すろらいふ・おんらいん

TaHiRo

文字の大きさ
上 下
65 / 68
アカネとノーナカ

01 新人のノーナカ

しおりを挟む
 私は、このNNWOが開始されて以降、NNWOの運営を任されている。もちろん、他の仕事もあるけれども。
 全てソラタが作ってくれたから。
「でも、先輩。凄いですね。NNWOの主任て」
 興奮しているのは、新しく入ったマーナカ。ソラタはカンシスさんに外部の技術面を中心に、プログラム面を私とマーナカ、あとAIたちで行うことになっている。マッサンを含めて。
「またできるね。マッサン」
 とマッサンに声をかけても、特段返事はない。普段はいつも抜けている。そこがいいのだとか。
 もちろん、常々反応されても嫌だけど。その塩梅って私のエゴなのかな。
「でもエゴでどうにかなるんですね」
 マーナカの皮肉? いや、羨ましいのかも。
「まぁ、本当に私の意地だけどね」
 プログラミングの時代も、私がNWOを作ってから随分と進歩した。正直私は、スマホで異常・正常を時々チェックして、エラーが出たらPCで修正を指示する。それ以上は必要がない。それだけAIが進歩している。
 最近は特にAIで何でもできてしまう。まだ難しいのは動植物の生産・管理など。どれだけ条件を入れても、全てがAIの予想通りにはならない。精度を上げても100にはならない。ここくらい。
 人を動かすのも最近はAI。そんな時代だからこそ、友達からは。
「え、今さらオンラインでゲーム?」
 と時代錯誤も言われた。もちろん古いままえ終わらせるわけではない。ちゃんと時代に合わせて変えていくつもり。その結果、私が最初に作っていたものとは違うとなっても、それは大事な変化だと受け入れている。だってNNWOもNWOよりかなり変えている。私がした仕事もほとんど消えている。それでもやりたかった。形が変わっても、作ったものだから。そして今も作っているものだから。
「でもさ、マーナカは何で?」
 この会社のNNWO部に応募してきたのか。
 最初は言いにくそうにしていたけれど――。
「NWOではないんですけど、オンラインゲームを初めてやったときに、凄いな――。と、その感動が忘れられずに」
 面接の時とは違うことを言った。
 まぁ、面接ではこの子以外、来なかったけれど。
 でもスキルも十分だったから、ソラタと私で採用した。
「それ、多分ソラタが関わっているから」
「――え、そうなんですか?」
 だって、NWOを作っている時でも、他の会社のオンラインゲームを作って、他のシステムのプログラムを作って――。ってやっていたから。今の世の中の作業効率を既にNWOで「ゆっくりと――」とか寝ながら給与を貰っていた時からやっていたから。
 他のゲームでもタウンや入り口を大いに作り替えていたことはあり得る。またNWO以前も以後も、オンラインゲームに携わっているから――。
「ソラタさん、凄いんですね」
「あれが理想なのか、――呆れるけどね」
 少なくともデスマーチを何度も進行させられた私にとっては、ソラタはサボりにしか見えなかった当時。
 今は――。ソラタ式でいいと思うけれども。
「でも凄いですよね。給与もいいし、完全週休3日で長期休暇もアリ。その上――」
 デスマーチなんて無縁過ぎるこの環境の中で、応募してきたのがマーナカ1人だけ。
「応募がね、会社のHPだけだったから」
 応募する気があるのか? でも何人も面接をするのは面倒。あとは、ホワイトハッカー同士で紹介をもらって――。そっちからマーナかが来てくれた。
「でも、やる気があるのか? って職場でしょ」
「いいえ。私もこの職場は好きですよ」
 一応、やりたいことはできるから。NWOを復活させる程度には。
 その気になれば、宣伝のラジオや動画配信から、期間限定のテーマパークまでソラタに言えば出来そうだけど。
 今はNNWOだね。どうしてか、プログラムを見るのが好きなのが多い職場だから。
「なら、よかった」
 一応、ソラタが立ち上げて、私も率先して参加しているこの会社は、魅力ある会社と周りから捉えられているようだった。
しおりを挟む

処理中です...