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一
悪役の男に憑いて
しおりを挟む俺はとてつもなく怒った。
間違えてお兄ちゃんとお姉ちゃんを殺しちゃうくらいには怒った。
だって土かな?糞の匂いはなかったけど茶色と黒と草が混ざったぐっちゃぐちゃのお粥らしい朝食を四つん這いで手を使わずに食うことを強いられたんだ。
兄に強制的に四つん這いにされた時は「犬じゃんうけるwww」とか笑う事でまぁまぁまだまだ耐えていたけど。
がって頭を抑えられてこうやってご飯食えて有難いよなぁだとかなんだとかと煽られるとさぁ。
俺はこの世界の生まれじゃないんだから。そりゃ屈辱的なことを強いられる事に慣れていないわけで。
少し殺気立っただけだったが、この体は殺気と闇魔法が直結していたみたいだ。
俺の怒りのままに触手が背中から生えてくると、後ろで俺を抑えている兄を叩き殺した。
そしてそのまま姉を締め殺す。まぁ締めると言ってもギュー、バタン、じゃなくてギュー、ブシャァ、グチャ、だけど。伝わるかね?
多分、一番最初にこの体を持っていた悪役も、間違えちゃっただけなんだ。怒っちゃって、お兄ちゃんを殺しちゃった後、混乱したままお弟や妹、それに姉ちゃんを殺したんだ。そんで嫌になっちゃって、いっそのことだったらお父さんとお母さんも殺しちゃおうってやったんだよね。
転生した漫画の主人公は生きたいとも思っていなかったしプライドも既に粉々になってたから誰も殺さず自らの死を簡単に選ぶことができたけれど、プライドの塊()を自称している俺にとってはこんなん耐えられるわけがない。こんなことする奴は死んだほうがマシ。
まぁそうは言っても俺もまだ常識の範囲内で生きているわけで。
兄と姉の死体を直視することはできなかった。それに俺は本当に殺すと思っていなかったこともあって、心の底ではパニック寸前のようで。心臓はバクバクいっているし、手も震えている。かろうじて1番調整しやすい呼吸を理性でなんとか安定させながら部屋を出ていく。パニックを起こしてトラウマにして、これからの人生ずっと引きずっていくとかごめんだからね。
廊下を出ながら、ここからどうしようかと考える。一まずここから逃げることを前提に、二つの選択肢が出てきた。
弟妹はともかく、父と母を殺すか殺すまいか。
一瞬殺す方へ靡いたが、すぐに考え直し、玄関へ向かった。
父母は多分1番悪役がこんな境遇で生活していた原因である。だから1番恨むべき存在だし、1番苦しむべき存在である。
しかし俺は転生してまだ兄姉にしか屈辱的なことは味わっていない。
俺にとって無関係な人を殺してしまうと良心が壊れたりあらゆる境界線が分からなくなったりするかもしれない。
それは避けたかったため、俺は気配を殺し、と言っても足音を消してスーッと移動しただけだが、外へ出た。父母は俺じゃなくて別の奴らに何かしらで裏切られ嬲られ殺される事を祈っておこう。
「は?空気うま。」
空気の美味しさをはじめて実感した。しかも空が青い。天気がいい。平和だぁ。
まだ転生して1時間か2時間くらいだが、なんか生の大切さとありがたさが実感できた気がする。
そういえばこの悪役、家族を殺した後にどこかの養子だか孤児院だかに入って地頭の良さで学園に入学したんだっけ。そこではじめて王子と出会い、大人になってもう一度出会った時に「フッ…相変わらずだな…」みたいな再会があって~みたいなものがあった気がする。
折角俺も急に死んで勉強し足りなかったし、学園に入ってみるか。あ、その前に捕まるかな。両親殺さなかったことで指名手配犯になってる説ありまくりな件について。
え、マジでどうしよう。詰みじゃね?
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