お前らの転生先には不満があるから消えてもらう

エンドクルス

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day2

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のどの乾きにより目が覚めて携帯(ガラケー)型通信機を見ると時計は午前4時を表示していてこの時刻がこの世界に対応しているか、そもそも時間合わせをしているのか疑問だがとりあえず水を飲みに起きることにした。いつもならスマホのアラームで起きるのだが昨日は疲れてしまい、気がつかないうちに寝てしまったのを思い出し、歯磨きを忘れていたことに後悔しつつ、ペットボトルのぬるい水をゴクゴクと1本飲み干した。体が重い、フリーターの時の昼夜をたびたび反転させたような生活よりよほど健康的な過ごし方を昨日から実行しているはずなのだが疲れが取れていない感じがする。しかしそうも言っていられない。3日間のうちに殺害を遂行する計画なので、支給品もその日数分しか用意されていない。ざっと見ても10日分の水や食料は無いと思う量だ。動きださねばなるまい、気合いを入れ直し、まずは外の様子を見ることにした。裸足で靴のかかとを潰したまま中途半端な履き方をして扉を開け外を見てみる。
外はうっすら明るく町の方角は白み始めていた。近くの山や巨木は影絵のように輪郭だけが青黒い色の空にはっきり映っていて綺麗だった。
「少し肌寒いな」 
寒さに押し負け、俺は部屋の中に戻ると、朝食分の保存食をゴソゴソ準備した。
いつもなら電気ケトルでお湯を沸かし、コーヒーにジャムパンとなるのだが、今朝はクッキーもどきに栄養を付加したようなものと水だった。スープも有るにはあるが、電子レンジは存在しなかったので、冷製を食べようとは思えずその選択肢は無しだった。
約束の時間はとてもアバウトだが、それだけにさじ加減が難しいというのもあり、早いと思ったが遅れるのが怖かったので起床から30分経たずに支度を済ませて拠点を出発した。ちなみに今日もダメージスタイルだったのは言うまでもなく、中村さんや森永さんはどうやら下っ端や弟子はボロを着ているイメージがあるらしい。せめて羽織るものは穴の空いてないものが着たかった、帰還できた時にはそう伝えよう。

薄暗い中をトボトボと歩く。聞こえてくるのは枯葉を踏む俺の足音と、かさかさと小動物が森の中を動き回っているような音。肌寒さと心細さから自然と早足になる。今日と明日で異世界チート野郎を殺さないといけないなんて。正直無謀な挑戦である。 
武器になりそうなものは毒、刃渡りが手に収まりそうな位のナイフ、フリ○ク…?ミ○ティア?なんかの錠剤。
防御系は魔力キャンセリング付き通信機、のみである。心細さに箔がついてしまいそうだ。防御なんてオカルトレベルだし、ナイフなんて投擲用でもないのにすごく短いし、錠剤は気の持ちよう程度でしか無いから使えるとするなら現地での物々交換で物珍しさに訴えかけて使える何かに変えてもらう以外使い道なさそうだ。しかし辛いだけのお菓子を誰が交換してくれるだろうか、正直こんなことならもっと美味しいものにして欲しかった。

やがて昨日訪問というか潜入した鍛冶屋の店が見えると既に人影がいくつかあり、それがクラウスのパーティーであることはなんとなく想像できた。
「おはよう、トムくん。今日から数日間
是非私達の活動を見て、今後の武器改良の役に立ててくれ。期待しているぞ」
グッと親指を立て、さも陽キャラ代表みたいな顔をしているだけあって…腹が立った。
「よ、よろ、よろしく…」
長年培ってきたコミュ障スキルがオートで発生してしまい、俺の返事はフェイドアウトしてなんか洋画の吹き替えみたいな上下の関係よりいかに意思疎通が大事みたいな、まぁ、要するには俺が敬語にならない敬語使って生意気な感じになってしまったことで汗が止まらないです。
「ハハッ!フレンドリーな人だね」
ネズミの国の人気者かよってツッコミかましたくなる切り出しをしたのは女剣士の一人だった。顔面偏差値高めのビジュアルレベルカンストキャラ、これが水着なら俺のシルエットはカタカナの「トの字」なってたこと必至である。恐ろしい世界だぜ、なぁ兄弟。
なんで甲冑がおっぱい強調してんのか、なんでへそ丸出しなのか防御なんて甲冑纏いたい理由でしかないのかもしれない。だったら布製でいーんじゃないかな。
「そう言うなって、彼は冒険者を目の当たりにして少し緊張しているんだ。タメ口で大丈夫だよ、それよりもこれから先は未開拓の地出向くからはっきり自分の事は伝えるようにしてくれ、命に関わるからね」
「すいません」とりあえず謝ることにし、この話は終わったのだが、その後も何人ものメンバーがよろしくとか挨拶をしてきてくれて本当に疲れた。

珍客に慣れたのか集団が落ち着きを取り戻したところでクラウスが転移魔法で出発するといい、急いでクラウスのそばに駆け寄った。
「みんな集まったかな、では行くぞ」
「魔法なら私達専門家に任せてもらうと出番がふえるのですけど。」
ジト目で女魔術師がクラウスにもっと使えとアピってきた。
まぁそうゆうなよと手を振ってクラウスはなだめるとおもむろに剣を引き抜き、詠唱なのか何かを唱え出し、独特な韻を付けたそれを終えると何も無いところから緑光が円を描き、解読不可な文字を連ねて大きな陣を形成した。
「じゃあ、いこうか」
おおー!とノリよくギルメンたちが反応し、魔法陣は眩しいほど輝いたかと思うとバシュッと音がして消滅した。
辺りは騒然となり、緊張が走った。
「何だ、どうなってるんだ。敵国か!?」
「いえ、この辺りを先程索敵スキルで確認してみましたが、特に反応はありませんでしたわ。」
「おいおい、いくらなんでも悪ふざけがすぎるんじゃねーの、クエストには真剣に取り組もうぜ。」
様々な憶測が飛び交っているなか、俺は少しばかり気になることで頭が真っ白になっていた。何故かは分からないのだが、腰のあたりが、緑色に光っているように見える気がしなくもない。
するとクラウスが俺の異常に気づいて駆け寄ってきた、どうしよう、なにもしてないのに、なんか…脇汗がやばいよ。
「どうしたんだ!誰かに魔弾でも受けたのか?すまない、敵の影もないようだったからつい油断していた。少し調べさせてくれ」
え、あ、え?いや?いいですよと思うよりも先にクラウスの触診は始まってしまい、彼は驚きを存分にその整った顔いっぱいに広げてみせた。「どうして君が!」
やべーーー!バレた。やっぱりね、これやっぱり発動しちゃってるよ、魔術キャンセリング装置がいらないところでしっかりキャンセリングしちゃってる。
瞬間、側にいたギルメンたちが戦闘態勢に入り、俺は絶体絶命の危機に陥ってしまった。
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