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そんなこんなで仕事の流れを聞きつつ、この日の朝はタオルをたたみ、テーブルを拭き、お茶とおしぼりの準備をしていると利用者さんが到着した。
この日の私は緒方さんについて、利用者さんのお顔と名前を覚えるのがお仕事になった。
玄関で利用者さんを迎えて持参されている内履きに履き替えてもらっていると、その足元に三毛の猫が寄ってきていた。
あれ? ここに猫なんていたっけ?
あまり馴染みのない猫の存在に、ビックリしつつも立ち上がる利用者さんに合わせて私もお部屋へと案内すべく立ち上がる。
振り返ってもう一度確認すると、居たはずの猫は既に居ない。
見間違い?
とりあえず、利用者さんを緒方さんと共に今日のお席へとご案内する。
テーブルには、その日の利用者さんの名札が置かれているのでそこにご案内する。
手荷物の中から連絡帳を受け取り、その日のリーダーさんが確認できるように一か所に置く。
そうして、手荷物のカバンが大きくない人は自分の席の背もたれにS字フックでカバンを掛ける。
その後、お茶とおしぼりをお出しして回るのだ。
数台の車でお迎えに行ってるようで、何度かその流れを繰り返したのち本日の利用者さんが全員そろった。
今日のリーダーさんは緒方さんで、そんな緒方さんに着きつつ利用者さんに初めましてとお声がけしていく。
「初めまして、本日からこちらで働くことになりました。笹倉佳菜恵です」
そう、声を掛けると数人の利用者さんにはハルエさんのお孫さんかい? と聞かれた。
そうだと答えると、優しくっていい孫なんだって自慢してたよと教えてくれた。
確かに、毎回干支飾りや鬼の面やお雛様なんかを持ち帰っていた。
祖母の部屋に今も飾ってあるのを思い出す。
「さて、今日は来月用の飾り作りをお願いしますね」
そんな声掛けで配られたのは、赤と青の魚の形。
来月は端午の節句だから、飾りで作るのはどうやら鯉のぼりの様だ。
「もうそんな時期かねぇ」
なんて言葉を聞きつつ、皆さんと一緒に作業をする。
その間にも順番で利用者さんはお風呂に入ったり、トイレに行ったりする。
その誘導も介護士の声掛けと、見守りで行われる。
一見元気そうでも、足元があまり上がらない方や、ふらつきのある人もいるので必要な介助を行いながら見守るのだ。
結構気も抜けないし、忙しいところもあるが穏やかな利用者さんが多く感謝の言葉をくれたりしてやりがいがあるのを初日ながら感じた。
そして、そんな業務中もたびたび私の前を横切る猫を見かける。
観察していて気づいたけれど、この猫私以外の職員には見えていないし、利用者さんでも見えていない人が多い。
気づいているのは、朝その足元で見かけた志藤さんという利用者さんだけだ。
ちょこちょこ現れる猫を、さりげなく撫でているのを見かけたのだ。
この日の私は緒方さんについて、利用者さんのお顔と名前を覚えるのがお仕事になった。
玄関で利用者さんを迎えて持参されている内履きに履き替えてもらっていると、その足元に三毛の猫が寄ってきていた。
あれ? ここに猫なんていたっけ?
あまり馴染みのない猫の存在に、ビックリしつつも立ち上がる利用者さんに合わせて私もお部屋へと案内すべく立ち上がる。
振り返ってもう一度確認すると、居たはずの猫は既に居ない。
見間違い?
とりあえず、利用者さんを緒方さんと共に今日のお席へとご案内する。
テーブルには、その日の利用者さんの名札が置かれているのでそこにご案内する。
手荷物の中から連絡帳を受け取り、その日のリーダーさんが確認できるように一か所に置く。
そうして、手荷物のカバンが大きくない人は自分の席の背もたれにS字フックでカバンを掛ける。
その後、お茶とおしぼりをお出しして回るのだ。
数台の車でお迎えに行ってるようで、何度かその流れを繰り返したのち本日の利用者さんが全員そろった。
今日のリーダーさんは緒方さんで、そんな緒方さんに着きつつ利用者さんに初めましてとお声がけしていく。
「初めまして、本日からこちらで働くことになりました。笹倉佳菜恵です」
そう、声を掛けると数人の利用者さんにはハルエさんのお孫さんかい? と聞かれた。
そうだと答えると、優しくっていい孫なんだって自慢してたよと教えてくれた。
確かに、毎回干支飾りや鬼の面やお雛様なんかを持ち帰っていた。
祖母の部屋に今も飾ってあるのを思い出す。
「さて、今日は来月用の飾り作りをお願いしますね」
そんな声掛けで配られたのは、赤と青の魚の形。
来月は端午の節句だから、飾りで作るのはどうやら鯉のぼりの様だ。
「もうそんな時期かねぇ」
なんて言葉を聞きつつ、皆さんと一緒に作業をする。
その間にも順番で利用者さんはお風呂に入ったり、トイレに行ったりする。
その誘導も介護士の声掛けと、見守りで行われる。
一見元気そうでも、足元があまり上がらない方や、ふらつきのある人もいるので必要な介助を行いながら見守るのだ。
結構気も抜けないし、忙しいところもあるが穏やかな利用者さんが多く感謝の言葉をくれたりしてやりがいがあるのを初日ながら感じた。
そして、そんな業務中もたびたび私の前を横切る猫を見かける。
観察していて気づいたけれど、この猫私以外の職員には見えていないし、利用者さんでも見えていない人が多い。
気づいているのは、朝その足元で見かけた志藤さんという利用者さんだけだ。
ちょこちょこ現れる猫を、さりげなく撫でているのを見かけたのだ。
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