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day2
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「君、これを何処でひろったのかな」
クラウスは笑っているが俺を疑っているのは間違いない、どうやってもビームでドカンとやられてしまう未来が見えて仕方がない。
「このガキ、どうゆうつもりだ、あ?もしかしてお前、反逆者か?もしくは魔族か?どちらにしても生かしておけねぇな!」白髪のケモナーお兄さんがイキリ出すと、途端に雰囲気が物々しくなり、距離を取りながら俺を囲むように動き出した。
殺せ、殺せという声が飛び交い、俺は自分の段取りの悪さを呪い始めていた。せめて使い方をもっと追求していれば、オンオフの切り替えとか出来たんじゃないだろうか。
後悔しても遅いのは承知の上なのだが、思わずにはいられない、だって殺されてしまう結果が今こうして反映され、考慮していれば防げたことをみすみす流してしまったのだ。愚かにもほどがある。
俺はこんなときにふとレンジで温めないと食べられない弁当を常温だからとチンしなくていいですといい、フタを開けると米がパサパサで、あ!そうゆうことかと気がついたときには遅く、周りからお前それ美味しいかという視線を向けられながら我慢して食べたことを思い出した。あの時の店員さん、もう少し説明欲しかったな。
ドン!と冒険者の一人に肩を突き飛ばされ、俺は現状に呼び戻された。
「クラウスさん、コイツ怪しいですよ、火のないところから煙は出ないって言うし、やっときますね」洋風の甲冑を纏った男が剣を引き抜き、わざとらしく上段に構えた。
助けてクラウスさん、アンタここでオトコの器見せつけんでどうすっと?
「うん、いいよ」
くそがぁ!やっぱりろくな奴じゃなかったな、流石殺せと言われただけのことはあるクソ野郎だ。
「ボウズ、あばよ。天国でも剣が作れるように俺たちが祈ってやるからな、ヒャッハー死ネェ!」
瞬間、俺は素早くあのラムネ菓子状の何かを数粒口に放り込んで遮二無二噛み砕いた。もうこうなればベストを尽くして、俺は頑張ったけどしょうがない死に方をしたんだねと思われたら最高だと思う、誰にだよ!俺はもう考えられないくらいパニックになっていた。
ゴキ!っと鈍い音がしたかと思うと俺の肘が甲冑を凹ませ、奴の口から赤い液が流れ落ちた。
しかし俺の体は勝手に動き続け男の首に手を回し足を払い、背中合せに回り込み肘を入れ、倒れる奴の首にあたる部分に拳をねじ込んだ。
これがバトレットによる恩恵なのか。らイメージとしてはゲームなんかのオートプレイに近い感覚、自動二輪講習で後ろに乗せられて上手い操縦を近距離で見せられるのを主観で眺めているような状態に近い。痛覚や節々の稼働範囲も自分のものとは少し違う気がする。確信はできないが、利用されている俺の体にも多少の身体的影響があるみたいだ。
男は倒れ、やがてdeadの文字がゲームのように男の横たわる体の上に表示された。どうやらこれがあの書類の希望に沿ったフィルターの役割なのだろう。VRのような違和感はなく視界に映って何かに固定されたかのようにピタリと静止しているように見える。
もっとよく見ようと目を凝らして思考を巡らせようといた途端ヒュッと耳をかすめるような音がした。思わず振り返るとゲームで激レア扱いされてそうな、いかつい槍がぐっさり地面に刺さっていた。仲間が殺され周囲の殺意は確実なものに変わったようだ。
「よくもダイルをやってくれたな、お前は許さない」
先程の槍の使い手と考えられる男が、敵意むき出しで向かってきた。大の大人が殺意を自分に対してむけてくるなんて1週間前までバイトして、買い物してくらいでしか人と関わることが出来ない、アニメを見ることくらいが唯一の楽しみな陰気な俺にはとてつもない恐怖だった。やばい、どうしたらいいんだろう。心拍数が跳ね上がる、体は固まって動けない、視界が暗くなり、ぐるぐる周囲が回っている気がしてきた。男の目が俺を捉えているのが分かる。迷いのない足取りで野犬のように下品で醜悪な殺意を俺に振りかざしたいがために近づく様子が変え難い未来を強引に早く早くと男が嬉々として自らに引き寄せて見えた。
「うぁぁぁぁーーーーー!」
勝手に口から声が出た。男に俺は釘付けになって視点をそらすことが許されないようだった。さっきのように反撃できない、考える時間が恐怖を居座らせる空間を作ってしまった。何もかもが形を留めておけない、風景が輪郭を崩して互いの色と混ざり合いサイケディックにチカチカ光り出した。魔術か?それとも俺の目が回っているだけなのか。
視界がぼやけ、気が遠のいて俺は前から倒れ込みそうになる。
しかし1歩踏み止まることがきっかけになったのか体は勝手に動き出し敵に向かって今度は全力で走り出した。視界ははっきりしている。必要な視覚情報をひったくるように目まぐるしくシーンがかわる。そして今の状況に対し俺が生き延びるための選択肢、瞬時における俺という命の居場所に対するアプローチはどうしたら成功するのか思考が廻り始めた。
男の得物は俺の背後にある。この位置からして奴のとる行動は主に2択ある。魔術で遠隔操作した槍で俺を刺し殺すか、又は拳で、要は体術的な心得があり肉弾戦になるか、だ。近づけば魔術はキャンセルされ遠隔操作はむこうになり、肉弾戦ではまだどうなるかはわからない。
そうか、だから敵に対し距離を縮めようとしているのか。
「どちらにしても接近しないと俺に勝算はないよな。」
ボソッと独り言を言える余裕まで出てきた。これならなんとか漏らすことなくやれそうだ。
槍使いが手を伸ばす、何か呪文のようなものを叫んだ。背後で槍がひとりでに抜けて飛んで来る気配がしたが、魔力によるものだったのか近づいてきた途端、力を失い地面に転がったのが聞いて取れた。俺の体は依然敵に向かって一直線に突っ込んでいくようだ。
敵の殺意は、俺が近づくほど薄れ怯えが見え隠れしているようだ。
やがて奴との距離が間合いに入った時には戦士の顔はなく、怯えきった男の顔が繰り返し同じ言葉をすがるように叫んでいた。
ドスッと鈍い音がして何故か甘い匂いがした。なんだか苺のような匂いが…俺の前に伸ばした左腕のあたりにする。
「うああああ!あのクソガキぃ、ルーカスをやりやがったぁ!ああちきしょう!!」
野次馬のかなしいような怒っているような声が、わんわん耳に響いた。
そうだ、俺は…奴を手で刺し殺したんだ。本当に信じがたいが俺の左腕は敵の胸部を貫通していた。肘から感じる生暖かい体温や硬い何かの感触が現実を帯びているのだがフィルターの影響で貫通部がうまくピントが合わないというかぼやけて見える。さらにほたぼたとおちている血液のようなものは強烈な甘い匂いがしていた。きっとこの匂いは俺にしか感じ取れないものなのだろう、そうでないならこの世界の住人はお菓子でてきてる、なんてでたらめな考察が立てられかねない。
体の主権は元に戻ったようで今は動き出す様子はない。いつまでも気持ちの悪いこの状況は嫌なので素早く腕を敵から抜いた、案外するっとぬけるらしい。
地面に捨てるように離した男の貫通部を改めて見ようと思ってもやはりぼやけてよく見えなかった。
頭のあたりに死亡表示があることから息を引き取っているのはわかった。ならネクロマンサーがいない限り再び動き出すことはないようだ。
このギルドは全滅させないといけない、そう思った。
残せばそれだけ俺の生存確率は低くなる。目標だった男だけとはいかないのは当初の目的と違うように思えるが、自分が死ぬより他人が死んだ方が2択とするなら悩むことなく他人を犠牲にする方が自分の命のあり方として筋が通っている気がする。何よりここで起きたことは俺が住んでいる世界ではないので、彼らの命の重さについて考慮できるほどの余裕はないし、奴らは一般では無い。武器を持っている以上、やる気なんだからやられても文句は無いだろう、戦場で咲く花として街にいるかもしれない知り合いや家族に美談として残るなら心残りなんてないはずだ。少なくとも目の前、いや、この周辺にいるクラウスのギルドメンバーは致し方なくなんて奴らじゃない。格好はどうあれ全員戦うことを好み、派手な魔術光線をばら撒いている俺かっこいい、仲間の窮地を助けるヒーラーの私イカしてる、とか思ってる連中なのだ。残党は結構な数だし、何が使える奴らか未知数な敵ばかり、クラウスに近づくにしても避けて通れないし、もう潜伏して暗殺するという選択肢は使えない。
ラムネ状の菓子を半分位掌に出して口に放り込んだ。あまり美味しくはない、だがこれが今自分の唯一の有効手段であることは分かっている。
俺はまずフードをかぶっている集団を襲った。恐らく魔術師だ、通常なら遠距離攻撃や回復、魔力を纏わせ、筋力をカサ増ししで振り回すことで戦うような奴らだと俺のアニメ視聴史から培った無駄情報が脳裏に浮かんだ。しかし今はそれをあてにするしかないくらい情報が無いし、なりよりこの世界のルールは元は日本人のクラウスの理想に偏っていると想像して行動した方が効果的な気がする。
ならおれには簡単殺せる初めに潰さないといけない連中は誰か?近距離戦闘が得意じゃない魔術師からと結論が出る。
離れたところで回復なんてされても困るし、今は全滅させる、数をこなさなきゃならないんだ。
赤い魔弾が俺に向かってすごい速さで飛んでくる。ピッチャーライナーなんて比べものにならないくらいの体感速度でバレーボールくらいのを何発もだ。
しかしそれも俺の目の前に来るとパリンとガラスが割れるような音を立てて消えていく、せいぜい目眩しくらいにしか効果がない。
俺は距離を詰めた一人を蹴り倒した、フードがめくれ、顔があらわになる。女だった。俺を睨んで口早に何かをぶつぶつ唱えている…消さないとおれがやられるんだ。
頭を思い切り蹴り飛ばした。重みをかんじることもなく飛んでいったのは先ほどの女の頭ではなく、スイカだった。欠けたスイカがおかしいほど濃い赤い果汁を撒き散らしながら弧を描いて何もない荒野に割れることなく着地した。
頭部を失った女だったそれに目をやるとやはりぼやけてピントが合わない、よろよろとふらついているクビ無しは倒れ込むとたくさんの血を口から吐き出した。首から上がなくなると首だったところが口になるのかと狂気的な思考にシフトチェンジしそうになるところをパニックによる人々の忙しい足音と鉄のこすれる音、女のヒステリックめいた声や男の怒りか野望に燃えているような太い声が俺を現実に縫い付けてなんとか自分の行いと結果を一貫して私物化することに成功していた。きっとこの繰り返しをしていれば俺の手にはターゲットを刈り取る感触が。立体的でいて温度を、湿感や方向を、纏めて言うなら生を間近に感じとっていながら終わらせることが俺にできる瞬間が訪れる時がくるとそう思った。
クラウスは笑っているが俺を疑っているのは間違いない、どうやってもビームでドカンとやられてしまう未来が見えて仕方がない。
「このガキ、どうゆうつもりだ、あ?もしかしてお前、反逆者か?もしくは魔族か?どちらにしても生かしておけねぇな!」白髪のケモナーお兄さんがイキリ出すと、途端に雰囲気が物々しくなり、距離を取りながら俺を囲むように動き出した。
殺せ、殺せという声が飛び交い、俺は自分の段取りの悪さを呪い始めていた。せめて使い方をもっと追求していれば、オンオフの切り替えとか出来たんじゃないだろうか。
後悔しても遅いのは承知の上なのだが、思わずにはいられない、だって殺されてしまう結果が今こうして反映され、考慮していれば防げたことをみすみす流してしまったのだ。愚かにもほどがある。
俺はこんなときにふとレンジで温めないと食べられない弁当を常温だからとチンしなくていいですといい、フタを開けると米がパサパサで、あ!そうゆうことかと気がついたときには遅く、周りからお前それ美味しいかという視線を向けられながら我慢して食べたことを思い出した。あの時の店員さん、もう少し説明欲しかったな。
ドン!と冒険者の一人に肩を突き飛ばされ、俺は現状に呼び戻された。
「クラウスさん、コイツ怪しいですよ、火のないところから煙は出ないって言うし、やっときますね」洋風の甲冑を纏った男が剣を引き抜き、わざとらしく上段に構えた。
助けてクラウスさん、アンタここでオトコの器見せつけんでどうすっと?
「うん、いいよ」
くそがぁ!やっぱりろくな奴じゃなかったな、流石殺せと言われただけのことはあるクソ野郎だ。
「ボウズ、あばよ。天国でも剣が作れるように俺たちが祈ってやるからな、ヒャッハー死ネェ!」
瞬間、俺は素早くあのラムネ菓子状の何かを数粒口に放り込んで遮二無二噛み砕いた。もうこうなればベストを尽くして、俺は頑張ったけどしょうがない死に方をしたんだねと思われたら最高だと思う、誰にだよ!俺はもう考えられないくらいパニックになっていた。
ゴキ!っと鈍い音がしたかと思うと俺の肘が甲冑を凹ませ、奴の口から赤い液が流れ落ちた。
しかし俺の体は勝手に動き続け男の首に手を回し足を払い、背中合せに回り込み肘を入れ、倒れる奴の首にあたる部分に拳をねじ込んだ。
これがバトレットによる恩恵なのか。らイメージとしてはゲームなんかのオートプレイに近い感覚、自動二輪講習で後ろに乗せられて上手い操縦を近距離で見せられるのを主観で眺めているような状態に近い。痛覚や節々の稼働範囲も自分のものとは少し違う気がする。確信はできないが、利用されている俺の体にも多少の身体的影響があるみたいだ。
男は倒れ、やがてdeadの文字がゲームのように男の横たわる体の上に表示された。どうやらこれがあの書類の希望に沿ったフィルターの役割なのだろう。VRのような違和感はなく視界に映って何かに固定されたかのようにピタリと静止しているように見える。
もっとよく見ようと目を凝らして思考を巡らせようといた途端ヒュッと耳をかすめるような音がした。思わず振り返るとゲームで激レア扱いされてそうな、いかつい槍がぐっさり地面に刺さっていた。仲間が殺され周囲の殺意は確実なものに変わったようだ。
「よくもダイルをやってくれたな、お前は許さない」
先程の槍の使い手と考えられる男が、敵意むき出しで向かってきた。大の大人が殺意を自分に対してむけてくるなんて1週間前までバイトして、買い物してくらいでしか人と関わることが出来ない、アニメを見ることくらいが唯一の楽しみな陰気な俺にはとてつもない恐怖だった。やばい、どうしたらいいんだろう。心拍数が跳ね上がる、体は固まって動けない、視界が暗くなり、ぐるぐる周囲が回っている気がしてきた。男の目が俺を捉えているのが分かる。迷いのない足取りで野犬のように下品で醜悪な殺意を俺に振りかざしたいがために近づく様子が変え難い未来を強引に早く早くと男が嬉々として自らに引き寄せて見えた。
「うぁぁぁぁーーーーー!」
勝手に口から声が出た。男に俺は釘付けになって視点をそらすことが許されないようだった。さっきのように反撃できない、考える時間が恐怖を居座らせる空間を作ってしまった。何もかもが形を留めておけない、風景が輪郭を崩して互いの色と混ざり合いサイケディックにチカチカ光り出した。魔術か?それとも俺の目が回っているだけなのか。
視界がぼやけ、気が遠のいて俺は前から倒れ込みそうになる。
しかし1歩踏み止まることがきっかけになったのか体は勝手に動き出し敵に向かって今度は全力で走り出した。視界ははっきりしている。必要な視覚情報をひったくるように目まぐるしくシーンがかわる。そして今の状況に対し俺が生き延びるための選択肢、瞬時における俺という命の居場所に対するアプローチはどうしたら成功するのか思考が廻り始めた。
男の得物は俺の背後にある。この位置からして奴のとる行動は主に2択ある。魔術で遠隔操作した槍で俺を刺し殺すか、又は拳で、要は体術的な心得があり肉弾戦になるか、だ。近づけば魔術はキャンセルされ遠隔操作はむこうになり、肉弾戦ではまだどうなるかはわからない。
そうか、だから敵に対し距離を縮めようとしているのか。
「どちらにしても接近しないと俺に勝算はないよな。」
ボソッと独り言を言える余裕まで出てきた。これならなんとか漏らすことなくやれそうだ。
槍使いが手を伸ばす、何か呪文のようなものを叫んだ。背後で槍がひとりでに抜けて飛んで来る気配がしたが、魔力によるものだったのか近づいてきた途端、力を失い地面に転がったのが聞いて取れた。俺の体は依然敵に向かって一直線に突っ込んでいくようだ。
敵の殺意は、俺が近づくほど薄れ怯えが見え隠れしているようだ。
やがて奴との距離が間合いに入った時には戦士の顔はなく、怯えきった男の顔が繰り返し同じ言葉をすがるように叫んでいた。
ドスッと鈍い音がして何故か甘い匂いがした。なんだか苺のような匂いが…俺の前に伸ばした左腕のあたりにする。
「うああああ!あのクソガキぃ、ルーカスをやりやがったぁ!ああちきしょう!!」
野次馬のかなしいような怒っているような声が、わんわん耳に響いた。
そうだ、俺は…奴を手で刺し殺したんだ。本当に信じがたいが俺の左腕は敵の胸部を貫通していた。肘から感じる生暖かい体温や硬い何かの感触が現実を帯びているのだがフィルターの影響で貫通部がうまくピントが合わないというかぼやけて見える。さらにほたぼたとおちている血液のようなものは強烈な甘い匂いがしていた。きっとこの匂いは俺にしか感じ取れないものなのだろう、そうでないならこの世界の住人はお菓子でてきてる、なんてでたらめな考察が立てられかねない。
体の主権は元に戻ったようで今は動き出す様子はない。いつまでも気持ちの悪いこの状況は嫌なので素早く腕を敵から抜いた、案外するっとぬけるらしい。
地面に捨てるように離した男の貫通部を改めて見ようと思ってもやはりぼやけてよく見えなかった。
頭のあたりに死亡表示があることから息を引き取っているのはわかった。ならネクロマンサーがいない限り再び動き出すことはないようだ。
このギルドは全滅させないといけない、そう思った。
残せばそれだけ俺の生存確率は低くなる。目標だった男だけとはいかないのは当初の目的と違うように思えるが、自分が死ぬより他人が死んだ方が2択とするなら悩むことなく他人を犠牲にする方が自分の命のあり方として筋が通っている気がする。何よりここで起きたことは俺が住んでいる世界ではないので、彼らの命の重さについて考慮できるほどの余裕はないし、奴らは一般では無い。武器を持っている以上、やる気なんだからやられても文句は無いだろう、戦場で咲く花として街にいるかもしれない知り合いや家族に美談として残るなら心残りなんてないはずだ。少なくとも目の前、いや、この周辺にいるクラウスのギルドメンバーは致し方なくなんて奴らじゃない。格好はどうあれ全員戦うことを好み、派手な魔術光線をばら撒いている俺かっこいい、仲間の窮地を助けるヒーラーの私イカしてる、とか思ってる連中なのだ。残党は結構な数だし、何が使える奴らか未知数な敵ばかり、クラウスに近づくにしても避けて通れないし、もう潜伏して暗殺するという選択肢は使えない。
ラムネ状の菓子を半分位掌に出して口に放り込んだ。あまり美味しくはない、だがこれが今自分の唯一の有効手段であることは分かっている。
俺はまずフードをかぶっている集団を襲った。恐らく魔術師だ、通常なら遠距離攻撃や回復、魔力を纏わせ、筋力をカサ増ししで振り回すことで戦うような奴らだと俺のアニメ視聴史から培った無駄情報が脳裏に浮かんだ。しかし今はそれをあてにするしかないくらい情報が無いし、なりよりこの世界のルールは元は日本人のクラウスの理想に偏っていると想像して行動した方が効果的な気がする。
ならおれには簡単殺せる初めに潰さないといけない連中は誰か?近距離戦闘が得意じゃない魔術師からと結論が出る。
離れたところで回復なんてされても困るし、今は全滅させる、数をこなさなきゃならないんだ。
赤い魔弾が俺に向かってすごい速さで飛んでくる。ピッチャーライナーなんて比べものにならないくらいの体感速度でバレーボールくらいのを何発もだ。
しかしそれも俺の目の前に来るとパリンとガラスが割れるような音を立てて消えていく、せいぜい目眩しくらいにしか効果がない。
俺は距離を詰めた一人を蹴り倒した、フードがめくれ、顔があらわになる。女だった。俺を睨んで口早に何かをぶつぶつ唱えている…消さないとおれがやられるんだ。
頭を思い切り蹴り飛ばした。重みをかんじることもなく飛んでいったのは先ほどの女の頭ではなく、スイカだった。欠けたスイカがおかしいほど濃い赤い果汁を撒き散らしながら弧を描いて何もない荒野に割れることなく着地した。
頭部を失った女だったそれに目をやるとやはりぼやけてピントが合わない、よろよろとふらついているクビ無しは倒れ込むとたくさんの血を口から吐き出した。首から上がなくなると首だったところが口になるのかと狂気的な思考にシフトチェンジしそうになるところをパニックによる人々の忙しい足音と鉄のこすれる音、女のヒステリックめいた声や男の怒りか野望に燃えているような太い声が俺を現実に縫い付けてなんとか自分の行いと結果を一貫して私物化することに成功していた。きっとこの繰り返しをしていれば俺の手にはターゲットを刈り取る感触が。立体的でいて温度を、湿感や方向を、纏めて言うなら生を間近に感じとっていながら終わらせることが俺にできる瞬間が訪れる時がくるとそう思った。
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