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おかえりなさい
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頭をとても優しい感触が撫でる。とても温かいそれに、心にぽわっと灯が点る。それが光琉のすべてを温めて、体中に安心感が広がっていった。
光琉はその温かさに撫でられるのが好きだし、その温かさが大好きだ。
(もっと......)
もっと撫でて欲しい。そう思っていると、温かさが口元に触れた。心地よくて、いっぱい欲しくて、その温かさに惹き込まれるように意識が浮上する。
眠りから覚め、瞳を開けると―――――
目の前に光琉が会いたくて、会いたくて堪らなかった、大好きで仕方ない近衛の笑顔があった。
瞬きを繰り返すと、目の前の唇が音もなく『ひかる』と名前を呼んだ。
「っ......!」
瞬間、ふわりと太陽のような近衛の匂いが舞って、大好きな匂いに堪らず光琉は腕を伸ばした。
光琉の腕から、抱きしめていた近衛のブルゾンが零れ落ちる。だけどそんなこと気に留めていられなかった。だって、光琉が求めてやまなかった愛しい人が、目の前にいるのだから。
光琉は近衛の首に思いっきり抱きついた。
「近衛先輩......!」
「ふふ、光琉」
ぎゅうぎゅうと抱きつく光琉を、すぐに近衛が抱き返してくれる。大きな掌が背中を撫でて、とてもつもない安心感に包まれ、思わず涙ぐむ。
「うーこのえせんぱぁい......」
「うん」
抱きつく光琉の頬に、その頬を寄せ近衛が微笑む。微笑んだ時の吐息が、頬をくすぐった。それさえも愛しくて嬉しくて仕方ない。
光琉は少しだけ体を離すと近衛を真正面から見つめ、そして嬉しさを隠さず笑顔になった。
「おかえりなさい」
光琉の笑顔に、近衛が眩し気に目を細める。
「だたいま、光琉」
光琉を見つめる瞳に愛が溢れている。その瞳に見つめられるだけで、胸がきゅうと甘く疼いた。
どちらからともなく顔が近づいて、啄むように唇を重ねた。数度それを繰り返した後、噛みつくように近衛にキスされた。重なった唇はすぐに深くなる。差し込まれる近衛の舌の感触が気持ちよくて、自分の舌をすりすりと絡ませる。するとキスをしたまま、近衛の口角が嬉しそうに上がった。光琉も嬉しくなって、近衛の舌先をちゅうちゅうと吸い上げた。
光琉の可愛い仕草に近衛は笑みを深め、光琉の舌の裏をなぞるように舐め上げた。
「ふ......んぁ......」
そのまま光琉の舌を自分の口内に誘いこみ、お返しとばかりに今度は近衛が光琉の舌を吸って、舌先に軽く歯を立てる。
「んっ、ん、ん......ふぅん......」
光琉から鼻にかかった甘い声がひっきりなしに漏れた。
(あ......だめ、気持ちいい......)
甘くて、心地よくて、頭がポーッとしてくる。ギュッと近衛の首に抱きつくと、背中に腕が回された。もう片方の手が頭を支えて、光琉はベッドの上に押し倒された。
覆いかぶさってくる近衛の体温が心地いい。押し倒されて、さらにキスが深くなる。
「んぅ......んっ......」
まじりあった、自分と近衛の唾液を、光琉はこくんと飲み込む。
「ふぁ......」
唇が離れる頃には、光琉の息は上がり、頬はピンクに染まっていた。
すっかり蕩けきった表情で光琉は近衛を見上げる。
「あーもう可愛い。かわいい。俺の光琉。大好き」
そんな光琉に堪らないというように、顔中にキスを降らせながら近衛が甘く囁く。
近衛の両腕が光琉の背中にまわされギュッと抱きしめられる。ぴったりと引っ付き合った体から、近衛の心臓の響きが伝わって、愛しさが沸き上がった。体が近衛の体温と匂いに包まれ、光琉は心地よくて思わず、ほうと息をを吐いた。
近衛が光琉の首筋に顔を埋める。
「光琉から男の匂いがする......」
「えっ?」
何のことか分からず驚きの声を漏らすと、近衛が顔を上げてにこーと目を細めた。
「って......これ、俺の匂いか」
そう言って近衛がデレッと顔を崩す。男前の顔を、これ以上にないというぐらいデレデレに惚けさせ、近衛は上機嫌です! というのを隠しもせず笑顔になった。
光琉は思わずパチクリと目を瞬かせ、だけど次の瞬間、自分の状況を思い出し真っ赤になった。
「あ......これはっ!」
どうにか言い訳を探すが、近衛のパーカーを着て、大量の近衛の服に埋もれているところを見られてしまっているのだ、どうやっても誤魔化しは効かない。恥ずかしくて、光琉はますます赤くなった。
だけど、そんな光琉とは反対に、近衛はとても嬉しそうににこにこと笑っている。光琉と目が合うと、切れ長の綺麗な瞳がなくなるんじゃないかというほど、とてもとても幸せそうな笑顔になった。
「............」
そのあまりに嬉しそうな近衛の笑顔に、光琉から恥ずかしさが消えていく。代わりに、甘くくすぐたいような胸のときめきが広がった。
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