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これからも一生一緒に♡
しおりを挟む近衛はホテルの廊下を歩いていた。
加藤がまた呼んでくれて、近衛は名古屋の病院に再度研修に来ていた。加藤は近衛のことを買ってくれているようで、惜しげなく自分の知識を与えてくれる。本当にありがたいことだなと近衛は思う。
だけど、前回より専門的になった学びと、増えた実技の量に、睡眠時間は日に日に削られ、疲労はピークに達していた。しかも研修ということは、近衛は光琉と離れ離れになっている。それがまた近衛の疲労を重くさせていた............だろう。もし、光琉がいなければ。
「ただいまーー!」
ホテルのドアを開け、近衛は上機嫌で部屋の中に向かって声をかける。すると。
奥からヒョコッと、とてもとても可愛らしい生き物が顔を出した。
「おかえりなさ~い」
光琉は近衛の顔を見て嬉しそうに笑顔を浮かべ、こちらに向かって駆けてくる。可愛い光琉を受け止めるため、近衛は腕を広げた。その腕の中に、光琉はためらいもなく飛び込んで来た。
「お仕事お疲れ様です。近衛先輩」
その上そんな可愛い言葉をかけられて、近衛はデレッと顔をニヤケさせた。
(かわいい~~かわいすぎる~~あー疲れ吹っ飛ぶ!)
光琉の感触を味わうように抱きしめ、近衛はすぅぅーと光琉の匂いを吸い込む。それだけで一日の疲労はあっという間に吹き飛んでいった。
「先輩、上着かして」
「ありがと」
スーツの上着を受け取り、光琉がハンガーにかけてくれる。まるで奥さんのような姿に、近衛はただでさえにやけた表情をさらにデレデレにさせた。
「よっと」
「わぁ......!」
光琉がハンガーをかけたのを見届けて、その体を抱き上げる。急なことに驚いた声を上げた光琉だったが、すぐに笑顔になって近衛の体に腕と足を絡ませしがみつく。
(あーマジで可愛い!)
それにも癒されながら、近衛はベッドに優しくその体を下ろし、自分も乗り上げるとギュッと光琉を抱きしめた。
「大丈夫? 疲れてない?」
強く抱きしめる近衛の腕から、プハッと顔を出して光琉が小首を傾げる。それもめちゃくちゃ可愛くて、なんでこんなに可愛いんだろうと、近衛はしみじみする。
「光琉が研修ついてきてくれてるおかげで、めちゃくちゃ勉強はかどるし、こうやって抱きしめてるだけで疲れなんて一瞬で吹っ飛ぶ」
「ふふ、よかった」
微笑むと光琉はぎゅっと近衛の首に抱きついた。
あれから何度か研修に呼ばれるようになった。初めての研修の際、光琉と離れると体力的にも精神的にも、二人にとってよくないと思い知った近衛は、研修にいくことを渋っていた。すると加藤が『恋人も連れきたらいい』と言ってくれたのだ。
さすがにそこまでしてもらえないと返したのだが、『そのぐらいで狼上くんのモチベーションが上がるなら、未来の医療への先行投資だよ』と笑ってくれたので、お言葉に甘えることにした。
その加藤の勘は当たり、近衛はめきめきと頭角を表し、次々と新しいことを覚えていった。
光琉が病院に挨拶に来た時に、近衛は『俺の恋人です』と紹介した。最初はみんな驚いていたが、近衛のあまりにもなデレデレぶりと、可愛いくて素直な光琉の性格も相まって、今ではすっかり受け入れられている。どころか、光琉が顔を出すたび、みんな可愛い可愛いと相好を崩し、すっかりマスコットのような存在になっている。
(まあ、こんなに可愛くて性格も最高に可愛いんだ。当たり前だけどな!)
近衛は自分のことのように鼻が高い。とはいっても、光琉は近衛のものなのだから、そこら辺の牽制はしっかりと怠らない。
「そうだ! 今日お店回ってみたんだけど、何店舗か牧場の商品置いてくれるって言ってくれて」
近衛に抱きついていた光琉が、嬉しそうに今日の出来事を報告してくれる。
近衛が病院に行っている間、時間がある光琉は、実家の牧場の商品を置いてくれる店を開拓していた。
「近衛先輩が、良さげなお店をピックアップしてくれたおかげ。ありがとう」
光琉の牧場では、エサや牛の育て方にこだわり、自然な形で動物を飼育している。近衛はそれにあった店を見繕っただけだ。律儀にお礼をくれる光琉が可愛くて愛しい。
「光琉の熱意が伝わったんだよ。よかったな」
嬉しそうな光琉を見ていると近衛も嬉しくなる。自然と笑顔を浮かべ、近衛はよしよしとその頭を撫でた。
二人見つめ合ってふふふと笑い合う。
「そうだ! 無農薬で育てるに適した土壌の話なんだけど、大河に相談したらさ......」
「うんうん」
足を絡め、二人は更に体を寄せ合う。
「将来はこういう商品も作って、海外展開とかしたいよな」
「海外かぁ~夢が広がるね! じゃあいっぱい美味しい野菜つくらないと、あっドローンで肥料撒くとか」
「光琉は天才だな!」
いちゃいちゃと抱き合いながら、近衛と光琉は二人で過ごす将来に想いを馳せた。
二人が経営する牧場と農場は、次世代を担う天才の助力を得て不可能なことがなくなり、地域住民からも愛され、道内だけじゃなく、海外にもファンができ、近衛と光琉はもちろん、家族や動物たち、まわりの住人の健康も健やかに、驚くべき程の発展を遂げていくのだが、
それはまた別のお話。
終
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