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ソモサンセッパ・マンダーラ。
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「それで、このクリスタルは何?」
何かすごい秘宝そうだけど。それに先ほど継承とか言ってたし。歴史あるものなのだろうな。
「あぁ、ユウェルたんも聞いたことがあるだろう」
ん?何だろう。
「ソモサンセッパ・マンダーラ」
え、何?とんち?
一瞬ソモサン、セッパかなぁと思ったんだが後に続いた言葉に思わず「とんち?」となってしまった。
「伝説の古代人ソモサンセッパ・マンダーラだ。ユウェルたんも、知ってるだろう?」
「……いや、知らないけど」
古代人とか、何っ!このエーデルシュタイン王国の歴史と世界史は習ったけどそんなお経みたいな名前の古代人知らない!!
「なん、だと!?」
そして無表情をピシリと固めたまま、目を見開くシェル。いや、驚きすぎっ!シェルの中では当たり前だったの!?
「その、古代人?ソモサンセッパ・マンダーラって何」
「この世界に古来存在したとされる神の信徒ソモサンセッパ・マンダーラは、一大古代文明を築いていた」
「……そうなんだ」
一大古代文明なんて習ってないけどぉっ!?
「その、王族の末裔が母上と、私だ」
何かすごいところ行ったな。古代人の古代文明の王族の末裔とか。
「これはその証のクリスタルだ」
地球であれば絶対嘘やんと言われる輝きを今でも放つクリスタルだが、ここは異世界。魔法のある世界。古代文明の王族の証のクリスタルがキラキラピッカピカでもいいじゃないか。
「それは分かったけど」
いやソモサンセッパ・マンダーラのことはよく分からないけど。
「シェルはどうして俺にここに入って欲しくなかったの?」
「それは、その……」
ぽっ。
……ん?
「大いなる秘密を打ち明ける時の、作法。外の壁を塗ったくった母上から受け継いだ」
元凶お母君かああぁ――――――いっ!
いや、もう俺以外にやったらついて行けないとか言われちゃうよ!?全くもう。
いや、でまシェルの夫は俺だし。他の誰かに……その座をあげるなんて考えられないし。そもそもこのストーカーやばすぎシェルが俺以外と結婚できるわけがないっ!
そうだそうだ。そうなのだ。
「んもぅ、シェルったら」
「ユウェルたんっ」
シェルと腕を絡めれば途端にシェルが嬉しそうに目をキラキラさせる。
「シェルがどんな秘密を抱えてたって、俺はずっとシェルの側にいるから」
「ユウェルたんっ!!」
もう、俺人形量産したり、俺の使ったスプーンペロペロしてるくらいだもん。これからどんな事実が明らかになろうと俺は変わらずシェルの側に居続けるだろう。だって俺は、シェルの夫なのだから。
「じゃぁ、私の秘密を言ってもいいか?」
「いいよ。俺も言うから」
「ユウェルたんの、秘密っ!?知りたい」
いやまぁ、シェルのことだから知ってるかもしれないけど。
「実は俺さ」
うーん、どうせならシェルが絶対知らない秘密を言ってみせようか。うん、実はひとつあるもんね。
「俺さ、実は前世異世界の地球ってところで生まれ育った記憶があるんだ」
ドン引く?
それとも作り話と笑うかな?
でもシェルならどちらでもない気がするのだ。
「そ、そんなっ。その頃のユウェルたんのこと、私、知らない……っ」
いや、それは当たり前ぇっ!むしろ知ってたらビックリだわっ!
そしていつもながらのそこかああぁ――――――いっ!!!
「別に今の俺のこと知ってればいいじゃん」
ちったい俺妄想までしてるんだから。
「やだ……ユウェルたんのことで知らないことなんてやだ……」
何かぐずってるしっ!
「じゃぁ教えるから」
地球でのこと。そんなに面白い話とかはないけども。
「うん」
ずずっと鼻水を啜りながら、シェルが頷いた。
これから暫くの夜の時間は地球の話でもするか。
「ところで、シェルの秘密は?」
「あ、それはだな。実はーー毎晩ユウェルたんが磨き終えた歯ブラシをちゅーちゅーしてる」
はい?
はいいいいぃっ!?
「いや、それは不衛生だからやめなさい」
「そ……そんなっ」
シェルが崩れ落ちる。
取り敢えず今夜の歯ブラシ、新しいのにしてもらおう。
「ほら、シェル。そろそろ戻ろう。晩ご飯の時間じゃん」
「ユウェルたんの歯ブラシちゅーちゅー……」
そこまで名残惜しいか歯ブラシちゅーちゅー!
※良い子のみなさんは決してマネしないようにしましょう。
「そんなにちゅーちゅーしたいなら、ほら、直接すりゃぁいいじゃん」
ちょっと屈んでシェルに顔を近付ければ。
「ユウェルたん……っ、愛してるっ」
そう言うと、シェルにぐいっと腕を引かれ、抱き寄せられる。
ちゅむっ
ちゅ~~っ
ちゅむむ~~っ
……めっちゃ、吸われたー。
「これからは、ユウェルたんを直接吸おう」
「是非そうしてくれ」
俺の歯ブラシ衛生のためにもな。
※※※
その後、前世で読んだ俺が出てくる原作の話をしたところーー
「王太子、どうやって暗殺しようか」
「いや、シャレにならないこと言うのやめなさいっ!!てか、そんなことしたら王太子妃のお兄さまが悲しむでしょうがぁっ!」
それから御世継ぎだってまだだし!アップフェルは王家追い出されて、その子どもにも王位継承権与えられないことになってるし!シェルも王族だけどもうちの国の王族いなくなったらどうすんの~っ!王太子の仕事誰がすんのぉっ!!
そもそも、王太子殿下は全くの無実である!!
「今はシェルと一緒になれたんだからいいでしょ?」
ちゅっ
そう、シェルの唇に口付ければ……
「ん、そうだな」
シェルからも口付けを返される。
ちゅむっ
「ユウェルたんは~?」
「私の嫁っ!」
「はい、よく言えました」
無事、不穏な王太子暗殺案は白紙になった。
何かすごい秘宝そうだけど。それに先ほど継承とか言ってたし。歴史あるものなのだろうな。
「あぁ、ユウェルたんも聞いたことがあるだろう」
ん?何だろう。
「ソモサンセッパ・マンダーラ」
え、何?とんち?
一瞬ソモサン、セッパかなぁと思ったんだが後に続いた言葉に思わず「とんち?」となってしまった。
「伝説の古代人ソモサンセッパ・マンダーラだ。ユウェルたんも、知ってるだろう?」
「……いや、知らないけど」
古代人とか、何っ!このエーデルシュタイン王国の歴史と世界史は習ったけどそんなお経みたいな名前の古代人知らない!!
「なん、だと!?」
そして無表情をピシリと固めたまま、目を見開くシェル。いや、驚きすぎっ!シェルの中では当たり前だったの!?
「その、古代人?ソモサンセッパ・マンダーラって何」
「この世界に古来存在したとされる神の信徒ソモサンセッパ・マンダーラは、一大古代文明を築いていた」
「……そうなんだ」
一大古代文明なんて習ってないけどぉっ!?
「その、王族の末裔が母上と、私だ」
何かすごいところ行ったな。古代人の古代文明の王族の末裔とか。
「これはその証のクリスタルだ」
地球であれば絶対嘘やんと言われる輝きを今でも放つクリスタルだが、ここは異世界。魔法のある世界。古代文明の王族の証のクリスタルがキラキラピッカピカでもいいじゃないか。
「それは分かったけど」
いやソモサンセッパ・マンダーラのことはよく分からないけど。
「シェルはどうして俺にここに入って欲しくなかったの?」
「それは、その……」
ぽっ。
……ん?
「大いなる秘密を打ち明ける時の、作法。外の壁を塗ったくった母上から受け継いだ」
元凶お母君かああぁ――――――いっ!
いや、もう俺以外にやったらついて行けないとか言われちゃうよ!?全くもう。
いや、でまシェルの夫は俺だし。他の誰かに……その座をあげるなんて考えられないし。そもそもこのストーカーやばすぎシェルが俺以外と結婚できるわけがないっ!
そうだそうだ。そうなのだ。
「んもぅ、シェルったら」
「ユウェルたんっ」
シェルと腕を絡めれば途端にシェルが嬉しそうに目をキラキラさせる。
「シェルがどんな秘密を抱えてたって、俺はずっとシェルの側にいるから」
「ユウェルたんっ!!」
もう、俺人形量産したり、俺の使ったスプーンペロペロしてるくらいだもん。これからどんな事実が明らかになろうと俺は変わらずシェルの側に居続けるだろう。だって俺は、シェルの夫なのだから。
「じゃぁ、私の秘密を言ってもいいか?」
「いいよ。俺も言うから」
「ユウェルたんの、秘密っ!?知りたい」
いやまぁ、シェルのことだから知ってるかもしれないけど。
「実は俺さ」
うーん、どうせならシェルが絶対知らない秘密を言ってみせようか。うん、実はひとつあるもんね。
「俺さ、実は前世異世界の地球ってところで生まれ育った記憶があるんだ」
ドン引く?
それとも作り話と笑うかな?
でもシェルならどちらでもない気がするのだ。
「そ、そんなっ。その頃のユウェルたんのこと、私、知らない……っ」
いや、それは当たり前ぇっ!むしろ知ってたらビックリだわっ!
そしていつもながらのそこかああぁ――――――いっ!!!
「別に今の俺のこと知ってればいいじゃん」
ちったい俺妄想までしてるんだから。
「やだ……ユウェルたんのことで知らないことなんてやだ……」
何かぐずってるしっ!
「じゃぁ教えるから」
地球でのこと。そんなに面白い話とかはないけども。
「うん」
ずずっと鼻水を啜りながら、シェルが頷いた。
これから暫くの夜の時間は地球の話でもするか。
「ところで、シェルの秘密は?」
「あ、それはだな。実はーー毎晩ユウェルたんが磨き終えた歯ブラシをちゅーちゅーしてる」
はい?
はいいいいぃっ!?
「いや、それは不衛生だからやめなさい」
「そ……そんなっ」
シェルが崩れ落ちる。
取り敢えず今夜の歯ブラシ、新しいのにしてもらおう。
「ほら、シェル。そろそろ戻ろう。晩ご飯の時間じゃん」
「ユウェルたんの歯ブラシちゅーちゅー……」
そこまで名残惜しいか歯ブラシちゅーちゅー!
※良い子のみなさんは決してマネしないようにしましょう。
「そんなにちゅーちゅーしたいなら、ほら、直接すりゃぁいいじゃん」
ちょっと屈んでシェルに顔を近付ければ。
「ユウェルたん……っ、愛してるっ」
そう言うと、シェルにぐいっと腕を引かれ、抱き寄せられる。
ちゅむっ
ちゅ~~っ
ちゅむむ~~っ
……めっちゃ、吸われたー。
「これからは、ユウェルたんを直接吸おう」
「是非そうしてくれ」
俺の歯ブラシ衛生のためにもな。
※※※
その後、前世で読んだ俺が出てくる原作の話をしたところーー
「王太子、どうやって暗殺しようか」
「いや、シャレにならないこと言うのやめなさいっ!!てか、そんなことしたら王太子妃のお兄さまが悲しむでしょうがぁっ!」
それから御世継ぎだってまだだし!アップフェルは王家追い出されて、その子どもにも王位継承権与えられないことになってるし!シェルも王族だけどもうちの国の王族いなくなったらどうすんの~っ!王太子の仕事誰がすんのぉっ!!
そもそも、王太子殿下は全くの無実である!!
「今はシェルと一緒になれたんだからいいでしょ?」
ちゅっ
そう、シェルの唇に口付ければ……
「ん、そうだな」
シェルからも口付けを返される。
ちゅむっ
「ユウェルたんは~?」
「私の嫁っ!」
「はい、よく言えました」
無事、不穏な王太子暗殺案は白紙になった。
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