狐の声劇台本置場

小狐門(ごんぎつねもん)

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四神【ファンタジー】

麒麟のメイド寵愛譚【三人用台本(男:女=2:1)・15分程度分程度】

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麒麟のメイド寵愛譚

※ 四神の集いの続編です。単発でも読めるかと思います。アドリブ可
 

朱雀すざく(台詞:40) 男
 南方の何処かに住む神獣。夏の象徴。生贄として捧げられた子を育てている。丁寧な口調だが、どこか胡散臭い。今回は少々怒鳴りあり。

麒麟きりん(台詞:43) 男
 中央を治める神獣。メイド喫茶のとあるメイドがお気に入り。どうにかメイドを手に入れようと頑張っている。

ジュリ(台詞:25)
 本名、安達樹里あだちじゅり。DVヒモ彼氏を養うためにバイトの掛け持ちをしている。一度は別れを切り出したが、とある脅迫をされているためまだ別れられていない。怒鳴りあり。





  



   人間に扮した朱雀が、都会の人の多さに圧倒されながら歩く。


朱雀 : ふぅ、何度も買いに来ているというのに、毎回景色が変わっている……そこだけは慣れませんね。いつものお店も分からない。
 

   少々時間を取り、辺りを見回す。

 
朱雀 : いえ、ほとほと困りました。最近は着物もかんざしもあまり見ない……奇妙な装いの人の子ばかりだ。着物ばかりでなく、この……ヒラヒラした袴?のようなものも、見るべきなのでしょうかね?

麒麟 : すーざーくーくーん!

 
   麒麟が朱雀の肩を勢いよく抱く。


朱雀 : っ!……はぁ、肩が痛いのですが、麒麟。この腕、どかしていただけませんか?

麒麟 : おいおい、そんな冷たいこと言うなよ。俺とお前の仲じゃないの!

朱雀 : サボり癖のある貴方と、そこまで親しくなった記憶はございません。

麒麟 : 人聞きの悪いこと言うなって。俺には俺の使命があんの。というか、朱雀がここにいるってことは、今回の定期報告会も無事に終わったんだな!うん、感心感心。

朱雀 : 何が感心ですか。皆さん、ほとほと呆れてらっしゃいますよ。まあ、貴方がいようといまいと、報告会は順調に進むのでどうだって良いのですがね。

麒麟 : ええ!?そんな寂しい事言うなよ~!俺悲しくなっちゃう!

朱雀 :勝手に悲壮感出しててください。是非私がいない所で、という言葉が着きますけれど。

麒麟 : す、朱雀くん!!?

朱雀 : ということで、私はサチへの贈り物探しで忙しいんです。邪魔をしないでください。

麒麟 :んもぅ、あんな子供の虜になるのはいいけど、気をつけなよ~?今の日本だとそういうの、ろりこん?とか、しょたこん?って言うらしいし。警察……まあ、御役人みたいな?やつも捕まえに来るんだって。俺達には関係ないけどね~。

朱雀 : ……はぁ、ご忠告痛み入ります。肝に銘じておきますので、もうお引き取りを。

麒麟 : まだ帰らないし!あ、そうだ。今から可愛い女の子に会いに行くから、朱雀も一緒においでよ!ジュリちゃんって言うんだけど、本当に可愛くてね、子供じゃない良さも学んでおくべきだと思うんだよ俺は。ってことで、ゴーゴー!

朱雀 : お断り……って、離してください!私はそんなもの見に行きませんから!ただ、一人で行きたくないだけでしょう貴方!!

麒麟 : はっはっはー!きこえないきこえなーい!


   数十分後。とあるメイド喫茶前に、麒麟に手を引かれたままの朱雀が立っている。


朱雀 : ……(ため息)お戯れが過ぎるのでは?

麒麟 : うーん、大丈夫!君らの冷たい視線は浴び慣れてるからな。もう怖くなんてない!

朱雀 : ああ、そうですか。全く、はた迷惑なものです。私は、サチへの贈り物を買おうとしていただけなのに……。

麒麟 : いよーし!入るぞ!


   扉の開く音。


ジュリ : あ、おかえりなさいませ、ご主人様!お待ちしておりました……と、後ろの方は?

麒麟 : ん~?俺の、神様のお友達!

朱雀 : は!?ちょ、貴方……!!?

ジュリ : そうなんですね?一応お伺いしますが、ご指名は……。

麒麟 : もっちろん、ジュリちゃんだよ~ん!いつも通り、VIPルーム、用意してくれるよね?

ジュリ : もちろんです!ではご案内します!

朱雀 : ……。


   VIPルームへ連れられて、二人が腰をかける。


ジュリ : それでは、ドリンクをお選び頂ますか?

朱雀 : ドリンク……?では、紅茶を。

麒麟 : 俺はいつもので!

ジュリ : かしこまりました、ご主人様!ホットの紅茶と”ふわきゅんジュリちゃんスペシャル”ですね?では、少々お待ちください!


   パタパタと響く足音。


朱雀 : 貴方、あの子に神であることをばらしましたね!?もし本気で取り合われたらどうするんですか!私も貴方も、しばらくはここへ降りてこられないんですよ!!?

麒麟 : ん?いいのいいの!

朱雀 : 何がいいんですか!馬鹿なんですか!!?

麒麟 : 俺だってちゃんと理由があってやろうとしてんだけど~?もう、朱雀くん酷いなぁ……。

朱雀 : 酷いとかそういう簡単な話では……っ!

麒麟 : あのさぁ?ちょっと落ち着いてよ。あの子は信頼できるし、俺の野望を叶えるためにも必要なことなんだよ。

朱雀 : 野望、ですか……?

麒麟 : そうそう。まあとにかく、話聞いてよ。俺じゃなくてあの子のだけど。

朱雀 : あの子の話?そんなものを聞いてどうするんですか。


   ノックの音の後、ジュリが入ってくる。


ジュリ : お待たせしました!ホットの紅茶と、”ふわきゅんジュリちゃんスペシャル”です!お間違いないですか?

朱雀 : ええ。ありがとうございます。

ジュリ : …………。

麒麟 : あ、いいよ。いつもみたいに傷を見せてくれる?

朱雀 : ……傷?

ジュリ : ……はぁ、今日は人を連れてくるから、ダメなのかと思った。いつも通り、治してくれる?

麒麟 : 勿論。言ったでしょ?俺の神様のお友達だって。

ジュリ : 言ったけど、冗談だと思うよね、普通さ。……じゃ、お願い。


   布ずれの音。

 
麒麟 : 勿論!

朱雀 : なん、です、その痣は……。


   魔法の音。


麒麟 : この子の彼氏がさぁ、なかなか酷いやつっぽいんだよね~。思い通りにいかないと殴る蹴るは当たり前、しかもお金をせびってくるみたいでね。

朱雀 : いえ、それはあまりに酷いですが……いや、そもそも貴方、何故術を使用してるんですか!?

麒麟 : この傷さ、すごく酷いじゃん?だから、治してあげないと可哀想でしょ。

朱雀 : 私が言いたいのはそういうことではなく……!

ジュリ : ……ありがと。いつも綺麗に治してくれて助かってる。

朱雀 : 一度、言いたいことはすべて置きましょう。麒麟。貴方は私に何を求めるのです。

麒麟 : ん~?俺さぁ……

ジュリ : ちょっと、勝手に肩を抱かないで。アイツは怒ったら怖いのよ。

麒麟 : ごめんごめん。でも大丈夫だよ~!俺は香水とかつけないしな!で、単刀直入にお願いするぜ?この子を純潔にして欲しい。

ジュリ : え?

朱雀 : ……どこまで。

麒麟 : 本心が出てくるまで。俺でさえ、この子が本心を隠すほどにくすんじゃってるのが分かるからさ。そういうのは朱雀の仕事だろ?

ジュリ : え、なに、じゅんけつって……?

朱雀 : まあそうですが。それになんの意味があるのでしょう?

ジュリ : ちょっと、無視しないでよ!あたし、そういう仕事は求めてないから!純潔とか……!

麒麟 : ん?ああ、違う違う。そういうのじゃないから安心してよ。

ジュリ : じゃあ、一体なんの話をしてるの!

麒麟 : 神様と神様のお話!深くは聞かないでよ。朱雀くん。ちゃんと考えはあるからさ!

朱雀 : ……はぁ、仕方がないですね。お嬢さん、少々失礼。

ジュリ : ちょっと、やめて、やめてよ!誰か、誰か!うぶっ(口を塞がれる)

麒麟 : おっと!あんまり叫ばれると困るんだよなぁ。ごめんごめん、ちょっとだけ静かにしてて。我慢したら、ちゃんと全てを清算するから。

ジュリ : (恐怖の涙を零す)

朱雀 : ふぅ、”清廉海風廉せいれんかいふうれん”。


   風が通る音と、海の音が響く。


ジュリ(M) : 気持ちが全て押し流されるような感覚だった。辛い気持ちも、悲しかった気持ちも、怖かった感情も、全てが……。妙にスッキリしたような感覚に、僅かな気持ち悪さを感じたが、それすらも残らずに消え去る。何が怖かったんだっけ?

麒麟 : ……よし、上手くかかったね。

朱雀 : 私の一番得意な術ですからね。当たり前です。あとは貴方が自分でどうにかなさってください。

麒麟 : ありがとう、我が友よ。

朱雀 : 誰が友ですか、身勝手な御人。

麒麟 : そんな身勝手な人に手を貸すお人好しさんだもんねぇ。

朱雀 : 一人で言っていなさい。

麒麟 : まあまあとにかく、嬉しいよ俺は。後でなにか奢ってあげる!

朱雀 : 奢るって……。そんなものはいりません。次はこんなことに巻き込まないでいていただければ。

麒麟 : え~、そこは乗ってよ~!美味しいとこいっぱい知ってんのに。

朱雀 : 無駄話をしている時間があるんですか?こうしてる間にも刻一刻と、記憶とともに穢れがまた溜まっていきますよ。ここは下界なのですから。

麒麟 : わぁあ!そうだった!ジュリちゃん、ジュリちゃん。

ジュリ : ん、なに?

麒麟 : 今の君は、幸せ?

ジュリ : しあわ、せ?

麒麟 : そう。このままでいいと思う?

ジュリ : おもわ、ない…だって、痛いんだもの。怖いし、辛い……。

麒麟 : うん。じゃあどうして変えられないんだ?この現状のままではいたくないだろ?

ジュリ : いや、だけど……怖いの。

麒麟 : 何が怖いのかな?

ジュリ : アイツ、自分のことを裏の人間だって言ったの。何処に逃げても絶対に見つけてみせるって。それが怖かった、あの人の執念は知っているから……。

麒麟 : そっか、もし変えられるなら変えたい?

ジュリ : 変えられるの?

麒麟 : それ相応の覚悟は必要だけどね。言っただろ?俺は神様だからね~、誰にも見つからないところに逃げられるんだ。その分、友達とか家族にも会えないけど。

ジュリ : (被せて)いい!家族は皆他界しちゃったし、友達なんて居ない!私を、逃がしてほしい、お願い!

麒麟 : ……はは、思ってたよりも切羽詰まってたみたいだ。でも望み以上のものを得られたし、いいや。これは説得を頑張らなきゃね!ありがとう、朱雀。

朱雀 : いいえ。もう暫くしたら穢れに染まり、元に戻るでしょうから、その際はくれぐれもお気をつけて。

麒麟 : 勿論。優しい朱雀くんがお友達で良かったよ。

朱雀 : 友達じゃありません。

麒麟 : も~、冷たいなぁ…でも、もしこの子が上がることになったら、その時はよろしくね。俺らの中でしっかりと穢れを祓えるの、朱雀しかいないし。

朱雀 : 善処はします。


   歩き出す朱雀。店から出て、大きくため息を着く。


朱雀(M) : そういえば、私とサチの出会いはどうであっただろう。もう何百年も前の話だ、あまり記憶には無い。とにかくお互いに印象が悪かったことだけは覚えている。

朱雀 : ふむ、麒麟の無駄話に付き合わされたせいで、サチに早く会いたくなってしまいました。買い物はまた後ほどでもよろしいでしょうかね?
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