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一章
奴隷だった私のペット生活2
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ヘンリーがイーラの食事を作ることが決まったので、ヘンリーは早速ジョセフの苦言にしたがって、イーラに質問をし始めた。
ヘンリーは手にメモ帳を持ち聞く。
最初、面倒そうにしていたが意外に真面目だとイーラは思った。
「じゃあ。イーラもう一度聞くが、今までどんなもの食べてたんだ?」
「えっと……いつもはゴミ箱に入ってるのこり物を探してたかな……たまに、カビてる固いパンとか、あ!運が良かったら木の実が落ちてる時があるから、それ食べてた」
「お前、よくそんなんで生きてこられたな……」
ヘンリーはメモを取るのも忘れて呆れる。
「後、すごくお腹すいたときは爪を噛むの。暇つぶしにもなるし、おすすめだよ」
「わかった、わかった。もういいよ……」
ヘンリーはため息をついて止める。これ以上聞いても無駄だと思ったようだ。
「じゃあ、次は好きな食べ物はなんだ?」
「え?う、うーん……」
イーラは考え込む。今までつねにお腹が空いていて、目の前にある食べ物は口に入れる物だと思っていたから、好き嫌いなんて考えたことがなかった。
「なんでもいいぞ……」
「あ、さっき作ってもらったの……好き」
イーラはそう言ってバケツを指さす。とりあえず口に詰め込んだから味はゆっくり味わえなかったけど、卵のぷりぷりした触感とかパンがフワフワしていて美味しかった。
「俺が作ったやつ?」
「今までで一番おいしかったよ。たぶん世界一美味しいよ……」
イーラがそう言うと、ヘンリーはちょっと驚いた顔をする。
「ヘンリー、良かったじゃないか。夢に一歩前進したな」
ジョセフは笑って、ヘンリーの背中を叩く。
ヘンリーは顔を真っ赤にさせて、ちょっと変な顔になる。
「ま、まあ。俺ぐらいなら当然だけどな……」
もごもごそう言って頭を掻く。
「本当に美味しかったのに……やっぱりさっきのもう一回、食べて……」
イーラはそう言って、またバケツを見る。
ヘンリーは慌てて「絶対、ダメだ」と言ってイーラの視界からバケツを隠す。
「と、とにかく分かった。あんまり参考にならなかったけど、改めて作ってみるか……」
そう言ってヘンリーは料理を作り始めた。
しばらくするとヘンリーがまた何か持ってきた。今度はお米が入ったスープだった。
とてもいい匂いがして、イーラはまた急いでお皿を掴む。
「ちょ、ダメ。まだダメだ」
ヘンリーは慌ててお皿をイーラから遠ざける。
「え?だめなの?」
イーラはしょんぼりする。
「また、一気に食べるつもりだろ。お前はもうちょっと、ゆっくり食べる練習をしろ」
ヘンリーはそう言うとスプーンを持ってスープを掬うと、イーラの口に運びはじめた。
イーラは飛びつくようにスプーンにかぶりつく。シンプルな具だがスープの味がしみ込んでいて美味しかった。
「んん!美味しい。もっと食べたい!」
イーラはそう言って、また手を伸ばす。ヘンリーは予想していたのかサッと避ける。
「ダメだって!全部食べられるから落ち着け。それから、もっとちゃんと噛め」
「うー、わかった……」
イーラは不満そうな顔をしつつ、口をモグモグさせて言う通りにしてみる。
柔らかいお米はすぐに口からなくなった。
「まったく……なんで俺がこんな事……」
ヘンリーはブツブツ文句を言いながら、せっせとイーラに食べさせる。
そうして、ゆっくり食べたおかげか今度は無事に食べ終わった。
「ふう……お腹いっぱい」
「よし、今日はこれくらいでやめといた方がいいな」
ヘンリーはそう言って、記録を取っているのかメモになにか書き込んでいる。
色々あったおかげで、時間はもうお昼になってしまっていた。
「これで、一週間は生きていける……」
「いや、何言ってんだ。夕食も食べさせるし、明日もまた来い」
うっとりしながらイーラが言うと、ヘンリーは怒りつつ言った。
「はーい」
「とりあえず、しばらくはスープを中心にして、ちょっとずつ固い物も食べれるようになるのが目標だな」
「この後はどうしたらいい?」
「うーん、とりあえずしばらくは激しい運動はするな。大人しくしておいて、夜にまた来い」
そう言含められたので、イーラは大人しく部屋に帰る。
「お帰り。どうしたの?随分、時間がかかったわね」
部屋に帰るとエミリーが動物達の世話をしていた。イーラはことの経緯を説明する。
「へえ、専属の料理人なんて、凄いじゃん」
話を聞くとエミリーはそう言って、イーラの頭をまた撫でた。
「何してるの?」
イーラが聞いた。
「うん?ブラッシングだよ。この子は特に体が大きいからこまめにしないと……そうだ、イーラも手伝ってよ。一人だと大変なの」
そう言ってエミリーはイーラにブラシを渡す。イーラは素直に頷いた。
ペットになったはいいが、まだ何をしたらいいのかわからなかったから助かった。
ヘンリーにあまり動くなと言われたことも守れる。
さっそく、イーラはエミリーと一緒になって狼のブラッシングをし始めた。狼は体が大きいので大変だった。確かに一人だと時間がかかりそうだ。
「そう言えば、この子達は名前とかあるの?」
ブラッシングをしながらイーラが聞いた。
「この狼は”サーシャ”よ。北にある山脈で怪我をしているのを見つけてピアーズ様が連れて帰ってきたのよ。それであの猫は”アネット”それから……」
そう言って順番に動物達の名前を教えてくれた。一番大きい子は狼で、小さな子はネズミまでいた。
サーシャは気持ちよさそうな表情で、大人しくブラッシングされている。
イーラが奴隷として働いていた時は、馬のブラッシングをしたことがあった。ただ、まだ子供のイーラにとっては大きい馬をブラッシングするのは大変で、しかも下手をすると蹴られて怪我をしそうになったこともあった。
だから、こんなにのんびりブラッシングをするのは初めてだ。
サーシャの毛皮はフカフカで、触っているだけで気持がいい。
その上、窓から陽も差していてポカポカしている。
お腹も一杯だったイーラはブラッシングをしながら、うとうとしてきて、いつの間にか眠っていた。
「ん……ふあ……」
目が覚めると、イーラはサーシャと一緒に絨毯の上で丸くなって眠っていた。
イーラにはエミリーがかけてくれたのか、ブランケットがかけられている。
外を見るともうすっかり暗くなっていた。
イーラが起きたからか、サーシャも目を覚ます。あくびをした後、伸びをするとサーシャはイーラの顔をペロペロ舐めた。
「寝ちゃった……わ、くすぐったい」
なんだか、さっきより少し仲良くなれた気がしてイーラは嬉しかった。
「そうだ、ヘンリーが夕食も食べに来いって言ってたんだ」
思い出してイーラは、また食堂に向かう。丁度良くお腹も空いてきた。
「よう、ちゃんと来たな」
キッチンに入るとヘンリーがそう言った。
食堂は夕食時は過ぎていたようで、落ち着いた雰囲気だった。イーラはかなり眠っていたようだ。
ヘンリーはキッチンの隅にあるテーブルに椅子を置いて、作った料理を置いた。
夕食はスープにパンを浸したものだった。スープはミルクスープでほんのり甘い匂いがする。
「もう、一人で食べれるよ」
「ダメだ、キチンと噛んで食べられるまでこのやり方で食べさせる」
ヘンリーはそう言って、今回もスプーンでイーラの口に運ぶ。
キッチンにはジョセフの他にもコックが働いていて、忙しそうに片付けをしている。数人がイーラのこの状況を見て、不思議そうに聞いてきたりしていた。
人が入れ替わり立ち代りでひとが入れ替わる。大きなお屋敷だから当然なのだろうがイーラは凄いなと思った。
食事がおわると、今度は体重を測られた。
「何で測るの?」
「記録を取っておいて、変化を見るんだ。これから毎日測っていくから」
「わかった」
「なんだか、子供でも出来たみたいだな」
そんな話しをしていると、他のコックが面白そうに言った。
「勘弁してくださいよ。俺、まだそんな歳じゃないですよ」
ヘンリーが口を尖らせて言う。
「俺から見たら二人とも子供だけどな。まあ、頑張れよ」
そう言ってそのコックはヘンリーの頭をグシャグシャ撫でる。ヘンリーは嫌そうな顔をしつつもちょっと顔を赤くさせていた。
食べ終わると、イーラは部屋に戻る。
その途中で、今度はエミリーに会った。
「あ、イーラ。丁度良かった、今から行こうと思ってたの」
「なに?」
「あなた、服がそれしかないでしょ?他のメイドに聞いて、おさがりの服がないか聞いてたの。そしたら結構集まったから持ってきたのよ」
エミリーがそう言ってイーラに服を渡す。
「くれるの?」
「この屋敷には子供がいないから、お古ばっかりだけどね」
「ありがとう」
「あなたの物を入れる箱も部屋に置いといたから、それを使ってね」
エミリーがそう言って、イーラは服を持って部屋に戻った。
早速、もらった服を広げる。
「わあ、沢山ある」
広げてみると服は思ったより多くてしかも、綺麗なものばかりだった。一着だけでも充分だったがこれだけあればこの先、服には困らなそうだ。
寝るときに着る服もある。サーシャが興味深そうに、近ずいてきて匂いを嗅いだ。
イーラは早速寝間着に着替える。時間がかかったが今度は一人で着られた。
残りの服を箱に片付けているとピアーズが部屋に戻っていた。
「服を貰ったのか?そういえば、服のこととか考えてなかったな……」
ピアーズは思いついたように言った。
「エミリーがお古をくれたの」
「そうか、そのうち新しいのも買ってやろう」
ピアーズはそう言ってイーラの頭をクシャクシャと撫でる。イーラはこの屋敷の人はやたら頭を撫でるのが好きだなと思った。
「顔色もよくなってきたな」
そう言ってイーラを持ち上げると、昨日のようにベッドに座った。
「そういえば、今日は何をしてたんだ?」
ピアーズは、くつろぎながらそうに聞いた。
イーラは、そんな事聞いて面白いのだろうかと思いつつ、朝からの出来事を話す。
食堂に行って、ジョセフやヘンリーに会った話。ヘンリーが食事を作ってくれることになった話。サーシャのブラッシングをした話しをした。
何が面白いかわわからなかったが、ピアーズは最後まで興味深そうに聞いている。
「なるほど、あいつらとも随分馴染んだみたいだな」
そう言ってピアーズはサーシャの方を見て言った。
「こんな事、聞いて面白い?」
不思議に思ってイーラは聞いた。
「ああ、面白いぞ。俺はここの主人だからな。そういう、使用人の達の姿は見ることがない。お前の視点から見るのはなかなか新鮮だ」
「そうなんだ……」
「面白いから、今後も教えてくれ」
「うん」
使用人達がピアーズの事を変わった方だと言っていたけど、その通りのようだ。
そうして、屋敷に来てから初めての一日が終わった。
昨日のようにピアーズはベッドに寝転がり、灯を消すと眠る。
イーラもベッドの隅で体を丸めた。
今日は沢山寝たから、夜も眠れるか心配だったが、相変わらずフカフカでいい匂いのベッドのお陰で、あっという間に眠ってしまった。
ヘンリーは手にメモ帳を持ち聞く。
最初、面倒そうにしていたが意外に真面目だとイーラは思った。
「じゃあ。イーラもう一度聞くが、今までどんなもの食べてたんだ?」
「えっと……いつもはゴミ箱に入ってるのこり物を探してたかな……たまに、カビてる固いパンとか、あ!運が良かったら木の実が落ちてる時があるから、それ食べてた」
「お前、よくそんなんで生きてこられたな……」
ヘンリーはメモを取るのも忘れて呆れる。
「後、すごくお腹すいたときは爪を噛むの。暇つぶしにもなるし、おすすめだよ」
「わかった、わかった。もういいよ……」
ヘンリーはため息をついて止める。これ以上聞いても無駄だと思ったようだ。
「じゃあ、次は好きな食べ物はなんだ?」
「え?う、うーん……」
イーラは考え込む。今までつねにお腹が空いていて、目の前にある食べ物は口に入れる物だと思っていたから、好き嫌いなんて考えたことがなかった。
「なんでもいいぞ……」
「あ、さっき作ってもらったの……好き」
イーラはそう言ってバケツを指さす。とりあえず口に詰め込んだから味はゆっくり味わえなかったけど、卵のぷりぷりした触感とかパンがフワフワしていて美味しかった。
「俺が作ったやつ?」
「今までで一番おいしかったよ。たぶん世界一美味しいよ……」
イーラがそう言うと、ヘンリーはちょっと驚いた顔をする。
「ヘンリー、良かったじゃないか。夢に一歩前進したな」
ジョセフは笑って、ヘンリーの背中を叩く。
ヘンリーは顔を真っ赤にさせて、ちょっと変な顔になる。
「ま、まあ。俺ぐらいなら当然だけどな……」
もごもごそう言って頭を掻く。
「本当に美味しかったのに……やっぱりさっきのもう一回、食べて……」
イーラはそう言って、またバケツを見る。
ヘンリーは慌てて「絶対、ダメだ」と言ってイーラの視界からバケツを隠す。
「と、とにかく分かった。あんまり参考にならなかったけど、改めて作ってみるか……」
そう言ってヘンリーは料理を作り始めた。
しばらくするとヘンリーがまた何か持ってきた。今度はお米が入ったスープだった。
とてもいい匂いがして、イーラはまた急いでお皿を掴む。
「ちょ、ダメ。まだダメだ」
ヘンリーは慌ててお皿をイーラから遠ざける。
「え?だめなの?」
イーラはしょんぼりする。
「また、一気に食べるつもりだろ。お前はもうちょっと、ゆっくり食べる練習をしろ」
ヘンリーはそう言うとスプーンを持ってスープを掬うと、イーラの口に運びはじめた。
イーラは飛びつくようにスプーンにかぶりつく。シンプルな具だがスープの味がしみ込んでいて美味しかった。
「んん!美味しい。もっと食べたい!」
イーラはそう言って、また手を伸ばす。ヘンリーは予想していたのかサッと避ける。
「ダメだって!全部食べられるから落ち着け。それから、もっとちゃんと噛め」
「うー、わかった……」
イーラは不満そうな顔をしつつ、口をモグモグさせて言う通りにしてみる。
柔らかいお米はすぐに口からなくなった。
「まったく……なんで俺がこんな事……」
ヘンリーはブツブツ文句を言いながら、せっせとイーラに食べさせる。
そうして、ゆっくり食べたおかげか今度は無事に食べ終わった。
「ふう……お腹いっぱい」
「よし、今日はこれくらいでやめといた方がいいな」
ヘンリーはそう言って、記録を取っているのかメモになにか書き込んでいる。
色々あったおかげで、時間はもうお昼になってしまっていた。
「これで、一週間は生きていける……」
「いや、何言ってんだ。夕食も食べさせるし、明日もまた来い」
うっとりしながらイーラが言うと、ヘンリーは怒りつつ言った。
「はーい」
「とりあえず、しばらくはスープを中心にして、ちょっとずつ固い物も食べれるようになるのが目標だな」
「この後はどうしたらいい?」
「うーん、とりあえずしばらくは激しい運動はするな。大人しくしておいて、夜にまた来い」
そう言含められたので、イーラは大人しく部屋に帰る。
「お帰り。どうしたの?随分、時間がかかったわね」
部屋に帰るとエミリーが動物達の世話をしていた。イーラはことの経緯を説明する。
「へえ、専属の料理人なんて、凄いじゃん」
話を聞くとエミリーはそう言って、イーラの頭をまた撫でた。
「何してるの?」
イーラが聞いた。
「うん?ブラッシングだよ。この子は特に体が大きいからこまめにしないと……そうだ、イーラも手伝ってよ。一人だと大変なの」
そう言ってエミリーはイーラにブラシを渡す。イーラは素直に頷いた。
ペットになったはいいが、まだ何をしたらいいのかわからなかったから助かった。
ヘンリーにあまり動くなと言われたことも守れる。
さっそく、イーラはエミリーと一緒になって狼のブラッシングをし始めた。狼は体が大きいので大変だった。確かに一人だと時間がかかりそうだ。
「そう言えば、この子達は名前とかあるの?」
ブラッシングをしながらイーラが聞いた。
「この狼は”サーシャ”よ。北にある山脈で怪我をしているのを見つけてピアーズ様が連れて帰ってきたのよ。それであの猫は”アネット”それから……」
そう言って順番に動物達の名前を教えてくれた。一番大きい子は狼で、小さな子はネズミまでいた。
サーシャは気持ちよさそうな表情で、大人しくブラッシングされている。
イーラが奴隷として働いていた時は、馬のブラッシングをしたことがあった。ただ、まだ子供のイーラにとっては大きい馬をブラッシングするのは大変で、しかも下手をすると蹴られて怪我をしそうになったこともあった。
だから、こんなにのんびりブラッシングをするのは初めてだ。
サーシャの毛皮はフカフカで、触っているだけで気持がいい。
その上、窓から陽も差していてポカポカしている。
お腹も一杯だったイーラはブラッシングをしながら、うとうとしてきて、いつの間にか眠っていた。
「ん……ふあ……」
目が覚めると、イーラはサーシャと一緒に絨毯の上で丸くなって眠っていた。
イーラにはエミリーがかけてくれたのか、ブランケットがかけられている。
外を見るともうすっかり暗くなっていた。
イーラが起きたからか、サーシャも目を覚ます。あくびをした後、伸びをするとサーシャはイーラの顔をペロペロ舐めた。
「寝ちゃった……わ、くすぐったい」
なんだか、さっきより少し仲良くなれた気がしてイーラは嬉しかった。
「そうだ、ヘンリーが夕食も食べに来いって言ってたんだ」
思い出してイーラは、また食堂に向かう。丁度良くお腹も空いてきた。
「よう、ちゃんと来たな」
キッチンに入るとヘンリーがそう言った。
食堂は夕食時は過ぎていたようで、落ち着いた雰囲気だった。イーラはかなり眠っていたようだ。
ヘンリーはキッチンの隅にあるテーブルに椅子を置いて、作った料理を置いた。
夕食はスープにパンを浸したものだった。スープはミルクスープでほんのり甘い匂いがする。
「もう、一人で食べれるよ」
「ダメだ、キチンと噛んで食べられるまでこのやり方で食べさせる」
ヘンリーはそう言って、今回もスプーンでイーラの口に運ぶ。
キッチンにはジョセフの他にもコックが働いていて、忙しそうに片付けをしている。数人がイーラのこの状況を見て、不思議そうに聞いてきたりしていた。
人が入れ替わり立ち代りでひとが入れ替わる。大きなお屋敷だから当然なのだろうがイーラは凄いなと思った。
食事がおわると、今度は体重を測られた。
「何で測るの?」
「記録を取っておいて、変化を見るんだ。これから毎日測っていくから」
「わかった」
「なんだか、子供でも出来たみたいだな」
そんな話しをしていると、他のコックが面白そうに言った。
「勘弁してくださいよ。俺、まだそんな歳じゃないですよ」
ヘンリーが口を尖らせて言う。
「俺から見たら二人とも子供だけどな。まあ、頑張れよ」
そう言ってそのコックはヘンリーの頭をグシャグシャ撫でる。ヘンリーは嫌そうな顔をしつつもちょっと顔を赤くさせていた。
食べ終わると、イーラは部屋に戻る。
その途中で、今度はエミリーに会った。
「あ、イーラ。丁度良かった、今から行こうと思ってたの」
「なに?」
「あなた、服がそれしかないでしょ?他のメイドに聞いて、おさがりの服がないか聞いてたの。そしたら結構集まったから持ってきたのよ」
エミリーがそう言ってイーラに服を渡す。
「くれるの?」
「この屋敷には子供がいないから、お古ばっかりだけどね」
「ありがとう」
「あなたの物を入れる箱も部屋に置いといたから、それを使ってね」
エミリーがそう言って、イーラは服を持って部屋に戻った。
早速、もらった服を広げる。
「わあ、沢山ある」
広げてみると服は思ったより多くてしかも、綺麗なものばかりだった。一着だけでも充分だったがこれだけあればこの先、服には困らなそうだ。
寝るときに着る服もある。サーシャが興味深そうに、近ずいてきて匂いを嗅いだ。
イーラは早速寝間着に着替える。時間がかかったが今度は一人で着られた。
残りの服を箱に片付けているとピアーズが部屋に戻っていた。
「服を貰ったのか?そういえば、服のこととか考えてなかったな……」
ピアーズは思いついたように言った。
「エミリーがお古をくれたの」
「そうか、そのうち新しいのも買ってやろう」
ピアーズはそう言ってイーラの頭をクシャクシャと撫でる。イーラはこの屋敷の人はやたら頭を撫でるのが好きだなと思った。
「顔色もよくなってきたな」
そう言ってイーラを持ち上げると、昨日のようにベッドに座った。
「そういえば、今日は何をしてたんだ?」
ピアーズは、くつろぎながらそうに聞いた。
イーラは、そんな事聞いて面白いのだろうかと思いつつ、朝からの出来事を話す。
食堂に行って、ジョセフやヘンリーに会った話。ヘンリーが食事を作ってくれることになった話。サーシャのブラッシングをした話しをした。
何が面白いかわわからなかったが、ピアーズは最後まで興味深そうに聞いている。
「なるほど、あいつらとも随分馴染んだみたいだな」
そう言ってピアーズはサーシャの方を見て言った。
「こんな事、聞いて面白い?」
不思議に思ってイーラは聞いた。
「ああ、面白いぞ。俺はここの主人だからな。そういう、使用人の達の姿は見ることがない。お前の視点から見るのはなかなか新鮮だ」
「そうなんだ……」
「面白いから、今後も教えてくれ」
「うん」
使用人達がピアーズの事を変わった方だと言っていたけど、その通りのようだ。
そうして、屋敷に来てから初めての一日が終わった。
昨日のようにピアーズはベッドに寝転がり、灯を消すと眠る。
イーラもベッドの隅で体を丸めた。
今日は沢山寝たから、夜も眠れるか心配だったが、相変わらずフカフカでいい匂いのベッドのお陰で、あっという間に眠ってしまった。
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