体が知れないな。とにかくこの桃は裏山で燃やしてしまおう。万が一オメガが口にしたら犬斗のように酩酊してしまう可能性が高い。洋右も触るなよ」
「オメガとの相性が悪いのか? 俺らはなんもならんかったぞ?」
「むしろ相性がいいのかもしれないな、見てみろ犬斗を」
寝ているはずの犬斗はその小さな体をくねらせながらしっぽを揺らし、鼻を鳴らしていた。その鼻先の方向は桃太郎のほうへと向いていた。
「フェロモンみたいなもんか……。確かに危ないな」
「あとその人間の子供もしばらくは俺たち以外には見せないほうがいいだろう」
「せっかく可愛い子どもが出来て自慢したかったのに……」
幸いにしてこの二軒は集落から少し離れた山の麓にある。田畑に近寄らなければ他の住人と会うことも少ない。二人はすくすくと成長する桃太郎を大事に育てようと決心した。
🍑🍑🍑🍑🍑
それから三年。桃太郎はあっという間に大きくなった。平均的な獣人、といっても獣によって様々ではあるがだいたい思春期の男の子、十五歳くらいの成長で落ち着いた。遠戚から養子を貰ったことにして桃太郎は晴れて二人の子供となった。
「じい! 俺も狩りに行きたいっ!」
「いい加減じいって呼ぶのやめろっていってんだろ、このバカ息子が!」
「えぇ~? 今更変えられないよ」
すっかり成長した桃太郎は最初の可愛い印象とさほど変わらない美少年に成長していた。大きな瞳に長いまつげ、黒い髪はまっすぐ長く、それをひとまとめにして揺らしていた。獣人のような特徴はないが、それでも丈士の狩りにも付いていく体力もあり、むしろ知恵のない丈士よりも上手に狩りをした。罠を仕掛け、獲物を捕らえたり、ついでにきのこを採取したり。
万里の漁に付いていけば銛よりも効率的な網を用いて大量に魚を捕まえた。帰り道では蜜柑や林檎をもいで、籠をいっぱいにして帰った。
桃太郎のおかげで丈士と万里の生活は潤い、喧嘩は減っ……てはいなかった。
桃太郎が目の前に居ても居なくても、二人は相変わらず互いが互いを孕ませることに余念がない。桃太郎にはそれが日常だった。
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