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day1
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俺は店主に作戦を練りたいと正直に言うと店主は他の職人達にうまく言っておくといって早めの帰宅にさせてもらった。手ぶらで来たのもあるので、あの後、俺はすぐ店を出ることが出来たわけだが今日その時からクラウスと行動を共にするのは流石にまずい気がした。ボロが出て殺意に勘付かれては意味がない。ましてやクラウスに仲間が、それもビジネスライクなお付き合いとは違う、苦楽を共にしてきましたみたいなお仲間がいられたのであっては例えクラウスを殺しても、その後に仇を打たれて俺の首が宙を舞うことになってしまう。まずは力量がどのくらいなのか、有効策はどの程度なのか、この世界での武器、薬物は有効か、否か…おい、待てよ俺金持ってなくね?潜伏先と衣食住はあっても新たに何かを仕入れるということが出来ないは詰んでるのではないだろうか?ヤダ怖い、こんな下っ端に金かしてくれる奴も居ないのに、相談する奴もいない…?
冒険者が迷ったり、心の支えになるもの、それは神!!
「教会に遊びに行くか」
なんなら迷える子羊にお恵みとしてブツの一つや二つこっそり握らせてくれそうじゃねーか。
帰宅しようとした道を引き返し、また街の中をひたすら大きい道を頼りに進むこと数十分、お目当ての建物らしき物が見えた。高さ5階建くらいの真っ白な建造物はこの時代背景の建築物とは思えないくらい綺麗でシンプルさが目立った。真っ白だからだろうか、なんかご利益ありそうだ。
なんの神かは知らないが、どうやらキャラメルの神と思わしき石像が両手を広げて、ゴールテープを切るようなポーズをしているあたり、奴はここにも力を入れているとみた。信仰に金の匂いがしたり、一部の人間と裏の繋がりを持つとかズブズブじゃねーか。ふざけんなよ、お前らの神はお前をもう殺して欲しくて仕方ないんだぞ。
コンコンと木製の、デッカい扉にノックをしてみる。反応なし、ならばそこのなんかこれで叩いてくださいみたいな感じてドアについてる輪っかで叩いてみる。
コツコツ
「あーい、どちら様?」
出迎えをしてくれたのはなんか信仰深そうな白い衣装の老人だった。目元は優しげでなんか頼みごとを断らずに受けてくれそうな、よく言えば、包容力高めの、悪く言えば丁度良かったよカモさん、みたいなじじいである。
「あの、この依頼を受けた物なのですが、相談がありまして。中でお話しさせてもらえますか?」
俺はすかさず例の封筒を老人に見せると老人は顔色一つ変えず、「中へお入りなさい。」といって俺を迎えてくれた。
中に入るとそこは洋画なんかでみた事のあるキリスト教の教会のような構造をしていた。礼拝用の長椅子が真ん中の通路を除いてずらりと並び、奥の方にはステンドグラスが陽の光を浴びて輝き、聖光をあびるのは立派な祭壇である。
「そこに座りませんか?」
祭壇からすぐの長椅子に座るよう勧められたので俺は頷くと着席した。
すかざず老人は密着するように座ってきた。びっくりした、これが異国情緒ってやつか?違うよね。
「あなたはぁ、神oh、信じますかぁ?」
「布教はまた今度にしてください。」
「冗談ですよ、貴方が神からクラウス殺害依頼を受けたという殺し屋ですね。」老人はニコリと人当たりの良さそうな反応をしてみせた。
「殺し屋…なんですかね」
「彼の登場により、この国どころか世界規模で影響が起き始めている。街をご覧になりましたか?」
「はい、ところどころに私と馴染みのあるものがチラホラしてました」
「貴方がほかの世界から来たことは神からのお告げで知っています。知らない世界のお話を聞かせて頂きたいという年寄りの私欲もありますが今は一刻も早く、彼をその手で殺めて下さい。この世界にはそれが救いだと神が示すならそれが答えです。」
「ここを訪ねたのは、物資の調達、まぁその毒殺を試みるために毒を貰いにきました。」
「いいでしょう、毒ですね」
「先に言っておきますが、お金持ってないですよ」
「潔いのですね、あなたの世界では財布の中身が寂しくてもポーズは取れと先人たちはおっしゃっていませんでしたか?まぁ、ここは教会です。」
ゴホンと、わざとらしく咳をつくと「このフロアの掃除をいまからしようとおもうんだけど、広いなぁ」
お前いつもしてるだろ、慣れてんじゃねーのかよ、と思ったがタダより怖いものはないという言葉もあるので…
「雑巾と桶は何処にあるんだよ」
「ん?え、もしかして手伝ってくれるんですか?あぁ、神様ありがとう!」
コイツの信仰心浅いんじゃないだろうか、それに感謝するなら俺にしろよ。
こうして俺は一時の労働で毒を手に入れることになった。
ふぅと心地よいくらいの疲れを感じるころには教会のお祈りをするであろうフロアはピカピカになっていた。まぁ途中で普段から掃除をしている信者や司祭に仕えている方々に手伝って貰い、一人当たりの手間は軽減されていた。
パンパンと音がして注意を向けると先ほどの老人がそこに立っていて、お疲れ様と声を掛けて切りのいいところで掃除は終わることになった。
片付けを終わらせて老人の所に向かうと老人の手にはドス黒い液体の入った瓶が握られていた。
「掃除はもういいのか?」
「ああ、ありがとうございます。お陰で綺麗になりました。はい、約束の毒です。」
「あの、ありがとうございます。」
や、やべぇ、思ったよりデカイ。こんなにいらないのに。ばぁちゃんが梅干し作るときに入れてるプラ製のあの容器とおんなじぐらいデカイ。肉体労働とはいえ、文句を言うのは違う気がするぅ。
「あれ、え、え?もしかして、こんなにでかい奴渡すとか空気読めよじじいとか思ってます?」
「い、いいえ!思ってませんけどぉ」
「ここは忖度して手に収まるくらいの小瓶に入れて渡すのが普通だろって思ってますか?」
老人はニカニカして俺をからかって楽しんでいるようだ。クソ、デカイ重い文句言いづらい、これはばぁちゃんの家に遊びに行ってご飯をご馳走になった時におかわりをオートでそれも大盛りにしてよそわれるあの時と同じ状況だ。戦争時代を体験した祖母は俺たちにひもじい思いをさせたくないという気持ちが強くあり、いつでもあれ食えこれ食えとなんでもあるだけ食べさせようとしてくれた。ほんと…気持ちが嬉しい分断りづらいんだよなぁ。
などと祖母との思い出を思い出していると先程の重いびんを信徒の一人が俺からするっと持ち出してポンと俺の手に紫色の液体が入った小瓶を老人が渡してきた。
「冗談ですよ、あれも毒と言えば毒ですがどちらかと言えば薬の側面が強いものなんです。あなたに向いている毒はこれだと判断します。」
「これは猛毒なんですか」
「はい、猛毒です、それもほかの液体と混ざると透明になり、匂いも味も感じない毒です」
「ありがとうございます」
「鵜呑みになさるのですか?」いたずらにまた老人は笑う。
「私は神を信じているあなたを信じますから」
「そうですか…。それでは信じなさい、私たちの神は救いを求めるものを拒むことはありえません。よそ者だろうと、殺人者だろうと、救いを求める者ならあたたかい眼差しで平等に私達を見守り下さる事でしょう。」
俺は教会を後にした。白い建物は入る前と同様に清潔感と誠実さがどことなくあって嫌いじゃないと思った。
「じぃさんと重ねてんのかな」
どうでもいいよな、そんなの。これからすることは本来なら忌み嫌われる殺人なんだから。背を向けるのは当然といえば当然なんだ。
散々歩いて拠点となる小屋に帰ってきた。あたりは街灯もなく月明かりだけが頼りで思い返したように携帯を開くと19時30分とだいぶ時間が回っていた。
パチパチと入ってすぐのスイッチをつけると蛍光灯が瞬きをしてパリッと明るく部屋を照らした。
うう、疲れたぁと愚痴りながらべらんべらんと適当に靴を脱ぎ捨て、倒れこむようにソファーに倒れこんだ。久々に舗装されていない道を歩いた気がする。恵まれていることに気付かされるのはこのミッションの狙いにあるのだろうか。否、ないな。
フロー、飯ー、と朧げに思考をローギアで働かせていると、ある点に疑問が浮かぶ。
何処にあるんだよ、飯と風呂問題。
すかさず俺の手は携帯を取り出し振り出すようにパチっと画面を開けるとタケイに通信を開始した。
「はいこちらタケイです、どうされましたぁ?」
若い男子の声、これが中村さんか。
「あの今回殺害依頼を受けて現場入りしてます、霧島というものですが、聞きたいことがあって電話しました。」
「ああ、君が霧島君ね。僕は中村っていいます、中村敦。中村でも、敦でも、あっちゃんて、好きなように呼んで下さい。」
「あ、はい、わかりました中村さん。」
「これだけ言って中村さんかぁ、シャイボーイだな、もう、かわいい♪」
うわウゼー、面倒な奴しかまわりにいないのかよ。一人は青スーツ、一人は無類の牛乳好き、もう一人でこれか。ホモでないことをいのる、これおふざけなしな。
「すいません、それで質問なんですけど、食料とシャワーってどうなってるんでしょうか?」
「えっとねー、シャワーは何か壁にスイッチがあるからそれを押して貰うとシャワールームが出るから、しまう時も同様にボタン押してくれたら引っ込むから。後、食べ物、飲料は現地のものが体に合うなら現地で取ってもらって構わないけど基本的に魔法陣をくぐったとしても合う合わないは別問題らしいんだよね。んでね、まぁうちのケースではカロリーナイトとか、ソルトジョウイとか、まぁレーション的な奴を用意してますんでそいつでやり過ごして下さい。不足こそが冒険のスパイスナノサ、フッ。これでいいかな?」
「あ、はい、質問に答えていただきありがとうございます。」
「通信は24時間可能だから気軽に掛けてきていいからね、なんせ場合によれば命からがらなんて場面もあるだろうし。君はこれが初陣なんだし、まずは生きて3日間をやり過ごし帰って来ることを一番に考えていれば問題無いよ。僕も半月前何とかクリアしたけど、あ、クリアってわかるよね。あまり物騒なワードは言いたくないからこう言ってるけど…まぁ経験者でも毎度ギリギリの戦いだから、頑張って!」
「ありがとうございます」
「はい、そんじゃあね。」
3日間、カロリーナイトかよ、まぁ腹下したりしたら動けなくなるしな。俺は教えられたようにスイッチを探し、やがて机の上にある呼び鈴のようなものを押してみると、物が置いてない壁に扉のようなものがうっすらと浮かび上がってきてそれはやがてだんだん濃ゆくなり1分の間には立体的な扉が出てきた。試しに取っ手をひねってみると、ちゃんと開閉出来て、中は俺が住んでるアパートのようなチープ感のあるユニットバスだった。着替えはーと、周りをガサガサしているとふと、冷蔵庫だと思っていた俺の背丈と同じくらいの入れ物は実は冷蔵庫ではなかった。開けてみると、白を基調とした6箇所くらいに区切られた棚で、そこにレーション、部屋着と思われる下着や現代的な部屋着、残り2日間の衣装、ドライヤーなどの細々としたものが収納されていた。
大体の勝手がわかったので俺は風呂に入り、ドライヤーで髪を乾かし、レーションと区切られた棚から適当に3つくらい掴んでモグモグ手軽な夕食にした。
「静かだなぁ、」
この世界にはテレビやラジオはあるんだろうか、少なくとも町の広場は現代日本では見ない大道芸人や、賑やかな演奏を奏でる奏者が、町の賑わいをより大きく膨らませているように見えたが郊外はすっかりシンとしていた。ポツリポツリと小さな民家が、ここまで帰る道の端にあったけど、真っ暗だったし。虫とカエルの声しか聞こえないなんてちょっと落ち着かないかも。
「繋がらなくてもスマホ持って来ればよかったな」
そう思いながらソファーにもたれながら俺は眠りに落ちていった。
冒険者が迷ったり、心の支えになるもの、それは神!!
「教会に遊びに行くか」
なんなら迷える子羊にお恵みとしてブツの一つや二つこっそり握らせてくれそうじゃねーか。
帰宅しようとした道を引き返し、また街の中をひたすら大きい道を頼りに進むこと数十分、お目当ての建物らしき物が見えた。高さ5階建くらいの真っ白な建造物はこの時代背景の建築物とは思えないくらい綺麗でシンプルさが目立った。真っ白だからだろうか、なんかご利益ありそうだ。
なんの神かは知らないが、どうやらキャラメルの神と思わしき石像が両手を広げて、ゴールテープを切るようなポーズをしているあたり、奴はここにも力を入れているとみた。信仰に金の匂いがしたり、一部の人間と裏の繋がりを持つとかズブズブじゃねーか。ふざけんなよ、お前らの神はお前をもう殺して欲しくて仕方ないんだぞ。
コンコンと木製の、デッカい扉にノックをしてみる。反応なし、ならばそこのなんかこれで叩いてくださいみたいな感じてドアについてる輪っかで叩いてみる。
コツコツ
「あーい、どちら様?」
出迎えをしてくれたのはなんか信仰深そうな白い衣装の老人だった。目元は優しげでなんか頼みごとを断らずに受けてくれそうな、よく言えば、包容力高めの、悪く言えば丁度良かったよカモさん、みたいなじじいである。
「あの、この依頼を受けた物なのですが、相談がありまして。中でお話しさせてもらえますか?」
俺はすかさず例の封筒を老人に見せると老人は顔色一つ変えず、「中へお入りなさい。」といって俺を迎えてくれた。
中に入るとそこは洋画なんかでみた事のあるキリスト教の教会のような構造をしていた。礼拝用の長椅子が真ん中の通路を除いてずらりと並び、奥の方にはステンドグラスが陽の光を浴びて輝き、聖光をあびるのは立派な祭壇である。
「そこに座りませんか?」
祭壇からすぐの長椅子に座るよう勧められたので俺は頷くと着席した。
すかざず老人は密着するように座ってきた。びっくりした、これが異国情緒ってやつか?違うよね。
「あなたはぁ、神oh、信じますかぁ?」
「布教はまた今度にしてください。」
「冗談ですよ、貴方が神からクラウス殺害依頼を受けたという殺し屋ですね。」老人はニコリと人当たりの良さそうな反応をしてみせた。
「殺し屋…なんですかね」
「彼の登場により、この国どころか世界規模で影響が起き始めている。街をご覧になりましたか?」
「はい、ところどころに私と馴染みのあるものがチラホラしてました」
「貴方がほかの世界から来たことは神からのお告げで知っています。知らない世界のお話を聞かせて頂きたいという年寄りの私欲もありますが今は一刻も早く、彼をその手で殺めて下さい。この世界にはそれが救いだと神が示すならそれが答えです。」
「ここを訪ねたのは、物資の調達、まぁその毒殺を試みるために毒を貰いにきました。」
「いいでしょう、毒ですね」
「先に言っておきますが、お金持ってないですよ」
「潔いのですね、あなたの世界では財布の中身が寂しくてもポーズは取れと先人たちはおっしゃっていませんでしたか?まぁ、ここは教会です。」
ゴホンと、わざとらしく咳をつくと「このフロアの掃除をいまからしようとおもうんだけど、広いなぁ」
お前いつもしてるだろ、慣れてんじゃねーのかよ、と思ったがタダより怖いものはないという言葉もあるので…
「雑巾と桶は何処にあるんだよ」
「ん?え、もしかして手伝ってくれるんですか?あぁ、神様ありがとう!」
コイツの信仰心浅いんじゃないだろうか、それに感謝するなら俺にしろよ。
こうして俺は一時の労働で毒を手に入れることになった。
ふぅと心地よいくらいの疲れを感じるころには教会のお祈りをするであろうフロアはピカピカになっていた。まぁ途中で普段から掃除をしている信者や司祭に仕えている方々に手伝って貰い、一人当たりの手間は軽減されていた。
パンパンと音がして注意を向けると先ほどの老人がそこに立っていて、お疲れ様と声を掛けて切りのいいところで掃除は終わることになった。
片付けを終わらせて老人の所に向かうと老人の手にはドス黒い液体の入った瓶が握られていた。
「掃除はもういいのか?」
「ああ、ありがとうございます。お陰で綺麗になりました。はい、約束の毒です。」
「あの、ありがとうございます。」
や、やべぇ、思ったよりデカイ。こんなにいらないのに。ばぁちゃんが梅干し作るときに入れてるプラ製のあの容器とおんなじぐらいデカイ。肉体労働とはいえ、文句を言うのは違う気がするぅ。
「あれ、え、え?もしかして、こんなにでかい奴渡すとか空気読めよじじいとか思ってます?」
「い、いいえ!思ってませんけどぉ」
「ここは忖度して手に収まるくらいの小瓶に入れて渡すのが普通だろって思ってますか?」
老人はニカニカして俺をからかって楽しんでいるようだ。クソ、デカイ重い文句言いづらい、これはばぁちゃんの家に遊びに行ってご飯をご馳走になった時におかわりをオートでそれも大盛りにしてよそわれるあの時と同じ状況だ。戦争時代を体験した祖母は俺たちにひもじい思いをさせたくないという気持ちが強くあり、いつでもあれ食えこれ食えとなんでもあるだけ食べさせようとしてくれた。ほんと…気持ちが嬉しい分断りづらいんだよなぁ。
などと祖母との思い出を思い出していると先程の重いびんを信徒の一人が俺からするっと持ち出してポンと俺の手に紫色の液体が入った小瓶を老人が渡してきた。
「冗談ですよ、あれも毒と言えば毒ですがどちらかと言えば薬の側面が強いものなんです。あなたに向いている毒はこれだと判断します。」
「これは猛毒なんですか」
「はい、猛毒です、それもほかの液体と混ざると透明になり、匂いも味も感じない毒です」
「ありがとうございます」
「鵜呑みになさるのですか?」いたずらにまた老人は笑う。
「私は神を信じているあなたを信じますから」
「そうですか…。それでは信じなさい、私たちの神は救いを求めるものを拒むことはありえません。よそ者だろうと、殺人者だろうと、救いを求める者ならあたたかい眼差しで平等に私達を見守り下さる事でしょう。」
俺は教会を後にした。白い建物は入る前と同様に清潔感と誠実さがどことなくあって嫌いじゃないと思った。
「じぃさんと重ねてんのかな」
どうでもいいよな、そんなの。これからすることは本来なら忌み嫌われる殺人なんだから。背を向けるのは当然といえば当然なんだ。
散々歩いて拠点となる小屋に帰ってきた。あたりは街灯もなく月明かりだけが頼りで思い返したように携帯を開くと19時30分とだいぶ時間が回っていた。
パチパチと入ってすぐのスイッチをつけると蛍光灯が瞬きをしてパリッと明るく部屋を照らした。
うう、疲れたぁと愚痴りながらべらんべらんと適当に靴を脱ぎ捨て、倒れこむようにソファーに倒れこんだ。久々に舗装されていない道を歩いた気がする。恵まれていることに気付かされるのはこのミッションの狙いにあるのだろうか。否、ないな。
フロー、飯ー、と朧げに思考をローギアで働かせていると、ある点に疑問が浮かぶ。
何処にあるんだよ、飯と風呂問題。
すかさず俺の手は携帯を取り出し振り出すようにパチっと画面を開けるとタケイに通信を開始した。
「はいこちらタケイです、どうされましたぁ?」
若い男子の声、これが中村さんか。
「あの今回殺害依頼を受けて現場入りしてます、霧島というものですが、聞きたいことがあって電話しました。」
「ああ、君が霧島君ね。僕は中村っていいます、中村敦。中村でも、敦でも、あっちゃんて、好きなように呼んで下さい。」
「あ、はい、わかりました中村さん。」
「これだけ言って中村さんかぁ、シャイボーイだな、もう、かわいい♪」
うわウゼー、面倒な奴しかまわりにいないのかよ。一人は青スーツ、一人は無類の牛乳好き、もう一人でこれか。ホモでないことをいのる、これおふざけなしな。
「すいません、それで質問なんですけど、食料とシャワーってどうなってるんでしょうか?」
「えっとねー、シャワーは何か壁にスイッチがあるからそれを押して貰うとシャワールームが出るから、しまう時も同様にボタン押してくれたら引っ込むから。後、食べ物、飲料は現地のものが体に合うなら現地で取ってもらって構わないけど基本的に魔法陣をくぐったとしても合う合わないは別問題らしいんだよね。んでね、まぁうちのケースではカロリーナイトとか、ソルトジョウイとか、まぁレーション的な奴を用意してますんでそいつでやり過ごして下さい。不足こそが冒険のスパイスナノサ、フッ。これでいいかな?」
「あ、はい、質問に答えていただきありがとうございます。」
「通信は24時間可能だから気軽に掛けてきていいからね、なんせ場合によれば命からがらなんて場面もあるだろうし。君はこれが初陣なんだし、まずは生きて3日間をやり過ごし帰って来ることを一番に考えていれば問題無いよ。僕も半月前何とかクリアしたけど、あ、クリアってわかるよね。あまり物騒なワードは言いたくないからこう言ってるけど…まぁ経験者でも毎度ギリギリの戦いだから、頑張って!」
「ありがとうございます」
「はい、そんじゃあね。」
3日間、カロリーナイトかよ、まぁ腹下したりしたら動けなくなるしな。俺は教えられたようにスイッチを探し、やがて机の上にある呼び鈴のようなものを押してみると、物が置いてない壁に扉のようなものがうっすらと浮かび上がってきてそれはやがてだんだん濃ゆくなり1分の間には立体的な扉が出てきた。試しに取っ手をひねってみると、ちゃんと開閉出来て、中は俺が住んでるアパートのようなチープ感のあるユニットバスだった。着替えはーと、周りをガサガサしているとふと、冷蔵庫だと思っていた俺の背丈と同じくらいの入れ物は実は冷蔵庫ではなかった。開けてみると、白を基調とした6箇所くらいに区切られた棚で、そこにレーション、部屋着と思われる下着や現代的な部屋着、残り2日間の衣装、ドライヤーなどの細々としたものが収納されていた。
大体の勝手がわかったので俺は風呂に入り、ドライヤーで髪を乾かし、レーションと区切られた棚から適当に3つくらい掴んでモグモグ手軽な夕食にした。
「静かだなぁ、」
この世界にはテレビやラジオはあるんだろうか、少なくとも町の広場は現代日本では見ない大道芸人や、賑やかな演奏を奏でる奏者が、町の賑わいをより大きく膨らませているように見えたが郊外はすっかりシンとしていた。ポツリポツリと小さな民家が、ここまで帰る道の端にあったけど、真っ暗だったし。虫とカエルの声しか聞こえないなんてちょっと落ち着かないかも。
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