お前らの転生先には不満があるから消えてもらう

エンドクルス

文字の大きさ
8 / 9

day2

しおりを挟む
のどの乾きにより目が覚めて携帯(ガラケー)型通信機を見ると時計は午前4時を表示していてこの時刻がこの世界に対応しているか、そもそも時間合わせをしているのか疑問だがとりあえず水を飲みに起きることにした。いつもならスマホのアラームで起きるのだが昨日は疲れてしまい、気がつかないうちに寝てしまったのを思い出し、歯磨きを忘れていたことに後悔しつつ、ペットボトルのぬるい水をゴクゴクと1本飲み干した。体が重い、フリーターの時の昼夜をたびたび反転させたような生活よりよほど健康的な過ごし方を昨日から実行しているはずなのだが疲れが取れていない感じがする。しかしそうも言っていられない。3日間のうちに殺害を遂行する計画なので、支給品もその日数分しか用意されていない。ざっと見ても10日分の水や食料は無いと思う量だ。動きださねばなるまい、気合いを入れ直し、まずは外の様子を見ることにした。裸足で靴のかかとを潰したまま中途半端な履き方をして扉を開け外を見てみる。
外はうっすら明るく町の方角は白み始めていた。近くの山や巨木は影絵のように輪郭だけが青黒い色の空にはっきり映っていて綺麗だった。
「少し肌寒いな」 
寒さに押し負け、俺は部屋の中に戻ると、朝食分の保存食をゴソゴソ準備した。
いつもなら電気ケトルでお湯を沸かし、コーヒーにジャムパンとなるのだが、今朝はクッキーもどきに栄養を付加したようなものと水だった。スープも有るにはあるが、電子レンジは存在しなかったので、冷製を食べようとは思えずその選択肢は無しだった。
約束の時間はとてもアバウトだが、それだけにさじ加減が難しいというのもあり、早いと思ったが遅れるのが怖かったので起床から30分経たずに支度を済ませて拠点を出発した。ちなみに今日もダメージスタイルだったのは言うまでもなく、中村さんや森永さんはどうやら下っ端や弟子はボロを着ているイメージがあるらしい。せめて羽織るものは穴の空いてないものが着たかった、帰還できた時にはそう伝えよう。

薄暗い中をトボトボと歩く。聞こえてくるのは枯葉を踏む俺の足音と、かさかさと小動物が森の中を動き回っているような音。肌寒さと心細さから自然と早足になる。今日と明日で異世界チート野郎を殺さないといけないなんて。正直無謀な挑戦である。 
武器になりそうなものは毒、刃渡りが手に収まりそうな位のナイフ、フリ○ク…?ミ○ティア?なんかの錠剤。
防御系は魔力キャンセリング付き通信機、のみである。心細さに箔がついてしまいそうだ。防御なんてオカルトレベルだし、ナイフなんて投擲用でもないのにすごく短いし、錠剤は気の持ちよう程度でしか無いから使えるとするなら現地での物々交換で物珍しさに訴えかけて使える何かに変えてもらう以外使い道なさそうだ。しかし辛いだけのお菓子を誰が交換してくれるだろうか、正直こんなことならもっと美味しいものにして欲しかった。

やがて昨日訪問というか潜入した鍛冶屋の店が見えると既に人影がいくつかあり、それがクラウスのパーティーであることはなんとなく想像できた。
「おはよう、トムくん。今日から数日間
是非私達の活動を見て、今後の武器改良の役に立ててくれ。期待しているぞ」
グッと親指を立て、さも陽キャラ代表みたいな顔をしているだけあって…腹が立った。
「よ、よろ、よろしく…」
長年培ってきたコミュ障スキルがオートで発生してしまい、俺の返事はフェイドアウトしてなんか洋画の吹き替えみたいな上下の関係よりいかに意思疎通が大事みたいな、まぁ、要するには俺が敬語にならない敬語使って生意気な感じになってしまったことで汗が止まらないです。
「ハハッ!フレンドリーな人だね」
ネズミの国の人気者かよってツッコミかましたくなる切り出しをしたのは女剣士の一人だった。顔面偏差値高めのビジュアルレベルカンストキャラ、これが水着なら俺のシルエットはカタカナの「トの字」なってたこと必至である。恐ろしい世界だぜ、なぁ兄弟。
なんで甲冑がおっぱい強調してんのか、なんでへそ丸出しなのか防御なんて甲冑纏いたい理由でしかないのかもしれない。だったら布製でいーんじゃないかな。
「そう言うなって、彼は冒険者を目の当たりにして少し緊張しているんだ。タメ口で大丈夫だよ、それよりもこれから先は未開拓の地出向くからはっきり自分の事は伝えるようにしてくれ、命に関わるからね」
「すいません」とりあえず謝ることにし、この話は終わったのだが、その後も何人ものメンバーがよろしくとか挨拶をしてきてくれて本当に疲れた。

珍客に慣れたのか集団が落ち着きを取り戻したところでクラウスが転移魔法で出発するといい、急いでクラウスのそばに駆け寄った。
「みんな集まったかな、では行くぞ」
「魔法なら私達専門家に任せてもらうと出番がふえるのですけど。」
ジト目で女魔術師がクラウスにもっと使えとアピってきた。
まぁそうゆうなよと手を振ってクラウスはなだめるとおもむろに剣を引き抜き、詠唱なのか何かを唱え出し、独特な韻を付けたそれを終えると何も無いところから緑光が円を描き、解読不可な文字を連ねて大きな陣を形成した。
「じゃあ、いこうか」
おおー!とノリよくギルメンたちが反応し、魔法陣は眩しいほど輝いたかと思うとバシュッと音がして消滅した。
辺りは騒然となり、緊張が走った。
「何だ、どうなってるんだ。敵国か!?」
「いえ、この辺りを先程索敵スキルで確認してみましたが、特に反応はありませんでしたわ。」
「おいおい、いくらなんでも悪ふざけがすぎるんじゃねーの、クエストには真剣に取り組もうぜ。」
様々な憶測が飛び交っているなか、俺は少しばかり気になることで頭が真っ白になっていた。何故かは分からないのだが、腰のあたりが、緑色に光っているように見える気がしなくもない。
するとクラウスが俺の異常に気づいて駆け寄ってきた、どうしよう、なにもしてないのに、なんか…脇汗がやばいよ。
「どうしたんだ!誰かに魔弾でも受けたのか?すまない、敵の影もないようだったからつい油断していた。少し調べさせてくれ」
え、あ、え?いや?いいですよと思うよりも先にクラウスの触診は始まってしまい、彼は驚きを存分にその整った顔いっぱいに広げてみせた。「どうして君が!」
やべーーー!バレた。やっぱりね、これやっぱり発動しちゃってるよ、魔術キャンセリング装置がいらないところでしっかりキャンセリングしちゃってる。
瞬間、側にいたギルメンたちが戦闘態勢に入り、俺は絶体絶命の危機に陥ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...