ガーデン・オブ・ガーディアン 〜Forbidden flower garden〜

サムソン・ライトブリッジ

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~四章 忘却の男編~

二話 北の大陸

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 僕はファリアが洗濯をしてくれた自分の服を受けとり、それに着替えて身支度をする。緑色をした民族調の模様の半袖に編み目の荒い長ズボン、僕の服は雪国にそぐわない軽装な衣服であった。

「ハザマさん。それだとこの北の大陸では寒いのでこれを着てください」

 ファリアは僕に暖かそうな毛皮の薄茶色コートと赤みのかかった厚手のズボンをくれた。僕はお礼を言ってその衣服をありがたく受け取って自分の服の上から重ねて着る。

「これは暖かいな……ありがとうファリア。助けてもらってばかりで何だか申し訳ないよ」

「助け合いに感謝はいらないですよ。ところでハザマさんは北の大陸についてはどれくらい知っていますか?」

「北の大陸か……。忘れているだけかも知れないが──"寒い"というくらいしか認識が無い。すまない……」

 僕は申し訳なさそうに言うとファリアはくすりと笑って僕の顔を見た。

「それじゃあ簡単に説明しますね。この北の大陸は東西南北に別れる四大大陸の一つで、年中を通して気温が低く大陸全土が雪におおわれています。所によってはあまり雪が積もらない所もありますが気温事態は低いのでどこに行ってもあまり変わりません。首都は東の沿岸部にある『セルタビゴ』でそこには北の大陸を治める『バレリー王』が鎮座しているんです」

「そうなのか。ここは西の沿岸部だから首都からは遠いな」

「そうですね。ここは首都からもっとも遠いです。……でもそのせいで問題がいくつかあるんです」

 ファリアは何故か顔を曇らせる。僕はそれを不思議そうに彼女を見る。

「なにかあるのかい?」

「いえ、その……ハザマさんは、逸脱に対してどう思っていますか?」

「逸脱……」

 その質問は僕の頭を少し考えさせた。世界の常識でもある異能の者達の存在は僕の中で基礎知識として残っていた。逸脱がどういったものであるかは忘れてはいない……が、その記憶の中にあった筈の彼等への価値観については僕は何か忘れているようである。

「……すまない。どうやら僕は逸脱に対しての存在は認知してるものの、その"在り方"に対しての感情は忘れてしまっているようだ」

「そうですか……。私は、あまり逸脱を好きではありません。逸脱は、残虐で暴虐……理性の飛んだ危ない人達と教育を受けたし、実際に私は過去に嫌な記憶も植え付けられています」

 その口ぶりから彼女の言ってる事は世界の人間の半数以上はおそらくは思っていることなのだろう。だから僕は彼女のその意見を聞いても別に驚いたりはしなかった。

「そうか……。それで逸脱がどうかしたのかい?」

「実は近年、この西の方面で悪さを働く逸脱が度々出没しているんです。人口の多い東側の首都の方から逃げてきたのか、それとも余所の大陸から流れて来たのか……。それに、物騒な話しですが最近はこの北の大陸と東大陸との政治的関係の悪化から戦争をするなんて噂も囁かれているんです。何でもその関係で東大陸から凄腕の逸脱がこちらにスパイに来ているとか……」

 ファリアは悲しそうな顔で答える。しかし戦争とは穏便では無い。どうやら世界の状勢はそこまで良くないようだ。

「それは恐いな……」

「ですよね……。ハザマさんは自分の事以外でもあまり記憶が思い出せませんか……?」

「……そういった政治的な事とかはわからないな……。この世界が四つの大きな大陸に別れてる事や逸脱の存在、あとは何だろうな……とにかく、本当に基本的な事しか思い出せない……」

 僕はファリアの言葉でまた自身の記憶の海を探ろうとするが、まるで途絶えた灯台の灯がその記憶を照らさぬように闇だけを見据える。まったく何も出てこない頭の中に僕は熱さえ出そうである。

「無理をしなくても大丈夫ですよ! そんなに頭を悩ませないで下さい。あっそうだ! これはわかりますか?」

 ファリアは僕の座るベッドの横にある花瓶に差された白い花を指差した。

「これは……わかる。これは『ゼニトの花』だ」

 ゼニトの花──この北の大陸に最も多く咲く、美しき白き花。厳しい寒さと雪に負けぬその成長力と根の強さはどの花よりもたくましく生きる生命力を表す花であり、油分の多い事から燃料に使われたり化粧品や塗料、さらには料理にも使われる万能の花でもある。

「正解です! ハザマさんわかるじゃないですか!」

「……こんなのは常識だよ。様々な花に溢れる世界の常識さ」

「常識でもそれは立派な記憶の断片です。ハザマさんはそれをどこかで知り、どこかで教え、どこかで覚えたのです。少しずつでもそうやって何気ない常識から記憶の糸を紡ぐ事が大事だと思います」

 彼女は屈託の無い笑顔で僕に言う。僕はその言葉でそんな当たり前の常識を少しだけ嬉しく思った。

「ありがとう……。そうだね、君の言う通り少しずつ思い出せるといいな。そういえば君のそれも……」

 僕は改めて彼女を見ると、首から下がる透明なペンダントに目がいった。その透明なペンダントの中には小さなゼニトの花が埋め込まれている。

「あっこれかわいいですよね! 私、この花が大好きなんです。小さい時にこの花が沢山咲く花畑に連れていって貰った事があって、その時から今もずっと好きなんですよ」

「そうか……花畑に──」

 その彼女の言葉で、僕は自分の夢を思い出す──。幾度と無く見たであろう夢──黄金の花畑が咲き誇る、その中心に僕がいて──謎の人物が…………

「ハザマさん──?」

「! あっ、ああ──ごめん。ちょっと変な夢を思い出してね」

「?」

 僕はぼーっとしてたようで彼女の声で我に返ると、少しあわてふためいた。

「そっそうだ、君のおじいさんにもお礼が言いたいんだけど……」

「おじいちゃんなら今、離れの小屋で薪を割ってるのでもうちょっとしたら来ますよ」

 彼女が答えると、ぐううと僕の腹が情けなく鳴った。

「あ……」

「ふふっ。お腹減りましたよね? おじいちゃんが来るまで時間があるので食事を作って来ますね。暖かいスープを作るのでハザマさんはここで待っていて下さい」

「あ、ああ……何から何までありがとう。本当にすまない……。それと、ファリア」

「なんですか?」

 ファリアはくるりと回って僕を見る。

「その……僕に"さん"付けはいらないよ。ハザマでいい。僕は自分の歳はわからないが、見たところ僕と君はそこまで年の差は無い筈だ」

「いいんですよ! 私がそう呼びたいんですから!」

「でも……」

「ハザマさんはたぶん私よりも二、三歳ほど年上です。年上はうやまわなきゃ駄目だって教えられていますので!」

 彼女が笑顔で答えながら部屋を出ると、僕は肩の力を落とす。ぼーっと天井を見上げて、深く深呼吸するとため息を吐いて頭を抱えた。そしてしばらくその体制でこれからの事を考える。ここは北の大陸、自分が何故怪我をして倒れていて記憶さえ無いのか……これからどこへ向かうべきなのか、金は、仕事は、家族はいるのだろうか──。次から次へと出てくる疑問の数々は不安の材料ばかりである。

 一時間ほどそうやって時を過ごしただろうか、僕はふと我に返って彼女が出ていった扉を見る。

「料理の手伝いでもするか……」

 今の自分にできることがそんな事くらいしか思い浮かばないのは情けないが、少しでも役に立とうと僕は立ち上がって扉を開き部屋を出た。

 隣の部屋から香ばしい……いい匂いがする。これはスープの匂いであろう。僕は彼女に声をかけようと部屋に入ろうとする。

「ファリア、僕も何かてつだ──」

 僕は、その部屋に入って言葉を詰まらせた。そこには彼女が苦しげな表情で頭を押さえて倒れていたのだ。

「ファリア!?」

 僕はすぐに彼女を抱きかかえる。するとファリアは苦しそうに吐息を漏らしながら熱を帯びていた。

「大丈夫か!? ファリア!?」

「あ……ハザマさん……。すみません……大丈夫、です」

「大丈夫じゃないだろう!? どうしたんだ!」

 明らかに大丈夫では無い彼女を僕は心配する。だが、彼女はその言葉通りに徐々に熱を下げて呼吸も元に戻りつつ、目を開けた。そしてゆっくりと立ち上がると、

「すみません。私、昔からの持病で時折ひどい頭痛が襲うんです。それで今みたいにたまに倒れちゃうんですけど……それも短時間で治っちゃうんで、心配しなくても大丈夫ですよ。ごめんなさい」

 彼女はえへへと笑いながら答える。僕は彼女の安否に胸を撫で下ろすが、それでもまだ心臓は高鳴っている。

「そうなのか……君も大変なんだな。しかし安静にしておいた方がいい。スープは僕が作るよ。君はゆっくりしていてくれ」

「大丈夫です! もう元気になったので! ハザマさんが思うほど別に大した症状では無いんですよ。ほらこんなに元気です!」

「そうは言ってもなあ……」

 ファリアは腕をぐるぐると回しながら健全さをアピールする。僕はなんだか腑に落ちないが、しぶしぶと彼女がスープをかき混ぜるのを後ろから見守る。

「よーしスープ完成です! 早速食べたい所ですが、おじいちゃん遅いですねえ……。ちょっと様子を見に行ってきますね」

「それなら僕が行ってくるよ」

「なら二人で行きましょう! 離れの小屋はすぐそこなので」

 彼女は進んで部屋を出ると僕はその後ろを着いていく。木造の家を出るとまだ外は少しだけ吹雪ふぶいており、昼間だと言うのにあまり視界がよろしくない。

 悪天候だが視界の先に見えるほんの十メートルほどの距離の離れの小さな小屋は嫌でも目についた。僕とファリアはすぐに小屋へと着くと、その入口の扉を叩く。

「おじいちゃーん? ごはんできたよー!」

 彼女が扉をバンバンと叩いて祖父の返事を問うが、何故か反応が無い。そして外はひたすら寒かった。僕は腕を組んで暖を逃がさないようにし、改めて家の中がとても暖かいことに今さら気づいた。

「あー、たぶんおじいちゃん寝てますね」

「この寒さの中で寝てて大丈夫なのか?」

「ふふふ。小屋の中は暖かいので大丈夫ですよ! おじいちゃん入るよー?」

 ファリアは小屋の扉を開ける。小屋の中から暖かい空気が──何故か流れてこない。冷たい空気が僕とファリアの肌をなでた。


 そして、僕達の目の前、そこにいたのはファリアの祖父の……冷たい亡骸が倒れていたのであった────。




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