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07:妃教育(再)
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額に滲んだ汗が顎を伝い落ちる。
「1・2・3・1・2・3···そこでターン!足は軽やかに。ふわりと優雅に、ドレスの裾が広がるイメージを持って、華麗にターンを心掛けて!つま先を使って、さん、はい!髪の毛からドレスの裾まで体の一部だと思って、手先までしっかり意識しなさい」
「はい!」
先生の手拍子に合わせて、エア社交ダンスの練習をしていた。エアと言うのは、私1人が踊っているからである。パートナーがいると見せかけて、左肘を上げて、右腕は相手の肩に手を置いている様にあげて意識して背筋を伸ばす。
ダンスの練習を、朝から日が暮れるまで休憩を挟んで続けていた。何でそんなにハードな練習をしているかと言えば、1週間後に控えた王室の婚約披露パーティーが行われるからである。
ちなみに、今日1日ダンスの練習をしているのは、不安な要素が1番大きいから。
ブ・ラ・ン・シ・ュ・は小さな頃からの教育により踊れていたかも知れないが、産まれてこの方社交ダンスなど踊った事がないからだ。
「はい、そこまで!」
「はい!はぁ、はぁ···ふぅー···」
乱れた呼吸を整えながら、私は額の汗を手の甲で拭った。先生の授業はスパルタだけれど、ここ数日で形にはなって来ている。
ちなみに、午前中は学問、午後はダンスの練習に割り振ってもらいました。
肩で息をして、手の甲で汗を拭っていると、閃光の様な視線が···。
先生がわざとらしく「コホン」と咳払い。
そこで私はようやく気がついた。
「···、失礼致しました」
そうだった。
私は今はブランシュだと言う事を思い出し、何事も無かった様に涼し気な表情を浮かべて、シルクのハンカチで汗を拭った。
「···、以後、気をつけますわ」
「分かればよろしい。いいですか、厳しい事を申しますが、あなたは殿下の妃となる身です。あなたの評価は殿下、いえ、王家の評価に繋がると言う事を、お忘れ無きように。一つ一つの動作が時には命取りになるのです」
「先生、ご忠告ありがとうございます」
「どういたしまして。ダンスの方は、たった数日の間で良くここまで動けるようになりましたね。記憶を失ったと聞いて心配しましたが、頑張りましたね。ブランシュ様」
「先生の御指導のおかげですわ。本当に、感謝申し上げ致します。ですが、まだまだ···お忙しいとは存じますが、お付き合いくださいましたら嬉しいのですけれど」
「まぁ、···ブランシュ様。喜んでお付き合いいたしましょう」
お開きになった所で、丁度よく部屋のドアがノックされた。「はい、どうぞ」と返事をすれば、入って来たのは殿下だった。
「お疲れ様、ブランシュ。調子はどうだい?」
「はい、滞りなく···!」
優雅に、丁寧にカーテシーをしたつもりだったが、踵にズキンと痛みが走って、一瞬だけ動きがぎこち無くなってしまった。
「···、ブランシュ。一生懸命に練習するのは良い事だけれど、無理をするのはいけないよ」
次の瞬間、体がふわりと浮いたかと思えば、私は殿下に横抱きにされていた。
「きゃぁ!!···で、殿下!、いけません。降ろしてください。わたくし汗を書いております。それに体重が···」
わたわたと焦る私とは違い、殿下と言えば涼しい顔をしていた。成程、勉強になる···、じゃなくて!
「汗?···全然気が付きませんでしたよ。それに君は羽のようだよ。さ、部屋に戻ろう。手当が必要だ。と、言う事で、先生、失礼致しました」
「え、えぇ。どうかお大事になさってください。ブランシュ様」
圧倒的な笑みを浮かべれば、先生も圧倒されていた。
「1・2・3・1・2・3···そこでターン!足は軽やかに。ふわりと優雅に、ドレスの裾が広がるイメージを持って、華麗にターンを心掛けて!つま先を使って、さん、はい!髪の毛からドレスの裾まで体の一部だと思って、手先までしっかり意識しなさい」
「はい!」
先生の手拍子に合わせて、エア社交ダンスの練習をしていた。エアと言うのは、私1人が踊っているからである。パートナーがいると見せかけて、左肘を上げて、右腕は相手の肩に手を置いている様にあげて意識して背筋を伸ばす。
ダンスの練習を、朝から日が暮れるまで休憩を挟んで続けていた。何でそんなにハードな練習をしているかと言えば、1週間後に控えた王室の婚約披露パーティーが行われるからである。
ちなみに、今日1日ダンスの練習をしているのは、不安な要素が1番大きいから。
ブ・ラ・ン・シ・ュ・は小さな頃からの教育により踊れていたかも知れないが、産まれてこの方社交ダンスなど踊った事がないからだ。
「はい、そこまで!」
「はい!はぁ、はぁ···ふぅー···」
乱れた呼吸を整えながら、私は額の汗を手の甲で拭った。先生の授業はスパルタだけれど、ここ数日で形にはなって来ている。
ちなみに、午前中は学問、午後はダンスの練習に割り振ってもらいました。
肩で息をして、手の甲で汗を拭っていると、閃光の様な視線が···。
先生がわざとらしく「コホン」と咳払い。
そこで私はようやく気がついた。
「···、失礼致しました」
そうだった。
私は今はブランシュだと言う事を思い出し、何事も無かった様に涼し気な表情を浮かべて、シルクのハンカチで汗を拭った。
「···、以後、気をつけますわ」
「分かればよろしい。いいですか、厳しい事を申しますが、あなたは殿下の妃となる身です。あなたの評価は殿下、いえ、王家の評価に繋がると言う事を、お忘れ無きように。一つ一つの動作が時には命取りになるのです」
「先生、ご忠告ありがとうございます」
「どういたしまして。ダンスの方は、たった数日の間で良くここまで動けるようになりましたね。記憶を失ったと聞いて心配しましたが、頑張りましたね。ブランシュ様」
「先生の御指導のおかげですわ。本当に、感謝申し上げ致します。ですが、まだまだ···お忙しいとは存じますが、お付き合いくださいましたら嬉しいのですけれど」
「まぁ、···ブランシュ様。喜んでお付き合いいたしましょう」
お開きになった所で、丁度よく部屋のドアがノックされた。「はい、どうぞ」と返事をすれば、入って来たのは殿下だった。
「お疲れ様、ブランシュ。調子はどうだい?」
「はい、滞りなく···!」
優雅に、丁寧にカーテシーをしたつもりだったが、踵にズキンと痛みが走って、一瞬だけ動きがぎこち無くなってしまった。
「···、ブランシュ。一生懸命に練習するのは良い事だけれど、無理をするのはいけないよ」
次の瞬間、体がふわりと浮いたかと思えば、私は殿下に横抱きにされていた。
「きゃぁ!!···で、殿下!、いけません。降ろしてください。わたくし汗を書いております。それに体重が···」
わたわたと焦る私とは違い、殿下と言えば涼しい顔をしていた。成程、勉強になる···、じゃなくて!
「汗?···全然気が付きませんでしたよ。それに君は羽のようだよ。さ、部屋に戻ろう。手当が必要だ。と、言う事で、先生、失礼致しました」
「え、えぇ。どうかお大事になさってください。ブランシュ様」
圧倒的な笑みを浮かべれば、先生も圧倒されていた。
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