狐の声劇台本置場

小狐門(ごんぎつねもん)

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四人用台本

The escaped prey【不問=4・その他・70分程度】

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The escape preyジ エスケープ プレイ



エクリプス(台詞:139) 性別不問
 強くなりたいと人体実験に立候補した。モノローグあり。後半泣き等の演技あり。

エヴァンゲリスト(台詞:140) 性別不問
 戦争にトラウマを持ち、戦争での罪を償うために人体実験へ。過呼吸演技あり。怒鳴り演技あり。モノローグあり。

グングニル(台詞:140) 性別不問
 ギャンブルのやりすぎでお金が足りず、人体実験に立候補した。軽い怒鳴り、叫びあり。モノローグあり。

カルマ(台詞:139) 性別不問
 ひ・み・つ♡話し方に癖あり。モノローグあり。
 

※ 台詞や一人称等の改変可















エクリプス : 志望動機だぁ?そんなもんねぇよ……ただ、強くなりてぇだけだ。他の奴らに、絶対に負けねぇ力が欲しい。


   間。
 

エヴァンゲリスト : 家族は……いません。私は、ただ懺悔をするために……いえ、なんでもありません。


   間。


グングニル : あ~、聞いてるッスよ。協力金が百万出るって!隠す必要ないんでぶっちゃけちゃいますけど~、オレはその協力金目的なんスよ!


   間。


カルマ : 確認事項?分かってるヨ。まずは家族が居ないこと、成人を迎えていること、誓約書を書いてくること、そして……死を恐れないこと、デショ?


   とある廊下。

 
エクリプス(M) : そんな意味不明な面接を受けたあと、合格者は奥に通されて説明をされた。これは国家機密の人体実験であると。身体に害がある場合や、命を無くす場合もある。その場合は、一生暮らせる程度の給付金を支給される。

エヴァンゲリスト(M) : 途中でやめても百万は支給される。しかし、この人体実験は他言無用たごんむようである。もしも口外したことが発覚した際は、情報漏洩として即刻逮捕、及び生涯禁固刑きんこけいとなると言う。

グングニル(M) : その説明に恐れを生したのか、数名の脱落者が退出した。その後に渡された資料には、何とも恐ろしい事が書かれていた。人体実験の内容としては、体内に金属武器を装着して、国家公務員として働くことになるらしい。

カルマ(M) : そこでまた、数名の脱落者が退出。その日は一旦の帰宅を命じられ、必要な生活用品を持って後日また同施設へ。これからはそこで暮らすため、ということだ。なかなか面白いことだよネ。そして、施設……研究所で慣れてきたある日、やっとやってきたんだ。


  間。
 

エクリプス : 金属武器を体に埋め込むって言ってたけど、どういうことがわかるか?

グングニル : そんなん分かったら苦労しねぇッスよ~。とりあえず、痛いことなんだろうなってことは分かるっすけどねぇ……ま、金のためなら!

エクリプス : そういえば気になったんだけど、なんでお前こんなヤバそうな人体実験に応募したんだよ。

グングニル : オレはねぇ……大好きなことを続けるため、ッスね。

エクリプス : 大好きなことだぁ?

グングニル : そうっス!ギラギラとした光源、穏やかでミステリアスな音楽、カードの滑る音、みんなの声援と怒号、コインが重ねられ、捨てられる音……全部オレの心をくすぐってくすぐって仕方ねぇんスよ!

エクリプス : ……ん?ああ、カジノか。

グングニル : ギャンブルこそ生きる価値、ギャンブルこそ全ての悦楽えつらくの最終形態っス!

エクリプス : まあ、人の趣味に口を出すつもりはねぇけど……そんなんじゃ、すぐ金なくなるぜ?

グングニル : ふっ……オレが楽しく生き続けた結果ならば、仕方のない事っすね……。

エクリプス : もう既に遅かったか……。

グングニル : まあ、軍資金を得るためって事っすね。

エクリプス : 死ぬかもしれないのにか?

グングニル : ギャンブルが出来ずに生き続けるよりも、ギャンブルのために死ぬのがオレの使命ッス!

エクリプス : 最悪な使命だな。

グングニル : まあいいじゃないっすか!ちなみにアンタ、はっ!!?な、なんスか!?後ろから突き飛ばされたんすけど!?

エヴァンゲリスト : あ、すみません、お怪我は?

カルマ : 謝らなくていいんじゃない?さあ、次が僕たちの番ダヨ。早くイコイコ!

エヴァンゲリスト : いや、そうも行かないでしょう……って、押さないで頂けませんか!?

カルマ : いいのいいの~!早く行かないと、怒られちゃうヨ!

エヴァンゲリスト : し、失礼致しました!また後ほど会えたら!

グングニル : え?な、なんなんすかあの人……。

エクリプス : さぁな。俺にゃわかんねぇし、分かりたくもないね。

グングニル : ……で、結局アンタがこの実験に協力したかった理由って、なんなんすか?

エクリプス : 強くなりたかったから。そんだけだ。

グングニル : 強く?そもそも、この実験への協力要請って、ほとんど情報なかったじゃないッスか。なんでそれで強くなれるって……。

エクリプス : ん、呼ばれたな。行くか。

グングニル : ちょ、待って下さいッス!オレも行くっすよ!


   数ヶ月後。


エクリプス : ……やっとまともに指が動くようになってきたな。最初は痛みでろくに動かなかったが、もうここまで来ると痛みもない。……まあ、痛みがねぇってのは、いいことではねぇんだろうが。

エヴァンゲリスト : っ……ぐっ……。

エクリプス : あ?何してんだアンタ。こんなとこで……ああ、手術痕でも痛いのか?

エヴァンゲリスト : 君、は……。エクリプス、くんでした、け……?

エクリプス : ああ、よく知ってんな。正直、この”新しい名前”ってのは、慣れねぇんだが、多分それであってるよ。

エヴァンゲリスト : わたしも、まだ慣れませんよ……名前も、このっ、ぐっ、痛み、も……。

エクリプス : まあ、俺の場合は指だからな。さっさと慣れねぇと日常生活もろくに過ごせねぇ。

エヴァンゲリスト : ふ、ふふ、そうなんで、しょうね……はぁ、はぁ……どうにか、マシに、なってきましたね……ありがとうございました。

エクリプス : 別に感謝される言われなんてねぇよ。アンタが通り道に蹲ってて邪魔臭かっただけだ。

エヴァンゲリスト : それでもありがたかったんですよ。

カルマ : エヴァ~。何してんの?

エヴァンゲリスト : カルマくん。いえ、少し痛みがありまして……。

カルマ : あ~、エヴァは副作用が凄いもんナ!背中かな?

エヴァンゲリスト : そうですね。背中です。手のひらの方はだいぶマシにはなっていたんですがね……。あ、エクリプスくん、本当にありがとうございました。私はエヴァンゲリストです。気軽にエヴァ、もしくはエヴァンと呼んでくださって構いません。

エクリプス : まあ良くなったならいい。俺はただ散歩してるだけだしな。

カルマ : おっと、そんなこと言わずに、お喋りしようゼ~!僕の相棒を助けてくれて感謝してるんだヨ!

エクリプス : っ!じゃれてくるな!俺は感謝されるようなことはしてねぇ!

カルマ : そぉんな素っ気ない態度トラナイデ!あ、そうそう、僕はカルマダヨ。エクリプスくんだっけ?

エヴァンゲリスト : カルマくん、あんまりエクリプスくんを困らせないで上げてください。

カルマ : チェッ、分かったヨ、エヴァ。まあ、どっちにしろ君とは深ーい縁がありそうだし……今は気にしないでおいてあげるヨ。

エヴァンゲリスト : ちょ、ちょっと引っ張らないで下さい!肩、肩が!!

カルマ : はいはい、エヴァ。静かにして~。怒られちゃうヨ。

エクリプス : ……なんなんだアイツら。マジでキメェ……そもそも、深い縁ってなんだよ。俺を馬鹿にしてんのか……ああ、クソ、マジで腹立つ……チッ、さっさと帰るか……。


   そのまた更に数ヶ月後。


グングニル : もうここまで来ると、流石に痛みもねぇッスね!手術して半年くらい?昔は歩けないくらい全身痛かったのに、もう見る影もないくらいッス!

エクリプス : よく言うな。背中のこの辺触られたら騒ぐだろ。

グングニル : あっ、だだだだだだだだ!!?ちょ、エクリプスくん、たんま、たんま!いだだだだだだ!!骨と、骨と金属が当たるぅぅぅ!んぎゃぁぁぁ!

エクリプス : うるせぇ。黙れ。

グングニル : ンゴォア……もう、痛みは抑えられたとはいえ、まだまだ痛いんすよ?これ……背中から左足まで伸びてるから、横向きしか眠れないっつーのに……。

エクリプス : そんなの知るか。つーか、そもそもなんでこんな所に呼び出されたんだよ。

グングニル : ん?なんか、アレらしいっすよ。そろそろ慣れてきたはずだから、任務部隊を作ることにしたって。で、その部隊人数が、確か……。

カルマ : 四人になるから、顔合わせをするために呼び出したってことだネ!

グングニル : 台詞取られた!?誰だきみは……っで、あれ?

カルマ : やあ、エクリプスくん!深い縁があるって言ったダロ?

グングニル : え、オレは無視ッスか?

カルマ : あれ、僕たち会ったことある?ダレ?

エヴァンゲリスト : 少し道に迷ってしまい、遅れてしまいましたね……こんにちは、よろしくお願い……って、あれ?エクリプスさん、と……?

グングニル : あ、あんた!オレにぶつかってったやつ!

エヴァンゲリスト : へ?私ですか?ぶつかった……?

グングニル : え?アンタも覚えてないの?え、さすがに辛い……っていうか、なんでエクリプスはわかってオレは覚えてないんすか!?

カルマ : 覚えてない……?エヴァ、この顔見た事ある?

エヴァンゲリスト : ……申し訳ありません。記憶にはあまり……。

カルマ : だよネ~。エクリプスくんは、痛みを早めに克服したすごい子だったから、覚えてて当然ダシ。

エヴァンゲリスト : それに、試験を一番最初に突破したともお聞きしました。私は二十数名中十位でしたから、とても印象深くて。

カルマ : そうそう!僕も三位だったカラ!あの試験ってなかなか難しい課題だったのに、そんなに早くできるんだナって思ったし!

グングニル : っく!話を聞けば聞くほど、オレと彼の差に劣等感が浮かぶッス……まあ、オレは平々凡々へいへいぼんぼんな一般人だから仕方ねぇっすけど!

エクリプス : ……ああ、試練ってあれか。忘れてた。

カルマ : あれを忘れられるって、肝座ってるネ!人形を人に見立てて急所を潰せってやつあったよネ?なかなかリアルな人形で気持ち悪かったナ……感触もぽかったし!

エヴァンゲリスト : ええ。他の課題は簡単に終わったものの……あれだけは、どうにも……人形だと何度も何度も言い聞かせてようやくでした。

グングニル : オレ、動く的と相性悪すぎて……結局十五位ッスよ。終わった~って思ったら遅いって怒られたッス。酷くないっすか!?

エヴァンゲリスト : 私の時は特に言われませんでしたね……人が悪かったんじゃないでしょうか。

グングニル : なんスか?人が違う可能性があるってことっすか……良いんすけどね……あ、そうだ!オレはグングニルッス!一応仲間になるって事っスよね?よろしくお願いするっす!

カルマ : 僕はカルマだヨ、宜しくネ!君たち知ってるか分からないケド、部屋も一緒になるみたいだから!

エヴァンゲリスト : え、そうなんですか?

カルマ : らしいヨ。男女関係なく、同じ部隊は同じ部屋ミタイ。

エヴァンゲリスト : よく考えたらそれ、すごく大変なパターンではありませんか?まあ、私自身はあまり気にしませんけれど……。

カルマ : もう僕と同棲してるもんネ!

エヴァンゲリスト : 同棲ではなく、同居ですがね。

カルマ : そうだったネ!

エクリプス : ……いやいや、はぁ!?そんな話何処であったんだよ?信じらんねぇ……。

エヴァンゲリスト : 今回の召集令があった資料に書いてありましたよ。ちゃんと最後まで読んでました?

エクリプス : ……。

グングニル : 読んでたはず……いや、読んでねぇっすね。必要なところだけ最低限、読んでただけっスからねぇ。

カルマ : 一応全部読んだ方がいいヨ!こういう場合もあるからネ。

エクリプス : きちんと読めよグングニル。

グングニル : アンタだって途中まで読んで投げ渡してきたじゃないッスか!

カルマ : あはは~、君たち仲良いネ!話を聞いてて楽しいヨ!そんな君たちと同じ部隊になれるなんて嬉しいナ!
  
エヴァンゲリスト : そうですね!私は、私なりの懺悔をせねばなりませんから……。

エクリプス : 懺悔?

エヴァンゲリスト : あ、いえ、なんでもありません!

グングニル : え~、なんかすげぇ気になるっす!そこまで言ったら言っちゃいましょうよ!

カルマ : だぁめ!これはまだ、知らなくてイイノ!僕だけが知ってることダカラ!

エヴァンゲリスト : そ、そこなんですか?

カルマ : そこダヨ。

グングニル : なんスかアイツ~、微妙にきもちわるいっすねぇ。

エクリプス : それにしても、そもそも部隊なんて作ってどうすんだ?

エヴァンゲリスト : 確か、仕事をする時に四人だと色々と楽だから、だそうです。

カルマ : まあ、監視にも丁度いいし、お互いに助け合えるしネ!

グングニル : 普通助け合えるほうを先に持ってこないッスか?なんでマイナススタートなんスか。

カルマ : エヘっ!思わず!

エクリプス : そんなこと、どうだっていいだろ。とにかく、今後仕事が入ってくるから、仲間を持て。一緒の部屋にしてやるから仲良くなれってことだろ。

エヴァンゲリスト : 恐らくはそうなのでしょうね……仕事って、一体どのような仕事なのでしょうか。少々不安になりますね……。

グングニル : まあ、そこそこ体の強化みたいなもんがあるっすからね。体を使う仕事なのは確かっス。

カルマ : もしみんなさえ良ければ、それぞれ実験で得た能力、話さない?能力というよりも、兵器かもしれないケド。

エクリプス : なんでだ?

エヴァンゲリスト : まあ、能力というには、機械的すぎるというのも分かります。私からしても、どちらかと言うと兵器のイメージですしね。

エクリプス : あ、悪い。そこじゃなくて、なんで武器を話さなくちゃなんねぇんだってとこへの疑問だったんだよ。

グングニル : 確かにそッスね。話すよりも見た方が早いっすよね。

カルマ : ん~、まあ、理由は色々あるヨ。先にどういう性質があるのかを知りたかったって言うのもあるし、戦う時にどう動くのかを考えやすくなるかなっテ!

グングニル : なるほど、それもそうッスね。そういうことなら全然いいっすよ!

エヴァンゲリスト : 私も構いませんよ。もう心配されるような痛みにも襲われませんしね!

エクリプス : ……ま、そういうことなら話してやってもいい。だが、俺は説明するのが下手くそだ。そこは忘れんなよ。

カルマ : 僕も苦手!

エクリプス : じゃあなんで言い出したんだよ……。

エヴァンゲリスト : まあまあ、いいじゃないですか。じゃあ、私から説明しますね。私は、背中全面と両肩に銃を五本埋め込んであります。指先の方には銃弾が入っていて、代わりに骨の役割をしているとか何とか……説明はされましたが、結局難しくてあまり理解はしていませんね。正直、これが役に立つの分かりませんがね。

カルマ : 手で持っていくと、どうしてもかさばるからネ!ただ痛いだけっていうのもあるかもしれないケド。

グングニル : 最悪ッスね、それ……。(咳払い)そんじゃ、次はオレの番ッス!オレは、背中から左足長く連なるつらなる金属の武器が埋められたっすね。なんか、上手く当てはめられる武器名がねぇッス……とりあえず、簡単に説明するとすると、この背中から出てるこの先っぽを引っ張ると、3メートル、だったかな?そのくらいまで勢いよく伸びるんだそうっす。使ったことないし、自分でもよくわかんないッスけど。

エヴァンゲリスト : 強いて言うならむちみたいなものですかね?でもそれ、出た後は手で戻すんですか……?

グングニル : いや、出したら勝手に戻ってくるみたいっす。でも、これ、相当……。

エヴァンゲリスト : 痛そうですね……。

グングニル : ッスよねぇ、は~、ヤダヤダ。……あと話してないのは、カルマさんとエクリプスくんッスね。二人はどんな武器持ってんるんすか?

エクリプス : お前はとっくに知ってるだろ。

グングニル : 知ってるけど聞きたいから聞くんすよ!

カルマ : 僕は一番最後が良いナ!ってことで、エクリプスくん、ヨロシク!

エクリプス : は!?勝手に決めんじゃ……あ~、クソ、わかったよ。俺の武器はこれだ。っ……。

カルマ : おー!指から金属の爪が出てるネ!鋭いから引き裂くにも刺すにも使える、最強だネ!

エクリプス : まあ、最強かはわかんねぇけど……つーよりは、ただ強くていい武器だとは思うぜ。俺が腕を振るだけで周りを奴らを倒せるしな。爪だから扱いも簡単だ。それに、出したい時に出せるのも楽だしな。

カルマ : イイネイイネ!

エクリプス : ……指の神経と無理矢理繋いでるらしくてな、特殊な義手のようなもんか。取り付けるのも外すのも大分しんどいしな。指がだいぶごつくなっただろ。

カルマ : そうなのカナ。僕にはちょっと分かんないナ!

エクリプス : お前とはろくに関わってないからな。

カルマ : でも、強そうで良くない?僕もちょっ~とだけ似てるケド、そんなに汎用性は良くないんダヨネ。こうやって力込める、と……んググッ……ゔっ、イタァイ。

エヴァンゲリスト : なっ、血が出てますよ!?ですが、これって……。

カルマ : 大丈夫ダヨ、エヴァ!こういう武器なんだヨ。腕に埋められたナイフを出して、ぐっ……こうやって、手前に、持ってきて、掴む……ぅぅっ、血で滑る……。

エヴァンゲリスト : 止血を先にしましょう!流血が酷いです……それに、これは設計ミスではありませんか!?こんな……!

カルマ : 大丈夫だってバ!僕には、これで十分だって言われてるんダヨ。そんな顔しないデヨ!痛いけど、これも慣れれば楽しいカラ!

エクリプス : そういうことじゃないだろ。マゾかよ。

エヴァンゲリスト : そんなことを言ってる場合じゃないでしょう!?応急処置します……って、戻さないでくれません!?あ、出血がまた酷く……!!

カルマ : あははは!

エヴァンゲリスト : 笑ってる場合ですか!??

グングニル : 振り回されて可哀想ッスね~。

エクリプス : はぁ、くだんね。

グングニル : 賑やかになりそうで良いじゃないっすか!

エクリプス : お前がいるだけで十分賑やかだけどな。

グングニル : それ、遠回しに五月蝿いって言ってないっすか?ねぇ。

エクリプス : さあな。はぁ、さっさとかえ……あ?なんだよお前……は?仕事?

グングニル : え?今からッスか?

エヴァンゲリスト : ふぅ、やっと止血が出来ました……もっと身体を大事にしてください。

カルマ : んふふ、頑張るネ!

エヴァンゲリスト : 全く……。それで、皆さんどうして固まってるんですか?

グングニル : 今から仕事らしいっすよ。……まだオレ、全然心の準備出来てねぇッス……!!

エヴァンゲリスト : え、ええ!?ずらしてもらうとかって出来ないんですか!?まだ私たち会ったばかりなんですが!?

エクリプス : おいおい、そりゃねぇだろ!俺は分かったとは……おい、無理に引っ張るな!あ~、ちくしょう……拒否権無しかよ。はぁ、わかった、分かったつーの!着いてくから引っ張んなクソが!

エヴァンゲリスト : 少々口が悪いですが、とりあえず私たちに決める権限はない事実に腹が立つのも分かります。武器を初めて使うのが、実践というのも気に入らない。

カルマ : まあまあ、エヴァ。一番最初の仕事だし、難しくないと思うヨ!というか、移動中でもいいカラ、仕事内容を後で教えてネ!

グングニル : ……まあ、パーティーとしては悪くないかも知れないっすけど、上手くいくかは分かんないっすね……。ギャンブルと違って、ビギナーズラックなんてあるわけねぇし……まあ、大丈夫っしょ!(鼻歌)


   間。


グングニル : (上がった呼吸)し、死ぬかと、思った、す……はぁ~、しんどい……。

カルマ : グンちゃん、体力無さすぎだヨ!そんなに難しい仕事でもなかったしネ!

エヴァンゲリスト : ふふ、慣れていない人には確かに厳しそうでしたね。私としては、カルマくんが慣れている様子だったのが驚きでした。

カルマ : んフフ、まあそこそこやってきたことあるヨ!害獣の処分くらい。

エクリプス : 久々にたくさん体を動かせたし、まあいい運動にはなった。さっさと風呂に入りてぇな。

グングニル : ……君ら、マジですごすぎっすよ……。初めての稼働じゃないんすか?

エクリプス : あ?実践じゃ使わなかったが、試験では使ったろ。それの延長線だ。

グングニル : あ~、そういえばそうだった気もするッス……でも、動くやつを仕留めるのって難しくないっすか?

エヴァンゲリスト : ……私の場合は、以前に似たようなことをしていたこともありますから。

グングニル : 似たようなって?狩人とかっすか?

エヴァンゲリスト : また、話す時になったらお話します。今はまだ……その時ではありませんから。

グングニル : ……?いや、まあいいっす、分かったっす。それにしても、エクリプスくんまじやばかったっすね。まるで、アニメとか映画の世界みたいな動きしてたッスよ?

エクリプス : んなわけあるか。

エヴァンゲリスト : グングニルくんの言う通り。凄かったよ。何かやってたのかなって思うくらい。

エクリプス : ……やってたっつーか、なんつーか。

カルマ : エヴァ~、早く部屋に帰って寝ようヨ!もう僕疲レタ!

エヴァンゲリスト : そうですね。では本日はこれで。


   出ていくエヴァとカルマ。


グングニル : このまま四人で仕事か~。オレ、劣等感で死ぬかもしれないっすね。

エクリプス : 縁起でもないこと言ってんじゃねぇよ。

グングニル : すんませんねぇ、たまーにブラックジョークがこぼれるのは仕様なんスよ。あと、シャワー浴びてくんなら先に入ってくださいっす!

エクリプス : (ため息)ああ、そうかよ。じゃあ先にシャワーもらうからな。

グングニル : 行ってらっしゃい~!……あーあ、疲れたようなそうでも無いような、変な気分っすねぇ。ギャンブルは複数人でやるのが楽しいッスけど仲間よりも敵側にいる方が楽しいんすよね……まあ、常人じょうじんにはわかんねぇだろうけど!さ、イーグスくんの秘密がないか探検っす探検!!ふんふふーん……うおわっ、鍵かかってるっす~!


   翌日。


エヴァンゲリスト : 昨日ぶりですね。これからは、同室としてよろしくお願いします。

カルマ : 四人一部屋って話だから狭そうとは思ってたケド、ほんとに狭いネ。二段ベッドの上、誰がナル?

エクリプス : 俺はなんでもいい。

グングニル : オレもなんでもいいッスよ。寝相悪くないんで!

エヴァンゲリスト : 私も同じですね。カルマくんは?

カルマ : じゃあ上がいいナ!エヴァが下にいてヨ!

エヴァンゲリスト : 構いませんよ。では、エクリプスくんとグングニルくんは、もう一台をそちらで決めてください。

エクリプス : じゃあ、お前が下にいけ。

グングニル : え?それでいいんなら、オレもそれでいいっすよ。上だろうが下だろうが、外に行くのに弊害なんてないっスし!

カルマ : そうだネ!僕はエヴァが大好きだからネ、ずっと見ていたいんだヨ。

エヴァンゲリスト : なるほど?うーん、良くは分かりませんが……そういうことなんでしょう?恐らくは。

カルマ : 分かってくれなくてもイイヨ!僕はただ、エヴァのような純粋な人が好きなんダ!

エヴァンゲリスト : 純粋って……おかしな事を言いますね。そのような言葉は、私のような草臥れたくたびれた大人よりも、無垢な子供に言うものですよ。

カルマ : 分かってもらわなくてもイイヨ!僕が分かってればいいことダカラ!

グングニル : やっぱ妙に気持ち悪いんすよねぇ、あの子。変な執着みたいなのを感じて。

エクリプス : ……まあ、わかんねぇでもねぇけどな。

カルマ : へ~、そんなふうに思ってるんダ?

エクリプス : っ!?

グングニル : あ、え、えへへー。そ、そんなこと思ってないっすよぉ、うん。

カルマ : いいモン!エヴァに、慰めてもらうモン!エヴァ~。

エヴァンゲリスト : なんですか?っと、こらこら、腰を掴まないでください。

エクリプス : ……なんだアイツ、ガキかよ。気持ち悪。

グングニル : まあまあ、これにも慣れるしか無いんすよ。ゆっくり慣れていくんす!あと、腹減ったんで食堂行かないっすか?

エクリプス : 随分いきなりだなお前。

グングニル : だって、もうランチの時間っすよ。

エクリプス : そうだな。んで?

グングニル : んでってなんすか!?食堂に一緒に行きませんかのお誘いなんすけど!?

エヴァンゲリスト : グングニルさん、先程から騒がれていますけど、どうかなされました?

グングニル : ええ!?オレッスか!?何だよ……みんなしてオレを虐めるじゃないっすか……。

カルマ : グンちゃん、どうしたノ?

グングニル : べっつにー、何でもないっすよ!

カルマ : グンちゃん拗ねてるみたいだネ。お昼食べるなら一緒に行くヨ。何となく、何となくだケド、君とは話が合いそうな気がするシ!

グングニル : へ~、そうっすかね……?オレにはちょっとわかんねぇっすけど。

カルマ : そうカナ~?多分話してけば分かるヨ!

グングニル : んま、それなら良いんすけど……じゃ、行くっすか?

カルマ : いこいこ~!

グングニル : んで、エクリプスくんもといイーグスくんと、エヴァンさんは行かないんすか?

カルマ : 一緒に行かナイ?

エヴァンゲリスト : 私は遠慮しておきます。お腹も減ってはいませんから。

エクリプス : 俺もいい。

カルマ : そっか~!じゃあ、グンちゃん、行こうネ!

グングニル : はいはい、行くっすからそんなに急かさないでくださいっす!


   騒ぎながら出て行く二人を眺め。


エクリプス : ……。

エヴァンゲリスト : ふふ、二人とも楽しそうですね。エクリプスくんはお腹減ってないんですか?

エクリプス : 減ってないし、アンタと話したいこともあったから。

エヴァンゲリスト : 私とですか?なんでしょう?

エクリプス : アンタがどうしてここに来たのかって話を聞きたくなった。

エヴァンゲリスト : どうして突然……。

エクリプス : アンタがこの類のもんに手を出さなくちゃ行けないような人間に見えねぇからだ。

エヴァンゲリスト : ……。

エクリプス : 俺みたいに強くなりてぇとか、カルマみたいな変なやつらしい”好奇心”だけで来たとか、グングニルみたいに金に困ってるようにも見えねぇ。何かから逃げようとし出るようにも見えねぇしな。

エヴァンゲリスト : ……まあ、私はそのどれにも属さないのでしょうね。

エクリプス : お前の考えてることがわかんねぇ。俺は理解できねぇやつが苦手なんだよ。

エヴァンゲリスト : なるほど。それで、理解できるように直接話を聞こう、となったわけですね。

エクリプス : 他のふたりみたいにわかりやすいんなら良いが、アンタは本当に何を考えてんのかわかんねぇんだよ。

エヴァンゲリスト : でも、私も別に何かを企んでいる訳ではありませんよ。

エクリプス : じゃあ教えろよ。なんでここにいる。

エヴァンゲリスト : そうですね……簡単に言ってしまえば、懺悔ざんげがいちばん近いでしょうね。

エクリプス : 懺悔ざんげだと?

エヴァンゲリスト : 今はこれだけでお許しください。私もまだ、心の準備ができていないんです。

エクリプス : ……はっ、意味わかんねぇ。

エヴァンゲリスト : 分からなくても構いません。わかって欲しいわけでもありませんから。

エクリプス : じゃあきくが。いつか、話してくれるとでもいうのか?

エヴァンゲリスト : ……もちろん。私の心の準備が済み次第に、皆さんにお話するつもりですよ。

エクリプス : ふーん。じゃあその時まで待っててやる。

エヴァンゲリスト : ありがとうございます。あ、そうだ。確認したいことがあるんですけどいいですか?

エクリプス : なんだよ。お前が言ってねぇのに、俺が過去を語る理由はねぇぞ。当たり前だが。

エヴァンゲリスト : え?いえ、そういうことではありませんが……ここの部隊の責任者をどうしますか?

エクリプス : は?

エヴァンゲリスト : なんか、四人の部隊に、必ず一人責任者が必要らしいんですよ。リーダーみたいな感じですかね?

エクリプス : 突然過ぎだろそれ……。

エヴァンゲリスト : まあそうですよね……。でも、私はやりたくないという気持ちがありまして、だったら君に決めて頂きたいなと思ったところです。

エクリプス : なるほどな。俺に全部押し付けてくるってわけだな?

エヴァンゲリスト : そう言われたら弱いですけど……私は、君の意見も聞きたくてですね。

エクリプス : ふぅん。まあとりあえず、俺はアイツを押すってだけ言っておく。

エヴァンゲリスト : アイツ?誰のことですか?

エクリプス : アイツはアイツだよ。

エヴァンゲリスト : ……ああ、もしかして――。


   一年後。


グングニル : オレが何故かリーダーに選ばれてまる一年ッスね。最初はなんでオレなのかって拒絶したはずなんすけどね……結局言いくるめられちまったッスけど。生活とギャンブルの合間に入る要請にうんざりしながら仕事を受け取る日々……まあ、金がないよりはマシとはいえ、面倒臭いのには変わりねぇっすね。今回も急な呼び出しっスし。探せばもっとマシな仕事あったンスかねぇ……ん?ありゃ、カルマくんじゃないっすか!(カルマくーん!)

カルマ : (遮り)っ!しー!ちょっとうるさいヨ。

グングニル : なんスか?好みの子でも見てたんすか?

カルマ : ……まあ、そんな感じダヨ。

グングニル : へ~、どんな子ッスかねぇ!いざ拝見!

カルマ : ちょっと、邪魔しないでヨ。

グングニル : 別にいいじゃないっすか!遠目から見るくらい……って、我らが最強タッグのお二人、イーグスくんとエヴァンさんじゃないっすか。

カルマ : イーグスなんていたっケ?誰ダロ。

グングニル : エクリプスくんのことッスよ!しばらく呼んでたら何も言われなくなったんで!

カルマ : アー、諦めるしか無かったんだネ。可哀想に。

グングニル : 前から呼んでたっすからねぇ。所でカルマくんの想い人さんはどこにいるんすか~!見当たらないっすけど。

カルマ : エ?もう見てるノニ?

グングニル : え?だって他に……ええ!?

カルマ : 声大きいカラ、もう少し静かにしてヨ。

グングニル : まさか、イーグスく、グエッ!(頭を無理やり伏せられて)

カルマ : そんな訳ないデショ。エヴァダヨ。

グングニル : うっ、あ、あごが……そりゃそうっすよねぇ、君、昔からエヴァンさんに妙に懐いてたっすからね。

カルマ : エヴァは、僕のナノ二。

グングニル : そういえば、二人で仕事に行き始めてから急に仲良くなり始めたッスからね。前は険悪とまでは行かなくても、そこまで仲良かった感じでもなかったんすけど。

カルマ : なんでアイツとエヴァが仲良くしてるのサ。エヴァ、僕といるより楽しそうにしてるモン。

グングニル : よく知らないっすけど、相性が良かったんじゃないっすか?遠距離と近距離だし。

カルマ : 僕だって近距離武器ダシ。

グングニル : そこはまあ……エヴァンさん、優しいじゃないっすか。だから、君の自分を顧みない戦い方にヒヤヒヤしてたんじゃないっすか?

カルマ : だからナニ。

グングニル : (ため息)頭硬いっすねぇ。君の戦い方を見てられなくなったんすよ。多分。

カルマ : ……だとしても、ひどいヨ。

グングニル : まあ、分からなくもないっすけどね。相棒を盗られたような寂しさっていうか。

カルマ : ふーん、確かに君、エクリプスくんと仲良くしてたしネ。

グングニル : そんな感じっす。一応リーダーなんてやってるっすけど、正直そんなん合わないっすし!

カルマ : 僕は君がリーダーで良かったと思うケドネ。

グングニル : そっすか?オレがっすか?

カルマ : そうそう!君なら、誰かを贔屓したりしないデショ。

グングニル : さあ、どうっすかねぇ。

カルマ : あ、ソウダ。グンちゃん、何か用事があるんじゃなかったノ?なんでここにいたノ?

グングニル : んぇ?なんで……あ、そうだ!仕事受け取りに行かなくちゃ行けないんだったっす!またね、カルマくん!

カルマ : またネ……そろそろ、来てくれるカナ。アイツらナラ。

 
   エクリプス、エヴァンゲリストサイド。


エヴァンゲリスト : へぇ、それで昨日は不在だったんですね。

エクリプス : まあな。久々にジムで汗を流してきたよ。

エヴァンゲリスト : ちなみになんですけど、ここの訓練場で身体を動かすのとは違うんですか?

エクリプス : そりゃ勿論。気持ちの持ちようがだいぶ変わるんだよ、一緒に身体を動かす奴らもな。

エヴァンゲリスト : そういうものなんですね。勉強になります。

エクリプス : 簡単に言っちまえば、気軽に体を動かせんのがジムで、周りの視線にうんざりしながら身も心も引き締めんのが訓練場だ。

エヴァンゲリスト : ふむ……では、私はまだしばらくは訓練場に致します。まだまだ身も心も引き締まってはいない現状を、どうにか打開しなければなりませんから。

エクリプス : あんま気負いすぎんなよ。

エヴァンゲリスト : 肝に銘じて起きましょう。……と、そろそろ部屋に帰りましょうか。頼んでいたコーヒーもそこを着きましたし。

エクリプス : ん、そうだな。カップは片付けといてやるよ。

エヴァンゲリスト : ありがとうございます。それにしても、貴方とここまで話が合うなど思ってもいませんでしたね。

エクリプス : んあ?なんだよ突然。

エヴァンゲリスト : いえ、そろそろ私の過去について語る時かと思いまして。

エクリプス : 過去?

エヴァンゲリスト : ええ。私が何故この実験に参加しようとしたのか……話したいと思ったんです。

エクリプス : ふぅん。ということはそれなりに信頼して貰えたってことだな。

カルマ : もう話すノ、エヴァ。

エヴァンゲリスト : え、あ、ああ。カルマくん。おかえりなさい。

カルマ : タダイマ!グンちゃんは仕事で呼ばれてたみたいダカラ、こっち来ちゃっタ!

エクリプス : じゃあ仕事が来るのか。次の仕事はなんだろうな。

カルマ : どうカナ。また害獣駆除とか、テロ活動の芽を摘んだりするんじゃないのカナ。わかんないケド。

エヴァンゲリスト : あんまり難しい事じゃないといいんですけどね。

エクリプス : まあ、戦争の片棒を担ぐぐらいまでなら(余裕そうだけどな)

エヴァンゲリスト : (遮り)冗談でもやめてください!!

エクリプス : っ!?わ、悪い……。

エヴァンゲリスト : はっ、はっ……戦争なんて、ろくなもんじゃ、ないん、ですよ、はぁ、はぁっ、うっ、たとえ、冗談でも、うぅっ……。

エクリプス : 汗すごいし顔白いぞ!?おい、一旦休め!悪かった、悪かったから!!

カルマ : あーあ、エクリプスくん、エヴァのトラウマ刺激しちゃったネ!

エクリプス : トラウマだと?

エヴァンゲリスト : (過呼吸になりかけて)はぁっ、はぁ、はぁ……落ち着け、落ち着け私……はぁ、はぁ……はぁ……。

カルマ : 大丈夫?エヴァ、無理せずに寝ないカ?

エヴァンゲリスト : はぁ、はぁ、そう、ですね……ふー……一度、体を休めることに、します……。

エクリプス : ……本当に、悪かった。冗談のつもりだったんだよ……。

カルマ : まあ、知らなかったら仕方ないよネ。

エヴァンゲリスト : いいえ、大丈夫ですよ……ありがとうございます、むしろ、ご心配を、おかけしました……。

エクリプス : ……無理はすんなよ。

エヴァンゲリスト : もちろんですよ、大丈夫です。

カルマ : エヴァが辛そうだったら、僕が癒すモン。

エヴァンゲリスト : ふふ、ありがとう、ございます。


   大きな音を立てて開くドア。


グングニル : んもぅ、マジで最悪っすー!!次の仕事、マジで面倒事しかねぇっすよ!!オレに断る勇気があればなぁぁ……。

カルマ : びっくりしたナ……もう少し音を抑えて入ってきなヨ。

グングニル : いや~、だってさぁ……って、みんな辛気臭い顔してるっすねぇ。どうしたんすか?

エヴァンゲリスト : 後でゆっくり説明するよ。でも先に、仕事について教えてくれる?

グングニル : ん?そっすか?じゃあ甘えて話させてもらうっすけど……聞いてくださいよ!マジで面倒臭い仕事なんスよ!?しかもめっちゃ血生臭いやつっす。マジ勘弁……!

エクリプス : そんな抽象的な言い方してんなよ。はっきり言え、めんどくせぇな。

グングニル : 酷いっすね!?もーいいっす、カルマくんに慰めてもらっす!

カルマ : で、仕事内容ハ?

グングニル : え?カルマくんもその反応なんすか……?だいぶへこむんすけど。

エヴァンゲリスト : まあまあ、とりあえず話を聞きたいんだけど、いいかな。

グングニル : ングっ……なんか、すげぇ負けた気がするっすけど、もういいっす!なんか、隣国が戦争するみたいで。

エヴァンゲリスト : ひゅ……。

エクリプス : は……。

カルマ : へ~、で?

グングニル : そんで、その隣国と同盟を結んでるウチが少しだけ手を貸すことになったらしいんすよ。隣国とその隣国っていう、小さい国同士の戦争だからあんまり大まかに手を出したくないんで、オレら四人だけを送り込んで相手さんの人数を減らし、友好を保ちたいって話らしいっす。

エヴァンゲリスト : また、戦場に、ぎゃく、もどり……?(息が荒く)

カルマ : 大丈夫?エヴァ。

 エクリプス : おい、グングニル。その仕事、他んとこに回せねぇのか。

グングニル : へ?なんでっすか?

エクリプス : 見てわかんねぇのか?

エヴァンゲリスト : (過呼吸を起こしかけて)またあそこに戻るのか?あの、仲間も、敵も、沢山殺して殺されて、悲しみと恐怖と怒りに燃えたあの日々に?ああ、あああ、あああああ……いやだ、いやだ、いやだ、なんで、あんな、あんな、うっ(胃液が競り上がり)

エクリプス : っわ!まだ吐くなよ!あー、あ~……あ、じゃあこのゴミ箱に……!

エヴァンゲリスト : っ!?触るな、私に触るな!!(銃を取り出し構えて)

エクリプス : っ!??

グングニル : ちょ、エヴァンさん!?おちついてくださいっす!

エヴァンゲリスト : ふー、ふー……!

カルマ : エーヴァー、大丈夫ダヨ、まずは落ち着こうヨ!(バックハグ)

エヴァンゲリスト : しかし、わたし、は……もう、もう、あんな場所には……!

カルマ : そうだネ!だから、一旦話を聞こうヨ。ネ?

エヴァンゲリスト : っ!そう、です、ね……。

カルマ : はーい、ゆっくり深呼吸して~。吸って~。

エヴァンゲリスト : (息を吸う)

カルマ : 吐いて~。

エヴァンゲリスト : (息を吐く)

カルマ : エヴァ、上手上手!そのまま何回か続けようネ!

エヴァンゲリスト : (数回深呼吸して)……はぁ、みなさん、飛んだご迷惑を、お掛けしました……。

グングニル : いいや、いいんすけどね……エヴァンさん、大丈夫ッスか?

エヴァンゲリスト : 大丈夫、かとおもいます……でも、正直その仕事だけは、受けかねます……。

グングニル : そッスね……とりあえず、どうにか変えてもらねぇか聞いてみるっす。エヴァンさんのこんな取り乱しよう初めて見たっすもん。帰ってきたら説明宜しくっす!

エヴァンゲリスト : 宜しく、お願いします。


   部屋を出ていくグングニル。


カルマ : ……僕も、気になるからついて行ってくるネ!


   続いて出ていくカルマ。


エクリプス : ……もし、もしだけど。

エヴァンゲリスト : なんでしょうか……。

エクリプス : もし、この仕事をほかに回せないとしたら……どうする?仕事だからな、どうにもならないこともあんだろ。

エヴァンゲリスト : その時は、覚悟を決めるだけ、です。

エクリプス : 覚悟?なんのだよ。

エヴァンゲリスト : 秘密です。


   数十分後。ドアの開く音。


グングニル : あー、えっと、非常に言いにくいんすけど……あの、他に回すことが出来なそうって話になりまして……えっと。

エヴァンゲリスト : なるほど。それはそうですよね。だったら、私は辞めます。この仕事も、実験自体も。

エクリプス : ……。

カルマ : なんでそんなこと言うノ?

エヴァンゲリスト : そんなことをするくらいなら、いっそ辞めてしまった方が何十倍も楽なんですよ……もう続けていける気がしないです。

カルマ : でもダヨ。仕事を引き受けた上での途中退職は認められなかったはずダケド……。

エヴァンゲリスト : え……?

グングニル : あー、そういえばそんな話をどっかで聞いたッスね。興味なくてろくに聞いてなかったっすけど。

エクリプス : おいおい、そりゃないんじゃねぇの?巫山戯てんじゃねぇよ。

カルマ : 巫山戯てない、本当のことダヨ。

エクリプス : ……思ったよりも、ここはクソだったみてぇだな。

カルマ : もし途中放棄するんだったら、連帯責任で全員が辞めないと行けないし、協力金もなしダッテ。

エクリプス : ああ?そんなんある訳……。

エヴァンゲリスト : 私が辞めたら、他の人も道連れになって……でも、でも、ああ、いやだ、もう、いやだ!!(銃を取りだして口の中に突っ込み)

エクリプス : おい、マジでやめろ!!死ぬ気か!?

グングニル : カルマさん、人を呼んでくださいッス!!エヴァンさん、銃は自分に撃つもんじゃねぇんすよ、んググッ!

エヴァンゲリスト : やめて、邪魔しないでくださいよ!私はもう嫌なんです、もうやりたくないんですよ!十年前の戦争で、たくさんの人を殺した懺悔にここの人体実験に協力した!!国からの要請だから、人の役に立てるだろうって!でも結局、こうなるんですよ!さらに罪を重ねようとしてる!もう嫌なの、嫌なんですよ……戦争に行くくらいなら、死んだ方がマシです……。

グングニル : エヴァンさん……。

エクリプス : ……。

カルマ : ここダヨ、うん、エヴァが……え、連れていくノ?……あんまり、ヒドイことはしないでネ。

エヴァンゲリスト : 私は、私は……うっ、うう……ううう……。

エクリプス : ……アイツ、大丈夫なのか?

グングニル : なんか、これで良かったのか不安になってきたっす。

カルマ : ん~、多分大丈夫だとは思うけどナ。

グングニル : だといいんすけどね。

エクリプス : 十年前の戦争……この国と、隣国のやつか。

カルマ : 大きい国と小さい国での戦争だったんだよネ。

グングニル : まあ、隣国は小さくとも武力はあったんすよね。まあ、あんまり一般人には影響なかったのに、よく覚えてるっすね?

カルマ : 戦争なんてろくなものじゃないし、覚えやすくはあるよネ。結局、引き分けにしてもらったから、同盟って形になったんじゃなかったカナ?

グングニル : してもらった?いや……まあ、そんな感じっすね。その同盟を大事にするために、今回の仕事ッスよ。そういうのに巻き込まないで欲しいっすよねぇ……。

エクリプス : ……寝る。

グングニル : ん?ああ、そっすか。おやすみなさいっす。

カルマ : エヴァの様子見てくるネ。

グングニル : んじゃ、オレも見に行ってくるっす。確か、明後日出発なんで、今はゆっくり休んで下さいっす!

エクリプス : さっさと行きやがれよ。

グングニル : ……まあ、あんまり気負っちゃダメっすからね。


   ドアの締まる音。


エクリプス(M) : あの声、どっかで聞いたことがあった。思い出すのは昔の話だ。俺が強くなりたいと願った理由。暴力を奮う両親から妹を守ろうとした記憶。だけど一歩届かずにこぼれ落ちた小さな温かみ。もう意味なんて無いけれど、弱いよりはずっといいと実験に名乗り出た。そして、あの悲痛にまみれた叫びは、冷たくなった愛するものを抱きしめた自分の声。一緒にしてはいけないのだろうが、それでも記憶は蘇る。ずしりと残るあの重さが……いや、ダメだ。忘れて寝よう。眠れなくなる前に。ただひたすら、現実から逃げるために。


   戦場。


エヴァンゲリスト : ……。

カルマ : エヴァ?どうしたノ?エヴァー?

エヴァンゲリスト : ……いいえ、なんでもないですよ。

カルマ : (ため息)アイツら、余計なことしやがったナ……。

エクリプス : アイツ、ずっとアレだな……。

グングニル : 何されたんすかね……何を言われた、でもいいっすけど。

エクリプス : ろくなことじゃねぇのは確実だろうよ。

グングニル : この仕事が終わったら、あの人辞めるかもしんねぇっすね。

エクリプス : まあそれがいいだろうな。俺もこれが終わり次第、ここを辞める気だしな。

グングニル : ふーん……そうなんすか。なんか、寂しくなるっすね。

エクリプス : 何言ってんだよ、辞めようと辞めなかろうが、仲間なのは変わらねぇだろ。

グングニル : そーっすねぇ。んで、そろそろ開戦ってやつっすかね。心の準備は?

カルマ : 出来てなきゃ困るヨ。ね、エヴァ。

エヴァンゲリスト : そうですね。

カルマ : ……。

エクリプス : ……そもそも、これはどうすれば仕事終了なんだよ。今日一日だけの遠征みたいなもんとはいえ、明確な終了条件がねぇだろ。

カルマ : 多分、相手が撤退すれば終わりなんじゃないカナ。一日で追い返すには、そこそこの人数を倒さなきゃ行けないケド。

エヴァンゲリスト : はっ、倒す?殺すの間違いでは?

グングニル : それはそうなんすけど!エヴァンさん、一度落ち着くっすよ!ほら、深呼吸っす!

エヴァンゲリスト : 落ち着く?私は落ち着いていますよ、神経を尖らせているだけです。

グングニル : 神経をとがらせすぎなくていいんじゃないっすかって言いたかっただけなんすけど……。

エヴァンゲリスト : ……油断したら殺されるんですよ。今ここは綺麗な原っぱですけど、終わった時どれだけ地獄に変わってると思います?

エクリプス : ……知らねぇ。

エヴァンゲリスト : 人の死体がそこら辺に転がり、銃弾が飛び交い、緑は赤に染る。それを今から作り出そうとしているのが私たちなのですよ。作らねば死ぬのも私たちです。それを理解して取り掛かることをおすすめしますよ、私は。

カルマ : ……そうだネ。

グングニル : お、それにしてもあっち側、すげぇわたわたしてるッスよ?

エヴァンゲリスト : そりゃそうですね。戦場に相対する敵が、たった四人しかいないんですから。馬鹿にされているのか、極端に強いやつが来るのか……どちらにしろ、普通では無いことがよくわかるでしょう。

グングニル : そ、そっすね……なんか、エヴァンさんめっちゃ怖ぇっす。

エクリプス : そんだけガチで向き合ってるってことなんだろ。相手方も大分準備出来たみたいだぜ?ほら、俺らも用意進めねぇとな。

カルマ : 頑張ろうネ。準備運動シヨ!!

グングニル : 準備運動って……まあ、確かに軽く体を動かすだけでもしといた方がいいっすね。やるか~、んー!

エクリプス : ……アンタは……いや、いい。なんでもない。

エヴァンゲリスト : ……私はあの方々から目をそらす訳には行きませんので。

エクリプス : あっそ。とりあえず、銃弾は避けねぇとな。軽く足だけ動かしておくか。

エヴァンゲリスト : ですが……貴方には感謝致します。こんな私にも、仲良くして下さり……隠し事をしていたにも関わらず、それでも信じてくださったこと。本当に感謝しているんですよ。

エクリプス : っ、エヴァン……。

グングニル : (遮る勢いで)そろそろ動き出しっぽいっすね……!

カルマ : よーし、行っちゃうゾ!

エクリプス : 俺も行かねえと……!

エヴァンゲリスト : どうか、貴方の今後に悪く作用しないことを祈ります……!!(走り出す)

エクリプス : ……っ、ガキじゃねぇっつーの!クソがっ!ぅおらっ!(爪を振り動かして攻撃)

グングニル : ンギャッ!めっちゃ撃って来るっす!避けるの無理……おっ?この並びなら……行けるっすねぇ!痛みはあるけど余裕のよっちゃん、くらえっす!(鞭のような武器でなぎ倒し)

カルマ : ふっ、はぁ、っと!あ、ちょっと、ゴメンネ、そこ邪魔ダカラ、退いて、ネ!(ナイフを振るいながら戦い)

エヴァンゲリスト : っ!……弾丸補充!ふっ、カルマさん、そのままそこから動かずで!(銃を乱射しつつ)

カルマ : 分かったヨ!

エクリプス : っ、ほっ、と!悪いな、そんなんじゃ当たんねぇよ!(相手の腕を引き裂いて)

カルマ : ……。お?背中からは反則ダヨ、君、反則負けネ!(心臓を突き刺し、敵兵を盾にする)

グングニル : そんなやり方もあるんすねぇ、オレも盾欲しいっすねぇ。

カルマ : グンちゃんの場合は手で持たなくちゃいけないヨ。死んだ人って手で持つと重いだけだから、僕はオススメしないヨ。

グングニル : そっすか……残念、っすねぇ!よし、また一人負け犬フィッシュを釣り上げたっす!これが本当のフィッシングッスね!(鞭でまた一人確実に殺し)

エヴァンゲリスト : グングニルさん、油断しないでください!

エクリプス : っし、また一人倒したぞ!これで七人目!

エヴァンゲリスト : 人数よりも油断しない!また新しく一波ひとなみ来ます!警戒して!


   真っ赤な草原。死体が広がる地獄にて。


グングニル : ふー、なんとかひと段落って感じっすかね。まあ、本当に見渡す限りの赤、赤、赤っすね。血の匂いを嗅ぎ過ぎて鼻が馬鹿になってきたっす。げぇっ。

エヴァンゲリスト : ……はは、これが、一方的な残虐の跡地ですか……分かっている、分かっているんです、これが自分が作り出した光景だと。それでも、認めたくないのは……私が、自己中心的な部分があるから、なんでしょうね……。

エクリプス : 帰ったらまずは武器の手入れからだな。このままじゃ錆び付いちまう。

カルマ : そうだネ……あれ、あれれぇ?

エクリプス : なんだよ。どうかした……敵兵か。

カルマ : 惨めに這いつくばった可愛い子だネ!エクリプスくん、トドメ、さしたげてヨ。

エヴァンゲリスト : カルマくん、なにを、いってるんですか?

エクリプス : ……俺が、か?

カルマ : そう、君だヨ。だってこの傷をつけたの、君デショ?この腕の切れ具合は、君の武器しか付けられないモン。

グングニル : なんすかなんすか?って、げっ、まだ生きてる子いたんすか!?ってか、めっちゃ痛そうっすね……このまま放置しておけば勝手に死ぬんじゃないっすか?

エヴァンゲリスト : そ、そうですよ!わざわざ殺す必要は……!

カルマ : でも、可哀想ジャナイ?このまま痛みと寒さに悶えながら迫り来る死を待つナンテ。

エヴァンゲリスト : それは確かにそうですが、エクリプスくんがしなくてはいけない訳では……。

カルマ : 僕ネ、見てたんだヨ。エクリプスくん、死なない程度に切りつけて放置していくノ。それって、殺してあげるよりもよっぽどひどい仕打ちじゃないカナ。

エクリプス : っ!

エヴァンゲリスト : それは……そう、ですが……。

カルマ : それに、例え隣国の戦争だとしても、これは戦争の一部なんだヨ。僕らのことを知る芽は積んでおかなきゃ、巻き込まれると思うんだヨ。

グングニル : 一理どころか百理くらいありそうな勢いっすね。まあ、とりあえずやるんならさっさとやって帰るっすよ、体も洗いたいっすし。

エクリプス : ……。

エヴァンゲリスト : ……ですが、エクリプスくんが殺さなくては行けないわけでは、ないじゃないですか。代わりに私がやりますよ!

グングニル : エヴァンさん、やっさし~!

エヴァンゲリスト : というか、何故グングニルくんとカルマくん、あなた方はそんなに冷静でいられるんですか!?人を殺したんですよ!?戦争とはいえ……!!

カルマ : 戦争って、そういうものデショ?

グングニル : オレが死んでないっすし、別にそこまで気にすることじゃないっすよ。戦争っすからね、殺さなきゃ殺される世界なんじゃないんすか?どれもこれもギャンブルをやるためなら……!

エヴァンゲリスト : ……貴方たちは、狂っている……何故そんなに飄々ひょうひょうとできるのか、全く分かりませんよ!あなた方の血の色は、ちゃんと赤色なんですか!?エクリプスくん、こちらへ!

エクリプス : ……いや、俺は……。

カルマ : 逃がさないヨ。君だけ潔白でいるなんて、僕は許さない……まあ、正直僕の狙いはそこじゃないけどネ。ほら、武器に集中してヨ。

エヴァンゲリスト : カルマ、貴方何を!!

エクリプス : あ、やめろ……いやだ、俺は、殺したくなんて……!

グングニル : まあ、エヴァンさん、これも経験っすよ!

エヴァンゲリスト : 経験!?こんな経験する意味がないでしょ、いくら君が相手で、もっ!!?ぐっう……(腹を蹴られて倒れる音)

グングニル : あんまり騒いじゃダメっすよ?

エヴァンゲリオン : なに、を、するん、です、か……!!

グングニル : まあまあ、面白いじゃないっすか。カルマくんに金で買われてるってのもあるけど、このままどうなるのか気になるっていう気持ちもあるっす!

エヴァンゲリスト : ご、のっ、腐れ、外道が……!

グングニル : 金の亡者の方が気持ち的にいいっすねぇ。さあ、見ましょうよ、続き。

カルマ : ほぉら、見てヨ。首でも綺麗に埋まってくデショ?ここだったら、骨に当たらないんだヨ。

エクリプス : あ、あ……!

カルマ : 血を吐いて助けを求めてるネ。でももうどう頑張っても助からないヨ、面白いネ。

エクリプス : いや、だ、いやだ、いやだ!

カルマ : 目を見て、ネ?生気をどんどん失ってってるヨ。ほら、温い血が君の肌を伝っていく……どんな気持ち?

エクリプス : ああ、あああ、ああああ……うっ、くぅ、うぇっ(泣きながら嘔吐く)

カルマ : あっ、ほら、力が抜けたヨ。君の手で、この子は死んだんだヨ。

エクリプス : 俺は、おれは、つよく、なりたかった、だけで、ころしたくなんて、無かった……俺の手が、この人の命を奪った、のか?嫌だ、こんな腕、おれのじゃない、おれのじゃ!!

カルマ : 君も”純粋”でいいネ……ああ、君も殺したく……っ!?あ~、最悪。なんでこういう時に来るのカナ。

グングニル : 隣国の大群とか聞いてねぇっすよ!どうするんすかカルマくん!?

カルマ : ……グンちゃん、その二人気絶させて欲しいナ。

グングニル : なるほど、了解っす。

エクリプス : ……ぐんぐに、る゛っ……(顎への攻撃で気を失い)

エヴァンゲリスト : きみたち、に、制裁が下るよう、祈っておくから、覚悟してくださいね……!!

グングニル : はいはい、存在しない神様にどうぞお祈り下さいっす。んじゃ、おやすみなさい。

エヴァンゲリスト : ぐぁっ!


   何かがぶつかる音。無音を五秒程度。


グングニル : 国境まで逃げてきたっすけど、まだ見えるっすねぇ。あーあ、二人とも連れてかれちゃったっす。

カルマ : 僕が先に見つけた純粋な二人だったの二、横取りしやがって……!

グングニル : つーか、アンタ色々と何者なんすか?その純粋っていうのもよくわかんねぇっすし、その変な口調も隣国の訛りなまりが混ざってるからっすよね?

カルマ : 凄いネ、そこまで分かるなら話が早いヨ。君だから話すことだから、他言無用でネ。

グングニル : なんか、本当に聞いていいのか不安になってきたっすけど、聞けることは聞いとくっす。

カルマ : じゃあまず、僕は隣国で指名手配中のシリアルキラーなんだよネ。

グングニル : うっわ、指名手配犯とか、嫌っすねぇ……。

カルマ : だって、純粋な子の死に顔って、すごく綺麗なんだヨ……!絶望と恐怖と自己嫌悪が入り交じった……!あ、先に純粋とは何たるかを説明しなきゃネ!

グングニル : なんか、話をすればするほど聞きたく無くなるこの現象は一体なんなんすかね……。

カルマ : まあまあ……僕にとって、純粋ってね。人を殺したことがありつつ、人を殺すことに嫌悪をいだいてる人のことなんだよネ。

グングニル : はーん、だからエヴァンさんとイーグスくんに対して純粋って言ってたんすね。納得っす。

カルマ : まだ話したいところだけど、僕としては君についても気になるんだよネ。妙に見る目があるし、勘も鋭い……何かあるデショ。

グングニル : オレはただ、少し裏社会にいただけの人間っすよ。

カルマ : ふーん、まあイッカ……。

グングニル : 帰らねぇんすか?

カルマ : 帰るヨ。でも、やっぱり、僕が殺すはずだったエヴァが連れてかれるのは気に入らないなぁって思ってネ……。

グングニル : まあ、それはわかんなくもないっすけどね。オレはイーグスくんが良い相棒になってくれるだろうなって思ってたんすよ?

カルマ : でも君、僕の”作戦”に乗ったジャン。しかも面白そうなんてひどーい理由でネ。

グングニル : 作戦?ああ、あのこの仕事を返しに行く時の話っすか。あんたのとっさの嘘も凄かったっすよ。おかげ様でスリル満点の面白い仕事が出来たっす!

カルマ : そう思ってくれたら良かったヨ。それにしても、早く帰らなきゃネ。ずっと監視されてるから……あ、そうだ。四人で一部隊を作るメリット、もう一つあったことに気づいたヨ。

グングニル : なんすか?

カルマ : 一人いなくなったり、死んだりしても、他の人が報告できるコト。
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シチュエーションボイス等のフリー台本集です。女性向けで書いていますが、男性向けでの使用も可です。 一人用の短い恋愛系中心。 【利用規約】 ・一人称・語尾・方言・男女逆転などのアレンジはご自由に。 ・シチュボ以外にもASMR・ボイスドラマ・朗読・配信・声劇にどうぞお使いください。 ・個人の使用報告は不要ですが、クレジットの表記はお願い致します。

声劇・シチュボ台本たち

ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。 声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。 使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります) 自作発言・過度な改変は許可していません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

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【短編集】こども病院の日常

moa
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ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

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