【R18】美少年との出会いはご先祖様のお導き⁈童貞を奪ったらイケメンに成長して翻弄されました

とらやよい

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執着 〜フェリクス視点〜

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 腕枕ですやすやと眠る彼女を抱き寄せ、そっと呟く。

「……ずっと君を見ていた」


 五年前…あの後すぐ、君のことは調べた。
 リディ・クレマン。クレマン公爵家の子孫と検索すれば大体のことはわかった。

 君のSNSを見た。もう僕のことなんか、これっぽっちも頭の片隅に残ってない様な…仕事や旅行、友人との楽しそうな写真を見ては…自分だけが君に捕らわれ進歩していない人間のような…取り残された人間のように思えた。

 君を忘れようと女性と付き合ったりもした。なのに…忘れるどころか、より一層鮮明に君を思い出すようになった。
 いろんな女性をとっかえひっかえ試してみた…自暴自棄になり片っ端から言い寄ってくる女としたこともあった。君が言うような世間一般で受けが良いというスタイルが良くて美しいだけの女なんて吐いて捨てるほどいた。でも、それだけの女だ。僕は君以外の女に価値を見出せない。
 
 違うんだ。
 僕の求めているものはこれじゃない。

 ただ性的な欲求を解消するだけの関係に僕の心は渇ききっていた。

 誰とどんなことをしても君から得たような充足感を得ることは出来なかった。

 君の代替えなんている筈がない。もっと早く気づくべきだった。


 ずっと心配だったんだ。童貞だった僕とのセックスが全然良くなくて、幻滅されたんじゃないかって。だから何も言わずに僕の前から消えたんじゃないのかって……拒絶されたんじゃないのかって……。
 
 心の渇きを埋める為に君のSNSの写真を見まくった。見るだけでは気持ちが収まらない、君の姿を一目見たいと思う気持ちは日に日に大きくなり…収まるどころか逆に強い欲求となって僕を行動へと突き動かした。

 家から職場に向かう君を、客に満面の笑みで花束を渡し見送る君の姿を、近所の犬を撫でる姿も…僕以外の男と街を歩く様子も……見ていた。

 きっと気持ちの悪い男だと思われるだろう。
 わかっているよ、自分が気味の悪い男だってことぐらい自覚はある。

 でも、止まらない。

 君の姿を見ていたくて、ホテルのフラワーコーディネートを事務所に依頼した。

 リディ、僕は作業の没頭する君を見ていたんだよ。
 柔らかなウェーブのかかったブラウンの髪をフワフワと揺らしながら花の入ったバケツを抱え急ぎ足で歩く君。ヘアゴムで髪を一つにまとめた時に見えるうなじや後れ毛も何もかもが僕の目を惹きつけた。作業に夢中になっている時の君の丸いブラウンの瞳は、きらきら輝いていた。

 見ているだけでいいなんて思いは、いつの間にか消え失せていた。
 
 人はどんどん欲張りになる。

 でも、堂々と名乗り出られるような別れ方をしていない。君に拒絶された僕が自ら名乗り出るなんて出来なかった。

 君には自己評価が低いとか偉そうに言ったものの、随分と長い間…僕も君と同じ闇から抜け出せずにいた。

 君に対してだけ自信が持てない。勉強でも仕事でも、こんなことはなかったのに。


 そんな時、好機は訪れた。

 そして僕は行動に出た。

 偶然にもホテルで大きなクレームが発生していると聞かされた。君にとっては仕事での大きな失敗で辛い出来事だったかもしれない。
 でも、僕のとっては絶好のチャンスだった。君の前に自らの姿を現す、この機会を逃してはならない。僕は勇気を振り絞った。

 そして今、君は僕の腕の中にいる。

 リディの寝息を聞きながら思う。

 初体験の相手だから特別に思えるだけだと、散々僕を笑った奴等に言ってやりたい。
 そのとおり、初体験の相手だからリディは特別なんだ。
 当たり前だろう?初体験が彼女であったことが特別なんだ。
 何度でも言ってやる。初体験が彼女であったことが重要なんだ。

 逆に聞きたい。きっかけは初体験、そこから好きになってなぜ悪い。

 僕の五年間の執着を舐めるなよ。


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