サラリーマンのおっさんが英雄に憧れたっていいじゃないか~異世界ではずれジョブを引いたおっさんの英雄譚~

梧桐将臣

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第2章~学園動乱編~

偽りの王と分析するおっさん

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「いやっ!やめてー!!」

被害者めいたセリフとは裏腹に、ゴブリンを蹴り上げ大きく吹き飛ばすエリス。

吹き飛ぶゴブリンはエリスを阻んだ不可視の壁にぶつかり弾き返される。

その間にエリスは体勢を立て直し大剣による一撃で襲ってきたゴブリンを屠る。

さすがにレベル3程度の雑魚ゴブリンには遅れをとらないようだ。

「ゲギャーー!!!!」

仲間が殺され憤るかのように喚き声の質を変化させる雑魚ゴブリン達。

更に何匹かがエリスに襲いかかろうとする素振りを見せるが「ガウギャ!!」ゴブリンシャーマンが発した一声により彼らはびたっ!と動きを止める。

――ここまででわかった事がある。

まず、どうやらエリスの攻撃を阻む不可視の壁は内側からは通り抜けができるが、外側からの攻撃や肉体の貫通を許さないらしい。

エリスの攻撃はもちろん、外にでてきたゴブリンも不可視の壁にぶつかり弾き返されていた。

更に厄介なのはゴブリンシャーマンによる統率は紛れもなく本物で小隊としての機能を果たせているという事だ。

ゴブリンシャーマンによる統率が無ければ、怒りに身を任せて何匹かのゴブリンは結界の外に自ら出て来てくれて簡単に倒す事ができただろう。

そのチャンスも統率力により訪れる事は無かった。

そして俺が1番気に食わないのは、戦闘が始まり部下の1匹が殺されている状況にも関わらず醜悪な笑みを張り付かせながら自らの欲望をぶちまけようとする行為をやめないホブゴブリン・ザ・スウィンドラーだ。

結界に絶対の自信があるのか、自分の戦闘力やシャーマンへの信頼感なのか余興が1つ増えたといわんばかりに余裕なその態度。

やはりすぐにでも撤退をした方がいいのか。

いや、いけない。

相手の余裕に飲まれいたずらに判断を鈍らせないようにしなければいけないと、一度頭をリセットし状況を整理する。

こちらの戦力は先日【ユリダ武具店】で購入したほりだしもの装備である花風羽織と春時雨という刀で戦力の大幅アップに成功したレベル11の俺。

それとオルニア学園の試験やゴブリンとの戦闘から察するにレベル6~7程度はあると思われるエリス。

対して敵はレベル10のホブゴブリン・ザ・スウィンドラーとレベル8のゴブリンシャーマン。それとレベル3程度の雑魚ゴブリンが9匹。

この戦力差なら決して倒せない敵たちでは無いが、結界がある事によってこちらの攻撃は一切通らない状況である。

しかし、接近しての攻撃はゴブリン側も結界の外にでてこないといけないので、遠隔攻撃が来ない限りはこちらもダメージを受ける事は無い。

更に俺が気になる事は玉座に鎮座するゴブリンの名前だ。“ロード”では無くホブゴブリン・ザ・スウィンドラー。

“ザ”がつく事からボスクラスのモンスターという事は間違いないが、留学時代の記憶をフル稼働して絞り出した俺の知識によると、スウィンドラーの意味するところは詐欺師。

詐欺師となると戦闘力自体はそんなに高くないかもしれない。

そしてゴブリンシャーマンがロードと呼んでいるところを見ると、自分をロードと偽ってこの群れの王を気取り酒池肉林を楽しんでいる可能性が高い。

――やはり勝てる。

結界さえ破る事ができれば戦って勝てる可能性は充分にある。

まずは結界を破る。

その為にもエリスを落ち着けなければ。

ただしここで落ち着けと言ったところで逆効果になる気しかしないので、具体的な指示をして行動のコントロールを試みる。

「エリス!まずは結界を破るぞ!あの結界は内側からは通れるが外からの攻撃は全て弾き返される。その代わり奴らが外にでてこない限りはこちらも攻撃は受けない!」

「わかった!だけどどうやって破れば良いんだろう。早くあの人達を助けてあげないと!」

「ゲギャギャー!オマエラゴトキデハ、コノケッカイヲヤブルコトハ、デキナイ。」

こちらの会話を完全に理解しているゴブリンシャーマンが嘲笑と共に言葉を投げかけてくる。

幸いエリスも簡単な挑発には乗らずどうにか結界を破る方法を考えようとしてくれているように見えた。

「ナツヒ君!私は考えてもわからないからとりあえず結界に攻撃を繰り返してみる!考えるのは任せたよ!」

冷静さを失っているようにも見えたが、もしかしたら最適解かもしれない。

この結界が一定量のダメージを与えたら壊れるタイプというのは可能性の1つとしてはあるので、その部分の実証をエリスに任せるとする。

「わかった!もしかしたら攻撃を繰り返せば結界を壊せるかもしれない!ただし遠隔攻撃には気をつけてくれ!」

エリスは俺の呼びかけに目で応えそのまま不可視の壁に向かい大剣による斬撃を繰り返す。

しかし予想通りその全ての攻撃が結界に弾かれてしまっている。

「ハッハッハ!威勢ノ良いオンナだ。ソレニ胸モ尻もデカイ。ワシ好みのオンナだ。・・・ン?モシヤ報告にあったオンナか?」

ここで初めてホブゴブリン・ザ・スウィンドラーが口を開く。

シャーマンよりも幾分か聞き取りやすいその言葉は知性の高さを伺わせるが脳内は性欲に満たされているらしい。

報告というのは恐らく外に出て行ったゴブリン達から、エリスに関しての情報があったという事だろう。

16歳にしては大きく発達した胸や丸みを帯び張りのある大きい臀部。

繁殖に対して旺盛なゴブリンからはさぞ魅力的に映ったに違いない。

その報告を受けこの偽りの王がレベル6のゴブリンリーダーを含む18体という戦力を狩りに出撃させたという事だろう。

俺の考察をよそにエリスは空色の瞳を吊り上げ声の主を睨みつけながら「ここの女の人達を解放してあげて!なんでこんなひどい事を平気でするの?」と結界への攻撃を繰り返しながら偽りの王に問いかける。

「酷いコト?ワシらは子孫を増やす事が出来、オンナは快楽に溺れるコトが出来る素晴らしい行為デハナイカ。ソレノ何が酷いコトナノダ?」

「どこが快楽よ!みんな泣いているじゃない!それに好きでも無い人とこんな事したい女の子がいる訳ない!すぐに辞めて!辞めさせてよ!」

「ハーハッハ!言うてもワカラヌのなら見せてヤロウ。」

偽りの王はそう言うと、自分の膨張した欲望に奉仕していた女性のうちの1人をおもむろに掴む。

「いやっ!」

掴まれた女性は抵抗する様子を見せるが、3メートル程もあるホブゴブリンの力に抗える訳も無く、そのまま持ち上げられる。

「や!いやっ!許して下さい!」

女性は涙ながらに叫び、尚も抵抗の意志を示すがホブゴブリン・ザ・スウィンドラーは女性を目の前で持ち上げたままゆっくりと下ろして自分の下半身へと近づける。そのまま哀れな贄と向き合い座らせる形で己の膨張した欲望を、無理矢理体内にねじ込んでいく。

「あああぁぁーーっっ!!!!!!!」

女性の悲痛な叫びが響き渡った。
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