【完結】幸せは自分で掴み取れですわ(お父様、侯爵家、婚約者、命、すべて私は守ります)

成実

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「今日をもって、スカーレット、貴方との婚約を破棄する。そして、貴方に苛められていた、可哀想なダリアと婚約する」

 決まりきったセリフをのたまうのは、私の婚約者のダニエルです。
 彼は公爵令息ですが、次男です。家の家督がつげないため、私と結婚して侯爵家に婿入りする予定でした。

 物語通りの進行に思わず、笑いを堪えるのが大変でした。
 私には、ある記憶があります。小さい頃から、よく、夢を見ました。
 夢の内容は、見たことがない世界で、その世界の私は本をよく読んでいるのです。
 どうして、私だとわかるのかというと、感情が蘇ってくるというべきなのか、考えていることがわかるのです。

 ある本を読んでいる私は、口が少し悪く、
「馬鹿よ、スカーレットも、もう少し周りの言う事ばかり聞く良い子ちゃんではなく、上手く立ち回ってたら、ダリアにやられることないのに」
とつぶやいているのです。

 「私なら絶対ジークが推しよ。ダニエルなんて、顔だけの浮気者じゃない。パパがスカーレットを溺愛してるなら、ダリアを絶対養女にさせないようにしないと、乗っ取りよ乗っ取り、ダリアなんて、リスター侯爵家の血筋じゃないんだから、図々しい」
 
 本を読みながら、怒ったりぶつぶつ呟いているのです。なぜ、違う姿の私が、私自身を怒ってるのかがわかりません。
 でも、毎晩毎晩、違う世界の私が、小さい頃の出き事や、未来の私の出き事に、こうしたら良いのにと呟くのです。
 あまりにも、毎晩みるので、ノートにメモを取り始めました。
 すると、以前ノートに書いた出来事が起こったのです。私は、怖くなりました。
 夢の出来事や、違う姿の私の呟きを細くメモをし続けました。
 
 私はこの夢ノートを見ながら、ある結論に結びつけました。
 違う世界の私の記憶が、今の私を助けようとしてくれていると。
 夢の私は、よくダニエルの悪口を言ってます。ダニエルと言う名前に心当たりがあります。お父様が、婚約者候補の名前によくあげているのです。
 ダリアという名前は、聞き覚えがありませんでした。

 私のお母様は、私を産んて一年後位に亡くなったそうです。
 もともと体が弱かったので、私が無事産まれて、とても喜んでいたと、お父様が話してくれました。

 お母様は、亡くなる直前まで、私をとても心配していたそうです。
 母を亡くした私をお父様は、とても可愛がってくれました。

 私が12歳の頃、お父様が再婚をすることになりました。お相手は、男爵未亡人で、お互い連れ子再婚です。
 その連れ子で義妹になる子の名前がダリアでした。

 私は、今までに、書いてきた夢ノートを読み返しました。

 私は、今から6年後にダニエルに婚約破棄され、その理由が冤罪でダリアを苛めて、怪我までさせようとしたこと。

 このときには、既にお父様は亡くなられていて、義母が侯爵家の実権を握っていたこと。

 ダリアが養女になっているため、スカーレットの立場が弱かったこと。

 私に知識をつけさせないため、学校には通わせず礼儀作法の家庭教師のみだったこと。

 推しがジーク?これは少しわからないけど、ジークがダニエルより良いってこと。

 夢ノートには、もう一人の私の、こうしたらいいのにから始まる対処の仕方が、事細かに書いてあります。

 私は、お父様の執務室に行き、お父様に私を愛しているなら誓約書を書いてくださいと頼みました。

 1.ダリアを養女にはしないこと。
 2.私を学校に行かせること。
 3.侯爵家は私が継承すること。
4.私に弁護士を必ずつけること。

 お父様が再婚したことにより、私の立場がなくなると泣いたので、お父様は、最初は困った顔をしてたけど、あまりにも私が真剣なので、弁護士を呼んで誓約書ではなく、遺言書を念の為に作ると言ってくれた。

 私は、お義母様達にバレないように秘密裏に動いて欲しいとお願いしました。

 それならと、お父様と私で明日、弁護士事務所に行くことになりました。

 私は、夢ノートにしたがって、もう一人の私のこうしたらいいのにを実行していきました。

 やはり、お義母様は、機会があるごとに、お父様にダリアを養女にして正式に侯爵令嬢にして欲しいと願い出ていました。
 私をダシにして、私が正式な妹を欲しがってると言っているようです。 

 ダリアは、令嬢方のお茶会で、侯爵令嬢としてふるまってました。
 男爵令嬢のままなのに、ダリア自身本当に知らないのだと思います。あえて、私も訂正しません。後で、恥をかくのはダリアだからです。

 夢ノートには、お茶会で私がダリアに意地悪をしているかのように、自作自演をして、私は意地悪な姉にされていくと書かれてありました。

 対処方は、仲良しの伯爵令嬢のルイーズに事前にダリアが私を意地悪な姉に仕立てようとしているので、助けてほしい事を話しておくこと。

 そして、ダリアの自作自演も暴いてもらえるように仲間内に話して欲しいとお願いしておきました。

 お茶会で、ダリアは案の定、自分でお茶をこぼしたのに、お姉様酷いですとシクシク泣く演技をしてました。

 しかし、ルイーズや他の令嬢方がしっかり自分でこぼしている姿を目撃しているので、夢とは反対にダリアの言うことは信用されませんでした。
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