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01.
07.上書き
しおりを挟むまだひんやりとしたベッドの上で、
石橋くんの顔が近づいてきて、唇が触れ合う。
さっきより私の脈拍はずっと速い。
何度も優しくキスされて私は安心していた。
「…石橋くん、上手いんだね」
「なめてるんすか俺のこと」
甘いキスで文字通り蕩けてしまいそうだった。
いつも目の前で真面目に仕事してる石橋くんが
こんなにゆっくり堕ちていくような沈んでいくような
触れ方をするなんて、正直想像していなかった。
徐に起き上がって、私を見下ろす。
「ほんとにするけど…いいんですか」
「…いいよ」
ゆっくりと奥まで満たされて、思わず声が漏れる。
吐息が耳にかかる。
「石橋くん、ん…気持ち…ッ」
「ここ…?」
「ん…っあ、ンっ!」
彼を求めて、勝手に腰が動く。
行ったことないけど、
女性向けのそういうセラピーって
こんな感じかな、と思うくらい、石橋くんは
スイッチが入るのを抑えて優しくしてくれた。
「も、いいよ…我慢しなくて」
「いやや」
愛撫を重ねて、吐息混じりの声。
本当はめちゃくちゃにされたい。
檜垣さんじゃない別の人に。
「どうせ檜垣さんは自分勝手に
気持ちよくなってたんでしょ」
優しく奥を突かれて声が抑えられない。
焦らされるように責められて、
頭がおかしくなりそう。
「石橋くん、ッ……もっとしてよ…っ」
懇願する私の右手に手を重ねる。
「緋莉さんが、こんな状況やなかったら
……ッ、俺だってめちゃくちゃしますよ」
ぐりぐりと私の中に腰を押し付けながら
私に覆い被さって密着した肌が
湿って熱を帯びている。
「はあ……っ…あいつほんまぶっ殺したい」
少し石橋くんの動きが速くなって、
私も甘やかな絶頂に酔いしれた。
「ごめんセクハラだよね?!どう考えても!!」
終わってから冷静に考えて、
石橋くんは後輩で私は先輩、
これはパワハラでありセクハラなのだ。
やらかした、と後悔しても遅い。
「いや、僕にとってはご褒美でしかないんで」
石橋くんは横になったままごろりと
私の方を向き直して見上げる。
「いいからもうちょっと一緒寝てくれません?」
「あ…はい」
私が布団の中に戻ると、私に腕を回して
ぎゅっと引き寄せられる。
体の大きい石橋くんに抱き締められると安心する。
後輩、という感覚は全くなく、ただひたすら
石橋くんに守られている自分の無力感でいっぱい。
「石橋くん、巻き込んじゃってごめんね…色々と」
普段から、他人のために動ける人だ。
善意につけ込んでいると自覚しながら、
胸に顔を擦り寄せる。
「…僕は緋莉さんがあの会社にいないとダメなので、
困るんですよいなくなられたら」
同じ部署には若手が全然いないので、
歳が近い仲間意識みたいなものはずっとあって、
お互い励まし合いながらこれまで頑張ってきた。
「だから緋莉さんのこと守ってあげたいんです
自分のために」
win-win、ということにしてくれる優しさに
甘えて目を閉じた。
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