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high risk zone ― level 2―
lesson5 ( 達樹 視点 ) 20話
この男、やっぱり怖い。
相手のペースが掴めなくて、私はただ──ぐらつく空間で翻弄される。
「高校生か。羨ましいな。毎日楽しいだろう」
何このうすら寒い台詞は。
私はじっとシバを窺う。
「緊張しているのかな?なに、お兄さんたちは怖い人たちじゃない。明日ここに来る外国の政治家を警護するだけだからね」
ああそう。それが“お仕事”ですか。
私は頭に乗せられたシバの手が離れるのを待ってから、小さくお辞儀した。
「わかりました」
「偉いな、ええと、“たつき”ちゃん、だったかな?」
「はい。そうです」
「じゃあ、お兄さん達はもう少し仕事させてもらうよ」
シバはまた、警護の顔に戻って少し離れた仲間に呼びかけた。
「後藤!小澤社長と秘書、それからもう一人の指紋認証設定を頼む」
そして小澤さん達を別室に促す。
「お借りしている部屋で、認証システム入力に協力願いたい」
小澤さんはここで待てるか私に確認してから、社長室を後にした。
残された私は、嘆息してソファーに移動する。正直、立っているのが辛くなるくらいには、気力を消耗していた。
バタンと閉じるドアの音。
その後に続く、”ロック”音。
「っ!!」
慌てて振り返った時には、遅かった。
「ゲロ女」
「っ、…シバ──!」
口に出してしまって、自分の迂闊さにうんざりする。シバは、覚えてるじゃないかと唇の端をつり上げた。
その顔は確かに、私の知っているシバの顔。残酷で、自分勝手で、悪魔みたいな、獣の顔。
シバは大股で私に歩み寄ると、ソファーに座りかけていた私の二の腕を掴み勢いよく引き上げ、有無を言わせず私の唇に、自分のそれを押しつけた。
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