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08:婚約パーティー前夜の儀式 ①
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唐突ですが、裏に入ります。
ロマンチックな展開をご希望のお嬢様方は、回れ右推奨です。
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怒涛の妃教育も一旦修了し(婚約パーティーが終わったら再び再開するらしい)、いよいよ明日は殿下との正式な婚約発表の日になる予定だ。
元々ブランシュの運動神経が良いのか、人前で見せても問題ない仕上がりになった。ダンスに関しては···。
勉強もマナーも一通りはこなせる様になったものの、いつ化けの皮が剥がれるか分からないのが、正直恐怖ではある。
殿下の隣で微笑んでいるだけでは、終わらない予感がするのだ。
と言うか、···結婚相手は、本当に私で良いのだろうか。容姿だけは立派な淑女。中身は残念な一般人。何とか令嬢らしく取り繕ってはいるけれど、本物の令嬢である者が見たら、きっと私の不始末など直ぐに見抜かれてしまうだろう。
色々な考え事がグルグル浮かんで、今日は眠れそうに無い。
「はぁ──···」
大きなため息が出た。
考え事をしていたせいで、ドアのノック音にも気が付かず、殿下が私の部屋に来た事にも気が付かなかった。
ちなみに、殿下はミーアちゃんを下がらせたようだった。彼女の姿が見当たらない。
「ブランシュ。そんな思い詰めた顔をして、明日の事かなで悩んでいるのかな?」
「!、殿下。いつお越しに···。いえ、それよりも原因をご理解していて下さるのならば、···どうか、私と離縁して欲しいのです。私は、貴方の隣に立つべき人間ではありません。資格もありません。目が覚めたら中身が別人だとお話したはずです」
「それでも、俺と君は離れる事は許されないんだ」
「どうして、とお聞きしても?」
「君、いや。ブランシュの持つ魔力が、癒しの力だからだよ」
「魔力···癒し···?」
(いやいやいや···ブランシュちゃん、まさかの聖女の立ち位置!?)
魔法が使える世界だと知ったのには驚いたけれど、ブランシュの存在が貴重な存在のようだった。
「この国では、癒の魔力を持つ女性は女神の様な存在なんだよ。代々、癒しの力を持つ女性は王族と生涯を共にしなければならない···国の平和を守る為に。その国の、平和の象徴として」
要約すれば、癒しの力は貴重だから城で大事に匿ってますって事?それも、殿下と無理矢理結婚させられて妃にされて、ろくな自由も無い···それじゃあブランシュちゃんも嫌がるはずだわ。
好きでも無い男の人と、結婚させられるなんて。
けれど、被害者はブランシュちゃんだけじゃなくて、殿下も一緒で···。
他人事みたいだけれど、なんだか可哀想に思えてしまう。
「···。はい、そうですか。と正直、素直に頷けない内容ですね」
「俺もそう思うよ」
しばらくの沈黙が続いた後、私は口を開いた。
「···、所で。殿下は私に何用でこちらにいらしたのでしょうか?お話が長引きそうでしたら、お茶を御用意致しますが」
「君がお茶を入れてくれるのは魅力的だけど、今はお茶を飲みに来たんじゃないんだ」
殿下の瞳が細められて、私は漠然とした危機感を覚えて一歩後ずさる。
「では···!?」
質問をする前にあっという間に距離を詰められたかと思えば、殿下の柔らかな唇の感触が、私の唇に···。
ちゅっ、と小さなリップ音をたてて離された唇。
「結婚前の、花嫁に逃げられないようにするための儀式に来たんだ」
絡められた指先。
「···っ、!?」
私は、背後ににあったベッドへと、優しく押し倒されていた。
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怒涛の妃教育も一旦修了し(婚約パーティーが終わったら再び再開するらしい)、いよいよ明日は殿下との正式な婚約発表の日になる予定だ。
元々ブランシュの運動神経が良いのか、人前で見せても問題ない仕上がりになった。ダンスに関しては···。
勉強もマナーも一通りはこなせる様になったものの、いつ化けの皮が剥がれるか分からないのが、正直恐怖ではある。
殿下の隣で微笑んでいるだけでは、終わらない予感がするのだ。
と言うか、···結婚相手は、本当に私で良いのだろうか。容姿だけは立派な淑女。中身は残念な一般人。何とか令嬢らしく取り繕ってはいるけれど、本物の令嬢である者が見たら、きっと私の不始末など直ぐに見抜かれてしまうだろう。
色々な考え事がグルグル浮かんで、今日は眠れそうに無い。
「はぁ──···」
大きなため息が出た。
考え事をしていたせいで、ドアのノック音にも気が付かず、殿下が私の部屋に来た事にも気が付かなかった。
ちなみに、殿下はミーアちゃんを下がらせたようだった。彼女の姿が見当たらない。
「ブランシュ。そんな思い詰めた顔をして、明日の事かなで悩んでいるのかな?」
「!、殿下。いつお越しに···。いえ、それよりも原因をご理解していて下さるのならば、···どうか、私と離縁して欲しいのです。私は、貴方の隣に立つべき人間ではありません。資格もありません。目が覚めたら中身が別人だとお話したはずです」
「それでも、俺と君は離れる事は許されないんだ」
「どうして、とお聞きしても?」
「君、いや。ブランシュの持つ魔力が、癒しの力だからだよ」
「魔力···癒し···?」
(いやいやいや···ブランシュちゃん、まさかの聖女の立ち位置!?)
魔法が使える世界だと知ったのには驚いたけれど、ブランシュの存在が貴重な存在のようだった。
「この国では、癒の魔力を持つ女性は女神の様な存在なんだよ。代々、癒しの力を持つ女性は王族と生涯を共にしなければならない···国の平和を守る為に。その国の、平和の象徴として」
要約すれば、癒しの力は貴重だから城で大事に匿ってますって事?それも、殿下と無理矢理結婚させられて妃にされて、ろくな自由も無い···それじゃあブランシュちゃんも嫌がるはずだわ。
好きでも無い男の人と、結婚させられるなんて。
けれど、被害者はブランシュちゃんだけじゃなくて、殿下も一緒で···。
他人事みたいだけれど、なんだか可哀想に思えてしまう。
「···。はい、そうですか。と正直、素直に頷けない内容ですね」
「俺もそう思うよ」
しばらくの沈黙が続いた後、私は口を開いた。
「···、所で。殿下は私に何用でこちらにいらしたのでしょうか?お話が長引きそうでしたら、お茶を御用意致しますが」
「君がお茶を入れてくれるのは魅力的だけど、今はお茶を飲みに来たんじゃないんだ」
殿下の瞳が細められて、私は漠然とした危機感を覚えて一歩後ずさる。
「では···!?」
質問をする前にあっという間に距離を詰められたかと思えば、殿下の柔らかな唇の感触が、私の唇に···。
ちゅっ、と小さなリップ音をたてて離された唇。
「結婚前の、花嫁に逃げられないようにするための儀式に来たんだ」
絡められた指先。
「···っ、!?」
私は、背後ににあったベッドへと、優しく押し倒されていた。
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