【運命】と言われて困っています

桜 花音

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3.瀬戸くんの秘密と”守護石のカケラ”

3-2

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「サラ。乾かしてあげて」
『イヤ』
 瞬殺! そう言われるのがわかっていたかのように、すぐ拒否した。

「ダメだよ。乾かして」
『イヤって言ったら、イヤ』
 ますますツンッて横向く女の子は、とっても可愛いけど、かなり拗ねているように見える。
 怒っているのか目が吊り上がっているけど、それさえもかわいさを増しているくらい、とにかくかわいい。
 だけど瀬戸くんは、わたしに向けた天使スマイルを封印して、怒ったような表情を見せた。

「悪意で力を使ったら駄目だって、言ったよね」
 あ、これ、本当に怒ってる。今日瀬戸くんと会ったばかりのわたしでもわかる。
 ちょっと声が低くなってピリッとした空気が伝わってきた。
 女の子もそれがわかったのか、少しシュンとした。

『……わかったわよ』
 その言葉の後に、わたしの濡れていた顔も、髪も、一瞬でキレイに乾いた。

「うそ……」
 ぽたぽたと落ちる雫で濡れていた手も、夢でも見ていたみたいに今は濡れていない。
 濡れたり乾いたり、いったいどういうことなんだろう? 

「サラ、謝って」
『イヤッ』
 目の前では瀬戸くんがさっきのサラって子と会話している。
 腕を組んで、ちょっと斜めな角度から、思いっきりにらんでくる、この子。
 敵意を感じるんだけど、なんで?

「瀬戸くん……どういうことか、教えてくれる?」
「あぁ、そうだよね。本当にごめん。まさかサラがいきなりこんなことするとは思わなかったから」
「うん、ビックリした……っていうか、そもそも、その子は……」

 なんて言ったらいいんだろう?
 これだけ意志を感じるこの子は、明らかに人形じゃない。
 そもそも人形は浮いたり睨んだりなんてしないよね。

「紹介するね。僕の守護精霊、サラだよ」
 あっさりと紹介してくれるけれど、そんな普通に紹介しちゃえる存在なの?
 お人形さんみたいに小さくて、水色の透明な羽が生えていて、なんだか水を出したり乾かしたりできる子……。

「守護、精霊?」
 はじめて聞く言葉に思わずぽかんとしてしまう。
 その様子を横目で見ていたサラちゃんが、呆れたようにため息をついた。
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