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恋心編
4月18日(金)
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今日は僕にとって運命の日になるかもしれない。
僕は今日、彼女に告白する。それは僕と彼女の関係を変えることを意味している。怖いことだけれど、告白しない限り、僕らはきっと、朝の満員電車の中で学校のことを話すだけになってしまうだろう。僕はそれが嫌だった。
万が一、彼女が僕に惹かれているとしても、彼女の方が先に告白されるのは嫌だ。僕の方から告白したい。
今日も7時30分発八神行きの電車が定刻通りに到着した。
いつもの場所の扉が開くと、今日も彼女が僕の方を向いて立っていた。昨日と同じく、彼女は笑顔で僕に手を振る。
そんな彼女を見た途端、僕は緊張してしまう。昨日までは心安らかになったけれど、告白するとなると……ね。
「おはようございます。今日はちょっと暑いですね」
そんな言葉を裏付けるかのように、彼女の着るワイシャツの第1ボタンが外れていた。そこから覗かせる彼女の白い素肌を見て、彼女への欲情が膨らむ。
「ちょっと顔が赤いですよ? いつもよりも呼吸が荒いというか」
「あ、ああ……今日はちょっと寝坊しちゃいまして。駅まで走ってきたので、それで疲れちゃって。昨日は僕から「明日も話そう」って言ったじゃないですか。その言葉を破りたくなくて」
どうして、不意に浮かんだ嘘は平気に言えるのに、好きだという本音を言うことは躊躇ってしまうのだろう。
彼女の嬉しそうな顔に、僕はちょっとした罪悪感を覚えた。
「真面目なんですね。……嬉しいな」
そんな彼女の言葉にも何にも返事ができなかった。
今日は昨日見たテレビ番組の話になった。偶然にも、昨日同じ番組を見ていたので盛り上がった。彼女と共通の楽しみがあると分かって嬉しい。
楽しい話題だと話が尽きない。楽しい話が楽しすぎて、今日告白することを忘れてしまったときもあった。
けれど、今日も一緒にいられる15分間があっという間に過ぎて、
『間もなく、鏡原、鏡原。お出口は左側です』
という車内アナウンスが流れ、僕は一気に現実に引き戻された感じがした。同時に僕の心臓の鼓動が突如として暴れ始める。
そう、僕の告白は鏡原駅で彼女が降りるときしようと決めていた。
「あっ、もう降りないと。じゃあ、また月曜日に――」
「待って」
勇気を出して、僕は彼女の手を掴んだ。
彼女は驚きと同時に、手を掴まれたからか頬を赤く染める。
「どうかしましたか?」
僕の目を見つめながら、彼女はそう言ってきた。
僕はブレザーのポケットから、二つ折りになった白い紙を取り出し、それを彼女へ強引に握らせた。
「……鏡原駅に降りて、電車が発車したら読んでください。それまでは絶対に読まないでいただけますか」
「え、ええ……分かりました」
戸惑った表情を見せながらも、彼女は受け取ってくれた。
「じゃあ、また月曜日に」
それでも最後にはいつもと同じく可愛らしい笑顔になって、電車から降りていった。
電車は鏡原駅を出発する。
彼女が降りる間際に渡した紙切れ。あれには、
『好きです。僕と付き合ってくれませんか』
というシンプルな言葉が書いてある。
好きだという想いを紙に綴って彼女に渡すことが、僕の思いついた告白の方法だった。満員電車の中でしか会えないけれど、彼女だけに想いを届けることができる確かなやり方だ。
今、彼女はあの紙を開いているのだろうか。開いていたら、どんな想いを抱いているのだろうか。
彼女の返事はきっと、月曜日の朝になればおのずと分かるだろう。
僕はただ、その瞬間を待つだけだ。
僕は今日、彼女に告白する。それは僕と彼女の関係を変えることを意味している。怖いことだけれど、告白しない限り、僕らはきっと、朝の満員電車の中で学校のことを話すだけになってしまうだろう。僕はそれが嫌だった。
万が一、彼女が僕に惹かれているとしても、彼女の方が先に告白されるのは嫌だ。僕の方から告白したい。
今日も7時30分発八神行きの電車が定刻通りに到着した。
いつもの場所の扉が開くと、今日も彼女が僕の方を向いて立っていた。昨日と同じく、彼女は笑顔で僕に手を振る。
そんな彼女を見た途端、僕は緊張してしまう。昨日までは心安らかになったけれど、告白するとなると……ね。
「おはようございます。今日はちょっと暑いですね」
そんな言葉を裏付けるかのように、彼女の着るワイシャツの第1ボタンが外れていた。そこから覗かせる彼女の白い素肌を見て、彼女への欲情が膨らむ。
「ちょっと顔が赤いですよ? いつもよりも呼吸が荒いというか」
「あ、ああ……今日はちょっと寝坊しちゃいまして。駅まで走ってきたので、それで疲れちゃって。昨日は僕から「明日も話そう」って言ったじゃないですか。その言葉を破りたくなくて」
どうして、不意に浮かんだ嘘は平気に言えるのに、好きだという本音を言うことは躊躇ってしまうのだろう。
彼女の嬉しそうな顔に、僕はちょっとした罪悪感を覚えた。
「真面目なんですね。……嬉しいな」
そんな彼女の言葉にも何にも返事ができなかった。
今日は昨日見たテレビ番組の話になった。偶然にも、昨日同じ番組を見ていたので盛り上がった。彼女と共通の楽しみがあると分かって嬉しい。
楽しい話題だと話が尽きない。楽しい話が楽しすぎて、今日告白することを忘れてしまったときもあった。
けれど、今日も一緒にいられる15分間があっという間に過ぎて、
『間もなく、鏡原、鏡原。お出口は左側です』
という車内アナウンスが流れ、僕は一気に現実に引き戻された感じがした。同時に僕の心臓の鼓動が突如として暴れ始める。
そう、僕の告白は鏡原駅で彼女が降りるときしようと決めていた。
「あっ、もう降りないと。じゃあ、また月曜日に――」
「待って」
勇気を出して、僕は彼女の手を掴んだ。
彼女は驚きと同時に、手を掴まれたからか頬を赤く染める。
「どうかしましたか?」
僕の目を見つめながら、彼女はそう言ってきた。
僕はブレザーのポケットから、二つ折りになった白い紙を取り出し、それを彼女へ強引に握らせた。
「……鏡原駅に降りて、電車が発車したら読んでください。それまでは絶対に読まないでいただけますか」
「え、ええ……分かりました」
戸惑った表情を見せながらも、彼女は受け取ってくれた。
「じゃあ、また月曜日に」
それでも最後にはいつもと同じく可愛らしい笑顔になって、電車から降りていった。
電車は鏡原駅を出発する。
彼女が降りる間際に渡した紙切れ。あれには、
『好きです。僕と付き合ってくれませんか』
というシンプルな言葉が書いてある。
好きだという想いを紙に綴って彼女に渡すことが、僕の思いついた告白の方法だった。満員電車の中でしか会えないけれど、彼女だけに想いを届けることができる確かなやり方だ。
今、彼女はあの紙を開いているのだろうか。開いていたら、どんな想いを抱いているのだろうか。
彼女の返事はきっと、月曜日の朝になればおのずと分かるだろう。
僕はただ、その瞬間を待つだけだ。
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