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一
悪役の男に憑いて
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俺は今、森の奥にいる。
俺が転生した漫画の舞台の国は内陸国で、別の国とは外壁で区切っている。
この1週間、「取り敢えず一方通行していればいつか外壁にたどり着くんじゃないか説」が立証。
森の奥に進んでいくとその壁らしきものを発見して今その壁を見上げているって状況。
「うん。これだったら超えられそう。」
この国にいてはどうやっても詰みである。情に熱い男優雨真は父上と母上を殺していないからである。ならばこの国から離れればいい。情に熱い男優雨真は賢いのである。この壁を超えた所にある隣国は漫画で主人公が死んだ時にこっちの国の王子を捕らえられる程には強いため、万が一何かがあっても大丈夫である。俺ってこんな頭冴えてたっけ?天才じゃん。
さて自画自賛はさておき。
俺はトゲトゲ触手を壁に食い込ませ、ロッククライミングみたいに登って行った。
そして、上まで登って、「おー!」と隣国の、遠くに見える栄えた街の光が沢山ある景色を眺めはじめた瞬間、全身に電撃が走った。
「あっがっ!?」
そのまま俺はまた自国()の森の中へ落ちていきながら意識を失った。
「………」
意識を取り戻し、目をゆっくりと開けると、煌びやかな感じの赤いカーペットが目に入った。
「……あ?」
どうやら俺はうつ伏せにされているらしい。顔を上げられない。抑えられてもいるらしい。
よし。抵抗しても無駄だ。諦めよう。赤いカーペットからして俺は刑務所じゃなくて貴族かなんかの建物にいるらしいし。拷問はないでしょ。
スン…と目をまた閉じる。
周りは厳格な人たちばかりのようで、話し声は聞こえない。何なら何の音も聞こえない。でも俺は確かに人に抑えられている。人の温もり感じるし。どうなっとんじゃ?
何時間か経った。何も動かない。聞こえるのは沈黙の時に耳の中に聞こえてくるあのもーん、みたいな音だけ。
どれくらいだったんだろうか。
誰も動かない。もはやシュール。なにこれ。
流石に何か考えてないと人間という構図上気が狂うだろうから何か考えておくか。足し算するか。
1+1=2,2+2=4,4+4=8,8+8=16…
1048576まで数えた時、止まっていたように感じていた時が動いた。
まず、こつん、と、音がした。すると次の瞬間、四方八方からガタッと、大きな、だけど規則正しい金属の音が聞こえて、そして力強い声が一斉に響いた。
「陛下にお目にかかります。」
おー。この国では兵隊さんも全員で王子様に挨拶していいのね。やっぱり一つ一つ国の文化が違うのって面白いよね。
「……」
陛下とやらは無言のままである。しかし、何か合図を出したのか、俺のすぐ真上にある野太い声が「失礼します」と彼に言い、俺のことを乱暴に引き上げた。この国の人たちって人をランボーにしか扱えないのかしらっ!あぁ嫌だわっ!
「挨拶しろ」と低く言われたので俺はその声に従順に……従順に?あれ?俺、何で従順にしなきゃいけないんだ?
「……あー…」
別に命乞いしたくないし、何なら死んでもいいし。てか前世愛想振りまくった結果高校生で死んだし。え?無意味じゃん。なら一旦なんかもう全部捨てて自分らしく…いや、自分らしくってなんや。何めんどいこと考えたんじゃ。ここで無駄な抵抗する方が無意味だろうが。
「陛下にお目にかかります。」
俺は大人しく挨拶して何すりゃいいかわかんなかったからとりあえず土下座ポーズを取った。
ん?てか陛下???ま????直接罰下される系の国なのここ????結構非効率的じゃねそれ??????三権分立しろよ三権分立。一つにまとまって良くなった国今の所ないべ?????
「顔を上げよ。」
イケボに命令されたんで大人しく顔を上げる。えー?身内殺しただけでこんな所送り出されるか普通?なんて思いながら王座を見る。てか王様がイケボとか神じゃんこの国。あ、そっかここは漫画の世界だったわ。
王座付近にいるモブじゃないらしき人は全部で5人いた。
まずは陛下こと王様らしき人。一言で言えばイケおじ。二言で言えば厳格っぽいイケおじ。三言で言えば厳格っぽいけど親バカっぽいイケおじ。
そしてその隣に座っているのが王妃らしき人。めっちゃ優しそう。だけど怒ったら1番怖くて夫を尻に敷いてそうな、神々しい奥様。勿論お美しい。
で、王様の側で立っているのが、多分王子かね?なんか超鋭い目でこっち睨んでくる。流石お父様とお母様の血を引き継いでいるからめちゃくちゃイケメンであるが。
そしてその隣にもう1人。弟かね?なんか弟の方が穏やかである。え、普通穏やかなのって長男じゃないの?さっきから偏見ばっかだけど。まぁそんな感じならこの人はドチャクソ腹黒だ。
そして王座を降りたところで横にある柱の影に隠れるように執事らしき人が立っている。メガネイケメンである。この人は見た事あるぞ。全王子たちの教育世話諸々全部しているハイスペ執事だ。漫画にいた。
この5人が輝いているせいで(影に控えている執事が輝いているのはどうかと思うが)、他の兵士たちは色褪せて見えてしまう。ごめんな。君たちも必死に生きているはずなのに…
なんて思っていると、陛下が口を開いた。
「其方か。不法に外壁を乗り越えようとしたというのは。」
…………マジか。
流石に不法移民は罪だったか。
何しても詰みだったじゃんマジかよ……
俺が転生した漫画の舞台の国は内陸国で、別の国とは外壁で区切っている。
この1週間、「取り敢えず一方通行していればいつか外壁にたどり着くんじゃないか説」が立証。
森の奥に進んでいくとその壁らしきものを発見して今その壁を見上げているって状況。
「うん。これだったら超えられそう。」
この国にいてはどうやっても詰みである。情に熱い男優雨真は父上と母上を殺していないからである。ならばこの国から離れればいい。情に熱い男優雨真は賢いのである。この壁を超えた所にある隣国は漫画で主人公が死んだ時にこっちの国の王子を捕らえられる程には強いため、万が一何かがあっても大丈夫である。俺ってこんな頭冴えてたっけ?天才じゃん。
さて自画自賛はさておき。
俺はトゲトゲ触手を壁に食い込ませ、ロッククライミングみたいに登って行った。
そして、上まで登って、「おー!」と隣国の、遠くに見える栄えた街の光が沢山ある景色を眺めはじめた瞬間、全身に電撃が走った。
「あっがっ!?」
そのまま俺はまた自国()の森の中へ落ちていきながら意識を失った。
「………」
意識を取り戻し、目をゆっくりと開けると、煌びやかな感じの赤いカーペットが目に入った。
「……あ?」
どうやら俺はうつ伏せにされているらしい。顔を上げられない。抑えられてもいるらしい。
よし。抵抗しても無駄だ。諦めよう。赤いカーペットからして俺は刑務所じゃなくて貴族かなんかの建物にいるらしいし。拷問はないでしょ。
スン…と目をまた閉じる。
周りは厳格な人たちばかりのようで、話し声は聞こえない。何なら何の音も聞こえない。でも俺は確かに人に抑えられている。人の温もり感じるし。どうなっとんじゃ?
何時間か経った。何も動かない。聞こえるのは沈黙の時に耳の中に聞こえてくるあのもーん、みたいな音だけ。
どれくらいだったんだろうか。
誰も動かない。もはやシュール。なにこれ。
流石に何か考えてないと人間という構図上気が狂うだろうから何か考えておくか。足し算するか。
1+1=2,2+2=4,4+4=8,8+8=16…
1048576まで数えた時、止まっていたように感じていた時が動いた。
まず、こつん、と、音がした。すると次の瞬間、四方八方からガタッと、大きな、だけど規則正しい金属の音が聞こえて、そして力強い声が一斉に響いた。
「陛下にお目にかかります。」
おー。この国では兵隊さんも全員で王子様に挨拶していいのね。やっぱり一つ一つ国の文化が違うのって面白いよね。
「……」
陛下とやらは無言のままである。しかし、何か合図を出したのか、俺のすぐ真上にある野太い声が「失礼します」と彼に言い、俺のことを乱暴に引き上げた。この国の人たちって人をランボーにしか扱えないのかしらっ!あぁ嫌だわっ!
「挨拶しろ」と低く言われたので俺はその声に従順に……従順に?あれ?俺、何で従順にしなきゃいけないんだ?
「……あー…」
別に命乞いしたくないし、何なら死んでもいいし。てか前世愛想振りまくった結果高校生で死んだし。え?無意味じゃん。なら一旦なんかもう全部捨てて自分らしく…いや、自分らしくってなんや。何めんどいこと考えたんじゃ。ここで無駄な抵抗する方が無意味だろうが。
「陛下にお目にかかります。」
俺は大人しく挨拶して何すりゃいいかわかんなかったからとりあえず土下座ポーズを取った。
ん?てか陛下???ま????直接罰下される系の国なのここ????結構非効率的じゃねそれ??????三権分立しろよ三権分立。一つにまとまって良くなった国今の所ないべ?????
「顔を上げよ。」
イケボに命令されたんで大人しく顔を上げる。えー?身内殺しただけでこんな所送り出されるか普通?なんて思いながら王座を見る。てか王様がイケボとか神じゃんこの国。あ、そっかここは漫画の世界だったわ。
王座付近にいるモブじゃないらしき人は全部で5人いた。
まずは陛下こと王様らしき人。一言で言えばイケおじ。二言で言えば厳格っぽいイケおじ。三言で言えば厳格っぽいけど親バカっぽいイケおじ。
そしてその隣に座っているのが王妃らしき人。めっちゃ優しそう。だけど怒ったら1番怖くて夫を尻に敷いてそうな、神々しい奥様。勿論お美しい。
で、王様の側で立っているのが、多分王子かね?なんか超鋭い目でこっち睨んでくる。流石お父様とお母様の血を引き継いでいるからめちゃくちゃイケメンであるが。
そしてその隣にもう1人。弟かね?なんか弟の方が穏やかである。え、普通穏やかなのって長男じゃないの?さっきから偏見ばっかだけど。まぁそんな感じならこの人はドチャクソ腹黒だ。
そして王座を降りたところで横にある柱の影に隠れるように執事らしき人が立っている。メガネイケメンである。この人は見た事あるぞ。全王子たちの教育世話諸々全部しているハイスペ執事だ。漫画にいた。
この5人が輝いているせいで(影に控えている執事が輝いているのはどうかと思うが)、他の兵士たちは色褪せて見えてしまう。ごめんな。君たちも必死に生きているはずなのに…
なんて思っていると、陛下が口を開いた。
「其方か。不法に外壁を乗り越えようとしたというのは。」
…………マジか。
流石に不法移民は罪だったか。
何しても詰みだったじゃんマジかよ……
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