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死亡推定年月
死亡推定年月③
しおりを挟む「任せて、ビアンカ。この通り、あのモニターの目元を切り取って……」
そんなことまでできるの?魔法モニターすごいわね。それとも解剖医ならではの技かしら。
「この黒ずくめの目元に照合!」
「うぐぁっ」
「ちょっと、うぐぁって言ってるわよ、目ぇ瞑ってるじゃないあんなんで照合できるの!?」
※よい子のみなさんは、他人の目に直接照合してはいけません。
「問題ない。闇魔法で透過させ、中の眼球で照合する……!」
「ハイテクすぎるわよ闇魔法使い……!いや、魔法解剖医……!」
【フゥ~~ウ~~~蘇れ~~蘇れ~~ヒャ~ハハヒャ~ハヒ~~イィッ】
「ほら、照合率100%のメロディーが流れた!本人だ!」
「それは良かったけど……例の儀式のメロディーだったけど!?いいのそこは……!アンデットたちみんな反応して踊っちゃったわよ!アマリリスちゃんまで……!ベラドンナは拘束されてるから無理だけど……って、何で王家の影さんまで!?さては……アンデット!?」
「……ふっ、まさか見破られてしまうとはな……!」
「え……?あー、うん、この人ずっとアンデットだったの!?」
「いや、さっきまでは生きてたけど」
「陛下の元に行くまでに何があったの……!?てか陛下は無事……!?そもそも陛下の影である影さんが、どうしてアマリリスちゃん撲殺事件に噛んでいるのよ」
陛下は……陛下はアマリリスちゃんを助けてくれたのよね。自ら男爵領に赴いてまで……。
「答えは簡単だ。この影が……王の影ではないからだ」
なぬ――――――っ!?
「ははははは、だから、どこの誰なのか分からない相手に、ほんまもんの毒薬売るわけないじゃんって、言ったでしょ?」
「あぁ、それで……っ」
「わ、私が王家の影ではないと言う証拠はないだろう!」
「それもそうよね……でも何で偽物だって分かったのよ」
「いや、偽物である前提なの?ねぇ」
そうは言われても……やっぱり目元しか見えない黒ずくめよりも黒衣の黒ずくめだわ。
「俺、影の顔把握してんだー」
「はいいぃぃぃっ!?そうなの!?魔法解剖医ってそうなの!?そう言うものなの!?」
「いや……記憶してるのは俺くらいだよ。だから、最初からこの影が偽物だって分かってた」
何で!?ほんとどゆこと!?
「く……っ、まさかそんな……っ」
偽物の影さんも驚愕している。
「その様子じゃぁ本物であることを証明するために陛下の元へ行ったんだろ?」
「……っ」
偽物の影さんがふいと顔を背ける。
「そう言えば……っ!陛下は無事なの!?」
「無事無事ぃ!この偽物がアンデットとして帰って来たからには、無事だ!」
いーや意味分からんわ!それとも陛下に屠られてアンデットとして復活したの?
「そうだな……父上は……昔から恐ろしい」
息子、震えとるやん。どんだけや陛下。以前お会いした時は、私がお母さまそっくりに育ってくれて嬉しいってのほほんと微笑んでらしたんだが。
「ふふふ、それで失敗したこいつは、ここに使いに出されたわけだ。使いな行く以外は自由に行動できるから、また俺を狙って……ビアンカも巻き添えにしようとした」
「え……っ、危なかったの!?それに……また……?」
そうだ……この影さんの偽物……私に猛毒ポーションを渡そうとしたんだわ。そして飲む相手は……トールだ。
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