すろらいふ・おんらいん

TaHiRo

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☆ あれから……。

NWOは衰退していた。

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 それは、突然起こった。
「ソラタ!」
 アカネがとある資料を持って来た。――なに?
「ネクストワールドオンラインが終わるって」
 それを聞いた僕は……「あ、そう」で終わった。
「いや、何でそんな――。私たちが」
「作ったけど、著作権も何もかも、会社が持っているから」
 今のように、僕たちが運営、管理、著作を持っていれば別。
 でも、ネクストワールドオンラインNWOは僕たちには関係ない。既に別のゲームの手伝いを行っている。
 まぁ、これも手伝いだけど。
「――これ、もらえないかな?」
「――え?」
「だって、私たちが頑張って作ったのを」
「いや、それなら他にも――」
 僕たちが関わったゲームは複数。また、僕が個人で関わったものはもっとある。まぁ、AIたちの頑張りもあるけど。
 だからこのNWOだけが特別なにか――。というわけでもない。
 たしかに、関わった期間は長かったけれども。
「もらってどうするの?」
「私たちが運営するの! どうかな」
「――何を言っているか判っている?」
 今、僕たちは会社運営はしている。でもゲームの運営はしていない。ゲームの運営はずっと誰かが管理している。まぁ、AIでまかなえるけれども。会社は、夜や休日は閉じることができる。ゲームは24H365D運営が開始し、終わるまでずっと続く。
 メンテ時間は? 運営に入る。だからずっと――。
 僕は、休みがある方がいいんだけど。
 だから業務委託を続けてきた。サーバーの設置、運営方法も教えた。問題が出たらサポートまでする。
 至れり尽くせりなのは、責任がないから。あくまで休みなしの責任は負わない。それだからよかった。
「でも、あるんでしょ。いろいろ」
 NWOを離れて数年。多分まだ僕たちがくつろいでいた場所は残っている。特に消す必要もなければ、そんなギリギリの運営だったから。
「むしろAIも弱い状態でよく今まで保ってきたよ」
 それだけNWOには社運を賭けていたのだろう。現にお金もかけ、もうけも出ていたから。
 僕たちが出てからは、業務委託もなかったから、どうなっていたかは判らないけれども。
「――一旦、見に行くか」
 とりあえずNWOの現状を見に行くことに。
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