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題名のない3年間。
第十三話 受験よりも難しいもの。
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北風の一風一風が僕らの体を凍させる登校時。冬のおでまし。
12月21日。今日は2学期の修了式。これで2学期が終わり3学期が始まる。受験や卒業式が控えている3学期。
学校に着くと、階段を登り3階に向かう。歩いていくと、吹部の時の親友、安倍がいた。
「よっ、安倍っち。もう2学期終わっちゃうね。」
安倍「そうだね。やばい、泣けてきたわ。」
「お前、涙脆すぎだろw。卒業式どうなっちゃうんだよ。」
こうやって話せているのも後3ヶ月。そう考えると泣けてくるな。
3F、3年5組に着く。クラスの中には誰も居なかった。1番乗りということになる。
廊下をじーっと見てみると、柚愛が廊下にいるのを確認できた。
「あっ!柚愛じゃん!」
柚愛「やっほー。え?2人だけ?」
「そういう事になるね。」
柚愛「そっか。もう先、体育館行っちゃう?」
「そうだね。」
2人で廊下を渡り、体育館に行く。修了式が控えてる体育館へ。
柚愛「体育館に着いたけど、まだ人いないね。」
「そうだね。」
このじれったい時期、どうやって過ごそう?
…手、繋いでみるか…
無言で僕は彼女の手を繋いでみた。いつも彼女からだったんだ。何事にも。だから今回ばかりは…
柚愛「こーたろー…かわいい。」
手の指が交互にはめ込まれていく。所謂恋人繋ぎ。やっぱりうちの彼女は積極的だ。
暫くすると人がぼちぼち体育館に入場してきた。
みんな体育館に着くと、校長先生からのお話が始まった。
校長先生「えー紅葉も枯れ果て、冬の季節になりましたね。みなさん、勉学に励んでいますか?いよいよ1、2月には高校受験が待っていますね。受験の時には緊張が付きものでしょうが、深呼吸をして、みんな無事に卒業しましょう。以上です。」
(深呼吸ね、ありきたりだけど、結局大事になるんだよな。)
修了式が終わる。真っ先に家に帰ると、買っただけだった明保野中央高校の過去問に手を付けてみたよ。
点数はまだまだ届かないけど、何か自分史に歴史を刻んだ気がしたよ。
一件、メールを入れた。瞬と柚愛に。
榎本 瞬(えのもと しゅん)
「過去問やってみた。ズタボロだったわww。」
毛利 柚愛(もうり ゆあ)
「過去問やったよ。ズタボロだったけど、受かるように頑張る。」
彼女が、毛利柚愛という存在があってくれたから僕の地味な15年間に花束を届けてくれんだ。恩返しはできたのだろうか。彼女に、僕が恩返しを高校受験で返すんだ。これからの3ヶ月間は明保野中央高校に合格して、柚愛に恩返しをするんだ。
受験よりも難しい、恋の恩返しをするための3ヶ月。
シャーペン右手にまた問題を解き直した。
I aim to be with you.
12月21日。今日は2学期の修了式。これで2学期が終わり3学期が始まる。受験や卒業式が控えている3学期。
学校に着くと、階段を登り3階に向かう。歩いていくと、吹部の時の親友、安倍がいた。
「よっ、安倍っち。もう2学期終わっちゃうね。」
安倍「そうだね。やばい、泣けてきたわ。」
「お前、涙脆すぎだろw。卒業式どうなっちゃうんだよ。」
こうやって話せているのも後3ヶ月。そう考えると泣けてくるな。
3F、3年5組に着く。クラスの中には誰も居なかった。1番乗りということになる。
廊下をじーっと見てみると、柚愛が廊下にいるのを確認できた。
「あっ!柚愛じゃん!」
柚愛「やっほー。え?2人だけ?」
「そういう事になるね。」
柚愛「そっか。もう先、体育館行っちゃう?」
「そうだね。」
2人で廊下を渡り、体育館に行く。修了式が控えてる体育館へ。
柚愛「体育館に着いたけど、まだ人いないね。」
「そうだね。」
このじれったい時期、どうやって過ごそう?
…手、繋いでみるか…
無言で僕は彼女の手を繋いでみた。いつも彼女からだったんだ。何事にも。だから今回ばかりは…
柚愛「こーたろー…かわいい。」
手の指が交互にはめ込まれていく。所謂恋人繋ぎ。やっぱりうちの彼女は積極的だ。
暫くすると人がぼちぼち体育館に入場してきた。
みんな体育館に着くと、校長先生からのお話が始まった。
校長先生「えー紅葉も枯れ果て、冬の季節になりましたね。みなさん、勉学に励んでいますか?いよいよ1、2月には高校受験が待っていますね。受験の時には緊張が付きものでしょうが、深呼吸をして、みんな無事に卒業しましょう。以上です。」
(深呼吸ね、ありきたりだけど、結局大事になるんだよな。)
修了式が終わる。真っ先に家に帰ると、買っただけだった明保野中央高校の過去問に手を付けてみたよ。
点数はまだまだ届かないけど、何か自分史に歴史を刻んだ気がしたよ。
一件、メールを入れた。瞬と柚愛に。
榎本 瞬(えのもと しゅん)
「過去問やってみた。ズタボロだったわww。」
毛利 柚愛(もうり ゆあ)
「過去問やったよ。ズタボロだったけど、受かるように頑張る。」
彼女が、毛利柚愛という存在があってくれたから僕の地味な15年間に花束を届けてくれんだ。恩返しはできたのだろうか。彼女に、僕が恩返しを高校受験で返すんだ。これからの3ヶ月間は明保野中央高校に合格して、柚愛に恩返しをするんだ。
受験よりも難しい、恋の恩返しをするための3ヶ月。
シャーペン右手にまた問題を解き直した。
I aim to be with you.
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