【完結】胃袋を掴んだら溺愛されました

成実

文字の大きさ
93 / 96

新婚旅行に行こう6

 医者の話では、あまり揺れが激しいのは、良くないらしい。つわりの様子も見るので、3日から5日ゆっくりして、移動を考えるように言われた。


 手紙を受け取った領内のシェルエント公爵邸では。

「旦那様、ディアちゃんがおめでたです。レイモンドの子供ができたのですよ。
 カイトの不正問題なんて、秘書にまかせて、今から隣国のポルク領に行きましょう。

 新婚旅行だから、護衛騎士だけ連れて行って、ディアちゃんの世話をするメイドを連れて行ってないから、どれだけディアちゃんが不安になっているかと思うと。

 旦那様が動けないなら、私だけでも、女性の使用人を連れて行って来ますわ」

「ローズ待ちなさい。一度私にも手紙を見せてくれ。

 なるほど、ディアちゃんは、つわりがはじまったのか。そうだな、私達も迎えに行こう」

 発想力がずば抜けて素晴らしい、うちの可愛い義娘。

 領内の別宅をホテルにしようと抜き打ちに行ったら、カイトの不正が発覚、賭け事を隠れてするなら一定のルールを設けて合法で楽しめるカジノにするのはどうだろうかと、手紙に書いてあった。

 カイトに反抗してやめさせられた者達は、忠臣だから、連絡をして、もう一度雇うのが公爵家のためになると書かれている。
 うちの嫁は、人の心情にたけている。私やレイモンドでは、わからない人の心の動きを読んで、商売や人の配置に気を配る。
 たった3ヶ月一緒に住んだだけなのに、嫁の凄さがわかる。
 そんな、我が家のディアちゃんに子供が出来た。

 私達の初めての孫、ローズの言う通り、カイトにかまってはいられない。
 ローズはディアちゃんのいるホテルに迎えに行く準備をはじめている。
 私とローズは仲が良いが、レイモンドが結婚してからは、更に仲が深まった。

 夫婦は同じ部屋に寝るのがあたり前なんて、知らなかった。寝屋の事を話す事ではないから、レイモンドから聞いて驚いたものだ。

「旦那様、準備出来ましたよ。さあ行きましょう」

 ローズも初めての孫で、行動が素早い、さあ迎えに行こうか。



 できるだけ消化の良いものを食べても、もどしてしまう姿をみて心配になる。

 薬湯をとっているが、いっこうに効かないので、思わず医者に文句を云いそうになってしまった。
 ディア自身、気分が悪いだろうに、落ち着いた対応をしている。

「レイ大丈夫ですから、落ち着いて下さい。赤ちゃんはこうやって、自分が居ますよって教えてくれていると思うと、この気持ち悪さも我慢できます。

 反対にレイがそこまで、深刻な顔をしている方が心配です。
 つわりは私達の赤ちゃんが元気な証拠ですよ。一番今が赤ちゃんにとっても大切な時期なんですよ。パパとママの私達がおちつきましょう」

 初めての妊娠で、つわりの辛さを体験しました。この気持ち悪さ、これが安定期まで続くと思うと嫌になります。
 前世の友達が、つわりは気持ち悪いけど、赤ちゃんが元気な印だから、頑張るとよく言ってました。

 たしかに、つわりがある限り、赤ちゃんが元気な証拠だと思うと嬉しくなります。
 レイモンドの方が、私より、顔色が悪いですね。私が大丈夫と言っても、心配で落ち着かないようです。

 何も考えずに、もう何日かホテルでゆっくりしましょう。
 ぐっすり寝て起きると、なんと義父様と義母様が部屋にいるではありませんか。
 公爵家の凄腕のメイドを率いて来ているのです。

 レイモンドから手紙を受け取って、すぐに駆けつけたとのこと。ビックリです。

「ディアちゃんおめでとう。でも体は辛いわね。つわりは大変ですもの。
 旅先でディアちゃんが不安にならないように、来たわよ。新婚旅行だから、メイドも連れて行かなかったから心配したわ」

「ありがとうございます、義母様、義父様。

 義父様は別宅の仕事は大丈夫ですか?」

「ああ、カイトのことかい?
大丈夫だ。それより、つわりがかなり酷いようだが、無理はしないように」

「心配してくださりありがとうございます。でも、もっと酷くなる前に、領地の屋敷に戻ろうと思ってます。
 せっかく来ていただいたのに、2~3日ぐらいしたら、出発しようと考えてました」


「あら、じゃあ一緒にゆっくり帰りましょう。ディアちゃんの体調次第で休憩しながら、行きましょう」


 やはり体調が悪いときは、女性のメイドがいると心強いです。なんとなく、何があっても安心出来ます。
 屋敷についたら、シェフにお米を煮込んでお粥を作ってもらいましょう。お米が手に入った段階で、つわりが始まったのも、きっとご飯を食べて乗り切ろうと言うことだと思います。

 今回の新婚旅行で米と味噌と醬油が手に入り、目的達成です。
 なにより、レイモンドとの赤ちゃんが私のお腹の中で育っていたことが私にとって幸せなことです。

 そして、私を心配して迎えに来てくれた、義父様と義母様。
 お腹の赤ちゃんに、貴方がママのお腹の中にいたとき、新婚旅行で隣国にいたのに、つわりで苦しむママをお祖父様とお祖母様が迎えに来てくれたのよと話してあげましょう。

 それだけ、皆が貴方の誕生を待ち望んでいた事を、話せる幸せを、貴方が運んでくれたのよ、ありがとう。

あなたにおすすめの小説

水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います

黒木 楓
恋愛
 伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。  異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。  そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。 「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」  そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。 「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」  飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。  これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

【完結】財務大臣が『経済の話だけ』と毎日訪ねてきます。婚約破棄後、前世の経営知識で辺境を改革したら、こんな溺愛が始まりました

チャビューヘ
恋愛
三度目の婚約破棄で、ようやく自由を手に入れた。 王太子から「冷酷で心がない」と糾弾され、大広間で婚約を破棄されたエリナ。しかし彼女は泣かない。なぜなら、これは三度目のループだから。前世は過労死した41歳の経営コンサル。一周目は泣き崩れ、二周目は慌てふためいた。でも三周目の今回は違う。「ありがとうございます、殿下。これで自由になれます」──優雅に微笑み、誰も予想しない行動に出る。 エリナが選んだのは、誰も欲しがらない辺境の荒れ地。人口わずか4500人、干ばつで荒廃した最悪の土地を、金貨100枚で買い取った。貴族たちは嘲笑う。「追放された令嬢が、荒れ地で野垂れ死にするだけだ」と。 だが、彼らは知らない。エリナが前世で培った、経営コンサルタントとしての圧倒的な知識を。三圃式農業、ブランド戦略、人材採用術、物流システム──現代日本の経営ノウハウを、中世ファンタジー世界で全力展開。わずか半年で領地は緑に変わり、住民たちは希望を取り戻す。一年後には人口は倍増、財政は奇跡の黒字化。「辺境の奇跡」として王国中で噂になり始めた。 そして現れたのが、王国一の冷徹さで知られる財務大臣、カイル・ヴェルナー。氷のような視線、容赦ない数字の追及。貴族たちが震え上がる彼が、なぜか月に一度の「定期視察」を提案してくる。そして月一が週一になり、やがて──「経済政策の話がしたいだけです」という言い訳とともに、毎日のように訪ねてくるようになった。 夜遅くまで経済理論を語り合い、気づけば星空の下で二人きり。「あなたは、何者なんだ」と問う彼の瞳には、もはや氷の冷たさはない。部下たちは囁く。「閣下、またフェルゼン領ですか」。本人は「重要案件だ」と言い張るが、その頬は微かに赤い。 一方、エリナを捨てた元婚約者の王太子リオンは、彼女の成功を知って後悔に苛まれる。「俺は…取り返しのつかないことを」。かつてエリナを馬鹿にした貴族たちも掌を返し、継母は「戻ってきて」と懇願する。だがエリナは冷静に微笑むだけ。「もう、過去のことです」。ざまあみろ、ではなく──もっと前を向いている。 知的で戦略的な領地経営。冷徹な財務大臣の不器用な溺愛。そして、自分を捨てた者たちへの圧倒的な「ざまぁ」。三周目だからこそ完璧に描ける、逆転と成功の物語。 経済政策で国を変え、本物の愛を見つける──これは、消去法で選ばれただけの婚約者が、自らの知恵と努力で勝ち取った、最高の人生逆転ストーリー。

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています

オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。 ◇◇◇◇◇◇◇ 「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。 14回恋愛大賞奨励賞受賞しました! これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。 ありがとうございました! ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。 この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)

家族から冷遇されていた過去を持つ家政ギルドの令嬢は、旦那様に人のぬくもりを教えたい~自分に自信のない旦那様は、とても素敵な男性でした~

チカフジ ユキ
恋愛
叔父から使用人のように扱われ、冷遇されていた子爵令嬢シルヴィアは、十五歳の頃家政ギルドのギルド長オリヴィアに助けられる。 そして家政ギルドで様々な事を教えてもらい、二年半で大きく成長した。 ある日、オリヴィアから破格の料金が提示してある依頼書を渡される。 なにやら裏がありそうな値段設定だったが、半年後の成人を迎えるまでにできるだけお金をためたかったシルヴィアは、その依頼を受けることに。 やってきた屋敷は気持ちが憂鬱になるような雰囲気の、古い建物。 シルヴィアが扉をノックすると、出てきたのは長い前髪で目が隠れた、横にも縦にも大きい貴族男性。 彼は肩や背を丸め全身で自分に自信が無いと語っている、引きこもり男性だった。 その姿をみて、自信がなくいつ叱られるかビクビクしていた過去を思い出したシルヴィアは、自分自身と重ねてしまった。 家政ギルドのギルド員として、余計なことは詮索しない、そう思っても気になってしまう。 そんなある日、ある人物から叱責され、酷く傷ついていた雇い主の旦那様に、シルヴィアは言った。 わたしはあなたの側にいます、と。 このお話はお互いの強さや弱さを知りながら、ちょっとずつ立ち直っていく旦那様と、シルヴィアの恋の話。 *** *** ※この話には第五章に少しだけ「ざまぁ」展開が入りますが、味付け程度です。 ※設定などいろいろとご都合主義です。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~

八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。 しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。 それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。 幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。 それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。 そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。 婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。 彼女の計画、それは自らが代理母となること。 だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。 こうして始まったフローラの代理母としての生活。 しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。 さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。 ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。 ※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります ※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)