59 / 69
密着奇祭!プレナイト公爵領磔祭り!
しおりを挟む『密着奇祭!プレナイト公爵領磔祭り!』
ジャジャジャンッ!!
ニジュメヨジの後は、プレナイト公爵領磔祭り生放送の編集版再放送である。
侍従がおつまみのおかわりを持ってきてくれた。俺が料理長に頼んだお寿司~!大トロだろ?サーモンだろ?エビは炙りじゃなくてぷりっぷりの生エビ!あとアナゴ!イカっ!イクラの軍艦巻き~っ!
お母さまに頼んだら割と簡単に手に入ったタァサイ侯爵領産ワサビを加えたワサビ醤油につけて、いざっ!
「んん~っ!大トロ最高っ!」
「うむ、なかなかうまいな。それとワサビも独特だ」
「でしょ?このツンと抜ける感覚が堪らないんだよ~!」
お母さまに俺が好きだと言ったら大喜びしてくれて、ワサビをたくさんくれたのだ。今ではワサビ茶漬けの作り方をお母さまにもオススメし、2人で盛り上がっている。しかも寿司にも使えるなんて最高っ!あと、お母さまも寿司を気に入ってくれて、今まであまり脚光を浴びて来なかったワサビを寿司と茶漬けのお供として売り出して行くと言っていた。
お母さまはメディアでも大人気だもんなぁ。みんな言えないけど、多分陛下よりもお母さまの方が好きだと思う。
「これ、罰ゲームにいいな」
「いや、シェルたん、何でも罰ゲームに加えないで!?」
辛唐辛子味噌や青唐辛子味噌にもハマってるから!味じゃないのっ!利用目的はおおっぴらには言えないのぉっ!!
「この寿司ネタの下に、大量のワサビを仕込むのだ。みな、騙される」
それ日本で不朽の罰ゲームもしくはドッキリの定番~~っ!でも食べ物で遊んじゃダメだからっ!
「お寿司は楽しく食べよう?ほらイクラの軍艦巻き~」
「はむっ」
イクラの軍艦巻きを差し出せば、もぐもぐと食べ始めるシェルたん。
実際にやるかどうかは……きっとツッコんではいけないと思う。俺はシェルたんと楽しくお寿司を食べるだけである。
そうこうしている間に番組が続いていく。
「今回は先んじて王都で生放送したプレナイト公爵領磔祭りのもようを再編集、生放送できなかった部分やプレナイト公爵夫夫の後日インタビューも収録していま~す!」
へぇ、あの2人、インタビューなんて受けたの?
「ユウェルたんかわいく撮れてるかな」
もちろんシェルたんは俺にしか興味ないらしい。全くもぅ。シュリンプあげる。あーん。
「はむっ」
「俺もた~べよっ」
はむはむ。やっぱりシュリンプは旨いなぁ。
テレビに映し出される、磔されるアップフェルと、バーベキューを楽しむ民衆たち。
『みなさん見てください!王弟殿下とご夫人のユウェルさまですよ!とても仲睦まじいご様子です!』
あ、俺も映ってるー。シェルたんに焼き肉あ~んしてるところ。
『このお祭りでは、なんとプレナイト公爵ことアップフェルさまに石も投げられるんです!私もプレナイト公爵夫人と投げちゃいますよ~!』
それこそがこの祭り一番の注目ポイントだもんな。
そしてリポーターのお姉さんはヴィーノと一緒にアップフェルに石を投げつける。
『えいっ』
かわいく夫に石を投げつけるヴィーノに続いてーー
『うぉらぁっ!子ども時代の堅パンの食感は忘れねぇぞ~っ!』
お、お姉さん……。
そしてそんなお姉さんの言葉に拍手を贈りながら頷く人々。まぁ、俺も予算カツカツだったときに食べたけど。
『分かりますっ!』
『夫人っ!』
そして意気投合したお姉さんとヴィーノに周囲が拍手を贈る。へぇ、俺がシェルたんとイチャイチャしている間にこんなやりとりが。その後はお姉さんも加わりみんなで磔音頭を熱唱する映像が印象的だった。
さて、次は料理長特製プリンである。
「ん、美味しぃ」
「ふふっ、ユウェルたんかわいいな」
「んもぅ、シェルたんったら」
惚気すぎやん、俺。シェルたんは酔ってはいないようで、いつも通りだ。いや、寧ろいつも俺に酔ってるか。
そして番組は、アップフェルへの爆竹朝ドッキリや磔のもようも放送してくれて、更には爆発的に増えた観光客の様子やインタビューも放送された。
更には祭りの閉幕と、塩むすびに涙するアップフェルとそれを差し出すヴィーノの感動のエンドで幕を下ろした。
その後は城に呼ばれて珍しく陛下に褒められるアップフェルの様子が映された。因みに映像は王城の報道部提供らしい。
そして財政の厳しい公爵領へは、今回の磔へのアップフェルの献身や、指名手配犯逮捕へ協力を惜しまなかったプレナイト公爵領民のため、一年間の税の減免が告げられた。
まぁ、領民のみんなの生活がちょっと楽になるわけだし。ありがたいことである。
そうして、プレナイト公爵夫夫ことアップフェルとヴィーノのインタビューが放送された。
『今回の磔体験はいかがでしたか?ヴィーノ夫人』
え?そこヴィーノに聞くの?体験したアップフェルじゃなくて!?
『はい、とても刺激的で、領民のみなさまと一心一体になって楽しめるとても素晴らしいものでした!』
『ん、うん』
アップフェル、震えながら頷く。
『今からでもまた来年の磔祭りが楽しみですね、夫人!』
やっぱりヴィーノに聞くの?それともアップフェルがしゃべったところは全カット?コメント面白くないから全部ヴィーノが担当すんの?
『はい!来年もアップフェルが3日間磔にされますので、みなさんも是非お越しください!』
『え、ら、らいねん、もっ』
ちょっとー!?アップフェルが目を見開いてヴィーノを見つめ、そして震えてる~~っ!!
『来年もご褒美に塩むすび、作るからねっ!』
笑顔で告げるヴィーノに……
『うぅ、うん』
当時の感動が蘇ったのか、アップフェルが顔を両手で包みながら俯いた。
「来年も遊びに行く?シェルたん」
「うむ、そうだな。ユウェルたんが楽しめるのなら、もちろん」
「うん、絵面面白いし、また行こうかなぁ~」
舞踏会のダンスは苦手だが、磔音頭踊るのは割と好きだし。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,380
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる