狐の声劇台本置場

小狐門(ごんぎつねもん)

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三人用台本

私の顔をかえして【男:女=1:2・ホラーサスペンス・15分程度】

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私の顔をかえして


レイ(台詞:51) ︎︎ 女
 ライの双子。金髪碧眼の少女。左利きで、ライの顔に異様な執着を見せている。

ライ(台詞:45) 女
 レイの双子。金髪碧眼の少女。右利きで、レイの顔に異様な執着を見せている。母親を兼役。笑い声あり。

刑事(台詞:11) 男
 レイと名乗る女性を尋問する警察官。父親を兼役とするが、全体的にセリフ数は少なめ。怒鳴りあり。

母親(台詞:5) 女
 双子の母親。ライの兼役。

父親(台詞:14) 男
 双子の父親。多分クズ野郎。怒鳴りあり。刑事と兼役。


※ アドリブ、口調の変更、性別変更等は好きにしていただいて構いません。しかし、世界観を壊すほどの変更は控えて頂きたいです。

※ DV、火傷、暴力、若干のゴア表現がございます。

※ これは、ご友人のアイディアを文にしたものです。



【基本的配役】
レイ(51) : 
ライ・母親(50) : 
刑事・父親(25) : 







 
 




刑事 : ……レイ・カプラウス。そろそろ、話してくれてもいいんじゃないか?

レイ : 何が?

刑事 : バーラック通り放火事件。君が犯人なんだろう?証拠は監視カメラにバッチリ映っている。

レイ : 優しい優しい刑事さん。そんなこと、分かってるの。

刑事 : じゃあどうしてだんまりを決め込むんだ!正直に話せば、こんな地獄のような時間も終わるというのに……!!

レイ : 地獄?地獄ってなぁに?

刑事 : 毎日毎日続く尋問……お前もうんざりしてきたんじゃないのか!?

レイ : ……まあ、それは否定しないけど。

刑事 : せめて、せめて何か一言くらい言え!やったとも、やってないとも言わず、のらりくらりとかわすだけじゃないか!

レイ : だって、話すと長いから。それに、私も話したいと思わなかったし、本当は名前だって違うんだもの。

刑事 : な、何!?だ、だが君はレイ・カプラウスだと聞いていたはずなんだが。

ライ : (前のセリフを遮る)私はライでもあり、

レイ : (繋げて)レイでもある。貴方に教えてあげる。

刑事 : は、な、なんなんだ……?

ライ : 私達に何があったのか。

レイ : 何が私たちを壊したのか。


   回想へ。


ライ : ねぇ、レイ。私たち、本当にそっくりね。

レイ : ええ、そうね。貴方の朝焼けのような金の髪も。

ライ : 海のように深い青の瞳も。

レイ : 大好きよ、ライ。

ライ : ええ、私もよ、レイ。

レイ : 貴女は私。

ライ : 私は貴女。

レイ : ずっと、同じでいましょうね。

ライ : そうね。私と貴女がそろって、やっと私はライなのだから。

レイ : 私もそう思うわ。貴女がいてこそ、私はレイなの。お互い様ね。

ライ : お互い様ね。

レイ : (同時に)ふふふふ。

ライ : (同時に)うふふふ。

レイ(M) : でも、壊れるのは一瞬だったわ。私たちの家は燃え盛り、私とライの顔を焼いた。火傷の跡でどちらがどちらかわかるようになってしまったの。今まで、ママも見抜けないほどに同じだったのに。

母親 : 嗚呼、嗚呼、ごめんね。ごめんね、ごめんなさい……折角綺麗な顔だったのに……助けるのが遅くなってしまって……!

レイ(M) : 全身に火傷を負ったママもそう言ってたわ。それから、私達は誰だかわからなくなってしまったの。毎晩向き合って寝る時に、問いかけるのよ。

ライ : ねぇ、貴女はだれ?

レイ : 私はレイよ。

ライ : 嘘よ。だって、あの青い海のような瞳はどこへ行ったのよ。そんな醜悪な肉に覆われてしまっているなんて、信じられない。

レイ : 貴女こそ、貴女の陶器のような肌と日差しのような髪はどこへ行ったの?まるで熟れたトマトのように気持ちが悪いわ。

ライ : 仕方ないじゃない。火傷をおったんだもの。

レイ : だったら、私だって仕方がないわ。瞼が張り付いてしまったのよ。

ライ : だとしても、貴女はレイじゃないわ。レイはもっと美しかった。

レイ : ええ、私も貴女がライだなんて思えないわ。だって、もっと綺麗だったはずなんだもの。

ライ : ねぇ、貴女はだぁれ?

レイ : 貴女こそだぁれ?

ライ : 私は――

レイ(M) : そういえば、パパはほとんど帰ってこなかったわ。酷い火傷を負って、自分で歩くのさえ難しかったママと私たちを気にすることも無く。なのに、突然帰ってきた日があったのよ。

父親 : ……っは、随分と醜悪な顔になったな。ただいま。

母親 : どの面下げて帰ってきたのよ!この浮気男!

父親 : はぁ……五月蝿いぞ。この結婚は、そもそもお互いの親が決めたもんだろが。愛なんてねぇ。そうだ、お前も浮気すりゃ良かったんだよ。……まあ、その顔じゃもう、相手なんて居ねぇだろうがな?

母親 : 子供の前でなんてこと……!

父親 : つーか、足もろくに動かないみてぇだな?はは、ただの老害じゃねぇか。こんなちっさい子供らに世話任せてんのか?生きてるだけで恥じゃねぇの。は~、おもしれ。

母親 : ……っ!

父親 : そんなことで泣きつかれても困っからなぁ?頼み込めば、足が動くようになるまでの病院代くらい出してやるぜ?

母親 : っく……いや、よ……あぐっ!

レイ(M) : 幼いながらに、私達は理解をしていた。パパは私たちよりも大切な人がいるんだって。だから、パパは私たちのことが嫌いなんだって。ママはそんなパパに蹴られていた。火傷を負った足を執着に、執拗に。可哀想だったけど、私たちには何も出来なかったの。怖かったんだもの。

ライ(M) : だから、二人身を寄せあって僅かに開く扉から中を見ていたのよ。最初は嫌がっていたママだけど、どんどん謝る回数が増えていって、パパにお願いしますって頼み込むようになってた。酷いわよね。見ているだけでも恐ろしかった。

レイ(M) : その翌日、ママはパパに連れていかれたの。涙を流して私たちに謝っていたけど、もしかしたら、その後のことを分かっていたのかもしれない。

ライ(M) : その日のうちにね、迎えが来てね。その先が孤児院だったの。そこで色々知ったのよ。ママが死んじゃったってことも、パパももう会う気がないってことも。

レイ(M) : その時には、お互いがお互い、どちらなのかも分からなくなっていた。どちらがレイで、どちらがライなのか。問いかけ続けた問いはね、よく分からなくなるものなのよ?面白いでしょう?

ライ : ねぇ、貴女はライなの?

レイ : いいえ。きっと違う。けれど、どうなんでしょうね。

ライ : じゃあ私がライなの?

レイ : そうかもしれないし違うかもしれない。私からも聞くね、貴女はライ?それともレイ?

ライ : 分からない。貴女がレイなら私はライよ。先に教えて?貴女はどっち?

レイ : どうだろう。それが分かったら苦労しないの。貴女が先に教えて。

ライ : 私も分からないから答えられないわ。

レイ : 難しい話ね。

ライ(M) : 幼少期だった私たちは、少しだけ成長して、考え方が変わったの。

レイ : ねぇ、貴女。私は貴女で貴女は私。

ライ : そうね。私も貴女も、レイでもあってライでもある。二人でいれば私たちは私たちだわ。

レイ : だけど、私たちの顔ってどんなだったかしら。あんなに綺麗だったはずなのに、貴女の本当の顔が思い出せないの。

ライ : 私もよ。あんなに綺麗で好きだったのに、貴女の顔が分からないのよ。どうにかして、思い出せないかな?

レイ : ママはもう居ないし、お家ももうないの。難しいんじゃないかな。

ライ : うーん、でももしかしたら……犯人なら持ってるんじゃないかな。

レイ : ああ、確かにそうかもしれないね。犯人はきっとあの人だもの。でも、あの人に会うのに、こんな中途半端な顔じゃ会えないわ。

ライ : ええ。こんな火傷をした顔じゃ、きっと会ってくれないものね。どうする?

レイ : どうしよう……綺麗な肌、綺麗な肌…あ、そうだ。貴女にも、私にも綺麗な部分はあるわ。

ライ : ……成程!確かにそうね、じゃあこうしましょう?私の綺麗な部分を切り取って、貴女の火傷を切り取って、お互いに交換すればいいのね!

レイ : そうね!そうすれば、綺麗な部分と火傷の部分で半分半分になるもの!私たち、やっぱり双子ね。考えることも一緒だわ。

ライ : 私は貴女で、

レイ : 貴女は私。

ライ : 例え私が汚くても、

レイ : 私が綺麗でも、

ライ : 変わらない。

レイ : ええ、変わらない。

ライ : (同時)ふふふふ。

レイ : (同時)うふふふ。


   父親の家の前。火傷に塗れたライが父親と対峙している。


父親 : ……な、んだ、おまえ……。

ライ : ねぇ、パパ。久しぶり。私はライで、

レイ : 私はレイ。

父親 : き、気持ちわりぃな……なんでこんなとこに来た。お前らのママはもう居ねぇし、俺はもうパパじゃねぇ。

ライ : (前のセリフを遮る)貴方はパパよ。ねぇ、パパ。私たちの写真はないの?ママのはいらない。私たち双子の写真。

父親 : っは、下らねえ。俺がそんなもん持ってるわけがねぇだろ?お前らの写真なんて燃やしてやったさ。

ライ : 家と一緒に?

父親 : っ!?

レイ : ママと私たちが邪魔だったんでしょ?だから、放火をしてどうにか私たちを消したかったの。きっとそう。

ライ : でも、生き残っちゃったから、ママを殺して私たちを孤児院に入れた。

父親 : な、何言ってんだクソガキ!!

レイ : そんな酷い言葉を言わないで、パパ。

ライ : 私たちは、ただ写真が欲しいだけなのよ。

父親 : っだ、から!!写真なんて持ってねぇよ化け物どもが!!消えろ、俺の前から消えちまえ!!

レイ : あーあ。

ライ : あーあ。

レイ :じゃあもういらない。

ライ : 写真がないならもういらない。

レイ : 貴方みたいなパパも、

ライ : 私みたいな汚いのも、

レイ : ぜーんぶ、

ライ : いらないの!


   自分にオイルをかけるライ。片手にはライターを持っている。
 

父親 : さっさと出て……け……?おい、待て、今何かけた。オイルの匂いが……や、やめろ、やめてくれ……!

レイ : もう、いらないのよ。

ライ : いらないから、ぜーんぶ、燃えちゃえばいい。


   ライターを開く音と、炎が燃え上がる音。


ライ : あっははははは!

父親 : あ、あ……化け物、がぁ!!俺の家に近づくな!!燃えるだろうが!!!

ライ : あは、あは、あははは!

父親 : あづっ!!あ、や、やめ……あぁあぁあああ!!俺の、家が……!!ローズ、ヒルデ、待ってろ、待ってろ!!

ライ : あはははははは!!


   燃える音と笑い声がフェードアウトしていく。そして、レイと刑事の会話へ。


レイ : きっと、写真を貰えなかったあの子がやったの。私はライでもあり、レイでもあるから、やったのは私でもある。けれど、実際に手を下したのは私じゃない。だから、なんとも言えなかったの。

刑事 : ……解離性同一性障害の可能性があったか……しかし、もう一人同じ症状の人がいる。つまり、これは……?

レイ : ねぇ、刑事さん。この場合はどうなるの?

刑事 : そ、れは……そもそも、無罪になるために、演じているだけじゃないのか!?

レイ : ……どうかしら。どう思う?

刑事(M) : ふと思い出したように綺麗なその顔を見つめた。美しいブロンドの髪に、碧眼。しかし、今やっと見えた僅かな歪み(ひずみ)。顔の中心に浮かぶ細い縫合跡が、この物語の全てを語っていた。

刑事  : ひっ!……こ、これは私だけの問題にはできない!少しだけそのまま待っていろ!

レイ(M) : 逃げ出した刑事の後ろ姿を見ながら、小さく欠伸をする。そして、愛しい縫合跡をなぞる。これは、私がレイであり、ライである証拠。それさえ、それさえあればなんだって良かったの。でも、出来るならば……

レイ(M) : 私の本当の顔が、いちばん良かったなぁ…。
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