1 / 11
1.
しおりを挟む「今日をもって、スカーレット、貴方との婚約を破棄する。そして、貴方に苛められていた、可哀想なダリアと婚約する」
決まりきったセリフをのたまうのは、私の婚約者のダニエルです。
彼は公爵令息ですが、次男です。家の家督がつげないため、私と結婚して侯爵家に婿入りする予定でした。
物語通りの進行に思わず、笑いを堪えるのが大変でした。
私には、ある記憶があります。小さい頃から、よく、夢を見ました。
夢の内容は、見たことがない世界で、その世界の私は本をよく読んでいるのです。
どうして、私だとわかるのかというと、感情が蘇ってくるというべきなのか、考えていることがわかるのです。
ある本を読んでいる私は、口が少し悪く、
「馬鹿よ、スカーレットも、もう少し周りの言う事ばかり聞く良い子ちゃんではなく、上手く立ち回ってたら、ダリアにやられることないのに」
とつぶやいているのです。
「私なら絶対ジークが推しよ。ダニエルなんて、顔だけの浮気者じゃない。パパがスカーレットを溺愛してるなら、ダリアを絶対養女にさせないようにしないと、乗っ取りよ乗っ取り、ダリアなんて、リスター侯爵家の血筋じゃないんだから、図々しい」
本を読みながら、怒ったりぶつぶつ呟いているのです。なぜ、違う姿の私が、私自身を怒ってるのかがわかりません。
でも、毎晩毎晩、違う世界の私が、小さい頃の出き事や、未来の私の出き事に、こうしたら良いのにと呟くのです。
あまりにも、毎晩みるので、ノートにメモを取り始めました。
すると、以前ノートに書いた出来事が起こったのです。私は、怖くなりました。
夢の出来事や、違う姿の私の呟きを細くメモをし続けました。
私はこの夢ノートを見ながら、ある結論に結びつけました。
違う世界の私の記憶が、今の私を助けようとしてくれていると。
夢の私は、よくダニエルの悪口を言ってます。ダニエルと言う名前に心当たりがあります。お父様が、婚約者候補の名前によくあげているのです。
ダリアという名前は、聞き覚えがありませんでした。
私のお母様は、私を産んて一年後位に亡くなったそうです。
もともと体が弱かったので、私が無事産まれて、とても喜んでいたと、お父様が話してくれました。
お母様は、亡くなる直前まで、私をとても心配していたそうです。
母を亡くした私をお父様は、とても可愛がってくれました。
私が12歳の頃、お父様が再婚をすることになりました。お相手は、男爵未亡人で、お互い連れ子再婚です。
その連れ子で義妹になる子の名前がダリアでした。
私は、今までに、書いてきた夢ノートを読み返しました。
私は、今から6年後にダニエルに婚約破棄され、その理由が冤罪でダリアを苛めて、怪我までさせようとしたこと。
このときには、既にお父様は亡くなられていて、義母が侯爵家の実権を握っていたこと。
ダリアが養女になっているため、スカーレットの立場が弱かったこと。
私に知識をつけさせないため、学校には通わせず礼儀作法の家庭教師のみだったこと。
推しがジーク?これは少しわからないけど、ジークがダニエルより良いってこと。
夢ノートには、もう一人の私の、こうしたらいいのにから始まる対処の仕方が、事細かに書いてあります。
私は、お父様の執務室に行き、お父様に私を愛しているなら誓約書を書いてくださいと頼みました。
1.ダリアを養女にはしないこと。
2.私を学校に行かせること。
3.侯爵家は私が継承すること。
4.私に弁護士を必ずつけること。
お父様が再婚したことにより、私の立場がなくなると泣いたので、お父様は、最初は困った顔をしてたけど、あまりにも私が真剣なので、弁護士を呼んで誓約書ではなく、遺言書を念の為に作ると言ってくれた。
私は、お義母様達にバレないように秘密裏に動いて欲しいとお願いしました。
それならと、お父様と私で明日、弁護士事務所に行くことになりました。
私は、夢ノートにしたがって、もう一人の私のこうしたらいいのにを実行していきました。
やはり、お義母様は、機会があるごとに、お父様にダリアを養女にして正式に侯爵令嬢にして欲しいと願い出ていました。
私をダシにして、私が正式な妹を欲しがってると言っているようです。
ダリアは、令嬢方のお茶会で、侯爵令嬢としてふるまってました。
男爵令嬢のままなのに、ダリア自身本当に知らないのだと思います。あえて、私も訂正しません。後で、恥をかくのはダリアだからです。
夢ノートには、お茶会で私がダリアに意地悪をしているかのように、自作自演をして、私は意地悪な姉にされていくと書かれてありました。
対処方は、仲良しの伯爵令嬢のルイーズに事前にダリアが私を意地悪な姉に仕立てようとしているので、助けてほしい事を話しておくこと。
そして、ダリアの自作自演も暴いてもらえるように仲間内に話して欲しいとお願いしておきました。
お茶会で、ダリアは案の定、自分でお茶をこぼしたのに、お姉様酷いですとシクシク泣く演技をしてました。
しかし、ルイーズや他の令嬢方がしっかり自分でこぼしている姿を目撃しているので、夢とは反対にダリアの言うことは信用されませんでした。
112
あなたにおすすめの小説
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。
【完結】リクエストにお答えして、今から『悪役令嬢』です。
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「断罪……? いいえ、ただの事実確認ですよ。」
***
ただ求められるままに生きてきた私は、ある日王子との婚約解消と極刑を突きつけられる。
しかし王子から「お前は『悪』だ」と言われ、周りから冷たい視線に晒されて、私は気づいてしまったのだ。
――あぁ、今私に求められているのは『悪役』なのだ、と。
今まで溜まっていた鬱憤も、ずっとしてきた我慢も。
それら全てを吐き出して私は今、「彼らが望む『悪役』」へと変貌する。
これは従順だった公爵令嬢が一転、異色の『悪役』として王族達を相手取り、様々な真実を紐解き果たす。
そんな復讐と解放と恋の物語。
◇ ◆ ◇
※カクヨムではさっぱり断罪版を、アルファポリスでは恋愛色強めで書いています。
さっぱり断罪が好み、または読み比べたいという方は、カクヨムへお越しください。
カクヨムへのリンクは画面下部に貼ってあります。
※カクヨム版が『カクヨムWeb小説短編賞2020』中間選考作品に選ばれました。
選考結果如何では、こちらの作品を削除する可能性もありますので悪しからず。
※表紙絵はフリー素材を拝借しました。
虐げられていた姉はひと月後には幸せになります~全てを奪ってきた妹やそんな妹を溺愛する両親や元婚約者には負けませんが何か?~
***あかしえ
恋愛
「どうしてお姉様はそんなひどいことを仰るの?!」
妹ベディは今日も、大きなまるい瞳に涙をためて私に喧嘩を売ってきます。
「そうだぞ、リュドミラ!君は、なぜそんな冷たいことをこんなかわいいベディに言えるんだ!」
元婚約者や家族がそうやって妹を甘やかしてきたからです。
両親は反省してくれたようですが、妹の更生には至っていません!
あとひと月でこの地をはなれ結婚する私には時間がありません。
他人に迷惑をかける前に、この妹をなんとかしなくては!
「結婚!?どういうことだ!」って・・・元婚約者がうるさいのですがなにが「どういうこと」なのですか?
あなたにはもう関係のない話ですが?
妹は公爵令嬢の婚約者にまで手を出している様子!ああもうっ本当に面倒ばかり!!
ですが公爵令嬢様、あなたの所業もちょぉっと問題ありそうですね?
私、いろいろ調べさせていただいたんですよ?
あと、人の婚約者に色目を使うのやめてもらっていいですか?
・・・××しますよ?
【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢
美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」
かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。
誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。
そこで彼女はある1人の人物と出会う。
彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。
ーー蜂蜜みたい。
これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。
【完結】義家族に婚約者も、家も奪われたけれど幸せになります〜義妹達は華麗に笑う
鏑木 うりこ
恋愛
お姉様、お姉様の婚約者、私にくださらない?地味なお姉様より私の方がお似合いですもの!
お姉様、お姉様のお家。私にくださらない?お姉様に伯爵家の当主なんて務まらないわ
お母様が亡くなって喪も明けないうちにやってきた新しいお義母様には私より一つしか違わない双子の姉妹を連れて来られました。
とても美しい姉妹ですが、私はお義母様と義妹達に辛く当たられてしまうのです。
この話は特殊な形で進んで行きます。表(ベアトリス視点が多い)と裏(義母・義妹視点が多い)が入り乱れますので、混乱したら申し訳ないですが、書いていてとても楽しかったです。
完 これが何か、お分かりになりますか?〜リスカ令嬢の華麗なる復讐劇〜
水鳥楓椛
恋愛
バージンロード、それは花嫁が通る美しき華道。
しかし、本日行われる王太子夫妻の結婚式は、どうやら少し異なっている様子。
「ジュリアンヌ・ネモフィエラ!王太子妃にあるまじき陰湿な女め!今この瞬間を以て、僕、いいや、王太子レアンドル・ハイリーの名に誓い、貴様との婚約を破棄する!!」
不穏な言葉から始まる結婚式の行き着く先は———?
悪役令嬢の私が転校生をイジメたといわれて断罪されそうです
白雨あめ
恋愛
「君との婚約を破棄する! この学園から去れ!」
国の第一王子であるシルヴァの婚約者である伯爵令嬢アリン。彼女は転校生をイジメたという理由から、突然王子に婚約破棄を告げられてしまう。
目の前が真っ暗になり、立ち尽くす彼女の傍に歩み寄ってきたのは王子の側近、公爵令息クリスだった。
※2話完結。
【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。
五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」
オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。
シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。
ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。
彼女には前世の記憶があった。
(どうなってるのよ?!)
ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。
(貧乏女王に転生するなんて、、、。)
婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。
(ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。)
幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。
最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。
(もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる