落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ

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四章

今年の新年祭

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秋になると、遊べる時間が少なるからか、夏と比べると速く過ぎるような気がした。それに、僕達は準備する物なんてそんなにないけれど、母様は準備する物が多いのか、忙しなさそうだった。

「母様達は、今日も別なご飯なの?」

「何時も無理して私に付き合わなくても良いのよ。アルには物足りないでしょう」

パーティーが近くなると、母様は料理長に頼んで野菜中心の食事に変えて、量も減らしてしまう。母様が言うには、ドレスを着るためには今から体型を気にかけないといけないらしい。

「私が好きでしている事だからね」

僕から見ても、野菜中心の食事は父様にとっては物足りなく感じそうだけど、父様はそんな事はおくびにも出さない。

「エレナは今のままでも十分だけど、エレナがやりたいと言うのなら私も一緒に付き合うから、それに、1人だけ別な料理を食べるのは寂しいからね」

「アル…」

「でも、見た目はあんまり変わってないよ?」

パーティーの度にやっていて、今回も先週から食事を変えているけれど、全く変わっていないように見える。

「此処で気を抜いて、当日ドレスが着られないなんて事になったら目も当てられないわ」

さっきまで、父様には申し訳なさそうな、それでいて嬉しそうな顔をしていたのに、僕の言葉にはきっぱりした顔をしていた。後日、アリアに今日の事を話したら、何故か思いっきり怒られた。

「採寸が終わっていたとしても、手直しを頼めば良いだけなのだけどね」

そんな僕達の様子を、父様は少し苦笑しながら見ていた。

新年祭の準備をしながらみんなと過ごしていると、めっきり寒くなっていった。冬が始まってしまうと、新年祭が来るのはあっという間だった。

「何時から此処は、君の屋敷になったのかなぁ?」

パーティーに参加するため、朝早くから城にやって来た僕達は、父様が事前に手配していた城の一室にやって来ていた。だけど、僕達が部屋に到着するのを見計らったようなタイミングでやって来た陛下が、父様の姿を見るなり開口一番そう言った。

「部屋が無駄に余っているんだ。少し部屋を使用したくらいで小言を言っていたら、お前の程度が知れるぞ」

「じゃあ、誰がこの部屋の使用を許可したんだ?」

「宰相権限で、私が許可した」

「職権乱用だぞ!!」

あの日、学院で話していた事を父様に言ったら、父様も馬車の渋滞を嫌っていたようで、開城する前から城に入れるように手配すると言っていた。だから、バルド達も誘ってみんなで時間を合わせて先に来たんだけど、何だか雲行き怪しい。

「貴様、許可は取ってあると言っていなかったか?」

ベルンハルト様の方には、父様から話しをしておいてくれると言っていたのに、もの凄い怖い顔で父様を睨んでいる。

「許可はある。これ程度ならば、私の最良でどうとでもなる案件だ」

「私に報告は上げろ!俺は、執事長から確認のための報告で知ったんだぞ!?」

「そうか」

怖い顔をしている2人を前にしても、堂々とした様子で立っている父様に僕が目を向けていると、陛下の背後から聞いた事があるような声が聞こえて来た。

「父上、申し訳ありませんが、扉の前に立たれては、私が中に入れません」

「あぁ、すまん」

扉を塞ぐように立っていた陛下が横にずれると、その後ろに殿下が立っているのが見えた。

「レグリウス卿、此度は招待に応じて頂き…あっ!オルフェ!よく来たな!パーティーまでまだ時間あるけど、オルフェはそれまで何する予定なんだ!?」

「煩いのが来た…」

最初は父様の姿に畏まった様子を見せていたけれど、その後ろの方に立っていた兄様の姿を見つけた途端、さっきまでの王子様らしい雰囲気が途端に消え失せ、まるで子供にでも戻ったような気さくな態度を見せていた。

「レオン…。はぁ…とりあえず…まずは座るか…」

そんな殿下の態度に、まるで場の空気が壊れたような不快ため息を付いた後、陛下はまだ誰も座っていない室内を見渡しながら言った。

部屋の中には、4人づつが座れる机とソファーが準備されており、僕達はそれぞれに別れて座る事にした。

「私は…此処にいても良いんですかね…?」

僕の前で、居心地が悪そうに座っているコンラットが、僕達にだけ聞こえるような小さな声で言った。コンラットの両親達も一緒に誘ってはいたけれど、共に恐れおおいとそれを事態してしまった。そのせいで、コンラットも自分だけ行くのはと断ろうとしていたけれど、バルドに連れ出されるように、バルド達と一緒の馬車で此処まで来ていた。

「何言ってんだ!良いに決まってんだろ!」

「そう…ですかね…」

「そうだよ。父様達も気にしてないよ」

僕とバルドで声を掛けるけれど、コンラットは何とも言えないような暗い顔をしていた。僕は、父様達の様子を探るために、父様の方へと視線を向けながら耳を澄ます。

「お前は、信用出来ない部下しかいないのか?」

「そんなわけが無い」

父様の言葉に、ベルンハルト様は未だにぶすっとした顔を浮かべながら答えていた。

「私は、君達を喧嘩させるために来た訳じゃないんだけど?それに、女性陣がいないからって、あまり殺伐として空気を出さないでくれないかな?」

部屋に入った時のまま、父様とベルンハルト様の空気だけが何だか悪い。

母様達は、事前に運び込んでいたドレスに着替えるに席を外しているため、今此処にはいない。何時も準備には時間が掛かっているから、母様達が戻って来るまでにはまだまだ時間が掛かりそうだ。

「なぁ?此処に居るだけなのも暇だし、探検に行ったら駄目かな?」

「何言っているんですか!駄目ですよ!あの時に言っていたのは冗談じゃなかったんですか!?」

前に教室で言っていた事は本気だったようで、横に座って聞いていたコンラットが小声で怒鳴りながらそれを止めていた。だけどそんなバルド達の声が聞こえたのか、後ろの席のソファーから顔が覗いた。

「良いじゃん!俺も行きたい!兄貴、少しくらい良いだろう!」

そう言いながら振り返って聞いた声が少し大きめなだったからか、妙に部屋の中に響いた。そんなクリスさんの言葉を受けて、僕達から少し離れて席に座っていたレオン殿下が、一緒に座っている兄様へ声を掛けていた。

「なぁ?オルフェ、俺等も探検行くか?」

「何を言っているだ。もう、子供じゃないんだぞ。それに、お前は此処に住んでいる人間だろうが、それに、今更見たい場所も何もない」

声を掛けられた兄様の方は、殿下の提案を呆れが混ざったような口調で素っ気なく断り、興味もなさそうだった。

「兄貴、少しくらいでも駄目なのか?」

「うーん…」

その間も、一緒に座ってりうお兄さんに、クリスさんから懇願するように頼んでいた。そんな様子に、お兄さんは何処か困った顔をしながら、父様達が座っている席の方へと視線を向けた。

「探検に行きたいなら、行って来たら良いと思うよ。此処にいても、退屈なだけだろうしね」

「君は、また勝手に…」

「何だ?駄目だとでも言うつもりか?」

「いや、その方が良いかもしれないね」

父様が確認するように、陛下にもう一度訪ねれば、何とも言えないような複雑そうな顔をしながら頷いた。

「探索するなら、城にある隠し通路でも探して見たらどうかな?」

陛下の了承を得た父様は、僕が前に言っていた事を覚えてくれていたのか、僕達にそう提案して来てくれた。

「では、危険な場所に迷って行かぬよう、私がお供します」

父様の言葉を受けてか、お兄さんが僕達の保護者役として名乗り出てくれた。

「隠し通路だったら、俺もオルフェと一緒に案内するぞ!」

「何で、私も行く事になっているんだ…だが…仕方ないか…」

それに続くようにレオン殿下も声を上げ、兄様も付いて来てくれるようだった。だけど、乗り気な殿下と違って、兄様は少し嫌そうな顔をしていた。

「レオン。城を警備する者達でも、極一部の者にしか知らせていないような機密を、そんな簡単に教えようとするな」

「ですが父上、この部屋にいる者達ならば、教えても何も差し障りもないのではないでしょうか?」

僕や兄様と話す時とは違って、父様達と話す時は、しっかりとした口調で話しているそんな殿下に、父様が声を掛けた。

「レクスからは、全ての道を教えて貰っているか?」

「はい!父上からは、いざという時のための打出ルートとして教えて貰っています!」

「それは、何箇所だ?」

「えっ?20箇所です」

「全部で26箇所あるぞ」

「えーーっ!父上!俺、聞いてねぇけど!?」

驚いて視線を陛下へと向けるレオン殿下だったけど、それとは違って、陛下は視線を向けられた陛下は、何処か驚きながらも冷静な顔を浮かべていた。

「まずは1回落ち着け。お前に説明する前に、何でお前は王族しか知らない数を含めた正確な数を知っているんだ?」

「そんなもの、風の流れをよめば、何処にあるかなど直ぐ分かる」

「それは…今直ぐにでも対策を講じるべき案件じゃないか…?」

父様の言葉に、ベルンハルト様も陛下と一緒に何処か険しい顔で父様の顔を見ていた。

「安心しろ。あれ等を全て見つけられるのは、せいぜい私くらいのものだ」

「私は、君こそが一番、知られたら不味い相手なような気がするんだけどねぇ…」

その後も、若干の渋い顔をしながらも大人達に見送られながら、僕達はその部屋を後にした。
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