すろらいふ・おんらいん

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カグナ 02

02 キラメキ探し

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 タウンを散策。
「ここだけでも魅力だよね」
「そう?」
「飽きないよ」
「それ、自分で作ったからじゃない?」
「そうかな?」
「そうだよ」
「そうかな?」
「そうだよ」
「そうかも」
「……そうだよ。きっと」
「なら、感じない?」
「うん」
「全く?」
「……全くと言われれば」
「全く?」
「……少しは?」
「少し?」
「――もう少し、あるかも」
「もう少しない?」
「――キラメキってねだるものなの?」
「かもしれないよ」
「うわっ。汚いな」
「え~~!?」
 呆れるカグナ。
「そもそも、ここにキラメキがあるの?」
「あるかもよ」
「――キラメキってなに?」
「キラメければ、なんでもいいんだよ」
「――それって楽しいの?」
「いや、言われてもね~~。感じ方だから」
「そんなもの?」
「そんなものだよ」

 キラメキを見つける。
「これ、どう?」
 小石を見つけた。
「そう?」
「デザインがいいかなと。僕は」
「……そう?」
「違う?」
「判らない」
「違うか~~」
 カグナの否定が入った。
「違うなら、次、行こうか」

 宝石ショップに向かう。
「――ここ、アイテムショップ?」
「ここはネックレスとか、イヤリングとか――」
「アイテムじゃないの?」
「違うよ。アクセサリーショップ」
「ゲームに意味、あるの?」
「……え?」
「――ゲームだよね」
「ゲームだけど。でも、キラメかない?」
「……そういうの、作っているんだ」
「……無駄じゃないよ。大事だよ。アクセだよ!」
「私はまだ付ける年齢じゃないから」
「でも、僕が全く必要の無いものを作っているように――」
「思ってないから。付けている人、いるし」
「だってね、タウンでも楽しめるし、みんな同じだと、ね」
「ダメって言っていないから!」
「よかった~~」
「自分で作ったんだから、自信持ちなさいよ」
「そうだね。でも、そうか。ここでキラメかないか」
「そういう年齢じゃないだけ」
「次、行こう――」

 その後も、町並みや景色、隠れデザインなどを探した。
「ここは?」
「ん~~」
「ここは?」
「そうだね~~」
 カグナはキラメかなかった。
「ダメか~~。他に何だろう」
 いくつか見ていく。
「――楽しい?」
「楽しいよ。僕も知らない部分も出てくるし」
「――そうなんだ」
「つき合ってくれてありがとうね」
「――私って、そういうの、鈍いのかな」
「何で?」
「だって何も感じないし、気付かないし。――キラメキって何?」
「キラメキ? それはね。キラメいたら何でもいいんだよ」
「何でも?」
「そう。何でも。肝心なのは、キラメくことだから」
 鼻で笑うカグナ。
「なに、それ」
「変だった?」
「いや――。そうだね。何でも感じればいいんだもんね。否定ばっかりしないで」
「そうだね」
 草原で仰向けになる僕とカグナ。
「あ~~。疲れた」
「寝ないでよ」
「ここに布団を――」
「だからダメだって」
 カグナに制止させる。
 再び仰向けに。
「――今度さ、頑張ってキラメいてみるよ」
「そうだね。何でもいいから」
「何でも?」
「何でも。隠れデザインでも、日常風景でも、何でも」
「そんなに、何でも?」
「何でも。キラメいたら何でもそれはキラメキになるから」
「やっぱり、オーバーだよ」
「そうかな?」
「そうだよ」
「そうかな」
「そうだよ」
「――そうかもね。それでもね」。
「……本当にそうなの?」
「え、疑うの~~!? いいじゃん。ゲームの中くらいキラメいたって」
「まぁ、ゲームくらいなら」
「ゲーム、非現実なんて、何やっても、何思ってもいいんだよ」
「――そうかも。ゲームくらい」
 目を閉じるカグナ。少しして、目を開ける。
「……え?」
 カグナが見ている景色が優しい光に溢れていた。
「これが、キラメキ?」
「かもね~~」
「……何かした?」
「何もしてないよ」
 オカンが演出をした。
「だって、これを作ったんだから、ソラタでしょ!」
 でも内緒で。
「私、このゲーム。楽しめるかな」
「興味、持って来た?」
 少し考えるカグナ。
「さぁね!」
「なに、それ」
 時間を確認する。
「――ログアウトしようか」
「――うん」
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