溺愛中毒の彼に囚われて。

螢日ユタ

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嫉妬と独占欲

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あれから私はいつの間にか眠ってしまったようで、ベッドに寝かされて布団が掛けられていた。


そして、隣には航海くんの姿があった。


彼の寝顔は何だか無邪気というか、少しだけ可愛く思えて思わず頬が緩む。


起きたときにこんなにも安心出来るなんて……。


ここに居れば怯える必要が無いと思うとそれだけで心が軽くなる。


もう朝だけど、あと少しだけ……眠ろうかな。


航海くんはまだ起きそうにもないくらいに熟睡しているようだし、今まで眠るのが怖くてろくに眠れていなかった私はホッとしたのか再び睡魔に襲われてそのまま眠ってしまった。


そして、次に目が覚めたときにはお昼を過ぎてしまっていて、ぐっすり眠っていた私の為に航海くんはご飯を準備してくれていた。


「お、ようやく起きたな」

「あの、ごめんなさい……こんな時間まで……」

「別に謝ることじゃねぇよ。ぐっすり寝れたなら良かっただろ? それに、結構無理させちまったのは俺のせいだしな」

「そ、そんなこと……」

「つーか、とりあえずシャワー浴びて来いよ。な? それから一緒に飯食おうぜ」

「……それじゃあ、お言葉に甘えて」


そもそも昨夜、シャワーを浴びた後で私が発作を起こしてしまい、そこから最終的に航海くんと身体を重ねてしまったわけで、よく考えてみると私はタオル以外何も身に纏っていなかったのだ。


すぐ側に置かれていたバスタオルを身体に巻いた私はそそくさと脱衣場へ向かっていく。


昨夜シャワーを浴びたときはまだまだ色々なことが不安で発作を起こしてしまったけれど、今は何ていうかどこか晴れやかな気分だった。

 
お風呂から出て用意されていた服を着た私は航海くんと二人で遅めの昼食を食べる。


「美味しい」

「良かった。俺、ひとり暮らし長いから料理はするけど、人に作ることってねぇから美味いかどうか不安だったんだ」

「そうなの? 凄く美味しいよ」

「ありがとな。それはそうと、飯食ったら俺出掛けて来るから、愛結はここで待ってて」

「え……」


食事を終えたら航海くんは出掛けてしまうという話を聞いた私は急に不安に襲われる。


安全だと分かっていても、万が一ということを考えてしまうから。


その不安が表情に表れていたのか航海くんが、


「そんな顔すんなよ。すぐ帰ってくるし、ここに居れば絶対安全だから、な?」


私の不安を取り除く為に『すぐ帰る』『ここなら絶対安全』ということを強調してくる。


「大丈夫、外にさえ出なけりゃ危険なことはねぇから」

「……うん、分かった……」


ずっと側に居て欲しいけどそんなの無理だと分かっているから「大丈夫」と自分に言い聞かせてから航海くんに「分かった」と口にして頷いた。


「あの、航海くん」

「ん?」

「置いてもらう訳だし、何もしないのは申し訳ないから……もし良かったらなんだけど……夜ご飯は私が作ってもいいかな?」

「マジで? 頼むよ。食材はある程度揃ってると思うけど万が一足りねぇモノがあったら帰りに買ってくるから連絡して。あ、そうそう、これ、愛結に渡しておく」


航海くんが何かを思い出して立ち上がると、キッチンカウンターのコンセントで充電されていたスマホを手に戻って来る。

「これは愛結専用のスマホだよ」

「え?」

「俺やアニキの連絡先が入ってる。それと、GPSもきちんと機能してるからこれさえ持ってりゃ愛結の居場所はすぐに分かる。何か急用があったり、どうしても不安なときもいつでもかけてきていいから。どんなときでも極力電話には出るようにするから安心して」

「……ありがとう」


航海くんは私を安心させようと色々準備をしてくれたようで、本当に感謝しかない。


一人になることにはまだ少し不安が残るけど、緊急時、すぐに航海くんに繋がるなら安心だと思えた私は食事を終え出掛ける準備を整えた彼を笑顔で送り出すことが出来た。


航海くんが出掛けてしまってから暫く、食器を片付けて軽く部屋の掃除を終えた私は夕食で使えそうな食材を確認してみることに。


すると、冷蔵庫には食材が沢山用意されていて、何を作るにも困らなさそうな程に一通りの物が揃っているような状況だった。


「凄い……こんなに用意されてるなんて……」


昨夜急にこのマンションに住むことが決まったはずなのに何故こんなにも全ての物が揃っているのか、それは航海くんとの食事中にちらっと聞いた話の中で出てきていた。


何でも、マンションは常にいつでも住めるよう家具家電などはどの部屋にも準備され、日用品や食材などは必要に応じて24時間365日いつでも宅配をしてくれるシステムになっているとのこと。


だから恐らく、食材などは私が寝ていた間に手当り次第注文をして届けてもらったのだろうと推測した。


それに加えて後日航海くん付き添いの元で洋服など一式を買い物に行くまでのつなぎとして、下着やシンプルな服など一式準備されていたので私は凄く助かっていた。


「あ、そういえば航海くんって何が好物なんだろう……苦手な食べ物ってあるのかな……。聞いておけば良かった……」


夕食を用意するにあたり、彼の好物や苦手な物を聞いておかなかったことを後悔する。


「次からは航海くんの好きな物を作ればいいかな」


今更後悔したところで仕方もないので気持ちを切り替えて今日のところは自分の得意料理を振る舞おうと早速メニューを考えていく。


そして、夕方頃から料理に取り掛かり、19時前には帰宅すると言っていた航海くんの帰りを今か今かと待つことにした。


時刻は19時過ぎ、予定時刻を過ぎても戻らない航海くん。


何かあったのかと不安になるも、時間的に道が混んでいるということもあるだろう。


車を運転中に電話を掛けても出られないだろうからともう少し待ってみるも、予定時刻を30分過ぎても連絡1つ無いことに不安は募っていく。


「……航海くん、どうしたんだろ?」


電話を掛けてみるべきか悩みながらスマホを眺めていると、玄関の鍵が開く音が聞こえてきた。


私が急いで玄関へ向かっていき「おかえりなさい」と声を掛けると、


「……あ、ああ、ただいま」


どこか元気の無い様子の航海くんは心ここにあらずな状態だ。


帰りが遅れたことと何か関係があるのか、それを聞いてもいいのか迷っていると、


「航海……くん?」


靴を脱いで上がった航海くんはどこか切な気な表情を浮かべると私の身体を抱き締めてきた。
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