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しおりを挟む私の1日はまず起きて天気の確認から始まる。
晴れてる日と雨の日にやる作業など天候に応じてその日やる仕事を決めるためだ。
今日は晴れ。
今日は糸の染色をして干そうと決める。
染は、大鍋で色粉を入れて煮込んで染める。
その後糸を干す作業があるので晴れてる日にやりたい作業だ。
何色か欲しいのだが、現在急ぎでお願いされてるのはショールやらの軽いものなので細くて光沢のあるものでと絹糸を染めることにした。
後宮だけあり、望めばどんな高価な糸でも出てきてしまう。
しかもそれをご所望なのは後宮にいる現皇帝の側妃達なのだから、それは見事な糸が提供されるのもうなずける。
私は、滅多に見ない高級糸に惚れ惚れしつつも側妃様たちの希望の色に染めていく。
紅、翡翠、藍、どれも美しい色ばかり。
染めながら、綺麗な色達にもうっとりする。
染め粉も最高級品なので、発色が鮮やかだった。
ほかの女中にも手伝ってもらって複数の釜を同時に煮立てて染め上げ、現在の側妃様達のご希望の色は染め上げることが出来た。
染めた糸を干すと圧巻の鮮やかさ。
絹の艶と繊細さが際立つ。
「これだけのものを用意出来るのも、ここが後宮だからよね……」
職人としては、これだけの物を扱えるのは至福だし、目も手も肥えた国で高貴なる女性達への奉納品であるから、変なものは扱えないのも道理なのだけれど。
「それにしたって、最高級シルクと染料がどっさり手に入るって羨ましい環境ね……」
そう思いつつも、私は干した糸にそよぐ風に髪を押さえつつ快晴の空を見上げて呟く。
「お父さん、奉公先が後宮じゃ出会いなんて無いわよぅ」
結婚相手を探せと言う割に、うちの父はやはりちょっと抜けてるようだ。
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